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鳴き声が聞こえたのは、大通りの裏にある細い路地だった。いりくんだ道を進むと、行き止まりに突き当たる。
そこに、一匹の生き物がいた。
「……虎?」
居たのは、両手で抱え上げられるほどの大きさの、灰色の縞模様が入った白い獣だった。
キュンキュンと小さな鳴き声をあげるその生き物は、私が近づくと警戒しだす。
スチュワートさんに見せて貰った図鑑にあった、虎族の獣人を獣寄りにしたような生き物。
獣人の子どもって、こんな姿だったかしら……?
スチュワートさんに教わっていないからわからない。獣人なのか、他の生き物なのかも不明だ。
「あ」
よく見ると、後ろ脚を怪我していた。じんわりと真っ白な毛が赤く滲んでいて、痛々しい。
「ちょっとだけ、動かないで」
警戒するその子に声をかけながら、エプロンの端を手で引き裂く。またしても母譲りの身体能力の高さに感謝である。
近づき、引き裂いたエプロンを包帯代わりに巻いて上げようとすると、威嚇し噛みついてきた。
「……っ」
噛みつく力は強く、血が滲んでくる。痛いが、この子も同様に痛いはず。噛みつかれたことで距離が近づいたので、そっと後ろ脚にエプロンを巻き付けた。
「もう、大丈夫だよ」
簡易的にだが治療をしてあげると、威嚇していた虎と思われる子は口を離し、噛みついていた場所を舐め出した。謝罪のつもりなのかもしれない。
「大丈夫よ。怖かったんだものね」
うっすらメイド服に血が滲んでしまったが、目の前の子が気にしてしまうだろうから私も気にしないようにしておく。
「あなた、家族は?」
声をかけると、キョロキョロと周りを見渡し、まん丸の目を瞬かせ首を傾げた。この辺りには居ないようだが、この子から他の匂いがするから、家族がいるはずだ。
「ここは危険よ。家族を探してあげるから、一緒にいきましょう」
両手を差しのべ抱き上げる。大人しく抱っこしてくれたので、警戒心を解いてくれたようだ。
辺りを見渡しながら、路地を歩く。この子から漂う匂いを元に辿っていると、路地でフードを被った人が辺りを見渡していた。何かを探しているような素振りをしている。そして、あの人からこの子の匂いがした。
「あの人だわ!」
そう声をあげると、抱えていた虎のような子も「ギャウ!」と大きな声で鳴いた。声に気づいたのか、その人が近づいてきた。
「あの、探しているのはこの子ですか?」
声をかけると、近づいてきた人は被っていたフードを取り顔を見せる。
その姿に、目を奪われた。
絹糸のような細く決め細かな金の髪に、図鑑で見せてもらった海という場所のような深い青の瞳。端整な顔立ちに、薄い唇。
あまりの綺麗さに、頬が紅潮していく。
「――君が見つけてくれたのかい?」
低く耳に透き通るような声。あまりにも綺麗な声に、思わずフードの中の耳を畳む。
「は、はいっ」
手を差し出され、抱えていた子をそっと彼の腕に抱き渡した。抱えていた子はジッと名残惜しそうにこちらを見つめてくる。
「君、名前は?」
「えっと……リリアンナです」
まっすぐこちらの瞳を見つめながら訊ねられ、思わず本名を名乗ってしまった。
「リリアンナか……いい名前だね」
「あ、その……ありがとう、ございます……」
そう言われたことがない分、恥ずかしい。メイド服の中に隠している尻尾が嬉しさにゆらゆらと規則正しく揺れる。
「あの、あなたのお名前を聞いてもいいですか?」
「俺かい? そうだな……ネロと呼んでくれ」
ネロと名乗った青年は、にこやかに微笑んだ。
「ネロさん、その子後ろ脚を怪我しているんです。後できちんと診てあげてください」
「ああ、本当だ。君が手当てをしてくれたんだね。ありがとう」
そう言うと、ふと、ネロさんが私の腕を見た。
「君、怪我をしているのか。腕を出して」
「えっ、いえ、大丈夫ですっ」
「いいから。ほら」
抱いていた虎のような子を下ろし、腕をとられる。袖のボタンが外され、ゆっくりと丁寧に捲られ傷口が露になった。既に血は止まったようだが、腕は固まった血で真っ赤に染まってしまっていた。
