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19.契り
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「お、お戯れはよしてください!」
何とか絞り出した私の言葉に対して、
「お戯れ、ねぇ。…はぁ」
殿下は、何か含む様な言い方をした後に大きな溜め息をついた。そして、私の上からよけベッドサイドに腰掛けて横たわっている私を見下ろす。
「今は、そう言うことにしておくよ。」
と言葉を続け、私の頭を優しく撫でた。
「今は…?」
「うん。今は。
本題の話をすると、じい達に暗殺の事を伝えなかったのは、その必要がないと考えているからだよ。」
「でも、」
殿下が強調する様に言った後、話を本題に移す。
必要がないって、ミズリー侯爵は殿下の後ろ楯のはず。その彼が良しとしないこの縁談を、命を狙われてまで続ける意味はあるのですか?
そう続けようとした言葉を殿下に遮られる。
「じいを通さずに今回の縁談を決めたのは、僕なりの考えがあってのことだ。もとより、策士のシアー卿のことだから何か仕掛けてくるだろうと予想はしていた。
…でも、まさか命を狙ってくるとは思わなかったけどね。」
そう淡々と話すと、最後の言葉は少し揶揄う様に言う。私は、体を起こし殿下と向かい合い、あの夜から、ずっと疑問に思っていたことをぶつける。
「だから私を処罰せずに、側妃に据え置いているのですか?」
それを聞いた殿下は私の頭を撫で髪を漉く。
「半分はそうかな。残りの半分の理由は…」
そう言いかけると顔を近づけ私の唇の端に触れるかどうかの位置に口づけを落とす。そして私の顔を覗き込み
「ツィーリィがこういった事に慣れていけば、分かるかもね。」
「っ………」
真面目な顔をして言った後すぐに、いつもの笑顔になる。私は不測の事態に顔の下半分を手で覆うだけで、何も言い返すことが出来なかった。
「そういえばツィーリィは、魔法は使えるの?」
そんな私に殿下は何事も無かったかの様に別の質問をしてくる。
これが経験値の差なの⁈と思うと少し悔しい。それに答え辛い質問が来てしまったことを苦々しく思う。
「…使えません。全く。
我が家は、誰一人使えるものがおりません。」
隠したり誤魔化したりせずに正直に答える。
「そうなんだね。父上の暗殺を企てた踊り子は樹木の魔法の使い手だったみたいなんだ。それで父上を樹木で滅多刺しにして瀕死の状態にした。魔法を使えた方が暗殺は有利なのに、シアー卿がツィーリィを選んだ理由は何だろうね。」
「……」
それは、捨て駒にしやすい条件が揃っていたから。と答えは知っているが、口に出す事は盟約に阻まれると想像できたので、答える事が出来ずに口をつぐむ。
「まぁ、シアー卿の思惑がどおであれ、側妃がツィーリィで良かったよ。だからさ、体を壊すといけないから、今日はゆっくり休みな?」
そう言い、私の目元の隈を撫でる。
「はい。おやすみなさい。」
「うん。おやすみ」
挨拶を交わしたら、殿下が私の腰に手を回してから、ベッドに横たわる。私の体も腰に回った殿下の手に引っ張られ同じ様にベッドに横たわる。殿下はそのまま私を抱き寄せた。
「殿下!これでは眠れません!」
「これから毎日添い寝しに来るから、そのうち慣れるよ。」
私の抗議に殿下がサラリと爆弾発言をする。
「毎日?なぜ?」
「成功するかどうかは別として、その方がツィーリィは、僕を暗殺するチャンスが増えるでしょ?そしたら、ツィーリィだって僕の妃でい続ける理由ができる訳じゃん?」
「それは、そうですが…」
「成功する日はこないけど、精々頑張ってね。
じゃあ、この話はここまで!おやすみツィーリィ」
殿下は相変わらず私の腰を抱いたまま、理由を説明すると話を切り、再度おやすみの挨拶をした。
これは、殿下が寝るまで腕は離れないのだと諦め、横になった姿勢のまま殿下の胸に抱かれ心音を聞いているうちに、瞼が重くなり、いつの間にか深い眠りについていた。
何とか絞り出した私の言葉に対して、
「お戯れ、ねぇ。…はぁ」
殿下は、何か含む様な言い方をした後に大きな溜め息をついた。そして、私の上からよけベッドサイドに腰掛けて横たわっている私を見下ろす。
「今は、そう言うことにしておくよ。」
と言葉を続け、私の頭を優しく撫でた。
「今は…?」
「うん。今は。
本題の話をすると、じい達に暗殺の事を伝えなかったのは、その必要がないと考えているからだよ。」
「でも、」
殿下が強調する様に言った後、話を本題に移す。
必要がないって、ミズリー侯爵は殿下の後ろ楯のはず。その彼が良しとしないこの縁談を、命を狙われてまで続ける意味はあるのですか?
