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今日は今度こそ、ユーゴスとのお茶会だ。彼にはこの前のお礼もしなければならないので、早めにお茶会の席について待っていた。そこに、ゆっくりとした動作でお茶会の場に現れたユーゴス。セラは立ちあがり、お辞儀をした。
「ユーゴスさん、この前はありがとうございました」
「いえいえ、そんな大袈裟な……顔を上げてください」
そう言われ、顔を上げる。するとすぐ目の前にユーゴスの顔があり、思わず頬が赤くなった。
「ふむ……お体の方も大丈夫そうですね。若干顔が赤いのが気になりますが……」
「ユーゴスさん、意外と意地悪ですか?」
「いえ? そうは言われたことはないですけれど」
にこやかに笑いながらそう答えるユーゴスに、セラはサッと離れて席についた。紅茶を注ぎ、一気に呷る。
「火傷にはきをつけて」
「大丈夫です。熱いの慣れているので」
ソーサーにカップを戻し、ユーゴスを見やる。彼は相変わらず、にこやかな表情だ。
「ユーゴスさんも、お茶いりますか?」
「では、いただきます」
そっと差し出されたカップに紅茶を注ぎ、ユーゴスは優雅な仕草で飲んでいく。クリスタスといいユーゴスといい、どうしてここまで様になっているのだろうか……。
「さて、今日はどういったお話をしましょうか」
「そうですね……好きなものとかどうですか?」
セラの言葉に、ユーゴスは頷く。良かった、これなら何とか話も盛り上がりそうだ。
「セラさんの好きなものはなんです?」
「私は花とか果物とか……あと家庭菜園が好きです」
にこやかに聞いていたユーゴスは、目を瞬かせた。何か変なことを言っただろうか。
「セラさん……虫が平気なのですか?」
「え? ええ、全然大丈夫ですけど……」
もしかして、この人、虫が苦手なのかな?
「ユーゴスさんは虫、駄目だったりしますか……?」
「え、ええ……あのうごうごと動く物体、思いだしただけでも無理です」
紅茶を飲み落ち着くユーゴス。意外な一面が見れたと思った。話を変えてあげよう。
「そういうユーゴスさんは何か好きなものありますか?」
「そうですね……読書は好きです」
「どういった本を読むんですか?」
多分、魔法に関するものだろうけど……聞いてみよう。
「魔法に関する本や、お菓子のレシピ本を読んだりしてますよ」
「え、お菓子?」
意外な言葉に、セラはキョトンとした表情を浮かべる。ユーゴスは苦笑しながら、話を続けた。
「魔法を使うと、どうしてもエネルギーを消耗するので……自分で料理やお菓子作りをしているんです」
「へえ! 凄い! 後で食べてみたいですっ」
素直に食べてみたい。どんなものを作るのかにも興味が湧いたが、それ以上にどんな風に作るのかも気になった。
「次のお茶会の際に持ってきましょうか?」
「良いんですか?」
「ええ。あなたに食べて欲しいですし、ね」
嬉しそうに目を細めながら微笑まれ、頬が紅潮していく。まるで子どものような純粋な笑顔を向けられ、セラはそっと紅茶の入ったカップに手を伸ばした。
「ユーゴスさん、この前はありがとうございました」
「いえいえ、そんな大袈裟な……顔を上げてください」
そう言われ、顔を上げる。するとすぐ目の前にユーゴスの顔があり、思わず頬が赤くなった。
「ふむ……お体の方も大丈夫そうですね。若干顔が赤いのが気になりますが……」
「ユーゴスさん、意外と意地悪ですか?」
「いえ? そうは言われたことはないですけれど」
にこやかに笑いながらそう答えるユーゴスに、セラはサッと離れて席についた。紅茶を注ぎ、一気に呷る。
「火傷にはきをつけて」
「大丈夫です。熱いの慣れているので」
ソーサーにカップを戻し、ユーゴスを見やる。彼は相変わらず、にこやかな表情だ。
「ユーゴスさんも、お茶いりますか?」
「では、いただきます」
そっと差し出されたカップに紅茶を注ぎ、ユーゴスは優雅な仕草で飲んでいく。クリスタスといいユーゴスといい、どうしてここまで様になっているのだろうか……。
「さて、今日はどういったお話をしましょうか」
「そうですね……好きなものとかどうですか?」
セラの言葉に、ユーゴスは頷く。良かった、これなら何とか話も盛り上がりそうだ。
「セラさんの好きなものはなんです?」
「私は花とか果物とか……あと家庭菜園が好きです」
にこやかに聞いていたユーゴスは、目を瞬かせた。何か変なことを言っただろうか。
「セラさん……虫が平気なのですか?」
「え? ええ、全然大丈夫ですけど……」
もしかして、この人、虫が苦手なのかな?
「ユーゴスさんは虫、駄目だったりしますか……?」
「え、ええ……あのうごうごと動く物体、思いだしただけでも無理です」
紅茶を飲み落ち着くユーゴス。意外な一面が見れたと思った。話を変えてあげよう。
「そういうユーゴスさんは何か好きなものありますか?」
「そうですね……読書は好きです」
「どういった本を読むんですか?」
多分、魔法に関するものだろうけど……聞いてみよう。
「魔法に関する本や、お菓子のレシピ本を読んだりしてますよ」
「え、お菓子?」
意外な言葉に、セラはキョトンとした表情を浮かべる。ユーゴスは苦笑しながら、話を続けた。
「魔法を使うと、どうしてもエネルギーを消耗するので……自分で料理やお菓子作りをしているんです」
「へえ! 凄い! 後で食べてみたいですっ」
素直に食べてみたい。どんなものを作るのかにも興味が湧いたが、それ以上にどんな風に作るのかも気になった。
「次のお茶会の際に持ってきましょうか?」
「良いんですか?」
「ええ。あなたに食べて欲しいですし、ね」
嬉しそうに目を細めながら微笑まれ、頬が紅潮していく。まるで子どものような純粋な笑顔を向けられ、セラはそっと紅茶の入ったカップに手を伸ばした。
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