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世界について1
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翌日。リビングでテーブルを囲みながら、タクマ達はアイシャの持ってきた地図を広げた。地図には、大きなドーナツ形の大地が描かれていた。
「これが、私達の世界よ」
「へえ……ドーナツ型なんだ」
そのドーナツ型の大地を、太めの線が四つに区分していた。
「まず、この世界には大きく分けて四つの国があるわ。ファウスト、セコード、サッド、フォス……この四つの国の中に、街や村があるの」
別の真っ白な紙に、細かく記載していく。
「まずはファウスト。ここは大国家よ。主に軍事産業が盛んで、魔石を用いた兵器も作られているわ。帝国、とも言われているの」
「帝国……」
「そ。ついでに言うと、此処には人間しかいない。獣人は多少いるが、それらはみんな奴隷だ。労働者として過酷な環境に晒されている」
サイファの言葉に、ミルファリアは顔を青褪めた。奴隷……この世界にもやはりそういったものはあるんだな――。
「次はセコード。ここは獣人も普通に暮らしているけど、この国はファウストの隣だから獣人の買い付けとかオークションが盛んなの……ファウストに獣人を売るためにね」
アイシャが悲しそうに俯く。ここは何処かで聞いたことのある気がした。
「タクマと私が最初にいたのはこの国よ」
「あ、だから聞いたことのある名前だったのか」
「次いくぞ~」
サイファに声を掛けられ、地図に視線を戻す。次は、サッドか――。
「サッドは比較的安全よ。ファウストとは一番離れているし、私達が登録してるギルドがあるアルクスも、サッドにあるのよ」
「ここは獣人も人間も平等だし住民登録も簡単に済むから、一番人気の国だぜ」
サイファの言葉も頭に入れながら、頷きつつ話を聞いていく。最後はフォス。この国はどんな国なのだろうか?
「最後はフォス。ここは魔術師が多くいる国よ。エルフが人口の半数を超えているわ」
「エルフ!」
RPGで必ず目にする種族だ。長寿で、尖った耳を持ち、魔術や弓に長けている種族。この世界では魔術に長けているのか――。
「エルフは気難しい奴らばっかりだぞ。目の前にもいるし」
「え?」
サイファの言葉に、目の前を見る。目の前には、アイシャしかいない。ということは――。
「気付かなかった? 髪で耳が隠れているけど、私エルフよ」
ほら、と髪を掻き分け耳を見せるアイシャ。本当だ、耳が尖ってる。
「魔術師って所で気付くと思ったんだけどな」
「いやいや、気付きませんよ! なあっ」
ミルファリアに同意を求めるが、ミルファリアは「同室だから……」と言われてしまった。くそ、気付かなかったの俺だけかよ!
「ってことは、サイファさんが獣人、アイシャさんがエルフ、ミルファがセイレーンのハーフ、俺が人間……ガイアスさんは?」
その言葉に、アイシャもサイファも口を噤む。突然のだんまりに、タクマもミルファリアも顔を合わせる。
「ガイアスさん本人は、何て言ってた?」
「何も答えてくださいませんでした……」
その言葉を聞くと、二人は顔を合わせ合った。そして、言葉を発した。
「あの人が話すまで、俺らの口からは言えねえな」
「そう、ですか……」
少しだけ、疎外感を感じた。同じ守り人同士で隠し事をされるのは、少しだけ、本当に少しだけ、しこりのように残った。
「話を戻しましょ。フォスは今でもファウストと戦争を続けているわ」
「戦争?」
「そう。領土問題って言うより、昔の確執の所為ね」
確執か――。聞けば教えてくれるだろうか?
「その確執って?」
「それを話すのには、まずこの中央の湖のことを説明するわ」
そう言って、アイシャは四つの国の中央にある湖を指さした。
「ここは?」
「ここは、確か楽園と言われている場所ですよね?」
ミルファリアの言葉に、首を傾げるタクマ。何で湖に楽園なんて名前が付いているんだ?
