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第二章 戦
行っちゃった
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「あの、アズサはどうなんですか?」
アズサの視線に合わせる為にしゃがんでいると、頭の上から飼育員さんが声を掛けてきた。
それは良いのだけど、彼女の顔が迫って来たのを知った狸兄妹が僕の両肩に立って、前脚を髪の毛に絡ませている。
飼育員さんへの挨拶をしているつもりらしい。でも、両肩から狸を生やしている僕の姿はなんなんだ。
くすっ
ほら、アクリル板越しに向かい合っている、もう1匹の狸に笑われた。
「もう大丈夫ですよ。ぽん太に対する警戒心も薄れた様です。」
「そうですか。」
「でしたらアクリル板を外してしまいましょう。」
などと園長さんが言い出しそうでちょっとアレだったのだけど、やっぱりか。
そしてやっぱり僕は狸塗れになるのか。
なまじしゃがんでいた為にアズサまで僕に飛び付いて来た。
「大丈夫そうですね。」
「そうですね、彼がいればアズサは大丈夫でしょう。」
僕が居る事が前提になってるぞ、こら。
そして玉が、こっそり堂々と僕の前に回り込んで来た。
ここまで玉が殆ど喋らなかったのは、写真撮影で忙しかったから。
スマホと違い、カメラで写真を撮るって行為が楽しいらしい。
「あとで佳奈さんに、ぽすたぁにしてもらうのです。」
「もう少し格好付けさせて欲しいなぁ。」
玉の接近に気がついたアズサが僕からヒョイと降りて、玉の前でお座りをする。
「玉、お手。」
「玉はわんこじゃありませんよ。」
そう言いながらも左手を出すと、アズサがお手を返してくる。
「アズサって芸を仕込んでましたっけ?」
「そもそも野生動物に芸をさせる様な真似は、何処の動物園もしませんよ。」
「やっぱりこのお客様達がおかしいのかなぁ。」
素人を畜舎の中に入れて、自由に触らせて(触られて)いる動物園の園長と飼育員が言っていい言葉じゃないぞう。
とりあえず、ぽん太とアズサのペアリングには問題無さそうだ。
あとは僕ではなく、動物園の仕事なので玉を急かして外に出た。
一瞬アズサが声を上げかけたけど、ぽん子が軽く猫パンチ(狸パンチ)をするとだまった。
『お父さんなら、また来てくれるから。』
『お父さんなの?』
『あの人の周りに居る動物はみんなあの人をお父さんって呼ぶのよ。』
僕は浅葱の動物達に、勝手にお父さんにされているらしい。
小動物だけならともかく、ルリビタキが越して来てからというもの矢鱈増えている小鳥達にお父さんと呼ばれるのはしんどそうだ。
モルモットや山鳥、ハクセキレイの仔には本当のお父さんがいるのに、その本当のお父さんからもお父さんと言われるのかね。
「頑張って下さいね。殿改めお父さん。」
「玉にお父さんと呼ばれると、世間体的に宜しくないので勘弁してください。」
「ぶーぶーです。」
「じゃあな。」
「また、遊びに行きますね。」
ぽん子の引越しまで僕が関わるわけにもいかないので、千葉市動物公園の係の人がぽん子を檻に入れる。
というか、ぽん子は自分からトコトコ歩いて檻に入って行った。
兄が使っていたタオル(布切れ)を差し入れると、その上に丸くなって一休み。
「あれだけぽん太と仲良かったのに、随分ドライね。」
ぽん太が入院中、すっかり元気をなくしていて、心配が絶えなかった飼育員さんは少し不満そうだ。
「何かご存知ですか?」
一木さんが話しかけてきた。
千葉市動物公園の担当者も首を傾げている。
「狸は頭いいですからねぇ。アズサが来た段階でもう勘付いていた様ですよ。狸の交換って初めてではないのでしょう?」
「まぁ、市町村単位が経営する動物園は予算も限られていますから、繁殖の為の畜交換は珍しくありませんよ。」
「それは当然、狸以外でも?」
「例えば日本猿など社会性の高い動物は難しいですが、群れが家族単位の動物は大体そうなります。そう言った動物は巣立ちますから。」
「網の外を見ていたぽん子も、他の動物達の交換を見ていたんですよ。自分か兄が他所に出されるって知っていたんです。」
