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終章 そして
玉さん大噴火
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阿蘇都比咩命さんとやらが、鹿児島から空を飛んで来ましたよ(笑)。
何やら喚き散らしながら。
同時にですね。
阿蘇山の広大なカルデラの其処彼処から火柱が立ち昇り始めました。
阿蘇山の噴火です。
「さぁて、どうしようかなぁ。」
「何じゃお主、考えなしかい。」
「僕はいつだって巻き込まれて来たんですよ。あとついでに、僕が能動的に事態解決に動いた事も、多分ありません。」
玉が僕の側にいてくれる事も、青木さんが隣に越して来た事も、しずさんが水晶世界で暮らし始めた事も、全部彼女達が自分で決めた事だもん。
「まぁ、一応考えてはいますよ。」
阿蘇都比咩命さんが、地面に転がって苦しんでます。
健磐龍命さんが苦しむ奥さんを前にしてオロオロしてますが。
「とりあえず、馬くん達と草木を何とかしないとな。玉。」
「集侍はれる親王 諸王 諸臣 百官人等諸聞食せと宣る
天皇が朝廷に仕奉る 比礼挂くる伴男 手襁挂くる伴男 靫負ふ伴男 剱佩く伴男 伴男の八十伴男を始めて 官官に仕奉る人等の 過犯しけむ雑雑の罪を 今年の六月の晦の大祓に 祓給ひ清給ふ事を 諸聞食せと宣る
高天原に神留り坐す 皇親神漏岐神漏美の命以ちて 八百万の神等を 神集に集賜ひ 神議に議賜て 我が皇孫之尊は 豊葦原の水穂の国を 安国と平けく所知食と事依し奉き
如此依し奉し国中に荒振神達をば 神問しに問し賜ひ 神掃に掃賜ひて 語問し磐根樹の立草の垣葉をも語止て 天磐座放ち 天の八重雲を伊頭の千別に千別て 天降依し奉き」
「玉?」
玉が僕も聞いた事の無い祝詞をずっと唱えているんだけど?
ちょっとちょっと玉さん?
何それ?
聞いた事ありませんよ?
「ああああああああああああああああああ。」
「大丈夫か。お前、大丈夫か?あの、神様、妻を助けてください。」
「いや、お前も神じゃし。」
「…そうでした。」
「この状況をこさえたのは、そこなる浅葱じゃし。」
「…そうでした。」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「浅葱様ぁ。」
あぁうるさい。
それよりも玉だ。
「掛介麻久母畏伎伊邪那岐大神筑紫乃日向乃橘小戸乃阿波岐原爾御禊祓閉給比志時爾生里坐世留祓戸乃大神等諸乃禍事罪穢有良牟乎婆祓閉給比清米給閉登白須事乎聞食世登恐美恐美母白須」
もはや何を言っているのかわからない。
「…荼枳尼天さんさぁ、どうしよう。玉がおかしくなっちゃった。」
「別におかしくはないぞ。巫女っ子は祓詞を唱えとるだけじゃ。」
「玉にこんな知識あったかなぁ。」
「ん?しずは大祓の時、このくらい楽勝じゃが?」
玉は見習い巫女の筈だけど?
というか、巫女姿してるけど格好だけで、ずっと草むしりしかしてこなかった女の子だよ?
僕のところに来て、僕の作ったご飯をお腹いっぱい食べて、僕がスマホで調べた祝詞と玉自身の母の記憶を元に形だけ祝詞が唱えられる様になったけど。
あくまでも形だけだったから、荼枳尼天にはずっと修行を求められてたし。
やがて。
玉の頭に乗る金冠が光り始めた。
あぁそうか。
あの野郎の仕業か。
「馬くん、僕の元に集まりなさい。」
「ブヒヒン。」
「ぶるるる。」
目の前で始まった大パノラマと言うか、地獄絵図が本物かわからない(地面の草が燃えて無いから別次元だとは思うけど、いつ現実世界に溢れ出すかわからないからねぇ。
火傷はしてないから大丈夫だとは思うけど。
「お主が原因だと思うがの。」
「うるさいですよ。荼枳尼天。おやつあげないわよ。」
「くにゃ!」
わぁ御狐様が飛び付いて来た。
涙目で顔をふるふる振ってるよ。
「グニャ」
わぁ、荼枳尼天様が飛び付いて来た。
涙目で顔をふるふる振っているけど、あなた祟り神でしょ。
「可愛くないかの?」
「あなた幾つですか?」
「儂の出自はインダス文明だから、大体4700歳くらい?ですか?」
「何で敬語で疑問系なんですか?」
主従揃ってまぁ、知識的な分野で全く役に立たない。
そう言えば、国麻呂さんだっけ。
あの小さい御先祖さんも、予告だけして肝心なことは何一つ教えてくれなかったなぁ。
去年の夏まで証券会社のサラリーマンやってて、年が明けたら神武天皇の孫の願いを聞いてるって、どんな人生なんだよ。
………
馬くん達の集結が終わると同時に、玉を中心として、柔らかな光が辺りを包み込む。
馬くん達は気持ち良さそうに目を細め、ハヤブサくんが玉を護るが如く、玉の構える御神刀に止まった。
…重く無いのかなぁ、あれ。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…」
「お前!お前!」
あぁ、あっちも修羅場だ。
しかし、玉といい、阿蘇都比咩命さんといい、賑やかだなぁ。
「あ、あの。」
「なんですか?」
ぐるぐるあっちにこっちに転がり続ける奥さんを放置?して、健磐龍命さんが縋り付いて来ました。
御狐様と荼枳尼天が引っ付いたままなので、色々重たいです。
「このままでは、妻の力が溢れます。実際の阿蘇山が噴火してしまいます。」
つまりは、今、眼前に広がる光景はやっぱり実物じゃないのね。
「でしたら、ここからは貴方の仕事ですよ。僕がやったら霧島神宮と祀られている神様を全員殺しちゃうから。」
「は?」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…」
「あれがうるさくてイライラし始めて来ました。九州をぶっ壊すくらいなら、元凶の馬鹿どもを抹殺しますよ。」
どうせ死なないだろうし。
確信が出来たよ。
「あの、わたくしが何をすれば良いのか?」
「火を消すのは水です。火傷を癒やすのも水です。火は確かに何でも燃やせますが。」
未だに祝詞を唱え続ける玉の背に、ポンと手を当てた。
「水はなんでも溶かします。なんでも壊します。」
人には観察出来ないほど、長い時間をかけて、水は固体・気体・液体全てを溶かす。
小さい水滴は、やがて岩をも穿つ。
たかだか70年しか生きられない僕らとは違って、悠久の時を生きる神には見慣れた光景の筈だけどなぁ。
「貴方は阿蘇のカルデラに溜まった水を支配した神。外輪山を蹴破りカルデラ湖の水で肥後国を潤し、阿蘇の山を生命の楽園にした神。それが貴方、健磐龍命です。」
「国を作った神武天皇の一族だから出来る、神武天皇の一族である貴方にしか出来ない。」
「人と地と神を癒やす健磐龍命の役割です。」
「阿蘇を鎮め、妻を癒し、夫婦和合の象徴として、我々生物の頂点に立つべき存在です。」
………
肥後の民の小さい幸せを願う浅葱の物と
阿蘇都比咩命の祖父神たる事代主の巫女、玉が願い奉る
阿蘇を癒し、阿蘇都比咩命を癒やせ
阿蘇を癒し、阿蘇都比咩命を癒やせ
阿蘇を癒し、阿蘇都比咩命を癒やせ!
………
玉の金冠が光輝く。
その瞬間、健磐龍命さんの身体も輝き始めた。
健磐龍命さんの表情が引き締まる。
あれなら大丈夫だ。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、ぁぁぁぁぁ?」
僕は左手の剣で、阿蘇の空気を斬った。
それまで阿蘇を焼いていた炎が、阿蘇のマグマが、虚空に消える。
そして。
しとしとと雨が落ち始めた。
決して激しい雨ではない。
植物が、そして共に阿蘇に生きる小さい生物達が、冬枯れたカルデラを彩り始める。
アマガエルが。
コウロギが。
雲雀が。
春の、夏の、秋の歌を歌う。
歌う。
歌う。
「大丈夫か?お前。」
「あ、あなた。どうして私はここに?は、ああああああ。」
阿蘇都比咩命が玉を見て跪く。
「お、お祖父様。」
お祖父様?
あぁそうか。
そうね。そう言う事ね。
「ほれ、お主が締めろ。」
「くにゃ」
さっきから僕に縋り付いたまんまの荼枳尼天主従に促されるけど、ここは僕なの?
玉じゃなくて?
「巫女っ子のあるじがお主じゃて。お主の役割じゃろ。」
「そんな役割はごめんなんですが。」
「仕方あるまい。さもなくば、''お主の妹御が死ぬところ''じゃったろ。平気な顔しとったが、ブチ切れる寸前だった事くらい知っとるぞ。何のために儂らがお主に抱きついていたと思う。」
やれやれ、全部バレてたか。
「玉、いらっしゃい。」
「はい、殿。」
行きますよ。
我が家のアレを。
何やら喚き散らしながら。
同時にですね。
阿蘇山の広大なカルデラの其処彼処から火柱が立ち昇り始めました。
阿蘇山の噴火です。
「さぁて、どうしようかなぁ。」
「何じゃお主、考えなしかい。」
「僕はいつだって巻き込まれて来たんですよ。あとついでに、僕が能動的に事態解決に動いた事も、多分ありません。」
玉が僕の側にいてくれる事も、青木さんが隣に越して来た事も、しずさんが水晶世界で暮らし始めた事も、全部彼女達が自分で決めた事だもん。
「まぁ、一応考えてはいますよ。」
阿蘇都比咩命さんが、地面に転がって苦しんでます。
健磐龍命さんが苦しむ奥さんを前にしてオロオロしてますが。
「とりあえず、馬くん達と草木を何とかしないとな。玉。」
「集侍はれる親王 諸王 諸臣 百官人等諸聞食せと宣る
天皇が朝廷に仕奉る 比礼挂くる伴男 手襁挂くる伴男 靫負ふ伴男 剱佩く伴男 伴男の八十伴男を始めて 官官に仕奉る人等の 過犯しけむ雑雑の罪を 今年の六月の晦の大祓に 祓給ひ清給ふ事を 諸聞食せと宣る
高天原に神留り坐す 皇親神漏岐神漏美の命以ちて 八百万の神等を 神集に集賜ひ 神議に議賜て 我が皇孫之尊は 豊葦原の水穂の国を 安国と平けく所知食と事依し奉き
如此依し奉し国中に荒振神達をば 神問しに問し賜ひ 神掃に掃賜ひて 語問し磐根樹の立草の垣葉をも語止て 天磐座放ち 天の八重雲を伊頭の千別に千別て 天降依し奉き」
「玉?」
玉が僕も聞いた事の無い祝詞をずっと唱えているんだけど?
ちょっとちょっと玉さん?
何それ?
聞いた事ありませんよ?
「ああああああああああああああああああ。」
「大丈夫か。お前、大丈夫か?あの、神様、妻を助けてください。」
「いや、お前も神じゃし。」
「…そうでした。」
「この状況をこさえたのは、そこなる浅葱じゃし。」
「…そうでした。」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「浅葱様ぁ。」
あぁうるさい。
それよりも玉だ。
「掛介麻久母畏伎伊邪那岐大神筑紫乃日向乃橘小戸乃阿波岐原爾御禊祓閉給比志時爾生里坐世留祓戸乃大神等諸乃禍事罪穢有良牟乎婆祓閉給比清米給閉登白須事乎聞食世登恐美恐美母白須」
もはや何を言っているのかわからない。
「…荼枳尼天さんさぁ、どうしよう。玉がおかしくなっちゃった。」
「別におかしくはないぞ。巫女っ子は祓詞を唱えとるだけじゃ。」
「玉にこんな知識あったかなぁ。」
「ん?しずは大祓の時、このくらい楽勝じゃが?」
玉は見習い巫女の筈だけど?
というか、巫女姿してるけど格好だけで、ずっと草むしりしかしてこなかった女の子だよ?
僕のところに来て、僕の作ったご飯をお腹いっぱい食べて、僕がスマホで調べた祝詞と玉自身の母の記憶を元に形だけ祝詞が唱えられる様になったけど。
あくまでも形だけだったから、荼枳尼天にはずっと修行を求められてたし。
やがて。
玉の頭に乗る金冠が光り始めた。
あぁそうか。
あの野郎の仕業か。
「馬くん、僕の元に集まりなさい。」
「ブヒヒン。」
「ぶるるる。」
目の前で始まった大パノラマと言うか、地獄絵図が本物かわからない(地面の草が燃えて無いから別次元だとは思うけど、いつ現実世界に溢れ出すかわからないからねぇ。
火傷はしてないから大丈夫だとは思うけど。
「お主が原因だと思うがの。」
「うるさいですよ。荼枳尼天。おやつあげないわよ。」
「くにゃ!」
わぁ御狐様が飛び付いて来た。
涙目で顔をふるふる振ってるよ。
「グニャ」
わぁ、荼枳尼天様が飛び付いて来た。
涙目で顔をふるふる振っているけど、あなた祟り神でしょ。
「可愛くないかの?」
「あなた幾つですか?」
「儂の出自はインダス文明だから、大体4700歳くらい?ですか?」
「何で敬語で疑問系なんですか?」
主従揃ってまぁ、知識的な分野で全く役に立たない。
そう言えば、国麻呂さんだっけ。
あの小さい御先祖さんも、予告だけして肝心なことは何一つ教えてくれなかったなぁ。
去年の夏まで証券会社のサラリーマンやってて、年が明けたら神武天皇の孫の願いを聞いてるって、どんな人生なんだよ。
………
馬くん達の集結が終わると同時に、玉を中心として、柔らかな光が辺りを包み込む。
馬くん達は気持ち良さそうに目を細め、ハヤブサくんが玉を護るが如く、玉の構える御神刀に止まった。
…重く無いのかなぁ、あれ。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…」
「お前!お前!」
あぁ、あっちも修羅場だ。
しかし、玉といい、阿蘇都比咩命さんといい、賑やかだなぁ。
「あ、あの。」
「なんですか?」
ぐるぐるあっちにこっちに転がり続ける奥さんを放置?して、健磐龍命さんが縋り付いて来ました。
御狐様と荼枳尼天が引っ付いたままなので、色々重たいです。
「このままでは、妻の力が溢れます。実際の阿蘇山が噴火してしまいます。」
つまりは、今、眼前に広がる光景はやっぱり実物じゃないのね。
「でしたら、ここからは貴方の仕事ですよ。僕がやったら霧島神宮と祀られている神様を全員殺しちゃうから。」
「は?」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…」
「あれがうるさくてイライラし始めて来ました。九州をぶっ壊すくらいなら、元凶の馬鹿どもを抹殺しますよ。」
どうせ死なないだろうし。
確信が出来たよ。
「あの、わたくしが何をすれば良いのか?」
「火を消すのは水です。火傷を癒やすのも水です。火は確かに何でも燃やせますが。」
未だに祝詞を唱え続ける玉の背に、ポンと手を当てた。
「水はなんでも溶かします。なんでも壊します。」
人には観察出来ないほど、長い時間をかけて、水は固体・気体・液体全てを溶かす。
小さい水滴は、やがて岩をも穿つ。
たかだか70年しか生きられない僕らとは違って、悠久の時を生きる神には見慣れた光景の筈だけどなぁ。
「貴方は阿蘇のカルデラに溜まった水を支配した神。外輪山を蹴破りカルデラ湖の水で肥後国を潤し、阿蘇の山を生命の楽園にした神。それが貴方、健磐龍命です。」
「国を作った神武天皇の一族だから出来る、神武天皇の一族である貴方にしか出来ない。」
「人と地と神を癒やす健磐龍命の役割です。」
「阿蘇を鎮め、妻を癒し、夫婦和合の象徴として、我々生物の頂点に立つべき存在です。」
………
肥後の民の小さい幸せを願う浅葱の物と
阿蘇都比咩命の祖父神たる事代主の巫女、玉が願い奉る
阿蘇を癒し、阿蘇都比咩命を癒やせ
阿蘇を癒し、阿蘇都比咩命を癒やせ
阿蘇を癒し、阿蘇都比咩命を癒やせ!
………
玉の金冠が光輝く。
その瞬間、健磐龍命さんの身体も輝き始めた。
健磐龍命さんの表情が引き締まる。
あれなら大丈夫だ。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、ぁぁぁぁぁ?」
僕は左手の剣で、阿蘇の空気を斬った。
それまで阿蘇を焼いていた炎が、阿蘇のマグマが、虚空に消える。
そして。
しとしとと雨が落ち始めた。
決して激しい雨ではない。
植物が、そして共に阿蘇に生きる小さい生物達が、冬枯れたカルデラを彩り始める。
アマガエルが。
コウロギが。
雲雀が。
春の、夏の、秋の歌を歌う。
歌う。
歌う。
「大丈夫か?お前。」
「あ、あなた。どうして私はここに?は、ああああああ。」
阿蘇都比咩命が玉を見て跪く。
「お、お祖父様。」
お祖父様?
あぁそうか。
そうね。そう言う事ね。
「ほれ、お主が締めろ。」
「くにゃ」
さっきから僕に縋り付いたまんまの荼枳尼天主従に促されるけど、ここは僕なの?
玉じゃなくて?
「巫女っ子のあるじがお主じゃて。お主の役割じゃろ。」
「そんな役割はごめんなんですが。」
「仕方あるまい。さもなくば、''お主の妹御が死ぬところ''じゃったろ。平気な顔しとったが、ブチ切れる寸前だった事くらい知っとるぞ。何のために儂らがお主に抱きついていたと思う。」
やれやれ、全部バレてたか。
「玉、いらっしゃい。」
「はい、殿。」
行きますよ。
我が家のアレを。
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