「血はもう出てないな……消毒をして、包帯を巻こう」
ネロさんは肩から下げた鞄から消毒薬と脱脂綿を取り出し、脱脂綿に消毒薬を浸した。それで私の腕を拭い始める。
「あ、あの……貸してくだされば自分でしますが……」
「気にしないでくれ。大方、こいつが噛んだんだろう?」
そう言い、ネロさん足元にお座りする虎のような子を見やった。小さな子は罪悪感にかられているのか、私の脚にすり寄り体を伸ばした。
「大丈夫ですよ。気にしない」
慰めるように声をかけていると、いつの間にか取り出した包帯を丁寧に巻いてくれた。
「これで大丈夫だろう」
「あ、ありがとうございます……」
仕上げとばかりに手の甲にキスをされ、頬が紅潮していく。ネロさんは再び虎のような子を抱き上げた。あまりにもスマートにキスをされたので、気恥ずかしい。
恥ずかしさを誤魔化そうとエプロンの上からポケットに入れてある懐中時計に触れる。ハッとし、時計で時刻を確認すると、予定時刻をとうに過ぎていた。
「いけない。帰らなくちゃ」
ネロさんと抱えられた子にお辞儀をし、踵を返す。すると、「待って」と声をかけられた。急いでいるのにと思いつつ、振り替える。
「ごめんなさい、急いでるんで……」
「じゃあ、一言だけ。いずれ君を迎えにいくから、待っていてくれ」
「え?」
それって、どういう意味だろう……?
そう思ったが、時間は刻一刻と過ぎていく。気になるが、今は帰ることが先決だ。
「あの、それでは……!」
再びお辞儀をし、来た道を走り出す。フードを押さえながら、形振り構わず全力疾走で屋敷へと戻った。
「この愚図! 買い物もろくに出来ないなんて……このろくでなし!」
「い……っ」
勢いよく扇子で頬を叩かれる。結局、買い物に三十分以上かかってしまい仕置きを受ける羽目になってしまった。
「折角のナディルとのお茶の時間を台無しにして、ただで済むと思っているの!」
反対の頬も叩かれ、衝撃で床に倒れこむ。両の頬が赤く染まり腫れていても、義母の手は止まることがない。
「この! この! このろくでなし! お前なんて要らない存在を、わざわざお義父様がこの屋敷に置いてやってる意味がわかってないわ!」
耳を捕まれ、顔を上げさせられる。痛みに表情が険しくなると、義母は口角を上げた。
「痛いなんて言わせない。あんたの痛みなんかよりも、ナディルとの時間が台無しにされた方が重要なんだから」
「申し訳、ございません……」
耳を強く引っ張られ、更に痛みが増していく。しかし、それを表情に出したら更に仕置きが激しくなる。私は懸命に表情を殺した。
「……ふん、まあいいわ。過ぎた時間は戻らないのだし」
パッと耳を離され、床に倒れ伏す。
「お前の夕食は抜きよ。その時間、自分の仕出かした失態を悔いなさい」
義母はさけずんだ目で私を見下ろしながらそう告げると、部屋から出ていった。
その後ろをついていくようにナディルターシャが席を立ち、私の側に歩み寄ってくる。
「ほんと、信じられないわ。折角のお母さまとの時間を台無しにしてくれて……この役立たず」
髪を捕まれ顔を寄せられる。痛いが、表情に出さないように我慢する。すると、ナディルターシャは「いい気味だわ!」と大きな声で笑いだした。
「あんたは一生、私の奴隷として扱ってあげる。ずっと苛め続けてあげるわ」
手が離れ、漸く痛みから解放された。笑いながら、ナディルターシャが部屋から出ていき、部屋には私だけが残される。
腕が痛み、袖を捲ると包帯が赤く滲んでいた。どうやら、倒れこんだ際に傷口が開いたようだ。
折角、あの人が巻いてくれたのに……。
落ち込みつつ、よろけながら立ち上がる。今日は全ての部屋の掃除が終わっていない。夕食を抜きとされたので、その時間を使って掃除を終わらせてしまおう。
そう考え、静かに部屋から出ていった。
そこに、一匹の生き物がいた。
「……虎?」
居たのは、両手で抱え上げられるほどの大きさの、灰色の縞模様が入った白い獣だった。
キュンキュンと小さな鳴き声をあげるその生き物は、私が近づくと警戒しだす。
スチュワートさんに見せて貰った図鑑にあった、虎族の獣人を獣寄りにしたような生き物。
獣人の子どもって、こんな姿だったかしら……?