実際、僕と玉が初めてここに来た時には、ぽん子はもう知っていた訳だけど。
「そこに新しく雌が来たと。」
「そういう事ですね。ぽん子は巣立ちをしなければならないとわかっていたんです。ぽん太との別れは済んでいるんじゃないですか?」
「ははぁ、なるほど。」
「どうしてこのお客様は、実際に世話している私よりも狸の気持ちがわかるのだろう。」
「だから、この人に狸が懐くんですよ。是非うちに来て欲しいなぁ。」
また始まったので、僕らはあっさり逃げ出した。
ぽん太もぽん子もアズサも、特に騒ぐ事無く見送ってくれた。
とはいえ、一応駐車場で待っていたら、千葉市動物公園のロゴ入りワゴンがクラクションを一つ鳴らしてくれた。
帰ったら、ぽん子を可愛がってあげようか。
★ ★ ★
「行っちゃいました。」
「だな。」
「追いかけますか?」
「引越し先の動物園の場所は知ってるよ。でも今日はぽん子を落ち着かせる方が先だよ。公開は当分先だから、浅葱のぽん子を相手にした方が良い。」
あの2匹は繋がっているから。
「ですね。…なんか不思議です。」
「何が?」
「ぽん子ちゃんがお母さんのところにいる事もあるせいだと思いますけど、全然寂しくありません。ぽん太くんやアズサちゃんは寂しくないんでしょうか?」
「そこら辺は動物だから。」
キーを回してエンジンをかける。
「人間もそうだけど、別れても寂しく無い事ってあるんだよ。性格にもよるけどね。」
「玉はどうだったのかなぁ。お母さんに逢う事に夢中で、お友達とちゃんとご挨拶してないです。」
「前に玉の家に行った時は、友達がいたけど話しかけなかったね。」
「今の玉なら大丈夫です。ね、殿。今度また連れて行って下さい。」
「その為には、しずさんをどうするか、玉をどうするか決めないとな。」
いきなりいなくなった親娘が、突然僕のような怪しい男を連れて帰って来たとして、ご近所さんに言い訳が立たないと厄介な事になる。
だったら、玉の時代からいなくなる方が良い。
神隠しとか人攫いとか、言い切られれば信じざるを得ない時代だし。
この迂闊な約束が、僕らの運命を大きく変える事になるのだけど、それはまだ「少し」先の事。
さて、今日の午後は何をして過ごそうか。
★ ★ ★
乗馬した。
する羽目になった。
洗濯物を取り込んだ事で、差し当たり家事が無くなった玉は、早速ぽん子に会いに行った。
僕はと言うと。
履歴書も書き終わった。
晩御飯は、鉄板海鮮焼のチーズフォンデュに決めた。
これは帰りになんとはなしに寄ったスーパーで美味しそうなチーズをみつけたから。
なので、鉄板は一度油を敷いて熱を通してある。
さぁ、今日の午後はグタグタしようとベッドに寝転がったら、玉が降って来たんだ。
水晶からの帰還の時、普通ならば和室の違い棚に置かれた水晶の前に空間移動してくるのだけど、緊急の用事がある時は何故か玉は僕の直ぐ側に現れる。
こうやってベッドに横になっていると、僕の真上に現れる事になる。
割と迷惑だ。
「殿、神様が呼んでます。」
ローティーンの少女に顔面騎乗されている訳だけど、作業着代わりのジーンズを履いているので、色っぽいどころか顔が痛い。
「ひゃまおほたいはらのいて。」
「なんですと!玉が重たいと!」
コロン。
「ぷはぁ。」
玉をお腹の方に転がして、ようやく気道が確保出来た。
「訂正して下さい、玉は重く無いです。」
そのまんま僕は玉に襟を掴まれて、左右にも揺さぶられた。
最近、こう言うの多いな。
………
「こんにちは婿殿。昨日ぶりですね。」
「こんにちはしずさん。今日は今まで忙しかったから、このまま昼寝でもしてようかと思っていました。」
「わふ!」
「お前にはさっきまで会ってたろ!」
挨拶早々、こちらのぽん子に怒られた。
表のぽん子と裏のぽん子は、別々にお相手をしなければならないらしい。
仕方ない。
抱っこしてあげると、顔中舐めまわされた。
なんだかな。
「ひひん」
ぽん子と遊んでいたら、神馬がやって来た。
あとモーちゃんもう一緒に。
「お蜜柑あげますねぇ。」
食べても食べても減らない蜜柑は、動物達のおやつ。
玉が蜜柑を剥いて、モーちゃんにも上げている。
なんだこれ。
ちょっとカオス過ぎない?
