181 / 231
第二章 戦
殿と巫女さん2
しおりを挟む
「玉。…た、ま?」
「なんですか?」
あぁと。
顔を上げたら、玉が青木さんを上四方固めで抑え込んでいるんだけど。
「むうむうむう。」
小さな玉に極められて、バタバタ暴れ出す23歳OL。近所迷惑だから辞めなさい。
………
「童話、ですか?」
「そうだ。」
改めて2人をきちんと座らせると、玉のノートと「ぼくは王さま」を目の前に並べた。
「あぁまぁ。ぶっちゃけてしまえば、僕も玉の話を読むのは辛いだろうなって思う。」
「はぁ。」
「何故玉ちゃんに寝技で負けたんだろう。」
「なんとなく?」
「なんとなくで負けたか私。」
「そこでだ。」
「どこですか?」
「あ、ポテトがまだ丸々残ってた。オーブン借りるね。」
話を聞いて欲しいなぁ。
………
「僕が玉に初めて逢った日の事を覚えているかい?」
「勿論です!」
どかどかどかどか、と玉が乗り出して、いや玉が僕の襟元を掴んで振り回す。
「玉が忘れる訳ありません。あの時、玉は久しぶりに気持ちを取り戻したんです。玉が願った事をたちまち叶えてくれたんです。」
ええと。
お稲荷さんを作ったのと、クレンザーを出した事くらいしか覚えてないや。
「うん。あれから玉は笑う事が増えた。勿論しずさんに逢えなくて泣いていた事も知ってる。でも、この家に来て笑ってくれた。ずっとはしゃいで僕の家族になろうと一生懸命になってくれた。」
「だって、玉は嬉しかったんですよ。ああなったらいいなぁ、こうなったらいいなぁって思ってた事、殿は全部叶えてくれましたし。玉みたいな得体の知れない子にも、いつも真剣に優しく接してくれます。だから玉はいつも殿のお役に立ちたいなぁってずっと思ってるんです。」
状況に流されただけだけで、そこまで真摯に玉と向き合ってきたのかは自分でも怪しいから、何も言わない方がいいよね。
「だからそこから書いてみないか。」
ぼくは王さまの本を取る。
「この本みたいに、子供向けに書いてみるんだ。」
「でも、玉は、玉の気持ちを全部知って欲しいです。だから玉が一番悲しかったところから書き始めたんです。殿に読んで欲しくて。」
それで僕が読めなかったり、青木さんが号泣し出したりは本末転倒だ。
「そこはまだいい。」
「まだ?ですか?」
「うん。玉がめでたしめでたしになってから、つまり玉が本当に幸せになってから読むよ。」
「はぁ。」
「玉が真の幸せを掴んだ時に、玉が改めて書くんだ。そうすれば、僕も青木さんも安心して読める。ハッピーエンドが確定してからならね。」
「ほれ。」
むぐ。
青木さんが口の中に何かを放り込んだ、
じゃがいも、あぁフライドチキンセットの付け合わせか。
そういえば、食べてなかったな。
「オーブンレンジで温め直して、岩塩を加えたの。表面カリカリ中はしんなり。冷めたポテトでも美味しいでしょ。」
「もぐもぐ。」
いつものオノマトペ付きの咀嚼音は、向かいに座る玉からだ。
「私もね、辛い話は読みたく無いなあ。最後が幸せな結末になるにしてもね。有限な時間の中で読書を楽しむなら、楽しい時間を過ごしたいもん。だから''みにくいアヒルの子“とか大嫌い。」
その題名は、コンプライアンスがうるさい現代で大丈夫なのだろうか。
「ましてや親友の辛い話よ。しかも誰が悪いのかわからない。明確な悪がわからない体験談なんか、誰にやつ当たればいいのかわからない!」
多分、玉の辛い経験には「浅葱の力」が
深く関わっているらしいけど、言ったら玉に怒られるから言わない。
「でもさ。私も知りたいな。貴方達がどうやって知り合って、どうやって仲良くなったか。」
(あと、私がどう見られているか)
最後のは、聞こえるか聞こえないか微妙な小声。
この人、実は小心者で打たれ弱い面もあるのかな?
「何よりも、お父さんとお母さんの出会いの場面だから、玉ちゃん。先ずはそこから始めましょう。」
はい?
「なるほど!」
はいぃ?