「ミルファリア正解♪ ここはかつての大昔、楽園とよばれた世界樹があったの」
「世界樹?」
「正確には、神のおわす楽園って言われていたわ」
神がそこに居た? ということは、フェリもそこに居たということだろうか――。
「この世界には、神は一柱しか存在しないわ。昔は違ったらしいけど、今は主様だけよ」
「じゃあ、なんで邪神って呼ぶんだ? 神様は一人しかいないのに」
初めてこの世界に来た時、ミルファリアと出会った時、確かに、男達は主のことを邪神と呼んだ。それが、どうしても引っかかっていた。
「それは……」
言葉を濁すアイシャに、サイファが代わりに答えてくれた。
「主さんは、人にとっては邪神なんだよ。たった一人しかいない神様でも、人々にとっちゃ邪神なんだ」
「なんでです?」
「これは世界創造の伝承に連なっちまうんだけどよ……主さんはその伝承から邪神って呼ばれているのさ」
伝承――。どの世界にも伝承はある。この世界も例外ではないようだが、だが何故、それで邪神と呼ばれるのか、タクマにはさっぱりわからなかった。隣のミルファリアは、その言葉で察したようだったが。
「それで、邪神なんですね……」
悲しそうにするミルファリアの感情が流れてくる。悲しい、辛い、痛ましい……そういった感情だった。
「あの、伝承って?」
唯一わからないタクマに、ミルファリアが静かに歌いだした。
創世の時、神は竜と出会う
竜は神に数々のことを話した
神と竜は友となった しかし別れは訪れた
竜は誓った 必ずここに戻ると
神は誓った ならばここを楽園に変えようと
「その歌は……?」
「大昔から伝わる、創世の歌です。この歌には続きがあり、神は竜の為に楽園を作りました。竜が来ても場所がわからなくならないように、神は世界樹に姿を変え、竜が来ても寂しくないように、多くの生命を作りました」
一呼吸置き、ミルファリアは言葉を続ける。
「でも、平和はすぐに消えました。人々が、世界樹を狙って争いを起こしたんです。その時はやってきた竜達によって世界樹は守られましたが、再び戦争が起き、その時世界樹は枯れてしまったんです。その際、枯れた世界樹から生まれたのが新たな神……主さんです」
ミルファリアの言葉を聞き、タクマは首を傾げました。それでどうして、邪神と呼ばれるのだ――。続きを、アイシャが話し出した。
「神は母なる世界樹を枯らした人々を憎んだ。そして、世界樹のある楽園に攻め入った人々を全て串刺しにし、楽園を赤く染めた……。って所で伝承は終わるの」
「それで、楽園はどうなったんです?」
「それがわからないの。でもその楽園があった場所は今はただの湖に変わり、生物も何もいない湖がそこにあるってだけよ」
アイシャの言葉を聞き、少しだけ、その楽園に興味を持ったタクマだった。だが、そんなのはお見通しだと言わんばかりに、サイファが言葉をかける。
「ちなみに、楽園の周辺には強いモンスターがうじゃうじゃいるから、お前さんらの今のレベルじゃ絶対に行けないぞ」
釘をさされ、タクマはがっくりと肩を落とした。
「あ、あと言い忘れてたけど、私達が住んでるこの家は楽園の真上に存在しているわ」
「え!?」
意外な新発見だった。ということは、フェリは真っすぐ落ちていくと楽園に着地していたのか――。
「ここは雲の上にあるから誰にも見つかってないけど、見つかったら大変なことになるから気を付けてね」
「大変なこと?」
念を押すアイシャに、首を傾げる。今日何度目かわからないほどだ。
「最初に言ったけど、ファウストは魔石を用いた兵器を作っているの。人体実験だってしているって噂もあるし……そんな所に見つかったりなんてしてみなさい。私達、皆して人体実験の対象よ」
その言葉に、ゾッとした。不死身となってしまっているということは、何度も繰り返し非道な実験をされるかもしれないということだ。
「き、気を付けます……」
そう言ったタクマの頭を、後ろから誰かが撫でてくれた。
「大丈夫。ここは結界を張ってあるから、見破るものはいないよ」
