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25.噂とリリィ
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「ばあや、この疫病はいつから流行り始めたんだ?」
「えっとですね…」
ハナト子爵婦人は、殿下から疫病のことについて尋ねられると、少し考えた後ゆっくり口を開いた。
「昨年の暮れ頃から疫病が流行り始めました。原因も分からず民の苦しむ姿を見て、亡き夫に領地を託されたのだから、何とかしなければと思いましたが、私だけの力ではどうすることも出来ませんでした。なので、その時にミズリー侯爵に助けを求めました。侯爵に状況を説明したら陛下と相談すると仰っていたので、てっきり殿下のお耳にも入っているものだと思っていました」
「僕は初耳だが、じいと父上で何か手を打とうとしていたのかもしれない。二人の面子もあるから、僕達がばあやを尋ねたことはできれば内密にして欲しい。」
ハナト子爵婦人から予想外な人物の名前が上がり私だけでなく殿下も驚きを隠せずにいると、婦人が言葉を足す。それに対し殿下が冷静に婦人に口外しない様に伝えると、婦人は柔らかい微笑みを向けた。
「分かりました。ばあやは、何があってもぼっちゃまの味方ですから」
婦人は励ます様に殿下の手を握りしめた。
ハナト子爵邸を後にし、ファナー領に戻る馬車で向かい合って座る殿下は難しい顔で何か熟考している様だった。きっと、婦人から聞いた内容が引っかかっているのだろう。
かけるべき言葉が見つからないので、膝の上で握りしめられている殿下の手に自分の手を重ね合わせる。
「ツィーリィ?」
「私も殿下の味方です」
そっと私を見た殿下に伝えれば、殿下はキョトンと目を丸くしてから嬉しそうに笑う。そして顎に置いていた手でご自分の頭をクシャリと撫でる。
「ありがとう。ファナー領の状況とばあやの話を聞いて頭の中で情報を整理してたから、聞いてくれる?」
「はい!聞きたいです!」
「ファナー領では北と南の川の水質が異なり、北側に住む民の方が疫病を発症していた。そして北側の川上にあるハナト領の方が疫病が流行った時期は早かったことを考えると、川に沿って疫病が広がっているのは確実だ。そしてファナー、ハナト両領地でこれだけ発症者がいるのに同じ川が通る他の領地から発症報告が一切上がってきていないのはおかしい。つまり」
「何者かが意図的に報告を握りつぶしている可能性がありますね」
「ああ。多分、じいがこの情報をシャットダウンしているのだろう。ただ、自派閥の問題を放置する理由は何なのか検討がつかない」
ハナト子爵領よりも北側、つまり王都側にはミズリー派の貴族の領地になっている。逆にうちの領地以南は、シアー派の貴族領になる。北側の川はうちの領地を最後に海に合流しているから、シアー派貴族で疫病に苦しんでいるのはうちだけになる。
「ハナト子爵領よりも川上はどなたの領地になるのですか?」
「クトゥル伯爵の領地だ」
殿下から出た名前に嫌な思い出が蘇り思わず遠い目をしそうになる。クトゥル伯爵領でもうちやハナト子爵領と同じ状況が起きていてもおかしくはないが、ミズリー侯爵信者のクトゥル伯爵なら侯爵の指示一つで疫病を隠蔽しそうだ。
「僕はこの件について、じいにはバレない様に調べてみようと思う。ただ、そのやり方であらぬ噂が出てしまうかもしれないが、僕を信じて待っていて欲しい」
「もちろん、殿下を信じて待ちます。でも、無理はなさらないでください。殿下が辛くなったら、私が殿下を支えますので。」
ミズリー侯爵が何を考えているのか分からないが、放っておいてはいけないと殿下も同じことを考えている様子だった。
* * *
自領から王都に戻ってからは、ミズリー侯爵の取り巻き貴族のご令嬢達とリリィを招きお茶会をできる限り開催し情報収集に勤めていた。ミズリー侯爵が隠している内容について何か分かるかもしれないからだ。
