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13話
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《始まりの草原:東》
正門を抜けると、目の前にはのどかな草原が広がっていた。一言でいうと………広い。ものすごく遠くに森がちょんと見える他は、本当に何もない草原である。
そんな中で、ちらほら初心者らしいプレイヤーが何かしらのモンスターと戦う姿が見える。そのモンスターも大抵はウサギ型のモンスターなので、アレが今回の目的のラビッターだろう。
見た目は小型犬位の大きさで、斑模様のなんとも可愛いウサギだ。だが先輩いわく、好戦的で体当たりにキックと噛み付きをしてくるらしい。初心者は見た目に騙されてひどい目に合う者もいるとか。
「先輩、良く知ってますね」
「最初が肝心だからね。色々調べたんだ」
「可愛いのに、怖いね~」
その情報が出回っている為か、パーティーで、或いはソロで、みんな真剣に戦っている。見た目的には可愛いウサギを真剣に倒す姿は何かシュールだ。
「さて、僕らもそろそろやりますか」
「そうですね」
「はーい!」
早速、近くにいたラビッターに戦いを挑む。初バトルだから、ちょっと緊張するな。
「バトルの時は相手のHP表示が頭上に出るから、それを目安にね。自分のHPは、任意で表示できるから、今回はしておいてほしいな」
「え?自分のHPって表示できるんですか?」
確か、リリーは不要ですって言ってたんだけど。
「ん?出来るよ?コンソールの一番下に設定があるから、そこでやるんだ。まぁ、もう一人の自分がテーマだから、表示しない人が多いけどね」
「そうなんだ」
だからリリーは、パラメーターについては詳しく説明しなかったのか。そりゃ、ゲームじゃなかったら現実にはHPとかの表示なんてないもんね。
先輩に言われた通りに設定画面を呼び出すと、かなりの項目を弄れることが判明。うわ、後で全部見とかなきゃなぁ。
とりあえず無難に、自分の名前、レベル、HPとMPを表示させることにした。
で、その表記はこちら。
―――
『フィー』レベル1
HP 150/150
MP 100/100
―――
準備が整ったところで、先輩が説明する。
「まずはフィーが一人で斬り込んでみて。多分、一人でも大丈夫だと思うけど、何かあればフォローは僕とまりあでするから」
「支援と回復は任せて~!」
「わかった。やってみる」
装備した剣を握り、ラビッターに斬りかかる。あたしは一応、魔法も使えるけど最初なので剣を使ってみることにした。でも、魔法も気になるので、後で試してみよう。
「ていっ!」
「キュイ!?」
一撃加えると、敵のHPが1/3減少した。成る程、流石序盤の雑魚敵。三回当てたら良いのか。
「キュイキュイ!!」
「っと!」
考えていると、体勢を立て直したらしいラビッターがこちらに向けて凄い勢いで跳んできたので、慌てて回避し、振り向き様に無防備な後頭部に一撃加える。よし、ヒット!
「せいっ!」
「キュー!」
意外に動作が速かったので一瞬焦ったけど、その後は普通に攻撃して初バトルは終了した。
ドロップはラビッターの尻尾でした。残念。後ろに控えていた二人にピースサインしつつ近づく。
「勝った!」
「お疲れ様~♪」
「うん、ちょっと危ないところはあったけど、フォローはいらなかったね。どう?戦ってみて」
「意外に攻撃動作が速かったから、一瞬焦っちゃった。でも、三発ぐらいで倒せるから、ソロでもいけそうかも」
その言葉に、今度は先輩がバトルすることに。先輩は弓で全く近づくこともせずに倒してしまった。え、早い。一回も外さないとか………もしかして先輩って弓道やってました?
「中学、高校と弓道部でしたので」
「隼君、格好良かったよ~♪」
「成る程」
まりあは無邪気に誉めてるけど、ゲームでは若干現実との違いがあるから、弓は大変とか聞くのに。最初から自分で修正して、しかも初バトルで全部当てるとか凄いんだけど。
正門を抜けると、目の前にはのどかな草原が広がっていた。一言でいうと………広い。ものすごく遠くに森がちょんと見える他は、本当に何もない草原である。
そんな中で、ちらほら初心者らしいプレイヤーが何かしらのモンスターと戦う姿が見える。そのモンスターも大抵はウサギ型のモンスターなので、アレが今回の目的のラビッターだろう。
見た目は小型犬位の大きさで、斑模様のなんとも可愛いウサギだ。だが先輩いわく、好戦的で体当たりにキックと噛み付きをしてくるらしい。初心者は見た目に騙されてひどい目に合う者もいるとか。
「先輩、良く知ってますね」
「最初が肝心だからね。色々調べたんだ」
「可愛いのに、怖いね~」
その情報が出回っている為か、パーティーで、或いはソロで、みんな真剣に戦っている。見た目的には可愛いウサギを真剣に倒す姿は何かシュールだ。
「さて、僕らもそろそろやりますか」
「そうですね」
「はーい!」
早速、近くにいたラビッターに戦いを挑む。初バトルだから、ちょっと緊張するな。
「バトルの時は相手のHP表示が頭上に出るから、それを目安にね。自分のHPは、任意で表示できるから、今回はしておいてほしいな」
「え?自分のHPって表示できるんですか?」
確か、リリーは不要ですって言ってたんだけど。
「ん?出来るよ?コンソールの一番下に設定があるから、そこでやるんだ。まぁ、もう一人の自分がテーマだから、表示しない人が多いけどね」
「そうなんだ」
だからリリーは、パラメーターについては詳しく説明しなかったのか。そりゃ、ゲームじゃなかったら現実にはHPとかの表示なんてないもんね。
先輩に言われた通りに設定画面を呼び出すと、かなりの項目を弄れることが判明。うわ、後で全部見とかなきゃなぁ。
とりあえず無難に、自分の名前、レベル、HPとMPを表示させることにした。
で、その表記はこちら。
―――
『フィー』レベル1
HP 150/150
MP 100/100
―――
準備が整ったところで、先輩が説明する。
「まずはフィーが一人で斬り込んでみて。多分、一人でも大丈夫だと思うけど、何かあればフォローは僕とまりあでするから」
「支援と回復は任せて~!」
「わかった。やってみる」
装備した剣を握り、ラビッターに斬りかかる。あたしは一応、魔法も使えるけど最初なので剣を使ってみることにした。でも、魔法も気になるので、後で試してみよう。
「ていっ!」
「キュイ!?」
一撃加えると、敵のHPが1/3減少した。成る程、流石序盤の雑魚敵。三回当てたら良いのか。
「キュイキュイ!!」
「っと!」
考えていると、体勢を立て直したらしいラビッターがこちらに向けて凄い勢いで跳んできたので、慌てて回避し、振り向き様に無防備な後頭部に一撃加える。よし、ヒット!
「せいっ!」
「キュー!」
意外に動作が速かったので一瞬焦ったけど、その後は普通に攻撃して初バトルは終了した。
ドロップはラビッターの尻尾でした。残念。後ろに控えていた二人にピースサインしつつ近づく。
「勝った!」
「お疲れ様~♪」
「うん、ちょっと危ないところはあったけど、フォローはいらなかったね。どう?戦ってみて」
「意外に攻撃動作が速かったから、一瞬焦っちゃった。でも、三発ぐらいで倒せるから、ソロでもいけそうかも」
その言葉に、今度は先輩がバトルすることに。先輩は弓で全く近づくこともせずに倒してしまった。え、早い。一回も外さないとか………もしかして先輩って弓道やってました?
「中学、高校と弓道部でしたので」
「隼君、格好良かったよ~♪」
「成る程」
まりあは無邪気に誉めてるけど、ゲームでは若干現実との違いがあるから、弓は大変とか聞くのに。最初から自分で修正して、しかも初バトルで全部当てるとか凄いんだけど。
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