声に振り替えると、ガイアスがそこに居た。
「ガイアスさん……」
「確かに、ファウストは人体実験にも手を出している。でも今はモンスター実験の方が多いかな」
なんて呑気に言うガイアスに、タクマは「え」と言葉を発した。
「そうだね。続きは私が教えようか。君たちには色々と知って貰わなきゃいけないだろうし」
そう言い、ガイアスは椅子に座り、言葉を発しだした。
「これが、私達の世界よ」
「へえ……ドーナツ型なんだ」
そのドーナツ型の大地を、太めの線が四つに区分していた。
「まず、この世界には大きく分けて四つの国があるわ。ファウスト、セコード、サッド、フォス……この四つの国の中に、街や村があるの」
別の真っ白な紙に、細かく記載していく。
「まずはファウスト。ここは大国家よ。主に軍事産業が盛んで、魔石を用いた兵器も作られているわ。帝国、とも言われているの」
「帝国……」
「そ。ついでに言うと、此処には人間しかいない。獣人は多少いるが、それらはみんな奴隷だ。労働者として過酷な環境に晒されている」
サイファの言葉に、ミルファリアは顔を青褪めた。奴隷……この世界にもやはりそういったものはあるんだな――。
「次はセコード。ここは獣人も普通に暮らしているけど、この国はファウストの隣だから獣人の買い付けとかオークションが盛んなの……ファウストに獣人を売るためにね」
アイシャが悲しそうに俯く。ここは何処かで聞いたことのある気がした。
「タクマと私が最初にいたのはこの国よ」
「あ、だから聞いたことのある名前だったのか」
「次いくぞ~」
サイファに声を掛けられ、地図に視線を戻す。次は、サッドか――。
「サッドは比較的安全よ。ファウストとは一番離れているし、私達が登録してるギルドがあるアルクスも、サッドにあるのよ」
「ここは獣人も人間も平等だし住民登録も簡単に済むから、一番人気の国だぜ」
サイファの言葉も頭に入れながら、頷きつつ話を聞いていく。最後はフォス。この国はどんな国なのだろうか?
「最後はフォス。ここは魔術師が多くいる国よ。エルフが人口の半数を超えているわ」
「エルフ!」
RPGで必ず目にする種族だ。長寿で、尖った耳を持ち、魔術や弓に長けている種族。この世界では魔術に長けているのか――。
「エルフは気難しい奴らばっかりだぞ。目の前にもいるし」
「え?」
サイファの言葉に、目の前を見る。目の前には、アイシャしかいない。ということは――。
「気付かなかった? 髪で耳が隠れているけど、私エルフよ」
ほら、と髪を掻き分け耳を見せるアイシャ。本当だ、耳が尖ってる。
「魔術師って所で気付くと思ったんだけどな」
「いやいや、気付きませんよ! なあっ」
ミルファリアに同意を求めるが、ミルファリアは「同室だから……」と言われてしまった。くそ、気付かなかったの俺だけかよ!
「ってことは、サイファさんが獣人、アイシャさんがエルフ、ミルファがセイレーンのハーフ、俺が人間……ガイアスさんは?」
その言葉に、アイシャもサイファも口を噤む。突然のだんまりに、タクマもミルファリアも顔を合わせる。
「ガイアスさん本人は、何て言ってた?」
「何も答えてくださいませんでした……」
その言葉を聞くと、二人は顔を合わせ合った。そして、言葉を発した。
「あの人が話すまで、俺らの口からは言えねえな」
「そう、ですか……」
少しだけ、疎外感を感じた。同じ守り人同士で隠し事をされるのは、少しだけ、本当に少しだけ、しこりのように残った。
「話を戻しましょ。フォスは今でもファウストと戦争を続けているわ」
「戦争?」
「そう。領土問題って言うより、昔の確執の所為ね」
確執か――。聞けば教えてくれるだろうか?
「その確執って?」
「それを話すのには、まずこの中央の湖のことを説明するわ」
そう言って、アイシャは四つの国の中央にある湖を指さした。
「ここは?」
「ここは、確か楽園と言われている場所ですよね?」
ミルファリアの言葉に、首を傾げるタクマ。何で湖に楽園なんて名前が付いているんだ?
