Doll Master

亜黒

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【忍び寄る魔の手】⑥

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快斗の突然のお泊まりが開始された次の日。朝から二人に来客があった。

「おはよう、新一」

「おはようー、新一君」

「おはようございます、九條君!快斗も起きてる?」

「御機嫌よう、九條君」

「………取り合えず、おはよう」

夜更かしした所為で寝ぼけ眼で出た玄関には、凜、千秋、愛子、貴美と彼等に関わる女性陣が勢揃いしていた。

「眠そうね、新一。まあ、どうせ夜更かしでもしてご飯まだなんでしょ?入るわよ」

「え…と?」

「お、お邪魔しまーす」

「クスッ。お邪魔するわね。九條君」

皆、それぞれ手に何やら色々な食材やらを持っており、挨拶もそこそこに凜を筆頭に有無を言わさぬ迫力で新一を押しやり家に入っていく。

「……何で凜達がこんな朝から…っておい!」

あまりの事態に呆然としていたが、はっと我に返って慌てて後を追い掛ける。

「お、おい、凜!本当、何しに来たんだよ。それに千秋は良いとして、西本さんに西園寺さんまでどうして!?」

「何って、言ったでしょ。ご飯作りに来たのよ。事件の事、愛子ちゃんから聞いたわ。それで、今日から新一の家に久神君が泊まりに来るって言うから」

「どうせ、新一君の事だもの。夏休みだし、出前とかインスタントで済ませようとか思ってたんでしょ?それに久神君はどうかわからないけど、男同士ってあまり家事とか出来そうにないし。だーかーらー、優しいこの千秋様が提案したのよ!」

「毎日は無理でも、少しぐらい手伝えないかなって話になったの!愛子だって、推理とかは無理だけど料理とかは出来るんだから!」

「私は付き添いね。まあ、面白そうとは思ったけれど」

そう言いながら女性陣はキッチンへ食材を置きに行き、凜が慣れた様子で料理道具を出していく。彼女、時折新一の家にやって来てはご飯を作っていたので、調理道具の場所等は把握済みだった。

次いでに、何故か冷蔵庫の中身も把握しており、足りないであろう食材を買ってくるという徹底振りである。下手をすると、新一よりもこの家に詳しいかも知れない。

唖然としている新一を置き去りにして、女性陣はテキパキと食事の準備をしていく。

「………ふぁぁ、えらい賑やかだけど何事??」

「あ、快斗。おはよう」

その内に騒々しい気配で起こされたのか、二階から快斗が寝癖の付いた髪のまま降りてきた。

「あ!おはよう、快斗!」

「えっと、おはよう。てか、愛子?え?それに、何で貴美までいんの?ええ、これは一体どういう状態なわけ?」

元気に挨拶して食事の準備に戻る愛子を混乱しつつ見送った快斗に、同じく食事の準備をしていた貴美が面白そうに笑いながら話しかけた。

「クスッ。流石に混乱してるわね。まあ、取り合えず、顔でも洗ってきたらどうかしら。いくら寝起きとはいえ、女性の前に立てるような格好じゃなくってよ?」

「あ、はい。……何がなんだかわからないんだけど、うん、まあ、確かにそうだな。そうするわ」

元からフェミニストでもありカッコつけである。快斗は自分の今の格好を思い出したのか、若干混乱していたことも手伝って素直に頷いて洗面所へ向かっていった。

「…俺も行こうっと」

そして取り合えず、洗顔と最低限の身だしなみ、それから混乱しているであろう快斗に説明するべく、新一も洗面所へ向かうのだった。
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