スチュワートさんに教わっていないからわからない。獣人なのか、他の生き物なのかも不明だ。
「あ」
よく見ると、後ろ脚を怪我していた。じんわりと真っ白な毛が赤く滲んでいて、痛々しい。
「ちょっとだけ、動かないで」
警戒するその子に声をかけながら、エプロンの端を手で引き裂く。またしても母譲りの身体能力の高さに感謝である。
近づき、引き裂いたエプロンを包帯代わりに巻いて上げようとすると、威嚇し噛みついてきた。
「……っ」
噛みつく力は強く、血が滲んでくる。痛いが、この子も同様に痛いはず。噛みつかれたことで距離が近づいたので、そっと後ろ脚にエプロンを巻き付けた。
「もう、大丈夫だよ」
簡易的にだが治療をしてあげると、威嚇していた虎と思われる子は口を離し、噛みついていた場所を舐め出した。謝罪のつもりなのかもしれない。
「大丈夫よ。怖かったんだものね」
うっすらメイド服に血が滲んでしまったが、目の前の子が気にしてしまうだろうから私も気にしないようにしておく。
「あなた、家族は?」
声をかけると、キョロキョロと周りを見渡し、まん丸の目を瞬かせ首を傾げた。この辺りには居ないようだが、この子から他の匂いがするから、家族がいるはずだ。
「ここは危険よ。家族を探してあげるから、一緒にいきましょう」
両手を差しのべ抱き上げる。大人しく抱っこしてくれたので、警戒心を解いてくれたようだ。
辺りを見渡しながら、路地を歩く。この子から漂う匂いを元に辿っていると、路地でフードを被った人が辺りを見渡していた。何かを探しているような素振りをしている。そして、あの人からこの子の匂いがした。
「あの人だわ!」
そう声をあげると、抱えていた虎のような子も「ギャウ!」と大きな声で鳴いた。声に気づいたのか、その人が近づいてきた。
「あの、探しているのはこの子ですか?」
声をかけると、近づいてきた人は被っていたフードを取り顔を見せる。
その姿に、目を奪われた。
絹糸のような細く決め細かな金の髪に、図鑑で見せてもらった海という場所のような深い青の瞳。端整な顔立ちに、薄い唇。
あまりの綺麗さに、頬が紅潮していく。
「――君が見つけてくれたのかい?」
低く耳に透き通るような声。あまりにも綺麗な声に、思わずフードの中の耳を畳む。
「は、はいっ」
手を差し出され、抱えていた子をそっと彼の腕に抱き渡した。抱えていた子はジッと名残惜しそうにこちらを見つめてくる。
「君、名前は?」
「えっと……リリアンナです」
まっすぐこちらの瞳を見つめながら訊ねられ、思わず本名を名乗ってしまった。
「リリアンナか……いい名前だね」
「あ、その……ありがとう、ございます……」
そう言われたことがない分、恥ずかしい。メイド服の中に隠している尻尾が嬉しさにゆらゆらと規則正しく揺れる。
「あの、あなたのお名前を聞いてもいいですか?」
「俺かい? そうだな……ネロと呼んでくれ」
ネロと名乗った青年は、にこやかに微笑んだ。
「ネロさん、その子後ろ脚を怪我しているんです。後できちんと診てあげてください」
「ああ、本当だ。君が手当てをしてくれたんだね。ありがとう」
そう言うと、ふと、ネロさんが私の腕を見た。
「君、怪我をしているのか。腕を出して」
「えっ、いえ、大丈夫ですっ」
「いいから。ほら」
抱いていた虎のような子を下ろし、腕をとられる。袖のボタンが外され、ゆっくりと丁寧に捲られ傷口が露になった。既に血は止まったようだが、腕は固まった血で真っ赤に染まってしまっていた。
「血はもう出てないな……消毒をして、包帯を巻こう」
ネロさんは肩から下げた鞄から消毒薬と脱脂綿を取り出し、脱脂綿に消毒薬を浸した。それで私の腕を拭い始める。