「ミルファリア正解♪ ここはかつての大昔、楽園とよばれた世界樹があったの」
「世界樹?」
「正確には、神のおわす楽園って言われていたわ」
神がそこに居た? ということは、フェリもそこに居たということだろうか――。
「この世界には、神は一柱しか存在しないわ。昔は違ったらしいけど、今は主様だけよ」
「じゃあ、なんで邪神って呼ぶんだ? 神様は一人しかいないのに」
初めてこの世界に来た時、ミルファリアと出会った時、確かに、男達は主のことを邪神と呼んだ。それが、どうしても引っかかっていた。
「それは……」
言葉を濁すアイシャに、サイファが代わりに答えてくれた。
「主さんは、人にとっては邪神なんだよ。たった一人しかいない神様でも、人々にとっちゃ邪神なんだ」
「なんでです?」
「これは世界創造の伝承に連なっちまうんだけどよ……主さんはその伝承から邪神って呼ばれているのさ」
伝承――。どの世界にも伝承はある。この世界も例外ではないようだが、だが何故、それで邪神と呼ばれるのか、タクマにはさっぱりわからなかった。隣のミルファリアは、その言葉で察したようだったが。
「それで、邪神なんですね……」
悲しそうにするミルファリアの感情が流れてくる。悲しい、辛い、痛ましい……そういった感情だった。
「あの、伝承って?」
唯一わからないタクマに、ミルファリアが静かに歌いだした。
創世の時、神は竜と出会う
竜は神に数々のことを話した
神と竜は友となった しかし別れは訪れた
竜は誓った 必ずここに戻ると
神は誓った ならばここを楽園に変えようと
「その歌は……?」
「大昔から伝わる、創世の歌です。この歌には続きがあり、神は竜の為に楽園を作りました。竜が来ても場所がわからなくならないように、神は世界樹に姿を変え、竜が来ても寂しくないように、多くの生命を作りました」
一呼吸置き、ミルファリアは言葉を続ける。
「でも、平和はすぐに消えました。人々が、世界樹を狙って争いを起こしたんです。その時はやってきた竜達によって世界樹は守られましたが、再び戦争が起き、その時世界樹は枯れてしまったんです。その際、枯れた世界樹から生まれたのが新たな神……主さんです」
ミルファリアの言葉を聞き、タクマは首を傾げました。それでどうして、邪神と呼ばれるのだ――。続きを、アイシャが話し出した。
「神は母なる世界樹を枯らした人々を憎んだ。そして、世界樹のある楽園に攻め入った人々を全て串刺しにし、楽園を赤く染めた……。って所で伝承は終わるの」
「それで、楽園はどうなったんです?」
「それがわからないの。でもその楽園があった場所は今はただの湖に変わり、生物も何もいない湖がそこにあるってだけよ」
アイシャの言葉を聞き、少しだけ、その楽園に興味を持ったタクマだった。だが、そんなのはお見通しだと言わんばかりに、サイファが言葉をかける。
「ちなみに、楽園の周辺には強いモンスターがうじゃうじゃいるから、お前さんらの今のレベルじゃ絶対に行けないぞ」
釘をさされ、タクマはがっくりと肩を落とした。
「あ、あと言い忘れてたけど、私達が住んでるこの家は楽園の真上に存在しているわ」
「え!?」
意外な新発見だった。ということは、フェリは真っすぐ落ちていくと楽園に着地していたのか――。
「ここは雲の上にあるから誰にも見つかってないけど、見つかったら大変なことになるから気を付けてね」
「大変なこと?」
念を押すアイシャに、首を傾げる。今日何度目かわからないほどだ。
「最初に言ったけど、ファウストは魔石を用いた兵器を作っているの。人体実験だってしているって噂もあるし……そんな所に見つかったりなんてしてみなさい。私達、皆して人体実験の対象よ」
その言葉に、ゾッとした。不死身となってしまっているということは、何度も繰り返し非道な実験をされるかもしれないということだ。
「き、気を付けます……」
そう言ったタクマの頭を、後ろから誰かが撫でてくれた。
「大丈夫。ここは結界を張ってあるから、見破るものはいないよ」
声に振り替えると、ガイアスがそこに居た。
「ガイアスさん……」
「確かに、ファウストは人体実験にも手を出している。でも今はモンスター実験の方が多いかな」
なんて呑気に言うガイアスに、タクマは「え」と言葉を発した。
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