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第一章 開店
またね
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「へ?殿?いきなり何を仰られるんですか?」
それまでのほほんとしていた僕の、突然変わった口調に、玉と青木さんが戸惑いだす。
まぁね。それは仕方がない。
さっきの一瞬に、もしかしたら僕らの分岐点になるかもって可能性を見出せてしまったから。
「どうなのかな。青木さん?」
彼女は改めて姿勢を糺した。
こう言う時、彼女の地頭の良さが見受けられるんだよね。彼女ほどの瞬時の空気の切り替えは、まだ若い玉には出来ない。
「私は。………私は前にも言ったけど、浅葱の人間として生きていきます。というか、もう後戻り出来なくなってる気もするし。でもそんな事より、菊地さんと玉ちゃんと、ずっと友達でいたい。縁を紡ぎたい。多分、今だけの友達で終わらせたらいけないって思うから。」
ふむ。
彼女の顔を見つめる。
いつもなら悪ふざけしたり、照れて俯いたりするのだけど、今はしっかりと見返してくれた。その目には力がある。
「だってさ。お母さん。」
「へ?」
「え?」
…玉の「へ?」って言う返事、何とかならないかねぇ。力が抜けるなぁ。
などと、緊張感の欠片も無い事を考えながら上半身をイナバウアーしながら(古い)逆さまに社の方を見る。
たぬきちが同じ格好を真似しているのが楽しい。フクロウ君は頭を180度回している。おぉ!初めて見たかも。何せこのフクロウ君、千葉の山中で逢ってからこっち、おおよそ警戒しているところを見た事ない。
川向こう、社の側に、巫女装束の中年女性が姿を表している。後ろで括られた長い黒髪。細身の身体。くりくりと真ん丸な目。
ここまではっきりと、堂々と現れた事は初めてだろう。
玉の母、「しずさん」の顕現である。
面影が何となくそれとなく玉を思わせる
「おか、あ、さん…。」
思わずよろける玉の肩を、青木さんがそっと支えてくれる。
「って事ですよ。信用して良いかと思います。
そう。
しずさんの口がそう開く。
「お母さん。お母さん。」
玉の悲痛な、呻く様な声が、ただし口の中だけで繰り返される。
しかし、玉は母に近寄ろうとはしない。
母も玉に近寄ろうとはしない。
“川の向こうに、社に寄りかかる様にして現れた母の意味を知っているからだ。“
その玉の姿を、意志を、正確に明確に読み取った母は、改めて玉に向かって微笑むと、消えて行った。
またね。
と動く口が、3人には判った。
★ ★ ★
「あの。教えてください。」
青木さんに顔を押し付けたまま、何も言わなくなった玉の代わりに、青木さんに説明を求められた。
座り込む玉の隣には、心配そうに友達を見上げるたぬきちがお座りしている。
「青木さんが、玉のお母さんに認められたって事だよ。君はさっき、浅葱の屋敷で、巫女装束だけではなく、玉のお母さんを視認出来たんだろ?」
「綺麗な女の人が、菊地さんに覆い被さろうとしているのは…。」
「あはは、まぁね。玉のお母さん、しずさんの中では、僕はもう玉の婿扱いになってて、玉の将来のあれこれを、お願いされたり、指図されたり、肝心の娘を差し置いて結構近しい関係になってるんだ。いきなり現れるとさすがに驚くから、心臓麻痺で死ぬるぞ?玉を行かず後家にしたく無ければ合図しろ~って言って、まぁさっきみたいな芸当が、僕らには出来るようになった。」
「わん」
「ひぅ」
我々野生動物にすら悟らせないとは、やるな!だって?
そりゃ、あぁそうだ。ここでは荼枳尼天がよく来るけど、たぬきちは気がついた事あるかい?
「くふぅ」
ま、そう言う事だ。謎パワーだよ。謎パワー。動物の本能を越えた謎パワーだ。
「わふ?」
何故、僕が使えるのかって?さぁ?それは僕が一番知りたい。
「そして何故、貴方は人間である私と玉ちゃんをほっといて、たぬちゃんと話してるのよ。」
だって、動物達の方が素直なんだもん
とは言えず、改めて玉達に向かい合う。
玉の姿を見たたぬきちが、改めて玉の身体のどこかに嘴?を当てたり、手を当てたりして、玉を慰めている。いい仔だ。
あぁでも、フクロウ君はやめようね。君の嘴も爪も鋭過ぎるから。
「ひぅ」
いや、ひぅじゃなくて。
★ ★ ★
「通常、お母さんが顕現しても、玉には見えてないんだよ。実際、お母さんの話では、玉が寝ているとこ、起きるところを時々見てるそうだ。」
そして玉が何してるかをバラシやがった。
「たしかに玉1人だと、まだまだ修行が足りない。でも、今は見えた。何故だと思う?いつもと何処が違う?」
「……。場所が聖域な事と、フクロウが増えた事と、あとは…私が居る事…。」
「そう言う事。君は、玉が心を許している数少ない人だから。」
大家さんや、お隣の菅原さんよりもだろう。そして、この時代に来て最初に玉を認識してくれた同性である事。メールや電話を通じて、僕以外では一番コミュニケーションを取っている人だからだ。
一番苦しい今も、側に居て欲しくて抱きついている人だから。
「お母さんは青木さんが側に居る事で、玉の能力が上乗せされるのではないか、つまり青木さんの存在がブースターになるのではないかと推測した。青木さんも浅葱の血を引く人間だからね。だから、僕に彼女は玉の友として信頼出来るのか、確かめて欲しいと頼んだんだ。普段、どんなに巫山戯ていても、君は大人になる時はきちんと大人になって玉を守ってくれている。ましてやここは聖域、神が実際に座す場所だ。嘘や誤魔化しは通用しない。」
「うわぁ。変なこと考えないで良かったああああ。」
…頗る素直で宜しいけど、大丈夫だよね?ね!
「さて、では本題に入ろう。その前に、玉?そろそろいいかな?」
「ちょっと、無理に玉ちゃんを…。」
「…大丈夫です。佳奈さん。ちょっと玉の中で整理がつかなかっただけですから。でも、たぬきち君に心配させちゃいけませんよね。」
「ほんとに大丈夫なの?」
「はい、お母さんと殿がお話しをされているのは知ってましたから。でもいきなりだったので、ビックリしただけです。ごめんね。たぬきち君。」
「わん!」
「ひぅ」
「あ、ごめんなさいフクロウさんも。」
「その前に一つ。何故玉はお母さんのところに行かなかった?」
「だって、本当に玉がお母さんと逢える資格があるなら、お母さんは玉か殿の側に来てくれる筈です。でも現れたのは川の向こう。その川は殿が作った細い川ですが、玉が超えないといけない川だと思ったんです。佳奈さん抜きで行ける様に。」
「…それはそうだけど、はっきり言われたら私なんだか寂しいな。」
「大丈夫ですよ。殿に触れない分、佳奈さんに沢山触りますから。」
「それはそれで、なんだか怪しい宣言だよ。」
★ ★ ★
「店を開いて欲しい。そう頼まれたんだ。」
「殿、それは…。」
「そう、今まで何度か話題に上がり、そのまま立ち消えになっていた話だね。」
「それを何故、玉ちゃんのお母さんが持ち出して来たのかしら?…は!娘を貰うなら働け!って言う…。」
「それは、ずっと前に言われている。」
ぶっちゃけ、働くだけなら市川市から公務員としてスカウトされてるし。
昨日動物園に行った時も、一木園長と飼育員さんに「履歴書はまだですか?」と言われて逃げ回ったし。公務員試験のテキストも取り寄せているらしい。あのね。あのですね。
「なんだかんだ、流されたりした先で、僕は淡々と開店の準備を進めていた。」
顔を上げた先には、なんか外が充実したせいで、あまり中に入らなくなった茶店がどーん!とある。どどーん!
朱傘に緋毛氈の縁台って、江戸時代にもそうそう無かろう。隠し部屋には、空間一杯の貨幣が眠ったままだし。
「だから、いずれ。何かを始める事にはなるだろうと思ってた。そのきっかけもやる気もなかっただけだ。」
「ちょっと待ちなさい。今、聞いちゃいけない3文字があったわ。」
「それも殿なのです。」
「玉ちゃん、納得しちゃ駄目なとこ!亭主の尻を叩くのは女房の役目!」
「玉は殿のお尻を物理的に叩けません。」
誰だ、玉に物理的にだとか客観的にだとか、言葉を教えた奴は。
『うふふ。』
あんたか、お母さん。
『私は別に。玉が勝手に読書で覚えただけですよ。』
誰だ玉をビブリアにしちゃったのは?
しまった。山ほど身に覚えがある。
「あぁ、だ。そう言う事で、本格的に開店に向けて動き出そうと思う。」
「はい!先生!しつもーん。」
さっきまでの神妙さは何処にやった22歳OL?
「はい、青木さん。」
「何屋を始めるの?」
「さぁ?」
「どこで店開くの?」
「さぁ?」
「オイ!」
適当な場所ないかなぁって行った先でたぬきちに出逢ったんだな。水晶を貰ったんだな。
基本的に僕は、僕らは流されていくまま。それで良ければ。
「僕についてくるかい?」
「玉はどこまでも、殿に従います。」
「ええと。会社が休みの日ならば。」
相変わらず、玉以外は、力が抜けっぱなしの一行だった。
「わん」
「ひぅ」
あー、君らも居たっけ。
それまでのほほんとしていた僕の、突然変わった口調に、玉と青木さんが戸惑いだす。
まぁね。それは仕方がない。
さっきの一瞬に、もしかしたら僕らの分岐点になるかもって可能性を見出せてしまったから。
「どうなのかな。青木さん?」
彼女は改めて姿勢を糺した。
こう言う時、彼女の地頭の良さが見受けられるんだよね。彼女ほどの瞬時の空気の切り替えは、まだ若い玉には出来ない。
「私は。………私は前にも言ったけど、浅葱の人間として生きていきます。というか、もう後戻り出来なくなってる気もするし。でもそんな事より、菊地さんと玉ちゃんと、ずっと友達でいたい。縁を紡ぎたい。多分、今だけの友達で終わらせたらいけないって思うから。」
ふむ。
彼女の顔を見つめる。
いつもなら悪ふざけしたり、照れて俯いたりするのだけど、今はしっかりと見返してくれた。その目には力がある。
「だってさ。お母さん。」
「へ?」
「え?」
…玉の「へ?」って言う返事、何とかならないかねぇ。力が抜けるなぁ。
などと、緊張感の欠片も無い事を考えながら上半身をイナバウアーしながら(古い)逆さまに社の方を見る。
たぬきちが同じ格好を真似しているのが楽しい。フクロウ君は頭を180度回している。おぉ!初めて見たかも。何せこのフクロウ君、千葉の山中で逢ってからこっち、おおよそ警戒しているところを見た事ない。
川向こう、社の側に、巫女装束の中年女性が姿を表している。後ろで括られた長い黒髪。細身の身体。くりくりと真ん丸な目。
ここまではっきりと、堂々と現れた事は初めてだろう。
玉の母、「しずさん」の顕現である。
面影が何となくそれとなく玉を思わせる
「おか、あ、さん…。」
思わずよろける玉の肩を、青木さんがそっと支えてくれる。
「って事ですよ。信用して良いかと思います。
そう。
しずさんの口がそう開く。
「お母さん。お母さん。」
玉の悲痛な、呻く様な声が、ただし口の中だけで繰り返される。
しかし、玉は母に近寄ろうとはしない。
母も玉に近寄ろうとはしない。
“川の向こうに、社に寄りかかる様にして現れた母の意味を知っているからだ。“
その玉の姿を、意志を、正確に明確に読み取った母は、改めて玉に向かって微笑むと、消えて行った。
またね。
と動く口が、3人には判った。
★ ★ ★
「あの。教えてください。」
青木さんに顔を押し付けたまま、何も言わなくなった玉の代わりに、青木さんに説明を求められた。
座り込む玉の隣には、心配そうに友達を見上げるたぬきちがお座りしている。
「青木さんが、玉のお母さんに認められたって事だよ。君はさっき、浅葱の屋敷で、巫女装束だけではなく、玉のお母さんを視認出来たんだろ?」
「綺麗な女の人が、菊地さんに覆い被さろうとしているのは…。」
「あはは、まぁね。玉のお母さん、しずさんの中では、僕はもう玉の婿扱いになってて、玉の将来のあれこれを、お願いされたり、指図されたり、肝心の娘を差し置いて結構近しい関係になってるんだ。いきなり現れるとさすがに驚くから、心臓麻痺で死ぬるぞ?玉を行かず後家にしたく無ければ合図しろ~って言って、まぁさっきみたいな芸当が、僕らには出来るようになった。」
「わん」
「ひぅ」
我々野生動物にすら悟らせないとは、やるな!だって?
そりゃ、あぁそうだ。ここでは荼枳尼天がよく来るけど、たぬきちは気がついた事あるかい?
「くふぅ」
ま、そう言う事だ。謎パワーだよ。謎パワー。動物の本能を越えた謎パワーだ。
「わふ?」
何故、僕が使えるのかって?さぁ?それは僕が一番知りたい。
「そして何故、貴方は人間である私と玉ちゃんをほっといて、たぬちゃんと話してるのよ。」
だって、動物達の方が素直なんだもん
とは言えず、改めて玉達に向かい合う。
玉の姿を見たたぬきちが、改めて玉の身体のどこかに嘴?を当てたり、手を当てたりして、玉を慰めている。いい仔だ。
あぁでも、フクロウ君はやめようね。君の嘴も爪も鋭過ぎるから。
「ひぅ」
いや、ひぅじゃなくて。
★ ★ ★
「通常、お母さんが顕現しても、玉には見えてないんだよ。実際、お母さんの話では、玉が寝ているとこ、起きるところを時々見てるそうだ。」
そして玉が何してるかをバラシやがった。
「たしかに玉1人だと、まだまだ修行が足りない。でも、今は見えた。何故だと思う?いつもと何処が違う?」
「……。場所が聖域な事と、フクロウが増えた事と、あとは…私が居る事…。」
「そう言う事。君は、玉が心を許している数少ない人だから。」
大家さんや、お隣の菅原さんよりもだろう。そして、この時代に来て最初に玉を認識してくれた同性である事。メールや電話を通じて、僕以外では一番コミュニケーションを取っている人だからだ。
一番苦しい今も、側に居て欲しくて抱きついている人だから。
「お母さんは青木さんが側に居る事で、玉の能力が上乗せされるのではないか、つまり青木さんの存在がブースターになるのではないかと推測した。青木さんも浅葱の血を引く人間だからね。だから、僕に彼女は玉の友として信頼出来るのか、確かめて欲しいと頼んだんだ。普段、どんなに巫山戯ていても、君は大人になる時はきちんと大人になって玉を守ってくれている。ましてやここは聖域、神が実際に座す場所だ。嘘や誤魔化しは通用しない。」
「うわぁ。変なこと考えないで良かったああああ。」
…頗る素直で宜しいけど、大丈夫だよね?ね!
「さて、では本題に入ろう。その前に、玉?そろそろいいかな?」
「ちょっと、無理に玉ちゃんを…。」
「…大丈夫です。佳奈さん。ちょっと玉の中で整理がつかなかっただけですから。でも、たぬきち君に心配させちゃいけませんよね。」
「ほんとに大丈夫なの?」
「はい、お母さんと殿がお話しをされているのは知ってましたから。でもいきなりだったので、ビックリしただけです。ごめんね。たぬきち君。」
「わん!」
「ひぅ」
「あ、ごめんなさいフクロウさんも。」
「その前に一つ。何故玉はお母さんのところに行かなかった?」
「だって、本当に玉がお母さんと逢える資格があるなら、お母さんは玉か殿の側に来てくれる筈です。でも現れたのは川の向こう。その川は殿が作った細い川ですが、玉が超えないといけない川だと思ったんです。佳奈さん抜きで行ける様に。」
「…それはそうだけど、はっきり言われたら私なんだか寂しいな。」
「大丈夫ですよ。殿に触れない分、佳奈さんに沢山触りますから。」
「それはそれで、なんだか怪しい宣言だよ。」
★ ★ ★
「店を開いて欲しい。そう頼まれたんだ。」
「殿、それは…。」
「そう、今まで何度か話題に上がり、そのまま立ち消えになっていた話だね。」
「それを何故、玉ちゃんのお母さんが持ち出して来たのかしら?…は!娘を貰うなら働け!って言う…。」
「それは、ずっと前に言われている。」
ぶっちゃけ、働くだけなら市川市から公務員としてスカウトされてるし。
昨日動物園に行った時も、一木園長と飼育員さんに「履歴書はまだですか?」と言われて逃げ回ったし。公務員試験のテキストも取り寄せているらしい。あのね。あのですね。
「なんだかんだ、流されたりした先で、僕は淡々と開店の準備を進めていた。」
顔を上げた先には、なんか外が充実したせいで、あまり中に入らなくなった茶店がどーん!とある。どどーん!
朱傘に緋毛氈の縁台って、江戸時代にもそうそう無かろう。隠し部屋には、空間一杯の貨幣が眠ったままだし。
「だから、いずれ。何かを始める事にはなるだろうと思ってた。そのきっかけもやる気もなかっただけだ。」
「ちょっと待ちなさい。今、聞いちゃいけない3文字があったわ。」
「それも殿なのです。」
「玉ちゃん、納得しちゃ駄目なとこ!亭主の尻を叩くのは女房の役目!」
「玉は殿のお尻を物理的に叩けません。」
誰だ、玉に物理的にだとか客観的にだとか、言葉を教えた奴は。
『うふふ。』
あんたか、お母さん。
『私は別に。玉が勝手に読書で覚えただけですよ。』
誰だ玉をビブリアにしちゃったのは?
しまった。山ほど身に覚えがある。
「あぁ、だ。そう言う事で、本格的に開店に向けて動き出そうと思う。」
「はい!先生!しつもーん。」
さっきまでの神妙さは何処にやった22歳OL?
「はい、青木さん。」
「何屋を始めるの?」
「さぁ?」
「どこで店開くの?」
「さぁ?」
「オイ!」
適当な場所ないかなぁって行った先でたぬきちに出逢ったんだな。水晶を貰ったんだな。
基本的に僕は、僕らは流されていくまま。それで良ければ。
「僕についてくるかい?」
「玉はどこまでも、殿に従います。」
「ええと。会社が休みの日ならば。」
相変わらず、玉以外は、力が抜けっぱなしの一行だった。
「わん」
「ひぅ」
あー、君らも居たっけ。
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