1 / 13
とりあえず、頑張った誰かさん。
しおりを挟む
「あー、疲れた…」
なんの変哲もない仕事の帰り道。今日は朝から色々大変だった。どれくらいっていったら、ここまで五体満足無事にいる自分を褒めたくなるくらいには、なかなか大変だった。
ええ、大変でしたとも。
いわく、偶々早起きして顔を洗おうと布団から出たら、突如僕の寝てたところ目掛けてそこだけ天井が抜ける。
……早起きしてなかったら大怪我してたよ、確実に。確かにちょっとボロがきてるアパートだったけど、天井抜けるとかそりゃないよ本当。穴から見えた上の人、唖然としてたもん。
いわく、会社に事情を説明後、片付け等諸々が終わってやっと支度して、いざ出掛けようって時にふと忘れ物を思い出してくるりと玄関に戻れば、上から鉢植えが落ちてくる。
偶々、子どもが触って落ちてきたらしい。ベタだよね、本当。………本当危ないからやめて!!
いわく、道を歩いていて、小銭を見つけてラッキーってしゃがんだらすぐ頭上をバットが飛んでいった。
近くで草野球してた選手が指を滑らしたらしい。どれだけの勢いでバット振ったんだ。近くの木にめり込んでるんだけど。その選手、めちゃくちゃ焦った顔で謝ってきた。
いわく、会社にて同僚に遅れたことを詫びながら廊下を歩いてたら、階段前でふと呼ばれて振り向いた先で、転けた社員が持ってた結構重いし大きな箱がすごい勢いで飛んできたり。
慌てて避けたから大丈夫だったけど、当たってたら多分階段まっ逆さまだったよ。恐ろしい。謝る社員と一緒に皆で仲良く片付けたけど。
いわく、いわく、いわく………。
その後も続いた、ある意味の怪事件。
………後から思えば、向こうも相当頑張ったんだろうなぁ。
そして、現在。
「………もう、勘弁してよ」
「おい、金を出せ!」
いきなり飛び出してきた、ナイフを持った大層目付きの悪い大柄な男に強盗に遭ってます。
「おい、この野郎!聞いてんのか、テメー!?金出せやコルァ!?」
「ひっ」
思わず天を仰いだら、相手は逆上したのか肩を怒らせて何やら喚きだした。人相の悪さも相まって、すっげぇ迫力。普通に怖い。
でも、あんまりにも大声だったから、近所の人が通報したのかすぐに警察が飛んできた。近くで巡回してたらしい。ご苦労様です!
警官と鬼ごっこしている強盗を見送り、もう一人残った警官に事情説明の為交番へ。
本当、今日はなんなの?恐怖体験だが全部間一髪で助けられてるという、ある意味、神がかってるやり取り。
神様、僕を殺したいんですか?救いたいんですか?どっち!?
警官に今日のことを話したら、「明日お寺に行くことをお奨めします。」と真顔で言われた。言われなくても行くよ!厄落ししてくるよ!
でも、そんな僕があんまりにも不憫だったのか親切な警官さんは家まで送ってくれました。ありがとう!
おかげで何にも巻き込まれなかった。帰る道の途中で、見たことないくらいに怖い野犬が唸りながらいたとしても!フードとマスクした、明らかに不審者が目を血走りながらうろうろしてても!全部スルー出来ましたよ、送ってもらって良かった!!
家の前で、警官さんが真剣な顔で「これ、俺が母親から貰ったものだけど厄除けのお守りです。どうぞ」って御守りくれた。うん、いい人だな。あんた。でも、最後の「明日までに死なないでくださいね」は要らないと思う。
警官さんの見送りを受けつつ、いい加減疲れ切っていた僕は、何の注意もせずに我が家に向けてその一歩を踏み出した。
そう、踏み出してしまったのだ。
次の瞬間。誰かの歓喜の声と怒りの声を聞いたと思ったら、僕は落ちた。
これから続く、途方もない旅に向けて――。
なんの変哲もない仕事の帰り道。今日は朝から色々大変だった。どれくらいっていったら、ここまで五体満足無事にいる自分を褒めたくなるくらいには、なかなか大変だった。
ええ、大変でしたとも。
いわく、偶々早起きして顔を洗おうと布団から出たら、突如僕の寝てたところ目掛けてそこだけ天井が抜ける。
……早起きしてなかったら大怪我してたよ、確実に。確かにちょっとボロがきてるアパートだったけど、天井抜けるとかそりゃないよ本当。穴から見えた上の人、唖然としてたもん。
いわく、会社に事情を説明後、片付け等諸々が終わってやっと支度して、いざ出掛けようって時にふと忘れ物を思い出してくるりと玄関に戻れば、上から鉢植えが落ちてくる。
偶々、子どもが触って落ちてきたらしい。ベタだよね、本当。………本当危ないからやめて!!
いわく、道を歩いていて、小銭を見つけてラッキーってしゃがんだらすぐ頭上をバットが飛んでいった。
近くで草野球してた選手が指を滑らしたらしい。どれだけの勢いでバット振ったんだ。近くの木にめり込んでるんだけど。その選手、めちゃくちゃ焦った顔で謝ってきた。
いわく、会社にて同僚に遅れたことを詫びながら廊下を歩いてたら、階段前でふと呼ばれて振り向いた先で、転けた社員が持ってた結構重いし大きな箱がすごい勢いで飛んできたり。
慌てて避けたから大丈夫だったけど、当たってたら多分階段まっ逆さまだったよ。恐ろしい。謝る社員と一緒に皆で仲良く片付けたけど。
いわく、いわく、いわく………。
その後も続いた、ある意味の怪事件。
………後から思えば、向こうも相当頑張ったんだろうなぁ。
そして、現在。
「………もう、勘弁してよ」
「おい、金を出せ!」
いきなり飛び出してきた、ナイフを持った大層目付きの悪い大柄な男に強盗に遭ってます。
「おい、この野郎!聞いてんのか、テメー!?金出せやコルァ!?」
「ひっ」
思わず天を仰いだら、相手は逆上したのか肩を怒らせて何やら喚きだした。人相の悪さも相まって、すっげぇ迫力。普通に怖い。
でも、あんまりにも大声だったから、近所の人が通報したのかすぐに警察が飛んできた。近くで巡回してたらしい。ご苦労様です!
警官と鬼ごっこしている強盗を見送り、もう一人残った警官に事情説明の為交番へ。
本当、今日はなんなの?恐怖体験だが全部間一髪で助けられてるという、ある意味、神がかってるやり取り。
神様、僕を殺したいんですか?救いたいんですか?どっち!?
警官に今日のことを話したら、「明日お寺に行くことをお奨めします。」と真顔で言われた。言われなくても行くよ!厄落ししてくるよ!
でも、そんな僕があんまりにも不憫だったのか親切な警官さんは家まで送ってくれました。ありがとう!
おかげで何にも巻き込まれなかった。帰る道の途中で、見たことないくらいに怖い野犬が唸りながらいたとしても!フードとマスクした、明らかに不審者が目を血走りながらうろうろしてても!全部スルー出来ましたよ、送ってもらって良かった!!
家の前で、警官さんが真剣な顔で「これ、俺が母親から貰ったものだけど厄除けのお守りです。どうぞ」って御守りくれた。うん、いい人だな。あんた。でも、最後の「明日までに死なないでくださいね」は要らないと思う。
警官さんの見送りを受けつつ、いい加減疲れ切っていた僕は、何の注意もせずに我が家に向けてその一歩を踏み出した。
そう、踏み出してしまったのだ。
次の瞬間。誰かの歓喜の声と怒りの声を聞いたと思ったら、僕は落ちた。
これから続く、途方もない旅に向けて――。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
悪役令嬢は蚊帳の外です。
豆狸
ファンタジー
「グローリア。ここにいるシャンデは隣国ツヴァイリングの王女だ。隣国国王の愛妾殿の娘として生まれたが、王妃によって攫われ我がシュティーア王国の貧民街に捨てられた。侯爵令嬢でなくなった貴様には、これまでのシャンデに対する暴言への不敬罪が……」
「いえ、違います」
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる