高貴なオメガは、ただ愛を囁かれたい【本編完結】

きど

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番外編

我が家はマンネリ知らず

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私塾から屋敷までの短い距離を馬車に揺られていると、夏の暑さが体にまとわりつき、全身から汗が噴き出る。風が開けた車窓から吹き込むが、熱気を含む風に肌を撫でられると生温かさを感じるだけで体の熱は一向に引く気配はない。
早く汗を流したい。そう思い屋敷まで足早に歩いた。

「セラフ様、おかえりなさいませ」

「ただいま。汗をかいたからお風呂に入りたい」

「分かりました。準備いたしますので、少々お待ちください」

出迎えてくれた使用人に用件を伝えると、彼女は早速準備にとりかかった。

ーーー
シャワーを浴びてガウンを羽織り、バルコニーの椅子に腰掛ける。使用人が用意してくれた冷たいレモネードを飲むと、体の中の熱がゆっくり引いていく。

空はオレンジに染まり、バルコニーに西陽が差す。吹き抜ける風の温度も下がった気がした。その風に乗って、どこからか話し声が聞こえる。普段なら気にも留めないが、その声がよく知っているものだったから、無意識に耳を傾けていた。

「これが、新作な。普段触れない部分を刺激できるのがポイントな。これで、天使ちゃんも悶えること間違いなし」

通常の商品の説明では出てこない単語にギョッとし、声のする方を思わず睨みつける。しかし、バルコニーから見えるのは隣の部屋の開け放たれた窓だけ。
バルコニーがついてるこの部屋の隣はフェナーラの執務室になっている。商会ではなく執務室で取引をしているということは、相手は大口の取引相手だろう。

天使ちゃん、ご愁傷様。

フェナーラの説明内容からすると、夜の営みの道具の取引をしているのだろう。
私は、顔も知らない天使ちゃんとやらに同情をした。新作ということは、フェナーラがつい最近の行為で使ったあの道具だろうと分かったからだ。

あれを使われた時は、感じすぎて頭がおかしくなるかと思った。

その時の行為を思い出すと、冷ました体の奥に別の熱が燻り始める。

* * *
「セラフ、今回もお願い」

そうフェナーラに新作の試供をお願いされ、了承すると手を引かれベッドに連れられた。
ベッドのサイドボードに見慣れない黒革のアタッシュケースが置いてあるのが視界の端に映る。

ベッドに腰掛けると、フェナーラが顔を寄せ鼻先を軽く触れ合わせる。そして私がフェナーラの頬を撫で唇を重ねると、それにこたえるように唇をはむ。

「んっ…ふぅっ」

キスはだんだんと深くなり、口内をなぶられ声が漏れ、体からは力が抜けていく。フェナーラはキスをしながら私のガウンの前開きに手を入れ、私の体のラインに沿って手を這わす。胸を軽く撫で、そのまま肩のラインをなぞりガウンから肩を抜く。するとガウンは腰紐から上の半身がはだけ肌を曝け出す。

「いつ見ても綺麗だな」

「んっやっ…あんまり見ないで…」

フェナーラが私の胸の飾りを撫でながら、うっとりと呟く。出会ってから1年が経ち、フェナーラには数えきれないほど抱かれてきた。それなのにマンネリを感じないのは、手順が決まりきった作業のような行為ではないからだろう。それどころか、毎度フェナーラは初めて抱いた時のように、私に見惚れ大切に抱いてくれている。服の脱がし方だって雑になることなく、愛撫されているうちにいつの間にか裸にされる。

「相変わらず胸弱いな。もうこんなになってる」

「んっ…やぁっにぎちゃっ…あっ」

胸を刺激されゆるく勃ちあがっていた屹立を握り込まれ甲高い声があがる。

「可愛い。気持ち良くなってる顔、もっと見せてな」

「フェナ…あっあぁ…待って…やっ」

フェナーラに屹立をさすられ、下半身が甘く痺れる。

「こんなに可愛いセラフを見て待てるわけないだろ?本当はもっと触ってからにしたいけど、勃たたせすぎると入らなくなるから」

フェナーラは私の状態を一瞥してから私を後ろから抱き込む。そしてサイドボードに置いてあったアタッシュケースを手に取りベッドの上で開く。

「それ、何?」

その中には用途がわからない金属の棒のようなものが何本か入っていた。

これが今日、試してみる商品なのか?

「これは、ブジーって言うんだけど」

フェナーラが、ブジーと言ったそれを一本手に取る。それは片側は細く尖り、逆側には金属の輪がついていた。何に使うのか検討のつかない私は、それをじっと見た。

フェナーラは一緒に入っていたローションをブジーに垂らし纏わせる。このローションも商品化する前に使用感の確認で試して以降、行為の時には必ず登場するようになった。
そして私の屹立を支えるように手を添えると、満面の笑みで私を見た。その表情に嫌な予感しかしなくて、フェナーラの腕から逃れようとしたが

「こらセラフ、逃げんな。手元狂ったら大変だから、動かないで」

「やだっやめてっ。そんなとこ入んない」

フェナーラは私をガッチリ抱き込んで、ブジーの尖った方で、私の屹立の先端のくぼみを軽くつつく。何をしようとしているのかが分かり、サッと血の気が引く。恐怖で震える声で懇願するように言うが

「大丈夫。元々、治療で使われてる道具だから安全性は確かだ。しかも、気が狂うくらいよくなるらしいぞ」

怖くない。大丈夫。とまるで子供をあやすみたいに私に囁く。私の目元を手で覆い頬にキスを落とす。視界を遮られ、フェナーラのキスの心地よさに揺蕩う。しかし下半身に今まで経験したことのない感覚を感じ体が強張る。

