7 / 8
手乗り姫と蛙とミツバチ
しおりを挟む
じりじりと照り付ける太陽の熱さから逃れるため、ニアとコニックは水辺に移動しました。公園の池の周りは涼しく、ホッと一息吐けました。池の端っこの草の山から、一匹の小さなカエルが出てきました。可愛らしい鳴き声は辺りに響き渡っていました。辺りを見渡し、人が居ないのを確認すると、ニアはカエルに話しかけました。
「カエルさん、何をしているの?」
「やあ、お嬢さん。僕は夜の歌合戦の間まで歌の練習をしているのさ」
「歌合戦?」
聞いたこともない言葉に、ニアは首を傾げます。カエルは「ああ」と答え、話を続けます。
「夜、涼しくなった頃合いに皆で歌を披露するんだ。誰が一番上手に歌えるか競うのさ」
「面白そう! ねえ、私もその歌、聞いてもいいかしら?」
「勿論! 僕はユタ。君を歓迎するよ」
そうにこやかに答えて貰い、ニアは嬉しそうに顔を綻ばせました。
「私はニアよ! 楽しみにしているわ!」
「うん。僕も君に聞かせる為に練習を頑張るよ」
そう言って、ユタは草の茂みの中に入っていきました。
少し歩くと、大きな花畑がありました。
「綺麗! 後でここで休憩しない?」
「うん、いいね。ここは日陰もあるし、丁度いいかも」
そう言いながら再び歩いていると、上空を迷いながら飛ぶ、ミツバチに出会いました。
「ミツバチさん、どうしたの?」
コニックがそう呼びかけると、ミツバチはコニックの鼻先あたりまで降りてきて、不安そうに言葉を発します。
「猫さん、困っているの。お花の場所がわからないの……」
「お花の場所?」
人形のふりをしていたニアも顔を上げ、言葉を返します。一体、どういうことなのでしょう。
「私はコミツ。私達ミツバチは、互いにダンスを踊って花のある場所を教え合うの。でも最近、私も皆も調子が悪くて……ダンスを上手く読み取れなくて、花畑の場所がわからなくなってしまったの……」
そう言い嘆くコミツに、ニアとコニックは先程の花畑を思い出しました。
「ねえ、探している花畑とは違うかも知れないけど、花畑の場所へ案内するわ!」
「本当!? ありがとう」
喜ぶミツバチに、ニアとコニックは笑顔を向け案内します。先程見つけた花畑に連れて行くと、コミツは大喜びしました。
「ここ! 私が探してた場所よ! 二人ともありがとう。これでシロツメクサの蜜が採れるわ」
大喜びのコミツにつられて、笑顔になるニア。また一つ、良いことをしてしまいました。
「ニア、少しここで僕たちも休憩しようよ」
「そうね。あそこの少し離れた木の下がいいかも」
そう良い、二人は日陰になっている木の下に行き、コニックは腰を下ろしました。
「ニア。人が来たら大変だから、僕の背中で休んでね」
「うん」
そう話しながら、コミツの蜜集めを眺めます。懸命に頑張っているその姿を見つめながら、ニアは目をゆっくりと閉じて行きました。
「カエルさん、何をしているの?」
「やあ、お嬢さん。僕は夜の歌合戦の間まで歌の練習をしているのさ」
「歌合戦?」
聞いたこともない言葉に、ニアは首を傾げます。カエルは「ああ」と答え、話を続けます。
「夜、涼しくなった頃合いに皆で歌を披露するんだ。誰が一番上手に歌えるか競うのさ」
「面白そう! ねえ、私もその歌、聞いてもいいかしら?」
「勿論! 僕はユタ。君を歓迎するよ」
そうにこやかに答えて貰い、ニアは嬉しそうに顔を綻ばせました。
「私はニアよ! 楽しみにしているわ!」
「うん。僕も君に聞かせる為に練習を頑張るよ」
そう言って、ユタは草の茂みの中に入っていきました。
少し歩くと、大きな花畑がありました。
「綺麗! 後でここで休憩しない?」
「うん、いいね。ここは日陰もあるし、丁度いいかも」
そう言いながら再び歩いていると、上空を迷いながら飛ぶ、ミツバチに出会いました。
「ミツバチさん、どうしたの?」
コニックがそう呼びかけると、ミツバチはコニックの鼻先あたりまで降りてきて、不安そうに言葉を発します。
「猫さん、困っているの。お花の場所がわからないの……」
「お花の場所?」
人形のふりをしていたニアも顔を上げ、言葉を返します。一体、どういうことなのでしょう。
「私はコミツ。私達ミツバチは、互いにダンスを踊って花のある場所を教え合うの。でも最近、私も皆も調子が悪くて……ダンスを上手く読み取れなくて、花畑の場所がわからなくなってしまったの……」
そう言い嘆くコミツに、ニアとコニックは先程の花畑を思い出しました。
「ねえ、探している花畑とは違うかも知れないけど、花畑の場所へ案内するわ!」
「本当!? ありがとう」
喜ぶミツバチに、ニアとコニックは笑顔を向け案内します。先程見つけた花畑に連れて行くと、コミツは大喜びしました。
「ここ! 私が探してた場所よ! 二人ともありがとう。これでシロツメクサの蜜が採れるわ」
大喜びのコミツにつられて、笑顔になるニア。また一つ、良いことをしてしまいました。
「ニア、少しここで僕たちも休憩しようよ」
「そうね。あそこの少し離れた木の下がいいかも」
そう良い、二人は日陰になっている木の下に行き、コニックは腰を下ろしました。
「ニア。人が来たら大変だから、僕の背中で休んでね」
「うん」
そう話しながら、コミツの蜜集めを眺めます。懸命に頑張っているその姿を見つめながら、ニアは目をゆっくりと閉じて行きました。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ぽぽみんとふしぎなめがね
珊瑚やよい(にん)
絵本
ぽぽみんが「いいなぁ〜」っと思ったおめめに変身するお話です。ほら子供ってすぐ人のモノほしがるでしょ?
0才から3才の子供向けの絵本です。親子で読んでいただけたら幸いです。
わーい!! おかげさまでアルファポリスの絵本コンテストで奨励賞を頂きました!! 読んでくださった皆さんありがとうございます。
いつか津田健次郎さんが読み聞かせして下さらないかな♡♡♡
《誕生秘話》
漫画『呪術廻戦』が大好きで、その中に『ナナミン』というニックネームのキャラクターがいらっしゃいます(本名 七海建人)。
ナナミンって口に出すとリズミカルで言いやすいし、覚えやすいし、響きもいいのでお得満載だと思ったの。そこから『みん』をとりました。というか私が個人的にナナミンが大好き。
『ぽぽ』はなんとなく子供が言いやすそうだから。
ちなみにぽぽみんのシッポの柄とメガネのデザインもナナミンからきています。さあくんの名前とデザインは……ほら……あれですね。ナナミンの先輩のあの方ですね。この絵本はオタクママの産物。
カタツムリは以前娘が飼っていたカタツムリの『やゆよ』。
消防車は息子が好きな乗り物。
魚は以前飼っていた金魚の『もんちゃん』のギョロ目を参考にしています。
ぽぽみんの頭の形は、おやつに娘が食べていた大福です。大福を2回かじるとぽぽみんの頭の形になりますよ。今度やってみて。アイディアってひょんな事から思いつくんですよ。
体のデザインは私が難しいイラストが描けないので単純なモノになりました。ミッフィちゃんみたいに横向かない設定なんです。なぜなら私が描けないから。
そんなこんなで生まれたのが『ぽぽみん』です。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる