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はじまりは、あの日
4.専属指名をされてしまった
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「お盛んかよ。」
風呂場に堂々と置いてあるローションと2本のバイブ(1本はイボイボタイプ、もう1本は標準よりも太め)が目に入って、思わず独り言がでた。
さっき掃除した寝室でも、ベッドのサイドボードにもローションとローターが放置されていた。
何度か仕事で来た時には、そういったラブグッズは、あの衝撃的な出来事があった日以外は見当たらなかった。
だからハウスキーパーが来る日には仕舞っていたんだと思う。
一番見られたくない現場を見られたからか今は、隠す気もないらしい。
この間の事もクレームを入れずに、それどころか今日の仕事を指名してきたのだ。
ここまで開き直ってくれてるなら、俺ももう気にしなくていいのか?と考えたが、
結局答えが出なく堂々めぐりになりそうなので、とりあえず今日の業務に集中!と頭を切り替え、洗剤がついたスポンジで力一杯浴槽を擦る。
「部屋と風呂場の掃除は終わった。洗濯は今、回してて、後は、2日分の食事の準備だけと。」残っているタスクを確認のため独りごちる。
時刻はもうすぐ昼の12時を回るころだから、14時には食事を作り終えて次の依頼者の自宅にいけるなと目算を建て、さあ作るかと買ってきた食材を冷蔵庫から取り出そうとした時、かちゃんと玄関の鍵が開く音が聞こえ、数秒の後、リビングの扉が開いた。
「え?なんで?」今日は月曜日。
世のサラリーマンは働いている時間帯のはずだから、まさか帰ってくるとは思わず、驚きが声に出た。
帰ってきた相手、川奈さんは俺に気づくと「あぁ、いらっしゃい。」と何事もない様に言う。
「いや、『いらっしゃい。』じゃなくて、なんでこの時間に帰ってきてるんですか?」
仮にも市長が平日のこの時間に帰宅して、仕事は大丈夫なのかと思い聞くと
「あぁ、出張の帰りなんだ。土日に仕事してたから、今日は半日休みを取った。」とスーツのネクタイを緩めながら言う。
「田浦くんは、これから料理するとこ?それなら、昼飯も一緒に作って。」と追加のリクエストを言うと、返事も聞かずお風呂場に向かっていった。
返事くらい確認しろよ。
と心の中で毒づきながら、シャワーの音を遠くに聴き、追加のリクエストが入った分も含め調理していく。
お昼ができたタイミングで、タオルで髪を拭きながら川奈さんが戻ってきて、「もうできた?」とキッチンを覗いてくる。
ちなみに今日はバスローブではなく、オーバーサイズのパーカーにスウェットという至って普通の部屋着を着ている。
「お昼はできましたよ。後、おかずを何品か作り終えたら帰りますね。」と言うと川奈さんがこちらを観察する様に見てきた。
さすがに、その視線は気持ちのいいものではなかったので、
「なんですか?」と聞くと
「普通だなと思って。」としみじみ言う
「ん?」よくわからない返答に、首をかしげると
「いや、この間さ、田浦くん顔真っ赤にしてたから、今日もそんな可愛い反応するのかなと思ってたから、意外に普通の反応で少しショック。」とキッチンカウンターに肘をつき両手に顔をのせ真っ直ぐこちらを見て言う。
その内容を聞いて、少し引っかかった。
「ん?ちょっと待ってください。つまり、川奈さんは、今日も鉢合わせることわかってたんですか?」
「うん。今日のハウスキーパーは出張から帰ってくる時間で予約したし。」とサラリと言う。
「あの、川奈さん、予約してくれているラグジュアリーコースは、基本依頼者との鉢合わせは御法度なんです!」
「まぁ、そういうシステムだもんね。ただ、専属指名なら関係ないんじゃない?」
「…は?」川奈さんの発言に思わず素っ頓狂な声が出た。
「まだ聞いてないか。家に着く前に専属指名の連絡いれたんだよね。だから、これからよろしくね。」と、あの時みたいにニヤリと笑った。
その笑顔をみて最悪だ!と俺は心の中で悪態をつくしかなかった。
風呂場に堂々と置いてあるローションと2本のバイブ(1本はイボイボタイプ、もう1本は標準よりも太め)が目に入って、思わず独り言がでた。
さっき掃除した寝室でも、ベッドのサイドボードにもローションとローターが放置されていた。
何度か仕事で来た時には、そういったラブグッズは、あの衝撃的な出来事があった日以外は見当たらなかった。
だからハウスキーパーが来る日には仕舞っていたんだと思う。
一番見られたくない現場を見られたからか今は、隠す気もないらしい。
この間の事もクレームを入れずに、それどころか今日の仕事を指名してきたのだ。
ここまで開き直ってくれてるなら、俺ももう気にしなくていいのか?と考えたが、
結局答えが出なく堂々めぐりになりそうなので、とりあえず今日の業務に集中!と頭を切り替え、洗剤がついたスポンジで力一杯浴槽を擦る。
「部屋と風呂場の掃除は終わった。洗濯は今、回してて、後は、2日分の食事の準備だけと。」残っているタスクを確認のため独りごちる。
時刻はもうすぐ昼の12時を回るころだから、14時には食事を作り終えて次の依頼者の自宅にいけるなと目算を建て、さあ作るかと買ってきた食材を冷蔵庫から取り出そうとした時、かちゃんと玄関の鍵が開く音が聞こえ、数秒の後、リビングの扉が開いた。
「え?なんで?」今日は月曜日。
世のサラリーマンは働いている時間帯のはずだから、まさか帰ってくるとは思わず、驚きが声に出た。
帰ってきた相手、川奈さんは俺に気づくと「あぁ、いらっしゃい。」と何事もない様に言う。
「いや、『いらっしゃい。』じゃなくて、なんでこの時間に帰ってきてるんですか?」
仮にも市長が平日のこの時間に帰宅して、仕事は大丈夫なのかと思い聞くと
「あぁ、出張の帰りなんだ。土日に仕事してたから、今日は半日休みを取った。」とスーツのネクタイを緩めながら言う。
「田浦くんは、これから料理するとこ?それなら、昼飯も一緒に作って。」と追加のリクエストを言うと、返事も聞かずお風呂場に向かっていった。
返事くらい確認しろよ。
と心の中で毒づきながら、シャワーの音を遠くに聴き、追加のリクエストが入った分も含め調理していく。
お昼ができたタイミングで、タオルで髪を拭きながら川奈さんが戻ってきて、「もうできた?」とキッチンを覗いてくる。
ちなみに今日はバスローブではなく、オーバーサイズのパーカーにスウェットという至って普通の部屋着を着ている。
「お昼はできましたよ。後、おかずを何品か作り終えたら帰りますね。」と言うと川奈さんがこちらを観察する様に見てきた。
さすがに、その視線は気持ちのいいものではなかったので、
「なんですか?」と聞くと
「普通だなと思って。」としみじみ言う
「ん?」よくわからない返答に、首をかしげると
「いや、この間さ、田浦くん顔真っ赤にしてたから、今日もそんな可愛い反応するのかなと思ってたから、意外に普通の反応で少しショック。」とキッチンカウンターに肘をつき両手に顔をのせ真っ直ぐこちらを見て言う。
その内容を聞いて、少し引っかかった。
「ん?ちょっと待ってください。つまり、川奈さんは、今日も鉢合わせることわかってたんですか?」
「うん。今日のハウスキーパーは出張から帰ってくる時間で予約したし。」とサラリと言う。
「あの、川奈さん、予約してくれているラグジュアリーコースは、基本依頼者との鉢合わせは御法度なんです!」
「まぁ、そういうシステムだもんね。ただ、専属指名なら関係ないんじゃない?」
「…は?」川奈さんの発言に思わず素っ頓狂な声が出た。
「まだ聞いてないか。家に着く前に専属指名の連絡いれたんだよね。だから、これからよろしくね。」と、あの時みたいにニヤリと笑った。
その笑顔をみて最悪だ!と俺は心の中で悪態をつくしかなかった。
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