そう続けようとした言葉を殿下に遮られる。
「じいを通さずに今回の縁談を決めたのは、僕なりの考えがあってのことだ。もとより、策士のシアー卿のことだから何か仕掛けてくるだろうと予想はしていた。
…でも、まさか命を狙ってくるとは思わなかったけどね。」
そう淡々と話すと、最後の言葉は少し揶揄う様に言う。私は、体を起こし殿下と向かい合い、あの夜から、ずっと疑問に思っていたことをぶつける。
「だから私を処罰せずに、側妃に据え置いているのですか?」
それを聞いた殿下は私の頭を撫で髪を漉く。
「半分はそうかな。残りの半分の理由は…」
そう言いかけると顔を近づけ私の唇の端に触れるかどうかの位置に口づけを落とす。そして私の顔を覗き込み
「ツィーリィがこういった事に慣れていけば、分かるかもね。」
「っ………」
真面目な顔をして言った後すぐに、いつもの笑顔になる。私は不測の事態に顔の下半分を手で覆うだけで、何も言い返すことが出来なかった。
「そういえばツィーリィは、魔法は使えるの?」
そんな私に殿下は何事も無かったかの様に別の質問をしてくる。
これが経験値の差なの⁈と思うと少し悔しい。それに答え辛い質問が来てしまったことを苦々しく思う。
「…使えません。全く。
我が家は、誰一人使えるものがおりません。」
隠したり誤魔化したりせずに正直に答える。
「そうなんだね。父上の暗殺を企てた踊り子は樹木の魔法の使い手だったみたいなんだ。それで父上を樹木で滅多刺しにして瀕死の状態にした。魔法を使えた方が暗殺は有利なのに、シアー卿がツィーリィを選んだ理由は何だろうね。」
「……」
それは、捨て駒にしやすい条件が揃っていたから。と答えは知っているが、口に出す事は盟約に阻まれると想像できたので、答える事が出来ずに口をつぐむ。
「まぁ、シアー卿の思惑がどおであれ、側妃がツィーリィで良かったよ。だからさ、体を壊すといけないから、今日はゆっくり休みな?」
そう言い、私の目元の隈を撫でる。
「はい。おやすみなさい。」
「うん。おやすみ」
挨拶を交わしたら、殿下が私の腰に手を回してから、ベッドに横たわる。私の体も腰に回った殿下の手に引っ張られ同じ様にベッドに横たわる。殿下はそのまま私を抱き寄せた。
「殿下!これでは眠れません!」
「これから毎日添い寝しに来るから、そのうち慣れるよ。」
私の抗議に殿下がサラリと爆弾発言をする。
「毎日?なぜ?」
「成功するかどうかは別として、その方がツィーリィは、僕を暗殺するチャンスが増えるでしょ?そしたら、ツィーリィだって僕の妃でい続ける理由ができる訳じゃん?」
「それは、そうですが…」
「成功する日はこないけど、精々頑張ってね。
じゃあ、この話はここまで!おやすみツィーリィ」
殿下は相変わらず私の腰を抱いたまま、理由を説明すると話を切り、再度おやすみの挨拶をした。
これは、殿下が寝るまで腕は離れないのだと諦め、横になった姿勢のまま殿下の胸に抱かれ心音を聞いているうちに、瞼が重くなり、いつの間にか深い眠りについていた。
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