スパダリ様は、抱き潰されたい

きど

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はじまりは、あの日

10.それって、つまり

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週末の日中は車通りが多いせいか、信号待ちの時間が長くなる。
手持ち無沙汰な時間ができてしまうと、考えてしまうのは川奈さんのことで。

この間、肌を重ねたことで自分の気持ちを自覚した。
しかも、嫉妬深く独占欲が強いなんて事も知った。
たった1日顔を合わせていないだけなのに、会いたくて仕方なくて川奈さんに俺だけをみていて欲しいと考えてしまい、大分重症だなと思う。

そう思うと同時に、川奈さんがこの間の事をどう感じているのか不安になる。
最初、抵抗していた川奈さんに強引に迫ったと言う自覚がある分、責められたり、怒鳴られても仕方ないと思う。

でも、抱いた後に抱きしめ何度もキスをしたら、全部応えてくれたから嫌ではなかったのだと信じたい。

それに、俺対しにそういった意味での好意があるのかと考えるとさらに不安が募る。

仕事の時に、構ってくるのは好意というより面白がっている気がする。
多分、嫌われてはいないとは思うが。この間は、一晩一緒にいたかったが、店舗の営業時間が迫っていたせいで急いで帰らなければならず、結局そういう話はできず仕舞いだった。

色んな気持ちがごちゃ混ぜになったまま社用車を走らせ、本日の仕事先である川奈さんの家へ向かう。

* * *

「こんにちは」

川奈さんは、やはり在宅で、その姿を見てドキリと心臓が跳ねる。

「今日も、いつも通りのスケジュールでお願い。」
と川奈さんは普段と変わらない様子でダイニングテーブルでコーヒーを傍らにPCを開いている。

「あ、はい。」
俺ばかりが意識していることを突き付けられた気がして、気持ちが沈み生返事になる。

でも、この間は、仕事が中途半端になってしまったから、その分もしっかりやろうと、無理矢理気持ちを切り替え、仕事にとりかかった。

「今日分の業務終わりました。」
と声をかけるとPCから視線を俺に移し

「ありがとう。また月曜日によろしく。」
と笑いかけられる。

このまま帰ってしまうと、この間のことが無かったことになりそうで、迷いながらも川奈さんに聞く事にした。

「あのっ、川奈さんは、この間のこと責めたり怒ったりしないんですか?」

「この間のことって、君に襲われたことかな?」
と川奈さんが聞き返してくる。

「襲われた…。その事です。」
やはり襲われたと川奈さんが思っていると知り氷を飲まされたのかと思うほど、胸が冷えてくる。

「うーん。襲われて驚いたけど、気持ち良かったから、まぁいいかなって。あっ、でも、誰かさんが考えなしに跡つけた事と、中に出した事には少し怒ってるよ。」
川奈さんが揶揄う口調で言った内容に、落ちていた気持ちが少し浮上してくる。

「それって、嫌ではなかったって事ですか?」恐る恐る確認してみる。

「まぁ、嫌だったら最後までやらせないよ。」と言われ、嬉しくなる。

「それって、つまり、俺のこと、好きってことですか?」
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