ええと。
話が変な方向に行き始めたけど、なんか言ったら怒られそうだから、黙ってよう。
こうして玉は、新しくページを開いて、今度は楷書で書き始める。
なんだかなぁ。
★ ★ ★
芋か。
最初はよく実がつくから栽培した。
さつまいもは甘味となるから、特にしずさんの住む浅葱の水晶では力を入れていた。
インチキパワーで電気が引けて、更なるハイパーインチキパワーで冷蔵庫を置いちゃったので、作り過ぎてしまう実は蒸して動物達のご飯にしているそうだ。
保存は効くし、そんな消費の仕方は良いだろう。
何より、しずさんが畑の実りで作る栗と芋で作る饅頭は、みんな大好きだし。
今まで作ったのは大学芋と焼き芋、天ぷらか。
さて、他には…
「玉ちゃん、なんかテンション高く無い?」
「久しぶりに会話しましたし、そもそも男の人と話す事のも初めてでした。お父さんの記憶が残って無いので。その人が優しい人でしたから、玉は嬉しくて甘えちゃってんです。」
芋けんぴとかはどうだろう。
干し芋は、どちらでも作れるし。
「でもこのお社って、たぬちゃんとこの神社でいいの?」
「お社はそのままですよ。お茶店は佳奈さんが閉じ籠められていたお店よりは随分殿が変えちゃいましたけど。」
「でもさ、玉ちゃんの文章だと、壁は岩じゃなくて土だよね。」
「元々裏の山に掘った穴に建てたそうです。玉の頃は玉の家の隣にありましたけど。」
「菊地さん、どう言う事って、なんでスマホ見てるのよ。今大切な打ち合わせをしてるのに!」
「ん?」
しまった。見つかった。
「さつまいも料理を調べているだけだよ。」
「なんで今?」
「なんとなく。」
「この駄目亭主!」.
とうとう旦那さんから駄目亭主に昇格してしまった。
「僕は知らないよ。確かに僕は下総台地の中にあった祠で、玉と社を見つけたし、その時は台地の中の隠れ家、あぁほら、鎌倉の銭洗弁天みたいなものだった。信仰や社会情勢に合わせて建物を隠すって事は珍しくない。砦と考えれば想像はつくだろう。」
「なるほど。」
「僕が玉に逢った時は赤土の壁だった。それが今の岩壁に変わった理由は一つしかないだろう。」
「神様、ですか?」
「そうだ。」
玉の言葉に、スマホの画面を見っぱなしで答える。
「この間、荼枳尼天も一言主も、あの社を庵と言った。勿論神様達には立派な寺社が、豊川と奈良にある。拝殿すらない本殿一間のうちよりは立派な建物だ。
僕らも成田や常総市で分社を見ただろう。」
「はい。」
「はい。」
「うちの氏神だった一言主はともかく、荼枳尼天は聖域を自身が癒される場として自らいじっているんだよ。」
ま、推測でしか無いけどね。
でも、取水口の高さを勝手に変えて、小さな滝を作ったりしてるんだ。
崩れやすい赤土を岩壁に変える事くらいするだろう。
あ、さつまいもチップスか。
久しぶりに見るなぁ。
なるほど、チーズ◯ットと半年ごとに販売を入れ替えているのか。
「ふむふむ。そうか。たぬちゃんの方は菊地さんと神様が手を加えているのか。」
「そういえばそうですね。最近ではお掃除しても塵一つ落ちてません。あと、木の葉も落ちてませんねぇ。紅葉が赤くなっているのに。」
「あ、玉ちゃん、ちょっと待ってて。」
「ん?はい、です。」
どたばたと青木さんが出て行った。
なんだかなぁ。(今日2回目)
★ ★ ★
「じゃじゃん。」
すぐ戻って来た青木さんが僕らに見せつけたのは色鉛筆と黄色いスケッチブック。
「最近始めたのよね。玉ちゃんが筑波山の展望台から離れなれなくなったり、貴方がなんとかって言う村を昔作ったりして、その風景を描き留めたいなぁって。」
彼女がめくるスケッチブックには、伊香保温泉の風景や、モーちゃんと遊ぶしずさんの姿が描かれていた。
「まだデジカメの模写なんだけどね。玉ちゃんが文章を書くなら、私は挿絵を描こうかなって。」
はぁ。
「この色鉛筆、買ったばかりでまだ使ってないけど、水彩画になるんだよ。」
芋けんぴは、100円ショップで買った事があるし、干し芋も北関東の農家に分けて貰った事あったな。
あれは、担保物権の評価に現物調査しに行った時かな。
レンジで温めるだけで美味かった。
「だから文・玉ちゃん、絵・私で作品にしちゃおうかなって。」
「なるほど、それは面白いです!」
「でしょ!」
ほい!
