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 浴槽のドアを開け、バスルームに入る二人。バスタブの縁に座ったルヴァインの膝に背中を預けるように座らされたリューイは、はあ、はあ、と荒い呼吸を繰り返した。
「下を脱がせるぞ」
「や、なんで……っ」
「そうでなければ対処できん」
 抵抗しようとするが、ぎこちない動きしか出来ない。抵抗虚しく、ズボンのバックルに手を掛けられ下着ごと一気に下ろされた。バスルームの端に放り投げられ、下半身は一糸纏わぬ状態になる。中心は既に勃ち上がっており、外気に当てられふるりと震えていた。
「なに、これ……」
「安心しろ。生理現象だ」
 片手で大きく脚を開かされ、反対の手でそっと中心を優しく握りこまれた。それだけでも快感として受け取ったリューイの体は大きく跳ね、先走りを滴らせた。
「んあっ!」
 握りこまれただけで、腰から背筋にかけて甘い痺れが駆け上がる。初めての感覚に、リューイの頭がついて行かない。
「勃起したら、こうして扱いて発散してやればいい」
「あっ、あっ、あっ!」
 先走りを塗り込むように指を使い、上下に扱かれる。それだけでなにかがせり上がってくる。
「やだ、あっ、なんかくるっ、来ちまうっ」
「そのままイけばいい。」
「あっ、も、ああっ、クル、来ちまうッ」
 くちゅくちゅと卑猥な音を立てて、中心を激しく扱かれる。背を弓なりに反らし、内腿を痙攣させた。
「~~~~っ」
 ビクンと大きく跳ね、濃い白濁を床にまき散らす。出し切るように二、三度上下に擦られると、再びリューイの中心は熱を取り戻した。
「は、はあっ、はあっ」
「濃いな……今まで発情期を含め溜まったらどうしていたんだ?」
 脚を抱えていた方の手で荒い息を繰り返すリューイの背中を擦ってやりながら、ルヴァインは床に視線を向け訊ねてくる。リューイは顔を赤らめながら、小さな声で呟いた。
「……寝て誤魔化してた」
「やり方すら知らなかったのか……」
 深く溜息を吐くルヴァインは、リューイを膝から降ろしバスタブの縁に座らせると静かに立ち上がった。「え?」と小首を傾げるリューイに、ルヴァインは言葉をかける。
「後は自分で出来るだろう。私は行く」
 リューイから背を向け、バスルームから出て行こうとするルヴァイン。慌てて、リューイは上着を掴んだ。
「や、待って!」
「? どうした」
 思わず掴んで引き止めてしまったが、どうしよう。でも、一人になるのは嫌だ。心細い。一人に慣れていた筈なのに、何故か今は一人になるのが嫌だった。
 苦しさも体の熱もそのままだ。どうにかしてほしい。一度味わったあの快感を、もう一度味わいたい。
 そう強く思った。
「まだ苦しい、どうにかしてくれ」
「先程教えただろう」
「やだ、お前がいい、頼むよっ」
 荒い息もそのままに、再びせり上がってきた熱に浮かされながら、涙を目尻にいっぱい溜め懇願する。立ち上がり、ルヴァインの太腿に中心を擦り付けた。擦り付ける度、背筋に快感が迸る。
 ルヴァインはそんなリューイに溜息を吐きながら、彼の体を引き剥がし向かい合った。体を屈め、耳元に顔を寄せられる。
「熱が冷めるまでだ。容赦はしないぞ」
 耳元で囁かれるルヴァインの声に、ぞくぞくと腰に甘い痺れがくる。リューイの中心からは、再び先走りが溢れた。





「あ、あっ、んぅっ、ああっ」
 バスルームの中に、粘着質のある水音と嬌声が響き渡る。リューイはルヴァインの胸に凭れ掛かるように座らされ、中心はルヴァインの手によって何度も上下に扱かれていた。何度も何度も、激しい快感を与えられている。
「ふぅっ、ふ、ぁあっ、あっ、あっ」
 くちゅくちゅと激しく水音が響き渡るその度に、リューイの嬌声が上がり、バスルームに木霊する。
「んぁ、はっ、あっ……あっ!」
 ビクン、と体が跳ね、白濁が飛び散る。しかし中心は熱を保ったまま、静まることはない。更にルヴァインに休むこと無く上下に擦られ、リューイの背筋は撓った。
「やああっ、も、イった、イったからあ!」
「まだ、ここはこんなに主張しているぞ? リューイ」
 耳元で囁かれる声。耳から脳に直接与えられる快感にぞわりと快感が溢れてくる。鈴口に爪を立てられ、ビクンと更に跳ねた。そのまま鈴口を集中的に弄られ、身を捩らせる。
「も、そこっ、やっ、あっ、あっ、あっ!」
 背を仰け反らせて快感を逃がそうとするが、ルヴァインの手から逃れる術はない。雁首のえらの内側に指を這わされ、更に背が撓る。もう一方の手で竿を扱かれ、何度目かわからない射精感がせり上がってくる。
「あああっ、も、イク、イク……ッ」
 再び、白濁が吐き出される。もう何度絶頂を迎えたかわからない程、リューイはルヴァインの手に翻弄されていた。だが、それでも中心から熱は引かず、リューイの目から涙が伝った。
「ひっく、ぅ……辛いよ……」
「我慢しろ。発情期になれば誰だって同じ経験をする」
 その言葉に、リューイはルヴァインへ振り替える。
 同じ経験をするってことは、ルヴァインも味わったことがあるのだろうか?
「……ルヴァインも、あるのか?」
 振り返り訊ねる。その言葉に、「過去にな」と苦笑し答えるルヴァイン。リューイは臀部に当たる硬いものに驚き、ルヴァインんを見た。
「これ……ルヴァインも、苦しいのか?」
「……今はお前の事だけでいい」
 そう言って、彼は再びリューイの中心を激しく扱きだした。突然の快感に、思考がぼやけていく。
「あんっ、やっ、ルヴァインも……っ」
「自分のことに集中しろ」
「ああっ、あっ、ひっ……あんっ!」
 先走りだけでなく、吐き出した白濁も塗り込むように上下に強く擦られる。ルヴァインの胸元に後頭部を擦り付けながら、何度も何度も腰が跳ねる。
「も、だめえ……っ、イク、イクイクイクッ」
「ああ……思う存分イクがいい」
 耳元で囁かれ、仕上げとばかりに強弱を付けて竿を扱かれる。ビクビクと内腿だけでなく身体全身が震え、射精感が駆け上がってくる。
「ひうっ、あ、あっ、ああああ……っ!」
 大きく体が跳ね、白濁が勢いよく飛び散る。飛び散った液体は床に白濁溜まりを作り、どれだけ射精したかを物語っていた。未だ熱の冷めない中心を、ルヴァインによってただひたすら扱かれていく。粘着質な水音と嬌声は、まだまだ響き渡っていた。







 かれこれ何度、絶頂を迎えただろうか――。上着も脱がし、一糸纏わぬ姿になったリューイ。数え切れないほど中心を扱かれ、その度に精を吐き出す度、意識は蕩けだしていった。流石にルヴァインも、このまま続けるのは不味いと判断したのか、手を止める。だが、それをリューイの手が制した。
「やあ……もっと、もっと……ルヴァインが欲しい」
「これ以上は流石に良くない。少し体を休ませろ」
「やだ、欲しい。ルヴァインのこれ、くれよ……」
 そう言いつつ、ズボン越しにルヴァインの中心に触れてくるリューイ。だが、初めての経験をしたばかりで疲弊しているリューイに無体はしたくない。リューイの言葉を無視し未だに存在を主張する中心をそっと握りこむ。赤くなっている中心をゆっくりと強弱を付けて扱くと、リューイの体は何度も跳ねた。
「ふあっ、あ、きもちい……うっ、あっ、あっ」
 滴る先走りがルヴァインの指に絡み、擦る度にねちゃねちゃと粘着質な水音が再びバスルームに響き渡る。リューイの顔は蕩け切り、快感を素直に享受していた。胸の尖りは桃色に染まり、ピンと立ち上がってその存在を主張している。そこに手を添えると、ぴくんと体が跳ね、背を撓らせた。
「あんっ、そこ、きもち、いい……っ、ん、んうっ、あっ」
 くにくにと粒を捏ね中心を扱くと、あっという間に絶頂する。半透明になった白濁を見ながら、「そろそろ大丈夫だろう」と言い中心から手を離した。
「やっ、やだ! 側に居て、一人にしないでっ」
 突然の慌てぶりに首を傾げたルヴァイン。置いていかれると思い込んでいるのだと気付き、やだやだと頭を振るリューイの汗で張り付いた前髪を掻き分け、ルヴァインは額にキスをした。
「離れない。少し休憩するだけだ」
「……ほんと? 本当に何処にもいかない?」
 何度も確かめるように訊ねるリューイに、ルヴァインは微笑みながら頷いた。
「本当だ。お前を置いて、どこにもいかない」
 そう答えると、リューイは小さくはにかんだ。
「良かった……」
 そう答えるや否や、リューイは意識を手離す。未だ中心は微かに首を擡げているが、これ位ならば放置しても大丈夫だろう。そう考えると、意識を失ったリューイを抱き上げ、バスタブ内に寝かせた。そして、ルヴァインはすぐさま衣服を脱いだ。
 筋骨逞しい肉体は絶妙なバランスで筋肉が付き、一種の肉体美を表していた。その先……下半身には、赤黒く臨戦態勢になった中心が鎌首を擡げている。先走りでしとどになった中心を握り、リューイのあどけない顔を見ながら、先程までの痴態を思い出す。男なのにも関わらずふくよかな臀部、しなやかな体、果実のように赤く染まった胸の尖り……そして、勃ち上がった何も知らない中心。弄る度に快感に打ち震え、悦びを露わにるす顔。扱く度に震え、バスローブに響き渡った嬌声。
 それらを思い出し、ルヴァインは自身の中心を扱いた。
「……クッ」
 リューイに向けて吐き出された白濁は濃く、先程まで我慢を強いられていたことを浮き彫りにさせる。荒い息遣いと共に、ルヴァインは髪をかき上げる。シャワーのコックを捻り、ボディソープを泡立てたスポンジで軽く体を清めると、その後リューイの体を丁寧に優しく洗いだす。リューイ用にと用意された予備のバスローブを身に纏うが、丈も袖も短い。仕方ないと思いながら、リューイの体をそっと拭きバスローブを身に纏わせた。
 バスルームに入ってきた時同様、リューイを横抱きに抱えバスルームを出る。一度も使われたことのなさげなベッドに寝かせ、布団をかけてやる。静かに部屋から立ち去ろうとしたが、先程の意識を失う前に呟かれた言葉を思い出し、小さく溜息を吐きながらリューイを寝かせたベッドに潜りこんだ。起こさぬように抱き寄せ頭を撫でてやると、静かに口角を上げた。
「……善い夢を」
 そう言い、ルヴァインは静かに目を閉じた。
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