「やっ…んっあっ」

私の中心に侵入したブジーはゆっくりと道を掻き分け進む。私の不安を察したフェナーラが唇にキスをし、私の体を優しく撫でる。愛撫に絆され体の力を抜くと、私の目元からフェナーラの手が離れる。

ぼんやりとした視界の焦点が合うと、ブジーを半分ほど飲み込んだ自身の中心が目に入る。異様な光景なのに、私の心臓は高鳴り屹立もドクリと脈打つ。

「セラフ、痛みはないか?」

「うんっ…でも、変な感じ」

私の返事を聞くとフェナーラはブジーをゆっくり抜き差しする。今まで感じたことのない刺激に背中がぞわぞわと粟立つ。

「これさ、内側から前立腺押せるんだ」

「え?…やぁっあっあっ」

フェナーラがブジーを根本まで差し込むと、先端が前立腺をかすめ、体の奥から快感が沸き立ち、腰が浮き、足が震える。

「気持ちいい?」

「いいっ…あっやぁっ」

トントンとブジーで前立腺を刺激されると、後孔の奥が疼く。フェナーラを求め、後孔がはしたなくひくつく。

「フェナっ…。あっやっ…もっと」

「ここ欲しい?すごいな。俺の指に吸い付いてくる」

後孔にローションを絡めた指を入れられ、体が跳ねる。

「あっ…やぁっあぁっ」

指とブジーで前立腺を押され、目の前が真っ白になった。強い快感が駆け巡りつま先から指の先までピリピリと痺れる。

「これ刺さってたから出せなかったけど、空イキしたんだな」

「やっ動かしちゃっ…あっ」

何も出さなくても達した体は敏感でフェナーラが与える刺激全てに反応する。
後孔を抜き差しする指の本数が増え、中を掻き混ぜるようにバラバラに動く。内壁を撫でられれば後孔がキュンと締まり指を締め付ける。

「セラフ、挿れていいか?」

「うんっ…はやくぅ…んっ…あんっ」

興奮のためか掠れた声で聞くフェナーラにこくこくと頷き、催促する。もう体の奥で熱が荒ぶり限界だった。姿勢を変えるためにフェナーラが腰に手を添えるだけでビリビリと快楽が走る。

正常位になり、フェナーラが屹立の先で後孔をなぞる。ゆるゆると擦り付けるように動かしてから、一気に貫かれる。私は体を弓形にし、また達した。

「やっあっ…ひあぁぁっ」

「またイッた?セラフのなか、ぎゅうぎゅいた締め付けて、すげぇ気持ち良い」

フェナーラが腰を動かし中を穿つ。同時にブジーを抜き差しし、前立腺をまた二方向から刺激され、強すぎる快感に頭がじんじんと熱を持つ。

「あっ…フェナっ…これ外してっ」

「もう少ししたらな」

このままでは頭がおかしくなりそうで、ブジーを外すように懇願する。でも聞き入れてもらえず、前立腺を集中的に刺激される。体が快感で波打ち、中にいるフェナーラをキツく締め上げる。
フェナーラの屹立はドクドクと脈打つ度に私の中で硬さを増していく。

「あっ…ダメっやだぁっ…おかしくなるっ」

「おかしくなればいい。俺のことしか考えられなくなれよ」

「やっ…あっもうっ…もうっイッ…イッちゃ」

「俺も…一緒にな」

フェナーラは優しく囁き私の額にキスをしてからピストン運動の速度を早める。私の弱い所を的確に責め、体は再び高みへと昇り始める。

「うんっ…これ、…ひぁっ取ってぇ…やっあああっ」

フェナーラがブジーを引き抜くのと同時に、私は絶頂を迎え、屹立からは透明な液体が勢いよく吹き出した。

「上手に潮吹けるようになったな」

「やっ…いわないでぇ」

熱に浮かされても微かに残る理性で羞恥を感じて、手で顔を覆う。

「本当にたまんないくらい可愛いわ」

何がフェナーラの琴線に触れたのか、繋がったままのフェナーラのものがまた硬くなる。

「えっ…あっ、待って」

「無理。待てない」

そう言ってフェナーラはまた後孔の奥深くまで穿ち、私は一晩抱かれ続けたのだった。

* * *
ブジーを使った行為を思い出したせいで、体の中心が反応してしまう。

「セラフ、おかえり。…何してるんだ?」

一目で分かるほど主張する熱を処理しようか迷っている所に、フェナーラがくる。部屋に入るなり、咄嗟に屈んだ私を怪訝な目で見る

「な、なんでもないから!しょ、商談は?」

「商談?終わったけど…セラフ、顔も赤いし体調わるいんじゃないか?…あぁ。」

なんとか誤魔化してこの場を切り抜けたかったのだが、そう上手くはいかなかった。
大丈夫か?とフェナーラが私の側にかけよったので、体の状態がバレる。

「セラフも男だもんな。溜まるよな。ごめん気づかなくて」

ここ数日ご無沙汰だったもんな。とフェナーラはあらぬ誤解をする

「ちがうの!これは、さっきの商談が聞こえて…」

「商談…あぁ、もしかしてセラフまた尿道ここ責められたい?」

フェナーラは一瞬ポカンとした後、合点がいったようにニヤリと笑う。そして私の主張するものの先をガウンの上から撫でる。そして

奇遇だな。俺もセラフのここいじりたくて仕方なかった。

と淫靡に私の耳元で囁いた。

もちろん、この後、めちゃくちゃに抱かれたのだった。
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