「婿殿、馬に乗って下さいな。」
「しずさん、いくら神馬が小さいからと言って、沓も鎧もない馬には…
「大丈夫。」
食い気味だ。
「婿殿のお力と、神馬様のお力があれば経験なぞ必要ありません。とにかく乗って下さい。」
「と、言われましても。」
神馬の首筋を軽く叩くと、少し身体を沈めてくれた。
なるほど、これならば軽く飛び乗ればイケル、か?
神に呼び出されて、その神様の巫女の指示で神馬に乗る。
何かの意味があるのだろう。
仕方ないな。
「痛かったらごめんな。」
「ひん」
「よっと!」
軽く地面を蹴ると、右脚を水平に上げて神馬の身体を超えた。
跨る事に成功すると、神馬は勝手に歩き出した。
芝生から長屋門に続く玉砂利のに上を。
やがて長屋門を潜ると、僕を乗せた神馬は猛烈な勢いで走り出した。
浅葱屋敷の敷地表に面した、硬く踏み締められた街道を。
僕の知る限り南の方角に。
全力で。
アズサの視線に合わせる為にしゃがんでいると、頭の上から飼育員さんが声を掛けてきた。
それは良いのだけど、彼女の顔が迫って来たのを知った狸兄妹が僕の両肩に立って、前脚を髪の毛に絡ませている。
飼育員さんへの挨拶をしているつもりらしい。でも、両肩から狸を生やしている僕の姿はなんなんだ。
くすっ
ほら、アクリル板越しに向かい合っている、もう1匹の狸に笑われた。
「もう大丈夫ですよ。ぽん太に対する警戒心も薄れた様です。」
「そうですか。」
「でしたらアクリル板を外してしまいましょう。」
などと園長さんが言い出しそうでちょっとアレだったのだけど、やっぱりか。
そしてやっぱり僕は狸塗れになるのか。
なまじしゃがんでいた為にアズサまで僕に飛び付いて来た。
「大丈夫そうですね。」
「そうですね、彼がいればアズサは大丈夫でしょう。」
僕が居る事が前提になってるぞ、こら。
そして玉が、こっそり堂々と僕の前に回り込んで来た。
ここまで玉が殆ど喋らなかったのは、写真撮影で忙しかったから。
スマホと違い、カメラで写真を撮るって行為が楽しいらしい。
「あとで佳奈さんに、ぽすたぁにしてもらうのです。」
「もう少し格好付けさせて欲しいなぁ。」
玉の接近に気がついたアズサが僕からヒョイと降りて、玉の前でお座りをする。
「玉、お手。」
「玉はわんこじゃありませんよ。」
そう言いながらも左手を出すと、アズサがお手を返してくる。
「アズサって芸を仕込んでましたっけ?」
「そもそも野生動物に芸をさせる様な真似は、何処の動物園もしませんよ。」
「やっぱりこのお客様達がおかしいのかなぁ。」
素人を畜舎の中に入れて、自由に触らせて(触られて)いる動物園の園長と飼育員が言っていい言葉じゃないぞう。
とりあえず、ぽん太とアズサのペアリングには問題無さそうだ。
あとは僕ではなく、動物園の仕事なので玉を急かして外に出た。
一瞬アズサが声を上げかけたけど、ぽん子が軽く猫パンチ(狸パンチ)をするとだまった。
『お父さんなら、また来てくれるから。』
『お父さんなの?』
『あの人の周りに居る動物はみんなあの人をお父さんって呼ぶのよ。』
僕は浅葱の動物達に、勝手にお父さんにされているらしい。
小動物だけならともかく、ルリビタキが越して来てからというもの矢鱈増えている小鳥達にお父さんと呼ばれるのはしんどそうだ。
モルモットや山鳥、ハクセキレイの仔には本当のお父さんがいるのに、その本当のお父さんからもお父さんと言われるのかね。
「頑張って下さいね。殿改めお父さん。」
「玉にお父さんと呼ばれると、世間体的に宜しくないので勘弁してください。」
「ぶーぶーです。」
「じゃあな。」
「また、遊びに行きますね。」
ぽん子の引越しまで僕が関わるわけにもいかないので、千葉市動物公園の係の人がぽん子を檻に入れる。
というか、ぽん子は自分からトコトコ歩いて檻に入って行った。
兄が使っていたタオル(布切れ)を差し入れると、その上に丸くなって一休み。
「あれだけぽん太と仲良かったのに、随分ドライね。」
ぽん太が入院中、すっかり元気をなくしていて、心配が絶えなかった飼育員さんは少し不満そうだ。
「何かご存知ですか?」
一木さんが話しかけてきた。
千葉市動物公園の担当者も首を傾げている。
「狸は頭いいですからねぇ。アズサが来た段階でもう勘付いていた様ですよ。狸の交換って初めてではないのでしょう?」
「まぁ、市町村単位が経営する動物園は予算も限られていますから、繁殖の為の畜交換は珍しくありませんよ。」
「それは当然、狸以外でも?」
「例えば日本猿など社会性の高い動物は難しいですが、群れが家族単位の動物は大体そうなります。そう言った動物は巣立ちますから。」
「網の外を見ていたぽん子も、他の動物達の交換を見ていたんですよ。自分か兄が他所に出されるって知っていたんです。」
実際、僕と玉が初めてここに来た時には、ぽん子はもう知っていた訳だけど。
「そこに新しく雌が来たと。」
「そういう事ですね。ぽん子は巣立ちをしなければならないとわかっていたんです。ぽん太との別れは済んでいるんじゃないですか?」
「ははぁ、なるほど。」
「どうしてこのお客様は、実際に世話している私よりも狸の気持ちがわかるのだろう。」
「だから、この人に狸が懐くんですよ。是非うちに来て欲しいなぁ。」
また始まったので、僕らはあっさり逃げ出した。
ぽん太もぽん子もアズサも、特に騒ぐ事無く見送ってくれた。
とはいえ、一応駐車場で待っていたら、千葉市動物公園のロゴ入りワゴンがクラクションを一つ鳴らしてくれた。
帰ったら、ぽん子を可愛がってあげようか。
★ ★ ★
「行っちゃいました。」
「だな。」
「追いかけますか?」
「引越し先の動物園の場所は知ってるよ。でも今日はぽん子を落ち着かせる方が先だよ。公開は当分先だから、浅葱のぽん子を相手にした方が良い。」
あの2匹は繋がっているから。
「ですね。…なんか不思議です。」
「何が?」
「ぽん子ちゃんがお母さんのところにいる事もあるせいだと思いますけど、全然寂しくありません。ぽん太くんやアズサちゃんは寂しくないんでしょうか?」
「そこら辺は動物だから。」
キーを回してエンジンをかける。
「人間もそうだけど、別れても寂しく無い事ってあるんだよ。性格にもよるけどね。」
「玉はどうだったのかなぁ。お母さんに逢う事に夢中で、お友達とちゃんとご挨拶してないです。」
「前に玉の家に行った時は、友達がいたけど話しかけなかったね。」
「今の玉なら大丈夫です。ね、殿。今度また連れて行って下さい。」
「その為には、しずさんをどうするか、玉をどうするか決めないとな。」
いきなりいなくなった親娘が、突然僕のような怪しい男を連れて帰って来たとして、ご近所さんに言い訳が立たないと厄介な事になる。