「リズリア様と側妃殿下は、お気になられないのですか?」
そんな折、とあるご令嬢が内容を濁し恐る恐る尋ねてきた。
「何のことを仰っているのかしら?ツィーリィは分かります?」
「私も何のことだかさっぱり。教えていただいてもよろしいかしら?」
内容は聞かずとも分かっていたがリリィと顔を見合わせ、わざととぼけると尋ねてきたご令嬢は「なんでもありません」と項垂れ呟く。お茶会で情報を集めているのは私だけではない。殿下のセンセーショナルな噂が出始めてから、噂好きなご令嬢達にとって私とリリィは恰好の的となったのだ。
---
「もう何度目なのかしら!」
お茶会がお開きになって、私の私室に着くなりリリィが辟易した様子で言う。
確かにお茶会の度に尋ねられれば嫌にもなってくる。毎回それとなく躱してはいるが、ご令嬢達の興味はなかなか薄れてくれない。
「旬な話題だから、ご令嬢の興味も尽きないのかしら。いい加減、飽きて欲しいけれど。」
「そうね。まったく、殿下も何故噂になることをなさるのかしら。」
リリィが殿下に対し呆れた様に言う。本当はその理由を教えられたら良いのだが、ハナト子爵領に出向いた事は、あの日いたメンバー全員が殿下に箝口令をしかれているので話せないのだ。
「殿下にも何かお考えがあるのかもしれないし。」
「お考えとは⁈前々から噂になっていた魔女の元に最近さらに足繁く通っていることに色欲以外の理由があるのかしら⁈」
私の一言にリリィが噛み付いてくる。やはり魔女の話題となると、すこし感情的になる様で前は泣いていたのに、今は呆れて怒っている。
「まぁまぁ。魔女とはそういう関係ではないと、殿下から説明があったのでしょう?」
「そうね。でも、こう噂になると心穏やかではいられないわ。ツィーリィは平気なの?」
ハナト子爵領から帰りの馬車の中で、噂になると予想していた殿下に、リリィの誤解を解くようにお願いした。そうしたら、殿下はきちんと説明をしてリリィも一応納得はしたはずだが、頭で理解していても気持ちは別なのだろう。かくゆう私も複雑な気持ちであるのは同じだが。
「私だって複雑な気持ちよ。でも、殿下がシエラ子爵婦人と何も無いとおっしゃる以上、それを信じるしかないのよ。それに私には同じ悩みを共有できるリリィがいるから、心強いわ。」
「まぁ!私もツィーリィが居てくれて良かったわ!」
私の言葉にリリィが嬉しそうに破顔し扇で口元を隠す。その顔を見て、リリィとの仲が拗れなくて良かったと思う。
私に殿下が夜伽に渡ったことも、ファナー領に一緒に里帰りしたことも王宮だけでなく貴族の間では噂になっていた。なので、もちろんリリィの耳にも届いていた。だからリリィに裏切り者と罵られる覚悟でお茶会に招いたら、意外にも平然としていて驚いた。リリィ曰く『側室なのだから当然、夜伽があって然るべきではなくて?それにツィーリィの領地に出向いたのも殿下の寛大なお心を皆に示す絶好の機会ね』と側室の役割だからと割り切っている様だった。殿下のためにきちんと分を弁えるリリィは生粋の侯爵令嬢だと尊敬すら覚える。
「リリィ様ぁ、このケーキはどうやって切り分けたらよろしいですかー?」
「この場合は、こう切ると三等分になるわよ。」
ここ最近、リリィが頻繁に出入りしているお陰でティアとリリィも仲良くなった。リリィが持参したケーキの切り方に苦戦するティアにリリィがエアーで手を動かし切り方のアドバイスをする。
「そういえばー、殿下のお噂は、使用人達も気になってるみたいですー。もういっそのこと、二人で相手の女性の家に殴り込み行ったらどうですかー?」
ティアは持ち前の人懐っこさで王宮の使用人達のコミュニティにすっかり溶け込んでいる。冗談まじりで不穏な事を言うのは相変わらずだが。
「それいいわね」
「え?」
ティアの冗談をそのまま流すと思っていたら、リリィが力強く肯定したので、私とティアの驚きの声がこだました。
「えっとですね…」
ハナト子爵婦人は、殿下から疫病のことについて尋ねられると、少し考えた後ゆっくり口を開いた。
「昨年の暮れ頃から疫病が流行り始めました。原因も分からず民の苦しむ姿を見て、亡き夫に領地を託されたのだから、何とかしなければと思いましたが、私だけの力ではどうすることも出来ませんでした。なので、その時にミズリー侯爵に助けを求めました。侯爵に状況を説明したら陛下と相談すると仰っていたので、てっきり殿下のお耳にも入っているものだと思っていました」
「僕は初耳だが、じいと父上で何か手を打とうとしていたのかもしれない。二人の面子もあるから、僕達がばあやを尋ねたことはできれば内密にして欲しい。」
ハナト子爵婦人から予想外な人物の名前が上がり私だけでなく殿下も驚きを隠せずにいると、婦人が言葉を足す。それに対し殿下が冷静に婦人に口外しない様に伝えると、婦人は柔らかい微笑みを向けた。
「分かりました。ばあやは、何があってもぼっちゃまの味方ですから」
婦人は励ます様に殿下の手を握りしめた。
ハナト子爵邸を後にし、ファナー領に戻る馬車で向かい合って座る殿下は難しい顔で何か熟考している様だった。きっと、婦人から聞いた内容が引っかかっているのだろう。
かけるべき言葉が見つからないので、膝の上で握りしめられている殿下の手に自分の手を重ね合わせる。
「ツィーリィ?」
「私も殿下の味方です」
そっと私を見た殿下に伝えれば、殿下はキョトンと目を丸くしてから嬉しそうに笑う。そして顎に置いていた手でご自分の頭をクシャリと撫でる。
「ありがとう。ファナー領の状況とばあやの話を聞いて頭の中で情報を整理してたから、聞いてくれる?」
「はい!聞きたいです!」
「ファナー領では北と南の川の水質が異なり、北側に住む民の方が疫病を発症していた。そして北側の川上にあるハナト領の方が疫病が流行った時期は早かったことを考えると、川に沿って疫病が広がっているのは確実だ。そしてファナー、ハナト両領地でこれだけ発症者がいるのに同じ川が通る他の領地から発症報告が一切上がってきていないのはおかしい。つまり」
「何者かが意図的に報告を握りつぶしている可能性がありますね」
「ああ。多分、じいがこの情報をシャットダウンしているのだろう。ただ、自派閥の問題を放置する理由は何なのか検討がつかない」
ハナト子爵領よりも北側、つまり王都側にはミズリー派の貴族の領地になっている。逆にうちの領地以南は、シアー派の貴族領になる。北側の川はうちの領地を最後に海に合流しているから、シアー派貴族で疫病に苦しんでいるのはうちだけになる。
「ハナト子爵領よりも川上はどなたの領地になるのですか?」
「クトゥル伯爵の領地だ」
殿下から出た名前に嫌な思い出が蘇り思わず遠い目をしそうになる。クトゥル伯爵領でもうちやハナト子爵領と同じ状況が起きていてもおかしくはないが、ミズリー侯爵信者のクトゥル伯爵なら侯爵の指示一つで疫病を隠蔽しそうだ。
「僕はこの件について、じいにはバレない様に調べてみようと思う。ただ、そのやり方であらぬ噂が出てしまうかもしれないが、僕を信じて待っていて欲しい」
「もちろん、殿下を信じて待ちます。でも、無理はなさらないでください。殿下が辛くなったら、私が殿下を支えますので。」
ミズリー侯爵が何を考えているのか分からないが、放っておいてはいけないと殿下も同じことを考えている様子だった。
* * *
自領から王都に戻ってからは、ミズリー侯爵の取り巻き貴族のご令嬢達とリリィを招きお茶会をできる限り開催し情報収集に勤めていた。ミズリー侯爵が隠している内容について何か分かるかもしれないからだ。
「リズリア様と側妃殿下は、お気になられないのですか?」
そんな折、とあるご令嬢が内容を濁し恐る恐る尋ねてきた。
「何のことを仰っているのかしら?ツィーリィは分かります?」
「私も何のことだかさっぱり。教えていただいてもよろしいかしら?」
内容は聞かずとも分かっていたがリリィと顔を見合わせ、わざととぼけると尋ねてきたご令嬢は「なんでもありません」と項垂れ呟く。お茶会で情報を集めているのは私だけではない。殿下のセンセーショナルな噂が出始めてから、噂好きなご令嬢達にとって私とリリィは恰好の的となったのだ。
---
「もう何度目なのかしら!」
お茶会がお開きになって、私の私室に着くなりリリィが辟易した様子で言う。
確かにお茶会の度に尋ねられれば嫌にもなってくる。毎回それとなく躱してはいるが、ご令嬢達の興味はなかなか薄れてくれない。
「旬な話題だから、ご令嬢の興味も尽きないのかしら。いい加減、飽きて欲しいけれど。」
「そうね。まったく、殿下も何故噂になることをなさるのかしら。」
リリィが殿下に対し呆れた様に言う。本当はその理由を教えられたら良いのだが、ハナト子爵領に出向いた事は、あの日いたメンバー全員が殿下に箝口令をしかれているので話せないのだ。
「殿下にも何かお考えがあるのかもしれないし。」
「お考えとは⁈前々から噂になっていた魔女の元に最近さらに足繁く通っていることに色欲以外の理由があるのかしら⁈」
私の一言にリリィが噛み付いてくる。やはり魔女の話題となると、すこし感情的になる様で前は泣いていたのに、今は呆れて怒っている。
「まぁまぁ。魔女とはそういう関係ではないと、殿下から説明があったのでしょう?」
「そうね。でも、こう噂になると心穏やかではいられないわ。ツィーリィは平気なの?」
ハナト子爵領から帰りの馬車の中で、噂になると予想していた殿下に、リリィの誤解を解くようにお願いした。そうしたら、殿下はきちんと説明をしてリリィも一応納得はしたはずだが、頭で理解していても気持ちは別なのだろう。かくゆう私も複雑な気持ちであるのは同じだが。
「私だって複雑な気持ちよ。でも、殿下がシエラ子爵婦人と何も無いとおっしゃる以上、それを信じるしかないのよ。それに私には同じ悩みを共有できるリリィがいるから、心強いわ。」
「まぁ!私もツィーリィが居てくれて良かったわ!」
私の言葉にリリィが嬉しそうに破顔し扇で口元を隠す。その顔を見て、リリィとの仲が拗れなくて良かったと思う。
私に殿下が夜伽に渡ったことも、ファナー領に一緒に里帰りしたことも王宮だけでなく貴族の間では噂になっていた。なので、もちろんリリィの耳にも届いていた。だからリリィに裏切り者と罵られる覚悟でお茶会に招いたら、意外にも平然としていて驚いた。リリィ曰く『側室なのだから当然、夜伽があって然るべきではなくて?それにツィーリィの領地に出向いたのも殿下の寛大なお心を皆に示す絶好の機会ね』と側室の役割だからと割り切っている様だった。殿下のためにきちんと分を弁えるリリィは生粋の侯爵令嬢だと尊敬すら覚える。
「リリィ様ぁ、このケーキはどうやって切り分けたらよろしいですかー?」
「この場合は、こう切ると三等分になるわよ。」
ここ最近、リリィが頻繁に出入りしているお陰でティアとリリィも仲良くなった。リリィが持参したケーキの切り方に苦戦するティアにリリィがエアーで手を動かし切り方のアドバイスをする。
「そういえばー、殿下のお噂は、使用人達も気になってるみたいですー。もういっそのこと、二人で相手の女性の家に殴り込み行ったらどうですかー?」
ティアは持ち前の人懐っこさで王宮の使用人達のコミュニティにすっかり溶け込んでいる。冗談まじりで不穏な事を言うのは相変わらずだが。
「それいいわね」
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ティアの冗談をそのまま流すと思っていたら、リリィが力強く肯定したので、私とティアの驚きの声がこだました。
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