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【ヤンデレβ×性悪α】 高慢αは手折られる
第十一話
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「一体何をするつもりですか?」
フェナーラに連れられたどり着いた場所は寝室…ではなく中庭だった。社会勉強なんて意味深な発言をするものだから、また手籠にされるのかと身構えた分、肩透かしにあった気分になる。
「ん?社会勉強だよ?はい。これセラフの分」
フェナーラは使用人が運んできた荷を解き、中から木の剣を渡される。それは騎士の訓練用の木の剣に似ていた。
「これを使って一体何をするつもりですか?」
「セラフと一戦交えたいなと思ってさ。アーシュから貴族は小さい頃から剣技を習っているって聞いてたんだけど、セラフも習ってた?」
「えぇ…一応。ただ、私はフィリアス卿ほど強くはありませんが…」
剣技は習っていたが、どちらかといえば苦手だ。それに私は体を動かすよりも頭を使う方が向いているタイプだと思う。
「そうなんだ。アーシュくらい強かったら勝ち目ないと思ってたけど、もしかしたら良い勝負になるかもな。
それじゃあセラフ。ルールは公式戦と同じで一本手合わせお願いします。」
公式通りならば、相手の急所をつくか、剣を叩き落とした方が勝ちとなる。フェナーラは私より恰幅がいいし力も強い。剣をたたき落とすのは難しいだろうから、急所つまり首か胸を狙う必要がある。フェナーラの実力は知らないが、アルファの私がベータに負けることなんてない。
「これのどこが社会勉強なのか分かりませんが、一線だけなら。どうせ嫌だと言っても、付き合わされるのは目に見えていますし」
フェナーラは近くに控えていた使用人に審判をするように命じる。そして全ての準備が整うと、木製の剣を構えた。
* * *
「はぁっ…はぁっ…」
「お!セラフ、今のは惜しかったな!」
「んぐっ」
呼吸は絶え絶えになり、足もどんどん重くなって体力が限界なのを感じる。
一歩踏み込んで、首に一太刀浴びせようと振りかぶると、すかさずフェナーラが私の横腹に一撃を加える。その衝撃を受けた私は脇腹をおさえうずくまる。
既に勝負はついているのだが、納得できない私が何度フェナーラに挑んでも、フェナーラは余裕綽々と私の剣を受けとめかわす。そして私の急所に一撃を叩き込んでくる。
いくら苦手な剣技でもベータに負けるなんて思いもしなかった。それどころか全く歯が立たないなんて。受け入れがたい現実を思い知らせるように横腹から痛みがじんわり内臓を侵食していく。
「セラフ、大丈夫か?手加減して打ち込んではいるけど痛むよな?もう終わりにしよう」
フェナーラが息も絶え絶えな私の背中をさする。
「嫌…です。私があなたに負けるなんて…あってはならないんです」
「ベータの俺に負けるのはプライドが許されない?でも、ベータに負けるのは、いい社会勉強になっただろ?アルファは優秀だけど、ベータやオメガだって努力すればアルファに勝てることが、これで分かっただろ?」
「剣技は私の苦手分野だから…あなたは勝てた。そうでなければ、私が必ず勝ちます」
「必ず?そこまで言うなら、賭けでもしてみるか?これから俺とセラフが互いの得意分野で勝負をして、敗者は勝者のいうことを聞くってのはどうだ?」
「私が勝つのが当たり前なんですから、わざわざ賭けをする意味がないでしょう?」
「セラフが俺に勝てるなら、そのネックガードを外せるのに?勝つのが当たり前なら、サクッと俺に勝ってネックガードを外せって言えばすぐだぞ」
こんなあからさまな挑発に普段なら乗ったりしない。でもこの時は疲れていて思考力が低下していたんだ。だから、間違えた選択をしてしまったんだと思う。
「それもそうですね。その賭け受けて立ちます」
「交渉成立だな。じゃあ今回の俺が勝った分のご褒美を早速もらおうかな」
フェナーラは座り込む私を横抱きにする。
「自分で歩けますから、おろしてください。それに、今回の勝負は賭けの対象外でしょう?」
「俺はセラフが納得するまで付き合ったんだから、少しくらいご褒美をくれてもバチはあたらないだろ?」
またフェナーラは訳のわからない暴論を言ってくる。こうなった、この男は私の制止を聞いたりしない。
「はぁ。どうせ私に拒否権はありませんから。私にできることでよければ」
「セラフにしかできないことだからな!さあ、行くか!」
フェナーラは私を抱き上げたまま意気揚々と屋敷の中を歩いていった。
フェナーラに連れられたどり着いた場所は寝室…ではなく中庭だった。社会勉強なんて意味深な発言をするものだから、また手籠にされるのかと身構えた分、肩透かしにあった気分になる。
「ん?社会勉強だよ?はい。これセラフの分」
フェナーラは使用人が運んできた荷を解き、中から木の剣を渡される。それは騎士の訓練用の木の剣に似ていた。
「これを使って一体何をするつもりですか?」
「セラフと一戦交えたいなと思ってさ。アーシュから貴族は小さい頃から剣技を習っているって聞いてたんだけど、セラフも習ってた?」
「えぇ…一応。ただ、私はフィリアス卿ほど強くはありませんが…」
剣技は習っていたが、どちらかといえば苦手だ。それに私は体を動かすよりも頭を使う方が向いているタイプだと思う。
「そうなんだ。アーシュくらい強かったら勝ち目ないと思ってたけど、もしかしたら良い勝負になるかもな。
それじゃあセラフ。ルールは公式戦と同じで一本手合わせお願いします。」
公式通りならば、相手の急所をつくか、剣を叩き落とした方が勝ちとなる。フェナーラは私より恰幅がいいし力も強い。剣をたたき落とすのは難しいだろうから、急所つまり首か胸を狙う必要がある。フェナーラの実力は知らないが、アルファの私がベータに負けることなんてない。
「これのどこが社会勉強なのか分かりませんが、一線だけなら。どうせ嫌だと言っても、付き合わされるのは目に見えていますし」
フェナーラは近くに控えていた使用人に審判をするように命じる。そして全ての準備が整うと、木製の剣を構えた。
* * *
「はぁっ…はぁっ…」
「お!セラフ、今のは惜しかったな!」
「んぐっ」
呼吸は絶え絶えになり、足もどんどん重くなって体力が限界なのを感じる。
一歩踏み込んで、首に一太刀浴びせようと振りかぶると、すかさずフェナーラが私の横腹に一撃を加える。その衝撃を受けた私は脇腹をおさえうずくまる。
既に勝負はついているのだが、納得できない私が何度フェナーラに挑んでも、フェナーラは余裕綽々と私の剣を受けとめかわす。そして私の急所に一撃を叩き込んでくる。
いくら苦手な剣技でもベータに負けるなんて思いもしなかった。それどころか全く歯が立たないなんて。受け入れがたい現実を思い知らせるように横腹から痛みがじんわり内臓を侵食していく。
「セラフ、大丈夫か?手加減して打ち込んではいるけど痛むよな?もう終わりにしよう」
フェナーラが息も絶え絶えな私の背中をさする。
「嫌…です。私があなたに負けるなんて…あってはならないんです」
「ベータの俺に負けるのはプライドが許されない?でも、ベータに負けるのは、いい社会勉強になっただろ?アルファは優秀だけど、ベータやオメガだって努力すればアルファに勝てることが、これで分かっただろ?」
「剣技は私の苦手分野だから…あなたは勝てた。そうでなければ、私が必ず勝ちます」
「必ず?そこまで言うなら、賭けでもしてみるか?これから俺とセラフが互いの得意分野で勝負をして、敗者は勝者のいうことを聞くってのはどうだ?」
「私が勝つのが当たり前なんですから、わざわざ賭けをする意味がないでしょう?」
「セラフが俺に勝てるなら、そのネックガードを外せるのに?勝つのが当たり前なら、サクッと俺に勝ってネックガードを外せって言えばすぐだぞ」
こんなあからさまな挑発に普段なら乗ったりしない。でもこの時は疲れていて思考力が低下していたんだ。だから、間違えた選択をしてしまったんだと思う。
「それもそうですね。その賭け受けて立ちます」
「交渉成立だな。じゃあ今回の俺が勝った分のご褒美を早速もらおうかな」
フェナーラは座り込む私を横抱きにする。
「自分で歩けますから、おろしてください。それに、今回の勝負は賭けの対象外でしょう?」
「俺はセラフが納得するまで付き合ったんだから、少しくらいご褒美をくれてもバチはあたらないだろ?」
またフェナーラは訳のわからない暴論を言ってくる。こうなった、この男は私の制止を聞いたりしない。
「はぁ。どうせ私に拒否権はありませんから。私にできることでよければ」
「セラフにしかできないことだからな!さあ、行くか!」
フェナーラは私を抱き上げたまま意気揚々と屋敷の中を歩いていった。
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