だったら、玉の時代からいなくなる方が良い。
神隠しとか人攫いとか、言い切られれば信じざるを得ない時代だし。
この迂闊な約束が、僕らの運命を大きく変える事になるのだけど、それはまだ「少し」先の事。
さて、今日の午後は何をして過ごそうか。
★ ★ ★
乗馬した。
する羽目になった。
洗濯物を取り込んだ事で、差し当たり家事が無くなった玉は、早速ぽん子に会いに行った。
僕はと言うと。
履歴書も書き終わった。
晩御飯は、鉄板海鮮焼のチーズフォンデュに決めた。
これは帰りになんとはなしに寄ったスーパーで美味しそうなチーズをみつけたから。
なので、鉄板は一度油を敷いて熱を通してある。
さぁ、今日の午後はグタグタしようとベッドに寝転がったら、玉が降って来たんだ。
水晶からの帰還の時、普通ならば和室の違い棚に置かれた水晶の前に空間移動してくるのだけど、緊急の用事がある時は何故か玉は僕の直ぐ側に現れる。
こうやってベッドに横になっていると、僕の真上に現れる事になる。
割と迷惑だ。
「殿、神様が呼んでます。」
ローティーンの少女に顔面騎乗されている訳だけど、作業着代わりのジーンズを履いているので、色っぽいどころか顔が痛い。
「ひゃまおほたいはらのいて。」
「なんですと!玉が重たいと!」
コロン。
「ぷはぁ。」
玉をお腹の方に転がして、ようやく気道が確保出来た。
「訂正して下さい、玉は重く無いです。」
そのまんま僕は玉に襟を掴まれて、左右にも揺さぶられた。
最近、こう言うの多いな。
………
「こんにちは婿殿。昨日ぶりですね。」
「こんにちはしずさん。今日は今まで忙しかったから、このまま昼寝でもしてようかと思っていました。」
「わふ!」
「お前にはさっきまで会ってたろ!」
挨拶早々、こちらのぽん子に怒られた。
表のぽん子と裏のぽん子は、別々にお相手をしなければならないらしい。
仕方ない。
抱っこしてあげると、顔中舐めまわされた。
なんだかな。
「ひひん」
ぽん子と遊んでいたら、神馬がやって来た。
あとモーちゃんもう一緒に。
「お蜜柑あげますねぇ。」
食べても食べても減らない蜜柑は、動物達のおやつ。
玉が蜜柑を剥いて、モーちゃんにも上げている。
なんだこれ。
ちょっとカオス過ぎない?
「婿殿、馬に乗って下さいな。」
「しずさん、いくら神馬が小さいからと言って、沓も鎧もない馬には…
「大丈夫。」
食い気味だ。
「婿殿のお力と、神馬様のお力があれば経験なぞ必要ありません。とにかく乗って下さい。」
「と、言われましても。」
神馬の首筋を軽く叩くと、少し身体を沈めてくれた。
なるほど、これならば軽く飛び乗ればイケル、か?
神に呼び出されて、その神様の巫女の指示で神馬に乗る。
何かの意味があるのだろう。
仕方ないな。
「痛かったらごめんな。」
「ひん」
「よっと!」
軽く地面を蹴ると、右脚を水平に上げて神馬の身体を超えた。
跨る事に成功すると、神馬は勝手に歩き出した。
芝生から長屋門に続く玉砂利のに上を。
やがて長屋門を潜ると、僕を乗せた神馬は猛烈な勢いで走り出した。
浅葱屋敷の敷地表に面した、硬く踏み締められた街道を。
僕の知る限り南の方角に。
全力で。
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