おお、とあるヤ◯ザキ系のコンビニでよく見たシリーズだ。
干し芋は、茨城産缶入りの最高級ギフト品じゃ無いか。
これを食べながら、新しいレシピを考えてみるか。
「あぁそうだ。玉、青木さん。」
「はい?」
「なんですか、殿。」
「僕らの名前をひょいひょい出さないように。」
「は?」
「はい?」
文章の内容と、聞き取りから青木さんが挿絵を描いて僕のところに持って来たのは、それから2日後の事だった。
そこには、なんだか別人みたいな二枚目な男と、少し背の縮んだ女の子が描かれていた。
題名は「殿と巫女さん」
僕は文章と挿絵をOCRで取り込んで、簡単な絵本に編集した。
製本するには原稿が全然足りないけど、これはこれで一つの作品としてPC上で見る分には問題ない。
そのうちに印刷して、しずさんのところに持って行こう。
「なんですか?」
あぁと。
顔を上げたら、玉が青木さんを上四方固めで抑え込んでいるんだけど。
「むうむうむう。」
小さな玉に極められて、バタバタ暴れ出す23歳OL。近所迷惑だから辞めなさい。
………
「童話、ですか?」
「そうだ。」
改めて2人をきちんと座らせると、玉のノートと「ぼくは王さま」を目の前に並べた。
「あぁまぁ。ぶっちゃけてしまえば、僕も玉の話を読むのは辛いだろうなって思う。」
「はぁ。」
「何故玉ちゃんに寝技で負けたんだろう。」
「なんとなく?」
「なんとなくで負けたか私。」
「そこでだ。」
「どこですか?」
「あ、ポテトがまだ丸々残ってた。オーブン借りるね。」
話を聞いて欲しいなぁ。
………
「僕が玉に初めて逢った日の事を覚えているかい?」
「勿論です!」
どかどかどかどか、と玉が乗り出して、いや玉が僕の襟元を掴んで振り回す。
「玉が忘れる訳ありません。あの時、玉は久しぶりに気持ちを取り戻したんです。玉が願った事をたちまち叶えてくれたんです。」
ええと。
お稲荷さんを作ったのと、クレンザーを出した事くらいしか覚えてないや。
「うん。あれから玉は笑う事が増えた。勿論しずさんに逢えなくて泣いていた事も知ってる。でも、この家に来て笑ってくれた。ずっとはしゃいで僕の家族になろうと一生懸命になってくれた。」
「だって、玉は嬉しかったんですよ。ああなったらいいなぁ、こうなったらいいなぁって思ってた事、殿は全部叶えてくれましたし。玉みたいな得体の知れない子にも、いつも真剣に優しく接してくれます。だから玉はいつも殿のお役に立ちたいなぁってずっと思ってるんです。」
状況に流されただけだけで、そこまで真摯に玉と向き合ってきたのかは自分でも怪しいから、何も言わない方がいいよね。
「だからそこから書いてみないか。」
ぼくは王さまの本を取る。
「この本みたいに、子供向けに書いてみるんだ。」
「でも、玉は、玉の気持ちを全部知って欲しいです。だから玉が一番悲しかったところから書き始めたんです。殿に読んで欲しくて。」
それで僕が読めなかったり、青木さんが号泣し出したりは本末転倒だ。
「そこはまだいい。」
「まだ?ですか?」
「うん。玉がめでたしめでたしになってから、つまり玉が本当に幸せになってから読むよ。」
「はぁ。」
「玉が真の幸せを掴んだ時に、玉が改めて書くんだ。そうすれば、僕も青木さんも安心して読める。ハッピーエンドが確定してからならね。」
「ほれ。」
むぐ。
青木さんが口の中に何かを放り込んだ、
じゃがいも、あぁフライドチキンセットの付け合わせか。
そういえば、食べてなかったな。
「オーブンレンジで温め直して、岩塩を加えたの。表面カリカリ中はしんなり。冷めたポテトでも美味しいでしょ。」
「もぐもぐ。」
いつものオノマトペ付きの咀嚼音は、向かいに座る玉からだ。
「私もね、辛い話は読みたく無いなあ。最後が幸せな結末になるにしてもね。有限な時間の中で読書を楽しむなら、楽しい時間を過ごしたいもん。だから''みにくいアヒルの子“とか大嫌い。」
その題名は、コンプライアンスがうるさい現代で大丈夫なのだろうか。
「ましてや親友の辛い話よ。しかも誰が悪いのかわからない。明確な悪がわからない体験談なんか、誰にやつ当たればいいのかわからない!」
多分、玉の辛い経験には「浅葱の力」が
深く関わっているらしいけど、言ったら玉に怒られるから言わない。
「でもさ。私も知りたいな。貴方達がどうやって知り合って、どうやって仲良くなったか。」
(あと、私がどう見られているか)
最後のは、聞こえるか聞こえないか微妙な小声。
この人、実は小心者で打たれ弱い面もあるのかな?
「何よりも、お父さんとお母さんの出会いの場面だから、玉ちゃん。先ずはそこから始めましょう。」
はい?
「なるほど!」
はいぃ?
ええと。
話が変な方向に行き始めたけど、なんか言ったら怒られそうだから、黙ってよう。
こうして玉は、新しくページを開いて、今度は楷書で書き始める。
なんだかなぁ。
★ ★ ★
芋か。
最初はよく実がつくから栽培した。
さつまいもは甘味となるから、特にしずさんの住む浅葱の水晶では力を入れていた。
インチキパワーで電気が引けて、更なるハイパーインチキパワーで冷蔵庫を置いちゃったので、作り過ぎてしまう実は蒸して動物達のご飯にしているそうだ。
保存は効くし、そんな消費の仕方は良いだろう。
何より、しずさんが畑の実りで作る栗と芋で作る饅頭は、みんな大好きだし。
今まで作ったのは大学芋と焼き芋、天ぷらか。
さて、他には…
「玉ちゃん、なんかテンション高く無い?」
「久しぶりに会話しましたし、そもそも男の人と話す事のも初めてでした。お父さんの記憶が残って無いので。その人が優しい人でしたから、玉は嬉しくて甘えちゃってんです。」
芋けんぴとかはどうだろう。
干し芋は、どちらでも作れるし。
「でもこのお社って、たぬちゃんとこの神社でいいの?」
「お社はそのままですよ。お茶店は佳奈さんが閉じ籠められていたお店よりは随分殿が変えちゃいましたけど。」
「でもさ、玉ちゃんの文章だと、壁は岩じゃなくて土だよね。」
「元々裏の山に掘った穴に建てたそうです。玉の頃は玉の家の隣にありましたけど。」
「菊地さん、どう言う事って、なんでスマホ見てるのよ。今大切な打ち合わせをしてるのに!」
「ん?」
しまった。見つかった。
「さつまいも料理を調べているだけだよ。」
「なんで今?」
「なんとなく。」
「この駄目亭主!」.
とうとう旦那さんから駄目亭主に昇格してしまった。
「僕は知らないよ。確かに僕は下総台地の中にあった祠で、玉と社を見つけたし、その時は台地の中の隠れ家、あぁほら、鎌倉の銭洗弁天みたいなものだった。信仰や社会情勢に合わせて建物を隠すって事は珍しくない。砦と考えれば想像はつくだろう。」
「なるほど。」
「僕が玉に逢った時は赤土の壁だった。それが今の岩壁に変わった理由は一つしかないだろう。」
「神様、ですか?」
「そうだ。」
玉の言葉に、スマホの画面を見っぱなしで答える。
「この間、荼枳尼天も一言主も、あの社を庵と言った。勿論神様達には立派な寺社が、豊川と奈良にある。拝殿すらない本殿一間のうちよりは立派な建物だ。
僕らも成田や常総市で分社を見ただろう。」
「はい。」
「はい。」
「うちの氏神だった一言主はともかく、荼枳尼天は聖域を自身が癒される場として自らいじっているんだよ。」
ま、推測でしか無いけどね。
でも、取水口の高さを勝手に変えて、小さな滝を作ったりしてるんだ。
崩れやすい赤土を岩壁に変える事くらいするだろう。
あ、さつまいもチップスか。
久しぶりに見るなぁ。
なるほど、チーズ◯ットと半年ごとに販売を入れ替えているのか。
「ふむふむ。そうか。たぬちゃんの方は菊地さんと神様が手を加えているのか。」
「そういえばそうですね。最近ではお掃除しても塵一つ落ちてません。あと、木の葉も落ちてませんねぇ。紅葉が赤くなっているのに。」
「あ、玉ちゃん、ちょっと待ってて。」
「ん?はい、です。」
どたばたと青木さんが出て行った。
なんだかなぁ。(今日2回目)
★ ★ ★
「じゃじゃん。」
すぐ戻って来た青木さんが僕らに見せつけたのは色鉛筆と黄色いスケッチブック。
「最近始めたのよね。玉ちゃんが筑波山の展望台から離れなれなくなったり、貴方がなんとかって言う村を昔作ったりして、その風景を描き留めたいなぁって。」
彼女がめくるスケッチブックには、伊香保温泉の風景や、モーちゃんと遊ぶしずさんの姿が描かれていた。
「まだデジカメの模写なんだけどね。玉ちゃんが文章を書くなら、私は挿絵を描こうかなって。」
はぁ。
「この色鉛筆、買ったばかりでまだ使ってないけど、水彩画になるんだよ。」
芋けんぴは、100円ショップで買った事があるし、干し芋も北関東の農家に分けて貰った事あったな。
あれは、担保物権の評価に現物調査しに行った時かな。
レンジで温めるだけで美味かった。
「だから文・玉ちゃん、絵・私で作品にしちゃおうかなって。」
「なるほど、それは面白いです!」
「でしょ!」
ほい!
