4 / 8
手乗り姫と旅立ち
しおりを挟む
おじいさんに遂に許可を貰えたニアは、早速、荷造りの用意です。数着の着替えに、保存性の高い食料をたくさん、鞄に詰め込んでいきます。詰め込みながら、ニアは外の世界がどんな所なのか、想像を膨らませます。
「きっと、周りのものが全て大きいんだわ」
小人族はとても小さな種族です。小人族よりも小さい種族はそんなにいません。となると、自然と周りのものは大きな筈です。どこまで大きいのか、どれだけの出会いが待っているのか……ニアには楽しみで仕方ありませんでした。
「ニア、いるかい?」
窓の外から、コニックの声が聞こえました。こんな夜に、一体どうしたのでしょうか?
ニアは窓を開け、コニックに挨拶します。
「コニック! 私、外の世界に行けるわ!」
「そっか。おめでとう」
そう微笑むコニックですが、少し元気が無さそうです。ニアは首を傾げます。
「コニック、どうしたの?」
そっとコニックの鼻先を撫でますが、それでも元気がなさそうです。一体、何があったのでしょうか?
「ニア、先に言っておくね。人間は怖い生き物だよ。それだけは忘れないで」
「コニック……」
真剣な眼差しでそう告げるコニックの目は、憂いを帯びているように感じられました。何度も人の世界に行っているコニックだからこそ、わかることなのかもしれません。
「いいかい? 絶対に、僕の言うことを聞いてね。村長から聞いたよ。それが条件だって」
そこで一度だけ深呼吸し、コニックは言葉を続けました。
「外の……人の世界は、怖いことがいっぱいな場所だ。僕から絶対に、絶対に離れないでね」
「うん、わかった。約束する」
真剣なコニックに、ニアは真面目に返事を返します。その表情を見ると、コニックは笑みを浮かべました。
「じゃあ、また明日」
「うん。また明日ね」
言いたかったことを伝えきったのでしょう。コニックはニアの部屋の外から離れていきました。
コニックは何度も人の世界に行っています。そのコニックが危険だというのならば、用心に越したことはないかもしれません。ニアは唯一の小人族の武器である、人の使う縫い針も鞄に詰め込みました。
「ニア、必ず、帰ってくるんじゃよ」
「うん」
早朝、ニアとコニックは、おじいさんに見送られながら、ハートフットの村を出ました。コニックの背に乗り、一人と一匹はゆっくりと村を出ます。
「……怖いかい?」
「うーん……少しだけ。後は興味と楽しみでいっぱいよ!」
微笑みながら、ニアは答えます。
さあ、ニアにどんな出合いがまっているでしょうか。
「きっと、周りのものが全て大きいんだわ」
小人族はとても小さな種族です。小人族よりも小さい種族はそんなにいません。となると、自然と周りのものは大きな筈です。どこまで大きいのか、どれだけの出会いが待っているのか……ニアには楽しみで仕方ありませんでした。
「ニア、いるかい?」
窓の外から、コニックの声が聞こえました。こんな夜に、一体どうしたのでしょうか?
ニアは窓を開け、コニックに挨拶します。
「コニック! 私、外の世界に行けるわ!」
「そっか。おめでとう」
そう微笑むコニックですが、少し元気が無さそうです。ニアは首を傾げます。
「コニック、どうしたの?」
そっとコニックの鼻先を撫でますが、それでも元気がなさそうです。一体、何があったのでしょうか?
「ニア、先に言っておくね。人間は怖い生き物だよ。それだけは忘れないで」
「コニック……」
真剣な眼差しでそう告げるコニックの目は、憂いを帯びているように感じられました。何度も人の世界に行っているコニックだからこそ、わかることなのかもしれません。
「いいかい? 絶対に、僕の言うことを聞いてね。村長から聞いたよ。それが条件だって」
そこで一度だけ深呼吸し、コニックは言葉を続けました。
「外の……人の世界は、怖いことがいっぱいな場所だ。僕から絶対に、絶対に離れないでね」
「うん、わかった。約束する」
真剣なコニックに、ニアは真面目に返事を返します。その表情を見ると、コニックは笑みを浮かべました。
「じゃあ、また明日」
「うん。また明日ね」
言いたかったことを伝えきったのでしょう。コニックはニアの部屋の外から離れていきました。
コニックは何度も人の世界に行っています。そのコニックが危険だというのならば、用心に越したことはないかもしれません。ニアは唯一の小人族の武器である、人の使う縫い針も鞄に詰め込みました。
「ニア、必ず、帰ってくるんじゃよ」
「うん」
早朝、ニアとコニックは、おじいさんに見送られながら、ハートフットの村を出ました。コニックの背に乗り、一人と一匹はゆっくりと村を出ます。
「……怖いかい?」
「うーん……少しだけ。後は興味と楽しみでいっぱいよ!」
微笑みながら、ニアは答えます。
さあ、ニアにどんな出合いがまっているでしょうか。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
勇気の指輪
森乃あかり
絵本
森の奥にあるお城にちょっとだけ臆病な王子様が住んでいました。
王子様はある日、森で金色の指輪を見つけます。その指輪には不思議な力がありました。
※表紙はAIで生成しています。
※挿絵はありません。
ママ、男の子にうまれてごめんなさい
味噌村 幸太郎
絵本
※本作は男女差別や虐待をテーマにしています※
閲覧する際は十分に注意されください。
幼いころからママに長い髪を強いられてきたぼく。
本当はもっとカッコイイ髪型にしたいけど、ママが喜ぶからぼくはこの髪がすき。
男の子のおもちゃを捨てられても、ママがぼくを見ていてくれるなら。
そんなとき、ママに赤ちゃんが出来た。
ママはその時から変わってしまった。
ぼくはいらない子だったのかもしれない。
このせかいもわるくない
ふら(鳥羽風来)
絵本
以前書いた童話「いいとこ探し」を絵本にリメイクしました。
色んなソフトを使ったりすれば、もっと良い絵が描けそうだったり、未熟な点は多いですが、よろしくお願いします。
ミツバチの子
るいのいろ
絵本
あるところに、とても大きな巣を持つミツバチたちがいました。
ミツバチたちは毎日せっせと働き、仲間や子供のためにたくさんのはちみつを作りました。
産卵の時期になると、女王蜂は新しい子供を作りました。
女王蜂は大きな部屋に1つ卵を落とすと、
「ミッチ」と名前をつけて、とても可愛がりました。
ミッチは卵の中ですくすく育ち、やがて大きな体で産まれました。
ミッチたちの巣は、とある養蜂場にありました。
この養蜂場には、みつるくんのおじいちゃんが
大事に大事に育てたミツバチたちがたくさんいました。
みつるくんは、このミツバチたちが作る、甘〜いハチミツが大好きでした。
みつるくんは、このハチミツがどうやって作られているのかきになり、おじいちゃんと一緒にハチミツをとってみることにしました。
ミッチたちは、毎日毎日働き、たくさんのハチミツを作りました。
しかしある時、ハッチたちの身に危険が迫ります…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる