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6話:盗賊団

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盗賊団のアジトが近づくにつれ、翔太と少女の心臓の鼓動は速くなった。岩場の陰から様子を伺うと、剣やナイフを持ったガラの悪い男たちが見えた。不穏な空気が漂い、その場の緊張が肌で感じられた。

少女は心配そうに唇をかみ、時折お姉ちゃんの名前を小さくつぶやきながら、敵の姿を警戒していた。彼女の目には不安と恐れが宿り、お姉ちゃんの無事を祈る思いが強く表れている。一方、翔太は周囲の敵を見渡しながら、心の中でわくわくしていた。彼の目には冒険の興奮と戦いへの期待が輝き、どんな敵が待ち受けているのか、どのようにして彼らを出し抜くのか、その計画を練っている様子だった。

「お姉ちゃんはあの中におるんか?」翔太が小声で尋ねると、少女はこくりと頷いた。彼女の表情は一層真剣になり、翔太の後ろに身を寄せた。

「ここで待っとき。ちょっと、お掃除してくるわ」と翔太が前に出ようとすると、少女は涙目で彼の裾を引っ張る。どうやら、一人にされたくないという気持ちが強いらしい。

「そんな目されると...」翔太が言葉を濁すと、少女はぐっと唇を噛み、「ああああ、分かった!分かった!ほな、一緒に行こか!」と翔太が妥協した。

少女は元気を取り戻し、翔太の後ろをついてきた。計画では真正面から突撃だが、アジトの裏口から侵入することにした。翔太の気配はもはや常人には捉えられないほどで、気配を消しながら背後から敵を一人また一人と気絶させていく。その様子に少女は驚きつつも、翔太の後をしっかりと追っていた。

しばらく奥に進むと、大きな部屋が現れ、その中心には椅子が一つポツンと置かれていた。そこには目隠しされ、椅子に縛り付けられた金髪の少女がいた。

翔太はそっとその子の背後まで近づき、素早くロープを切る。しかし、そのとき、翔太の後ろにいた少女、妹が大きなクシャミをしてしまう。その音でアジトの全員が気づき、瞬く間に彼らは包囲されてしまった。

「貴様ら、何をしているんだ!」とボスらしき人物が叫ぶ。

「ん?ああ、散歩に来ただけやで」と翔太が冷静に返答する。

「ふざけているのか!貴様!」ボスは顔を真っ赤にして激怒し、「奴らを捕まえろ!」と部下たちに命令する。

さて、田中翔太たちはどうなるのか?この窮地をどのように切り抜けるのか、その答えはこれから明らかになるだろう。
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