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第二章 戦
マンゴーゼリー
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さて。
僕はマンゴーの木の前に1人居る。
玉はしずさんの所、青木さんは出勤したので、久しぶりの1人きりの時間だ。
たぬきち達と遊びながら聖域をのんびりと手入れする事は楽しいからね。
この木はホームセンターに南瓜の種を買いに行った時に見つけた苗木から育った木だ。
隣のバナナと共に、普通は関東の気候だとハウス栽培が適している訳だけど、荼枳尼天が管理して、食べ物絡みなら大体万能な''浅葱の力''の前に不可能はなく、今日も適当に幾つか収穫したとこ。
「別に君らも食べて良いんだぞ。」
「わふぃ」
僕の足元ではブラッシングの果てに腰を抜かして、狸の声帯では普通出ない声をたぬきちが上げている。お腹を見せて前脚で宙を掻いてる姿が可愛い。
「ひぅ?」
「あぁ、マンゴー自体は熊本でも採れたけど、僕は食べ慣れてないんだよ。玉と青木さんがスィーツの材料にしてるけど、僕はイマイチかなぁ。」
「くぅ」
「いや、確かに面白半分に育ててみたけどさぁ。」
育っちゃった。
どうしよう。
『いや、だったら最初から育てるなや』
あれれ、神馬がごくごく川で水を飲んでる。
なんでこっちにいるの?
『しずの所にもいるぞ。俺はあくまでも一言主の眷属だからな。更にはお前の眷属でもあるから、必要な時は顕現する。俺は分霊だ』
…確かうちの一言主も、神格の高い神様の分身とか言ってたな。
荼枳尼天は、どうなのだろうか。
「で、今が必要な時と?」
「ひん」
『喉が渇いた』
「おい。」
『俺の分霊はお前の刀に宿っている。だからお前が行く所には常に俺が居る。』
「僕にはプライバシーはないのか。」
『今更だ』
神様にまで今更って言われたぞ、おい。
『今はたまたま離れて居るけど、巫女っ子は常にお前の側にいるから、ずっと禁欲生活だろう』
まぁ、僕はどうも、そこら辺は割と淡白らしい。
或いは女性遍歴上、何故か女性上位なお付き合いばかりして来たせいか。
毎晩隣に少女が寝ているけど、一回だけキスした以外は、なんとなくそのまま寝ている。
玉にはあれこれ言い訳をしたけど、単にその気にならないだけだ。
『今日は荼枳尼天様にご挨拶に来ただけだ』
「だったら、さっさと行きなさいよ。」
『連れないなぁ』
「人間に甘えるとか、どんな神様だよ。」
馴れ馴れし過ぎるだろ。
『ちょっと緊張してんの』
「はい?」
『いや、お前だけだぞ。かなり高位の神様相手に全然怯まないのは』
「そりゃ、別に神様相手に喧嘩売ってる訳じゃないし。あ、そうだ。」
『何?』
神馬が顔を上げてこっちを見た。
「ここに生えてる一輪草は玉が大切に育てているものだから食うなよ。」
大体こっちには牧草が生えていない。
草食動物がいないからね。
『わ、わかった。…って神に喧嘩売らないって言った直後に神を脅すかね』
「玉は荼枳尼天の巫女だし、ここは荼枳尼天の別荘だから。荼枳尼天相手にラグナロクしたいならどうぞどうぞ。」
ほら、フクロウ君の目の色が変わったぞ。
『全力でご遠慮させて頂きます。って言うかな、俺''大口真神''って名前ついてるけど、俺の神格はお前の周りの中では低めだし、基本は狼だしなぁ』
「馬じゃん。」
『馬でも狼なの!』
「わかったから、さっさと挨拶に行ってこい。あ、社に土足で上がるなよ。玉が毎朝拭き掃除してんだからな。」
『馬にどうしろと』
人間になれんのか?
『試した事無いけど多分成れる。やってみようか?』
さて。
改めてさて。
マンゴーで何作ろうかな。
『頼むから、こっちを見て下さい』
★ ★ ★
「そのマンゴーとやらでなんか作れんかの?」
「くにゃ」
おや、荼枳尼天様ご降臨だ。
いや、降臨と言っても、社から外に出てきただけだけど。
あ、神馬が震えてる小さくなってる。
「そうだな。マンゴーだとプリンとかシャーベットとかが定番だけど。何か食べたい食材ってあります?」
「くにゃ」
あぁはい。
御狐様がお手をしてくれました。
しずさんの所に行った時に、ちびが玉にお手をして居る姿を見て覚えたらしい。
「あぁほれ、巫女っ子がこの間持って来てくれたゼリーが良いのう。狐のお気に入りじゃて。」
「意外と眷属にお優しい祟り神であった。」
半ば神馬に言い聞かせるようにナレーションをつける僕だった。
「信仰をしてくれればくれるほど返す。それが神じゃ。ましてや儂は現世利益の霊験あらたからしいぞ。」
「なんで他人事なんですか?」
「いや、自分で言っといてなんじゃが、別に何か人間の信仰に返した覚えは無いからの。何が利益があったとしたら、それは儂ではなく本人の努力じゃろ。」
「なんという道徳的な事をおっしゃる。」
「だって。」
神様がだってとか言わないの。
「儂、なんかしたか?行秀やら杢兵衛やらしずやら巫女っ子やらに祝詞を謳われておるけど、お主としずに飯を集る以外しとらんぞ。しずや巫女っ子が何かを得たと思うのなら、それは儂ではなくお主の力じゃ。」
「そんなもんですかねぇ。」
「ひぅ」
フクロウ君がマンゴーの実を全部落としてくれた。
聖域の地面は、元はカチカチに踏み固められていたけど、玉が草むしりをしたり、僕が耕したり、たぬきちやテンママ達が(本能で)掘り返したりして居るので今はとても柔らかいから、落ちた実が傷つかない。
大体、マンゴーの木自体もそんなに高くはないから、僕が手を伸ばせば殆どが収穫出来るのだけど、フクロウ君が手を出すって事は、自分にも食わせろってアピールだ。
腰を抜かしていたたぬきちが、ザルを咥えて来たので、一つ一つ拾っていく。
テンママ・てんいち・てんじが一つ一つ両手で持って運んでいる姿は、ハムスターがひまわりの種を持っているみたいで可愛い。
「んじゃ、ちょっと待ってて下さい。」
バナナスィーツ選手権をした時に茶店に厨房を整備したものがそのまま残っているので。たぬきちだけがついて来た。
最近発見した事がある。
浅葱の力が強化されていた。
多分、武甕槌に力を分けて貰ったからだろう。
それは何かと言うと、一定の条件下で「食べ物に関してのみ、時間を先送りしたり早戻し出来る」ようになったと言う事。
早い話が、料理番組に於ける、「出来上がりがこちらになります」が出来るようになった。
浅葱の力は時間旅行の力で、その力のある発動条件として食事で満足する。
だった。
最初は。
神様仏様連中が色々口出しして来たおかげで、今では食べ物に関してはなんでも出来る、何が何だか訳が分からない状況になっているけど、「時間」と「食欲」のキーワードに即した正しい進化なのだろう。
多分。
その条件はというと、神の管理下に僕が居る事。みたい。
聖域でしか試した事ないから、正確な所はまだ把握し切れていないから。
だって、ここ以外で料理する時は、玉か青木さんかしずさんが必ず一緒に料理してるから、僕が力を使うと
「殿!ズルいです。」
「私達は自分の女子力だけで戦っているの!」
「あらあら、うふふふふふふふふふふふふふふ。」
とブーイングを喰らうから。
特にしずさんのニコニコ攻撃に僕は耐える術を持たないぞ。
でも今は僕1人、ここは聖域で、神様自らのリクエストがある。
最近暴走気味の力を全開にしても文句を言う人はいない。
マンゴーは皮を剥き、実をスプーンで掬い取り、包丁で少し歯応えが残る程度に叩いて冷蔵庫で冷やす。
はい、ここで浅葱の力発動。
たちまち冷えます。便利便利。
冷えたマンゴーの半分はミキサーにかけてジュースにしておく。
その間に用意するものは、ゼラチン・寒天・三温糖・ニッキ。
ゼラチンは昔妹に作ってあげた市販のゼリーの素でイメージしたら、そのままハ◯ス食品の箱入り商品が出て来た。
懐かしい。
ゼラチンと寒天は湯煎すれば直ぐ溶ける。
この間買った型(交通事故駄洒落)にゼラチン+三温糖+マンゴージュース+クラッシュマンゴー。
寒天+三温糖+マンゴージュース+クラッシュマンゴーの2種類を作って食べ比べよう。
ニッキは摺鉢ですり下ろして粉状にしておく。
これはお好みで上にかけると、味が変わって楽しい。
型を冷蔵庫で冷やす事数秒(インチキ)。はい、出来ました。
あぁ、隣にいるたぬきち、白眼を剥かないの。
『わかってはいるけど出鱈目だあぁ』
うるさいよ。
文句は余計な力を遺伝させたご先祖と、勝手に強化させた神様連中に言ってくれ。
………
動物達には水を平皿に、僕と神様にはお茶碗で冷たい抹茶を淹れて、マンゴーゼリーを茶店の外に持っていくと。
裸の若い女性が、御狐様に跨った荼枳尼天に深々とお辞儀をしていた……。
何この状況?
「雌だったか。」
「くにゃ」
''雌''と言う言葉に、何やらケッタイな気配を感じたので、そっちは無視して縁台に作ったオヤツを並べよう。
「無視しないでよ。」
「うちは女性は余ってるの。まったく、人化したならそう言えっての。」
厨房に戻って抹茶をもう一杯淹れてこないとならないじゃないか。
そう。
青木さんより少し背が高くて、おっぱいがロケットみたいになっている女性は大口真神こと、うちの馬だった。
俺俺言ってたから、狼の雄だと思ってたぞ。
俺っ娘娘ってか?
そもそも大口真神って、人間が勝手に狼を神様に祀りあげた「下から」神様なので、神話も無ければ信仰も局地的なお手軽神様なんだよね。
「どうでも良いけど、せめて下を隠せ。」
毛が丸見えだ。
「おぉ、美味そうじゃの。」
「くにゃ」
「わふ」
「ひぅ」
「くぅ」
「くぅ」
「くぅ」
たちまち集まってくる荼枳尼天と眷属達。
ぶつくさ言いながら、この時間を僕はとても楽しんでいる。
僕の作ったものを美味しいと言ってくれる仲間達と食べるんだよ。
「あ、あの。出来れば俺を無視しないで。俺にかまって。」
あと、なんで僕の周りは構ってちゃんしかいないんだろう。
僕はマンゴーの木の前に1人居る。
玉はしずさんの所、青木さんは出勤したので、久しぶりの1人きりの時間だ。
たぬきち達と遊びながら聖域をのんびりと手入れする事は楽しいからね。
この木はホームセンターに南瓜の種を買いに行った時に見つけた苗木から育った木だ。
隣のバナナと共に、普通は関東の気候だとハウス栽培が適している訳だけど、荼枳尼天が管理して、食べ物絡みなら大体万能な''浅葱の力''の前に不可能はなく、今日も適当に幾つか収穫したとこ。
「別に君らも食べて良いんだぞ。」
「わふぃ」
僕の足元ではブラッシングの果てに腰を抜かして、狸の声帯では普通出ない声をたぬきちが上げている。お腹を見せて前脚で宙を掻いてる姿が可愛い。
「ひぅ?」
「あぁ、マンゴー自体は熊本でも採れたけど、僕は食べ慣れてないんだよ。玉と青木さんがスィーツの材料にしてるけど、僕はイマイチかなぁ。」
「くぅ」
「いや、確かに面白半分に育ててみたけどさぁ。」
育っちゃった。
どうしよう。
『いや、だったら最初から育てるなや』
あれれ、神馬がごくごく川で水を飲んでる。
なんでこっちにいるの?
『しずの所にもいるぞ。俺はあくまでも一言主の眷属だからな。更にはお前の眷属でもあるから、必要な時は顕現する。俺は分霊だ』
…確かうちの一言主も、神格の高い神様の分身とか言ってたな。
荼枳尼天は、どうなのだろうか。
「で、今が必要な時と?」
「ひん」
『喉が渇いた』
「おい。」
『俺の分霊はお前の刀に宿っている。だからお前が行く所には常に俺が居る。』
「僕にはプライバシーはないのか。」
『今更だ』
神様にまで今更って言われたぞ、おい。
『今はたまたま離れて居るけど、巫女っ子は常にお前の側にいるから、ずっと禁欲生活だろう』
まぁ、僕はどうも、そこら辺は割と淡白らしい。
或いは女性遍歴上、何故か女性上位なお付き合いばかりして来たせいか。
毎晩隣に少女が寝ているけど、一回だけキスした以外は、なんとなくそのまま寝ている。
玉にはあれこれ言い訳をしたけど、単にその気にならないだけだ。
『今日は荼枳尼天様にご挨拶に来ただけだ』
「だったら、さっさと行きなさいよ。」
『連れないなぁ』
「人間に甘えるとか、どんな神様だよ。」
馴れ馴れし過ぎるだろ。
『ちょっと緊張してんの』
「はい?」
『いや、お前だけだぞ。かなり高位の神様相手に全然怯まないのは』
「そりゃ、別に神様相手に喧嘩売ってる訳じゃないし。あ、そうだ。」
『何?』
神馬が顔を上げてこっちを見た。
「ここに生えてる一輪草は玉が大切に育てているものだから食うなよ。」
大体こっちには牧草が生えていない。
草食動物がいないからね。
『わ、わかった。…って神に喧嘩売らないって言った直後に神を脅すかね』
「玉は荼枳尼天の巫女だし、ここは荼枳尼天の別荘だから。荼枳尼天相手にラグナロクしたいならどうぞどうぞ。」
ほら、フクロウ君の目の色が変わったぞ。
『全力でご遠慮させて頂きます。って言うかな、俺''大口真神''って名前ついてるけど、俺の神格はお前の周りの中では低めだし、基本は狼だしなぁ』
「馬じゃん。」
『馬でも狼なの!』
「わかったから、さっさと挨拶に行ってこい。あ、社に土足で上がるなよ。玉が毎朝拭き掃除してんだからな。」
『馬にどうしろと』
人間になれんのか?
『試した事無いけど多分成れる。やってみようか?』
さて。
改めてさて。
マンゴーで何作ろうかな。
『頼むから、こっちを見て下さい』
★ ★ ★
「そのマンゴーとやらでなんか作れんかの?」
「くにゃ」
おや、荼枳尼天様ご降臨だ。
いや、降臨と言っても、社から外に出てきただけだけど。
あ、神馬が震えてる小さくなってる。
「そうだな。マンゴーだとプリンとかシャーベットとかが定番だけど。何か食べたい食材ってあります?」
「くにゃ」
あぁはい。
御狐様がお手をしてくれました。
しずさんの所に行った時に、ちびが玉にお手をして居る姿を見て覚えたらしい。
「あぁほれ、巫女っ子がこの間持って来てくれたゼリーが良いのう。狐のお気に入りじゃて。」
「意外と眷属にお優しい祟り神であった。」
半ば神馬に言い聞かせるようにナレーションをつける僕だった。
「信仰をしてくれればくれるほど返す。それが神じゃ。ましてや儂は現世利益の霊験あらたからしいぞ。」
「なんで他人事なんですか?」
「いや、自分で言っといてなんじゃが、別に何か人間の信仰に返した覚えは無いからの。何が利益があったとしたら、それは儂ではなく本人の努力じゃろ。」
「なんという道徳的な事をおっしゃる。」
「だって。」
神様がだってとか言わないの。
「儂、なんかしたか?行秀やら杢兵衛やらしずやら巫女っ子やらに祝詞を謳われておるけど、お主としずに飯を集る以外しとらんぞ。しずや巫女っ子が何かを得たと思うのなら、それは儂ではなくお主の力じゃ。」
「そんなもんですかねぇ。」
「ひぅ」
フクロウ君がマンゴーの実を全部落としてくれた。
聖域の地面は、元はカチカチに踏み固められていたけど、玉が草むしりをしたり、僕が耕したり、たぬきちやテンママ達が(本能で)掘り返したりして居るので今はとても柔らかいから、落ちた実が傷つかない。
大体、マンゴーの木自体もそんなに高くはないから、僕が手を伸ばせば殆どが収穫出来るのだけど、フクロウ君が手を出すって事は、自分にも食わせろってアピールだ。
腰を抜かしていたたぬきちが、ザルを咥えて来たので、一つ一つ拾っていく。
テンママ・てんいち・てんじが一つ一つ両手で持って運んでいる姿は、ハムスターがひまわりの種を持っているみたいで可愛い。
「んじゃ、ちょっと待ってて下さい。」
バナナスィーツ選手権をした時に茶店に厨房を整備したものがそのまま残っているので。たぬきちだけがついて来た。
最近発見した事がある。
浅葱の力が強化されていた。
多分、武甕槌に力を分けて貰ったからだろう。
それは何かと言うと、一定の条件下で「食べ物に関してのみ、時間を先送りしたり早戻し出来る」ようになったと言う事。
早い話が、料理番組に於ける、「出来上がりがこちらになります」が出来るようになった。
浅葱の力は時間旅行の力で、その力のある発動条件として食事で満足する。
だった。
最初は。
神様仏様連中が色々口出しして来たおかげで、今では食べ物に関してはなんでも出来る、何が何だか訳が分からない状況になっているけど、「時間」と「食欲」のキーワードに即した正しい進化なのだろう。
多分。
その条件はというと、神の管理下に僕が居る事。みたい。
聖域でしか試した事ないから、正確な所はまだ把握し切れていないから。
だって、ここ以外で料理する時は、玉か青木さんかしずさんが必ず一緒に料理してるから、僕が力を使うと
「殿!ズルいです。」
「私達は自分の女子力だけで戦っているの!」
「あらあら、うふふふふふふふふふふふふふふ。」
とブーイングを喰らうから。
特にしずさんのニコニコ攻撃に僕は耐える術を持たないぞ。
でも今は僕1人、ここは聖域で、神様自らのリクエストがある。
最近暴走気味の力を全開にしても文句を言う人はいない。
マンゴーは皮を剥き、実をスプーンで掬い取り、包丁で少し歯応えが残る程度に叩いて冷蔵庫で冷やす。
はい、ここで浅葱の力発動。
たちまち冷えます。便利便利。
冷えたマンゴーの半分はミキサーにかけてジュースにしておく。
その間に用意するものは、ゼラチン・寒天・三温糖・ニッキ。
ゼラチンは昔妹に作ってあげた市販のゼリーの素でイメージしたら、そのままハ◯ス食品の箱入り商品が出て来た。
懐かしい。
ゼラチンと寒天は湯煎すれば直ぐ溶ける。
この間買った型(交通事故駄洒落)にゼラチン+三温糖+マンゴージュース+クラッシュマンゴー。
寒天+三温糖+マンゴージュース+クラッシュマンゴーの2種類を作って食べ比べよう。
ニッキは摺鉢ですり下ろして粉状にしておく。
これはお好みで上にかけると、味が変わって楽しい。
型を冷蔵庫で冷やす事数秒(インチキ)。はい、出来ました。
あぁ、隣にいるたぬきち、白眼を剥かないの。
『わかってはいるけど出鱈目だあぁ』
うるさいよ。
文句は余計な力を遺伝させたご先祖と、勝手に強化させた神様連中に言ってくれ。
………
動物達には水を平皿に、僕と神様にはお茶碗で冷たい抹茶を淹れて、マンゴーゼリーを茶店の外に持っていくと。
裸の若い女性が、御狐様に跨った荼枳尼天に深々とお辞儀をしていた……。
何この状況?
「雌だったか。」
「くにゃ」
''雌''と言う言葉に、何やらケッタイな気配を感じたので、そっちは無視して縁台に作ったオヤツを並べよう。
「無視しないでよ。」
「うちは女性は余ってるの。まったく、人化したならそう言えっての。」
厨房に戻って抹茶をもう一杯淹れてこないとならないじゃないか。
そう。
青木さんより少し背が高くて、おっぱいがロケットみたいになっている女性は大口真神こと、うちの馬だった。
俺俺言ってたから、狼の雄だと思ってたぞ。
俺っ娘娘ってか?
そもそも大口真神って、人間が勝手に狼を神様に祀りあげた「下から」神様なので、神話も無ければ信仰も局地的なお手軽神様なんだよね。
「どうでも良いけど、せめて下を隠せ。」
毛が丸見えだ。
「おぉ、美味そうじゃの。」
「くにゃ」
「わふ」
「ひぅ」
「くぅ」
「くぅ」
「くぅ」
たちまち集まってくる荼枳尼天と眷属達。
ぶつくさ言いながら、この時間を僕はとても楽しんでいる。
僕の作ったものを美味しいと言ってくれる仲間達と食べるんだよ。
「あ、あの。出来れば俺を無視しないで。俺にかまって。」
あと、なんで僕の周りは構ってちゃんしかいないんだろう。
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