「あ、あの……貸してくだされば自分でしますが……」
「気にしないでくれ。大方、こいつが噛んだんだろう?」
そう言い、ネロさん足元にお座りする虎のような子を見やった。小さな子は罪悪感にかられているのか、私の脚にすり寄り体を伸ばした。
「大丈夫ですよ。気にしない」
慰めるように声をかけていると、いつの間にか取り出した包帯を丁寧に巻いてくれた。
「これで大丈夫だろう」
「あ、ありがとうございます……」
仕上げとばかりに手の甲にキスをされ、頬が紅潮していく。ネロさんは再び虎のような子を抱き上げた。あまりにもスマートにキスをされたので、気恥ずかしい。
恥ずかしさを誤魔化そうとエプロンの上からポケットに入れてある懐中時計に触れる。ハッとし、時計で時刻を確認すると、予定時刻をとうに過ぎていた。
「いけない。帰らなくちゃ」
ネロさんと抱えられた子にお辞儀をし、踵を返す。すると、「待って」と声をかけられた。急いでいるのにと思いつつ、振り替える。
「ごめんなさい、急いでるんで……」
「じゃあ、一言だけ。いずれ君を迎えにいくから、待っていてくれ」
「え?」
それって、どういう意味だろう……?
そう思ったが、時間は刻一刻と過ぎていく。気になるが、今は帰ることが先決だ。
「あの、それでは……!」
再びお辞儀をし、来た道を走り出す。フードを押さえながら、形振り構わず全力疾走で屋敷へと戻った。
「この愚図! 買い物もろくに出来ないなんて……このろくでなし!」
「い……っ」
勢いよく扇子で頬を叩かれる。結局、買い物に三十分以上かかってしまい仕置きを受ける羽目になってしまった。
「折角のナディルとのお茶の時間を台無しにして、ただで済むと思っているの!」
反対の頬も叩かれ、衝撃で床に倒れこむ。両の頬が赤く染まり腫れていても、義母の手は止まることがない。
「この! この! このろくでなし! お前なんて要らない存在を、わざわざお義父様がこの屋敷に置いてやってる意味がわかってないわ!」
耳を捕まれ、顔を上げさせられる。痛みに表情が険しくなると、義母は口角を上げた。
「痛いなんて言わせない。あんたの痛みなんかよりも、ナディルとの時間が台無しにされた方が重要なんだから」
「申し訳、ございません……」
耳を強く引っ張られ、更に痛みが増していく。しかし、それを表情に出したら更に仕置きが激しくなる。私は懸命に表情を殺した。
「……ふん、まあいいわ。過ぎた時間は戻らないのだし」
パッと耳を離され、床に倒れ伏す。
「お前の夕食は抜きよ。その時間、自分の仕出かした失態を悔いなさい」
義母はさけずんだ目で私を見下ろしながらそう告げると、部屋から出ていった。
その後ろをついていくようにナディルターシャが席を立ち、私の側に歩み寄ってくる。
「ほんと、信じられないわ。折角のお母さまとの時間を台無しにしてくれて……この役立たず」
髪を捕まれ顔を寄せられる。痛いが、表情に出さないように我慢する。すると、ナディルターシャは「いい気味だわ!」と大きな声で笑いだした。
「あんたは一生、私の奴隷として扱ってあげる。ずっと苛め続けてあげるわ」
手が離れ、漸く痛みから解放された。笑いながら、ナディルターシャが部屋から出ていき、部屋には私だけが残される。
腕が痛み、袖を捲ると包帯が赤く滲んでいた。どうやら、倒れこんだ際に傷口が開いたようだ。
折角、あの人が巻いてくれたのに……。
落ち込みつつ、よろけながら立ち上がる。今日は全ての部屋の掃除が終わっていない。夕食を抜きとされたので、その時間を使って掃除を終わらせてしまおう。
そう考え、静かに部屋から出ていった。
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