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10 突然の訪問
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イグニスの両親にも挨拶をし、順風満帆のティファニア。祖父母はティファニアの養子縁組も検討していると知り、ホッと一息吐く。仮に養子縁組が通れば、あの家に帰る必要もない。フィーリアと彼女ばかりを甘やかす両親とも、おさらば出来る。だが、その手続きには手紙のやり取り、もしくは直接会いに行かねばならない。そうなると、ティファニアの居場所がばれてしまう。祖父母もそこだけは気にしているようで、中々一歩を踏み出せないでいる。居場所がばれてしまえば、確実に家族総出で迎えという名の強引な手を使ってきそうだ……。イグニスも協力してくれるというが、どうなるか……。
リビングで祖父母と共に紅茶を飲みながら考えていると、なにやら玄関の方が騒がしいのに気付く。どうしたのかしら? そう思い、立ちあがると、「お待ちください」というアニマの切羽詰まった声が聞こえてきて、ドアが勢いよく開かれた。
「ティファニア!」
「っ」
ドアから、父と母、フィーリアとアーデルの四人がズカズカと入ってきた。慌てて立ちあがった祖父母がティファニアの前に立ち、父たちを睨み付ける。
「何しに来た」
祖父の怒りを押し殺した声が響く。父が近付こうとすると、祖父は杖で制止させる。
「お義父さん、何故ティファニアの家出の手助けをしたのですか?」
「そんなこともわからんのか? わからんのならば今すぐ帰りなさい」
「お父様っ」
母が声を上げるが、祖父は睨みティファニアの元に行かせないようにけん制する。祖母がアニマに目で合図し、アニマは何処かにそっと走って行った。
「お父様、何をしに来たんですか?」
「お前を迎えに来たに決まっているだろう!」
声を荒げる父の言葉に賛同するように頷く母。ティファニアはぎゅっと手を握り締める。
「私は帰りません。手紙にもそう書いたはずです」
「我が儘を言うんじゃない」
「そうよ、お姉さまは我が儘よ!」
突然、フィーリアが言葉を発する。我が儘? 私が我が儘なら、あなたはどうなのよ?
「お父さまとお母さま、私がどれほど心配したかわかってないわ! 子どもみたいな我が儘を言って、家族を困らせないでよ!」
「あなたに言われたくはないわ!!」
咄嗟にティファニアは反論する。それには家族も驚き、目を瞬かせた。でも、こればかりは言わないと気が済まない。どうして、手紙を読んだ筈なのに理解してくれないの? どうして!
怒りを露わにするティファニアを、祖母はそっと抱き締めた。髪を撫でてくれる手が、刺ついた心を静めてくれる。
「お前たちは何も反省していない。出て行きなさい。これ以上、私を怒らせるな」
祖父の言葉に、両親をフィーリアはし渋々といった風に部屋から出て行った。残ったのは、アーデルだけだった。
「君も誰かは知らないが、すぐに出て行きなさい」
「その前に、ティファニアと話をさせてください。お願いします」
深く頭を垂れ、アーデルは祖父に頼み込む。どうするかと悩む祖父に、ティファニアは「大丈夫」と言いアーデルの前に立った。
「アーデル、話って、何?」
そっと、静かに言葉をかけた。
リビングで祖父母と共に紅茶を飲みながら考えていると、なにやら玄関の方が騒がしいのに気付く。どうしたのかしら? そう思い、立ちあがると、「お待ちください」というアニマの切羽詰まった声が聞こえてきて、ドアが勢いよく開かれた。
「ティファニア!」
「っ」
ドアから、父と母、フィーリアとアーデルの四人がズカズカと入ってきた。慌てて立ちあがった祖父母がティファニアの前に立ち、父たちを睨み付ける。
「何しに来た」
祖父の怒りを押し殺した声が響く。父が近付こうとすると、祖父は杖で制止させる。
「お義父さん、何故ティファニアの家出の手助けをしたのですか?」
「そんなこともわからんのか? わからんのならば今すぐ帰りなさい」
「お父様っ」
母が声を上げるが、祖父は睨みティファニアの元に行かせないようにけん制する。祖母がアニマに目で合図し、アニマは何処かにそっと走って行った。
「お父様、何をしに来たんですか?」
「お前を迎えに来たに決まっているだろう!」
声を荒げる父の言葉に賛同するように頷く母。ティファニアはぎゅっと手を握り締める。
「私は帰りません。手紙にもそう書いたはずです」
「我が儘を言うんじゃない」
「そうよ、お姉さまは我が儘よ!」
突然、フィーリアが言葉を発する。我が儘? 私が我が儘なら、あなたはどうなのよ?
「お父さまとお母さま、私がどれほど心配したかわかってないわ! 子どもみたいな我が儘を言って、家族を困らせないでよ!」
「あなたに言われたくはないわ!!」
咄嗟にティファニアは反論する。それには家族も驚き、目を瞬かせた。でも、こればかりは言わないと気が済まない。どうして、手紙を読んだ筈なのに理解してくれないの? どうして!
怒りを露わにするティファニアを、祖母はそっと抱き締めた。髪を撫でてくれる手が、刺ついた心を静めてくれる。
「お前たちは何も反省していない。出て行きなさい。これ以上、私を怒らせるな」
祖父の言葉に、両親をフィーリアはし渋々といった風に部屋から出て行った。残ったのは、アーデルだけだった。
「君も誰かは知らないが、すぐに出て行きなさい」
「その前に、ティファニアと話をさせてください。お願いします」
深く頭を垂れ、アーデルは祖父に頼み込む。どうするかと悩む祖父に、ティファニアは「大丈夫」と言いアーデルの前に立った。
「アーデル、話って、何?」
そっと、静かに言葉をかけた。
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