おお、とあるヤ◯ザキ系のコンビニでよく見たシリーズだ。
干し芋は、茨城産缶入りの最高級ギフト品じゃ無いか。
これを食べながら、新しいレシピを考えてみるか。
「あぁそうだ。玉、青木さん。」
「はい?」
「なんですか、殿。」
「僕らの名前をひょいひょい出さないように。」
「は?」
「はい?」
文章の内容と、聞き取りから青木さんが挿絵を描いて僕のところに持って来たのは、それから2日後の事だった。
そこには、なんだか別人みたいな二枚目な男と、少し背の縮んだ女の子が描かれていた。
題名は「殿と巫女さん」
僕は文章と挿絵をOCRで取り込んで、簡単な絵本に編集した。
製本するには原稿が全然足りないけど、これはこれで一つの作品としてPC上で見る分には問題ない。
そのうちに印刷して、しずさんのところに持って行こう。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


もしもしお時間いいですか?
ベアりんぐ
ライト文芸
日常の中に漠然とした不安を抱えていた中学1年の智樹は、誰か知らない人との繋がりを求めて、深夜に知らない番号へと電話をしていた……そんな中、繋がった同い年の少女ハルと毎日通話をしていると、ハルがある提案をした……。
2人の繋がりの中にある感情を、1人の視点から紡いでいく物語の果てに、一体彼らは何をみるのか。彼らの想いはどこへ向かっていくのか。彼の数年間を、見えないレールに乗せて——。
※こちらカクヨム、小説家になろう、Nola、PageMekuでも掲載しています。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
希望が丘駅前商店街 in 『居酒屋とうてつ』とその周辺の人々
饕餮
ライト文芸
ここは東京郊外松平市にある商店街。
国会議員の重光幸太郎先生の地元である。
そんな商店街にある、『居酒屋とうてつ』やその周辺で繰り広げられる、一話完結型の面白おかしな商店街住人たちのひとこまです。
★このお話は、鏡野ゆう様のお話
『政治家の嫁は秘書様』https://www.alphapolis.co.jp/novel/210140744/354151981
に出てくる重光先生の地元の商店街のお話です。当然の事ながら、鏡野ゆう様には許可をいただいております。他の住人に関してもそれぞれ許可をいただいてから書いています。
★他にコラボしている作品
・『桃と料理人』http://ncode.syosetu.com/n9554cb/
・『青いヤツと特別国家公務員 - 希望が丘駅前商店街 -』http://ncode.syosetu.com/n5361cb/
・『希望が丘駅前商店街~透明人間の憂鬱~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/427152271
・『希望が丘駅前商店街 ―姉さん。篠宮酒店は、今日も平常運転です。―』https://www.alphapolis.co.jp/novel/172101828/491152376
・『日々是好日、希望が丘駅前商店街-神神飯店エソ、オソオセヨ(にいらっしゃいませ)』https://www.alphapolis.co.jp/novel/177101198/505152232
・『希望が丘駅前商店街~看板娘は招き猫?喫茶トムトム元気に開店中~』https://ncode.syosetu.com/n7423cb/
・『Blue Mallowへようこそ~希望が丘駅前商店街』https://ncode.syosetu.com/n2519cc/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる