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第一章 開店
たぬきちとお話し
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さて、今日は聖域の手入れで疲れない様にしないとな。今日はこの後サプライズがあるし。
「あんがー。」
「わんがー。」
「どうしました?早く巫女装束に着替えてお勤めしてらっしゃい。」
聖域に着いた早々、犬小屋で仰向けになって寝ていた(背骨の形状から、犬科は仰向けで寝れないと聞いてますけど)たぬきちは、僕らの気配に気がついて大欠伸しながらトコトコと近寄って来たんだけど。
まず玉の顔を見て、次に玉の視線を追って。
1人と1匹して、大口開けてあんぐりしてます。あんぐり。
「殿、たぬきち君が呆れてます。玉も呆れてます。」
「わふ」
「ねぇたぬきち君?」
「わふわふ」
ふむ。
たぬきちの小屋は池を背後に、社と茶店の間に建っている。
つまり、たぬきちの小屋からの視界は、社と茶店の正面だけで、それは水晶玉から覗ける様にもなっている。
逆に言えば、小屋の背後は小屋から出ないと見る事が出来ない。
で、犬小屋のその背後はどうなっているかと言うと。
玉でも気楽に跨げる様に石板で幅30センチ程度に3面張りで作った水路は、1メートル程に幅が広がり、1畳程度の広さの瓢箪池は倍に広がっているね。
湧水ポイントに設定した岩壁の穴は、ほんの少し上側にずらされて、心地よいせせらぎの発生装置にされていた。
もはや水路ではなく小川と言っていい、その両岸には数本の木が等間隔に植えられていた。
「うん。蜜柑と柿だね。青木さんが、なんちゃら言う使い捨ての鉢に種を蒔いていたけど、誰が植え替えたんだろう?」
「気になるの、そこですか?」
「わふん?」
まぁ犯人はわかっているけど。
とにかくお勤めして来なさいというと、玉とたぬきちは素直に社に入って行った。その社の主が犯人なんだろうなぁ。
さて、僕はというと。
祝詞を上げている時は、神様も祭壇に座って素直に聞いている筈なので、差し当たりやる事がない。
池の脇に据えてある朱傘と緋毛氈が目立つ縁台に腰掛けて、一晩ですっかり様変わりした聖域を眺める事にした。
お茶を一杯。店の中に入って入れてくる。朱傘の下にも茶道具を置いておこうかなぁ。
小川がもたらす爽やかな風と、せせらぎに癒されながら、ここにいるだけで駄目になるほどの心地良さを味わいながら、池をのんびりと眺めた。
ぽん
何かが跳ねたね。
湯呑みを抱えながら、そっと池に近づいてみると。
魚影が何匹もいるなぁ。それも、前からいたメダカやタナゴじゃないぞ。メダカやタナゴは瓢箪池の片方の膨らみにたむろっているけれど、もう片方の膨らみには、これは。
湯呑みを縁台に置いて、そっと池に手を入れた。それだけで採れると知っていたから。
下から救い上げて見たその魚は。
「…イワナだなぁ。」
昔、同僚に連れられて行った渓流釣りで釣った事がある。因みにその時は、初心者の僕だけ釣れて、相棒はボウズだった。あれ、アレは種類が違うなぁ。
イワナを放して、そちらのアレに手を伸ばす。
「ヤマメ…か。」
渓流釣りあるあるコンビが生態してますか。あまり流れのない池だけど。
それならば、川の方は?と。
社側には蜜柑の木。
茶店側には柿の木が均等に植えられて、どちらも5メートル前後に育ってますな。花が咲き始めているから、多分明日か明後日には実をつけるだろう。
あぁでも、橋をいくつか架けた方がいいな。たぬきちも飛び越えるにはちょっと大変そうだから。
と、川幅をなんとなく測ろうと川を覗くと、黒いニョロニョロした姿が見えた。
つまり、そういう事か。
成田で僕にリクエストした鰻を食わせろと。鰻が棲んでもおかしくない環境を作ってみたと。
なんだかなぁ。いつのまにか、この聖域が文字だけでない本物の聖域になってるよ。サンクチュアリーだよ。
そりゃまぁ、本物の神様が別荘にしてふにゃふにゃしている場所だしなぁ。
★ ★ ★
「たぬきち。」
「わん?」
「多分、あと2~3日で柿も蜜柑も枇杷もミニトマトもフルーツコーンも実がなります。」
「わふぅ?」
「そんな馬鹿なと言っても、ここはそういうところなんです。」
「わふぁ。」
「なので、実がなったら自由に食べなさい。」
「わんわん。」
「ドッグフードと◯ゅ~るだけじゃ駄目です。野菜と果物もちゃんと食べなさい。」
「……んわふぅ。」
「よしよし、いい仔だ。」
頭を撫でてあげると、気持ち良さそうに頭を押し付けてきたよ。
「それに、僕があげるものに美味しくなかったものがありましたか?」
「わふわふ」
慌てて、首を横に振るたぬきち。
「うん。いい仔だ。」
「わん」
「いいなぁ殿。玉もいつかたぬきち君と話せる様になりますか?」
僕とたぬきちが会話をしているのを見た玉が、人差し指を咥えて羨ましそうにしてる。
それを聞いたたぬきちが、慌てて玉の懐に飛び込んで行った。
「わふ」
「きゃはは。たぬきち君、玉を慰めてくれるんですか?」
「わん」
「ありがとう。」
「あー玉さん。」
「はい、殿。うふふ。」
「玉も、たぬきちと、いずれ話せる様になりますよ。」
「本当ですか?」
「わん?」
やれやれ。
たぬきちも玉と話したがっていたのか。
直接会話はできなくとも、きちんとコミュニケーションは取れていたじゃないか。
「玉には嘘をつきたくないからはっきり言うと、二つある。一つは玉の為にならないから今はあえて言わない。」
「……。」
「……」
「もう一つ。僕がいつも言っている事だ。巫女の修行をしなさい。」
「…。」
「…」
「今更言うまでもないけど、ここは聖域だ。前は神社があるから聖域だったけど今は違う。知っての通り、本物の神が座す場所として正しく聖なる境域だ。この通り、木が生えたり植物が実ったり、そしてたぬきちが心安らかに過ごせる、その力の源は荼枳尼天にある。荼枳尼天はこの聖域を気に入り、気にかけ、そして僕らとたぬきちが遊んでいる姿を見る事を何よりも楽しみにしている。」
本人がそう言っているから、間違いないでしょ。
「荼枳尼天も玉の成長を楽しみにしています。僕には浅葱の力があるけど、玉には荼枳尼天の巫女としての力が宿ろうとしている。ここが荼枳尼天の聖域であるならば、荼枳尼天の力を借りる事がいずれ玉には出来る。」
「玉が、頑張ればたぬきち君とおしゃべりが出来る……。」
「わふ」
あと、たぬきちの事ですっかり頭が一杯になっている様ですけど、玉が一人前になれば、お母さんが帰ってくるんですよ。
★ ★ ★
今日のお勤めを終えて、ししゃもに筑前煮と鶉の煮卵、玉の糠漬けとお味噌汁という朝ご飯。
筑前煮は作り置き。
ししゃもは七輪で焼いて、七味醤油で。
鶉の煮卵は、味醂醤油で殻ごと圧力鍋で煮て強引に味をつける、という浅葱の力利用の無理矢理料理。爆発なんかしませんよ。
これを和辛子で食べます。うん。ご飯が進む。
因みに今朝は。
「年金受給日だから、旦那が早起きなのよう。しぶしぶ。」
と、大家さんが自分の亭主をおざなりにする発言をしながら、しぶしぶと言いながらしぶしぶと帰宅したので、なんだか久しぶりの2人だけの朝食でした。
オノマトペは玉のが憑ったのかな?
「殿、出来ればその憑るは使わないで下さい。」
「玉は、人の考えだけでなく、漢字変換にまで苦情を申しますか。」
「殿の顔に憑るって書いてあります。」
…最近、本当にいい顔に書いてある気がして来た。
「こんな感じでどうでしょう。」
少し太めの黒いスラックスに、何やらよくわからないけど、青木さん曰く「それなりのブランド」のマークがデザインされたカットソーに、ジージャン。
頭はポニーテールに結いて、年相応のファッションでまとめた玉が、寝室から恥ずかしそうに出てきた。
さっきは室内着のスエットで、祝詞を上げる時は巫女装束。色々着替えて大変だけど、最近では玉も色々着替える事に喜びを見出し始めたので。
年頃の女の子として、それは素晴らしい事なので、素直に可愛いと褒めたらカバンで顔を隠しちゃった。
耳が真っ赤になってる。
うん。可愛い。
ナビに行き先をセット。
あと、玉にはもう一冊、地図帖をプレゼントした。何故なら、僕も土地勘がないので、その日走った道を玉と共に蛍光ペンでマーキングすることにしたので。
「うふふ。殿と1日が振り返れる時間が出来るんですね。それは楽しみなのです。うふふ。」
玉のうふふは、最近別の意味がありそうで少し怖い。
別にナビに頼らずとも、この間行ったところなので順調に到着。
花火をした神社とは、梨園を挟んで直ぐ隣でした。
駐車場もさして混んでいない。
平日だしね。
「殿?ここどこですか?」
昨日、青木さんが買った物だというポーチをバックから取り出して肩に掛ける玉に聞かれる。
地図帖入り帆布バックは重たいからね。
あと、駐車場から降りる階段に立っている看板に、動物園って書いてあるけどね。
「あんがー。」
「わんがー。」
「どうしました?早く巫女装束に着替えてお勤めしてらっしゃい。」
聖域に着いた早々、犬小屋で仰向けになって寝ていた(背骨の形状から、犬科は仰向けで寝れないと聞いてますけど)たぬきちは、僕らの気配に気がついて大欠伸しながらトコトコと近寄って来たんだけど。
まず玉の顔を見て、次に玉の視線を追って。
1人と1匹して、大口開けてあんぐりしてます。あんぐり。
「殿、たぬきち君が呆れてます。玉も呆れてます。」
「わふ」
「ねぇたぬきち君?」
「わふわふ」
ふむ。
たぬきちの小屋は池を背後に、社と茶店の間に建っている。
つまり、たぬきちの小屋からの視界は、社と茶店の正面だけで、それは水晶玉から覗ける様にもなっている。
逆に言えば、小屋の背後は小屋から出ないと見る事が出来ない。
で、犬小屋のその背後はどうなっているかと言うと。
玉でも気楽に跨げる様に石板で幅30センチ程度に3面張りで作った水路は、1メートル程に幅が広がり、1畳程度の広さの瓢箪池は倍に広がっているね。
湧水ポイントに設定した岩壁の穴は、ほんの少し上側にずらされて、心地よいせせらぎの発生装置にされていた。
もはや水路ではなく小川と言っていい、その両岸には数本の木が等間隔に植えられていた。
「うん。蜜柑と柿だね。青木さんが、なんちゃら言う使い捨ての鉢に種を蒔いていたけど、誰が植え替えたんだろう?」
「気になるの、そこですか?」
「わふん?」
まぁ犯人はわかっているけど。
とにかくお勤めして来なさいというと、玉とたぬきちは素直に社に入って行った。その社の主が犯人なんだろうなぁ。
さて、僕はというと。
祝詞を上げている時は、神様も祭壇に座って素直に聞いている筈なので、差し当たりやる事がない。
池の脇に据えてある朱傘と緋毛氈が目立つ縁台に腰掛けて、一晩ですっかり様変わりした聖域を眺める事にした。
お茶を一杯。店の中に入って入れてくる。朱傘の下にも茶道具を置いておこうかなぁ。
小川がもたらす爽やかな風と、せせらぎに癒されながら、ここにいるだけで駄目になるほどの心地良さを味わいながら、池をのんびりと眺めた。
ぽん
何かが跳ねたね。
湯呑みを抱えながら、そっと池に近づいてみると。
魚影が何匹もいるなぁ。それも、前からいたメダカやタナゴじゃないぞ。メダカやタナゴは瓢箪池の片方の膨らみにたむろっているけれど、もう片方の膨らみには、これは。
湯呑みを縁台に置いて、そっと池に手を入れた。それだけで採れると知っていたから。
下から救い上げて見たその魚は。
「…イワナだなぁ。」
昔、同僚に連れられて行った渓流釣りで釣った事がある。因みにその時は、初心者の僕だけ釣れて、相棒はボウズだった。あれ、アレは種類が違うなぁ。
イワナを放して、そちらのアレに手を伸ばす。
「ヤマメ…か。」
渓流釣りあるあるコンビが生態してますか。あまり流れのない池だけど。
それならば、川の方は?と。
社側には蜜柑の木。
茶店側には柿の木が均等に植えられて、どちらも5メートル前後に育ってますな。花が咲き始めているから、多分明日か明後日には実をつけるだろう。
あぁでも、橋をいくつか架けた方がいいな。たぬきちも飛び越えるにはちょっと大変そうだから。
と、川幅をなんとなく測ろうと川を覗くと、黒いニョロニョロした姿が見えた。
つまり、そういう事か。
成田で僕にリクエストした鰻を食わせろと。鰻が棲んでもおかしくない環境を作ってみたと。
なんだかなぁ。いつのまにか、この聖域が文字だけでない本物の聖域になってるよ。サンクチュアリーだよ。
そりゃまぁ、本物の神様が別荘にしてふにゃふにゃしている場所だしなぁ。
★ ★ ★
「たぬきち。」
「わん?」
「多分、あと2~3日で柿も蜜柑も枇杷もミニトマトもフルーツコーンも実がなります。」
「わふぅ?」
「そんな馬鹿なと言っても、ここはそういうところなんです。」
「わふぁ。」
「なので、実がなったら自由に食べなさい。」
「わんわん。」
「ドッグフードと◯ゅ~るだけじゃ駄目です。野菜と果物もちゃんと食べなさい。」
「……んわふぅ。」
「よしよし、いい仔だ。」
頭を撫でてあげると、気持ち良さそうに頭を押し付けてきたよ。
「それに、僕があげるものに美味しくなかったものがありましたか?」
「わふわふ」
慌てて、首を横に振るたぬきち。
「うん。いい仔だ。」
「わん」
「いいなぁ殿。玉もいつかたぬきち君と話せる様になりますか?」
僕とたぬきちが会話をしているのを見た玉が、人差し指を咥えて羨ましそうにしてる。
それを聞いたたぬきちが、慌てて玉の懐に飛び込んで行った。
「わふ」
「きゃはは。たぬきち君、玉を慰めてくれるんですか?」
「わん」
「ありがとう。」
「あー玉さん。」
「はい、殿。うふふ。」
「玉も、たぬきちと、いずれ話せる様になりますよ。」
「本当ですか?」
「わん?」
やれやれ。
たぬきちも玉と話したがっていたのか。
直接会話はできなくとも、きちんとコミュニケーションは取れていたじゃないか。
「玉には嘘をつきたくないからはっきり言うと、二つある。一つは玉の為にならないから今はあえて言わない。」
「……。」
「……」
「もう一つ。僕がいつも言っている事だ。巫女の修行をしなさい。」
「…。」
「…」
「今更言うまでもないけど、ここは聖域だ。前は神社があるから聖域だったけど今は違う。知っての通り、本物の神が座す場所として正しく聖なる境域だ。この通り、木が生えたり植物が実ったり、そしてたぬきちが心安らかに過ごせる、その力の源は荼枳尼天にある。荼枳尼天はこの聖域を気に入り、気にかけ、そして僕らとたぬきちが遊んでいる姿を見る事を何よりも楽しみにしている。」
本人がそう言っているから、間違いないでしょ。
「荼枳尼天も玉の成長を楽しみにしています。僕には浅葱の力があるけど、玉には荼枳尼天の巫女としての力が宿ろうとしている。ここが荼枳尼天の聖域であるならば、荼枳尼天の力を借りる事がいずれ玉には出来る。」
「玉が、頑張ればたぬきち君とおしゃべりが出来る……。」
「わふ」
あと、たぬきちの事ですっかり頭が一杯になっている様ですけど、玉が一人前になれば、お母さんが帰ってくるんですよ。
★ ★ ★
今日のお勤めを終えて、ししゃもに筑前煮と鶉の煮卵、玉の糠漬けとお味噌汁という朝ご飯。
筑前煮は作り置き。
ししゃもは七輪で焼いて、七味醤油で。
鶉の煮卵は、味醂醤油で殻ごと圧力鍋で煮て強引に味をつける、という浅葱の力利用の無理矢理料理。爆発なんかしませんよ。
これを和辛子で食べます。うん。ご飯が進む。
因みに今朝は。
「年金受給日だから、旦那が早起きなのよう。しぶしぶ。」
と、大家さんが自分の亭主をおざなりにする発言をしながら、しぶしぶと言いながらしぶしぶと帰宅したので、なんだか久しぶりの2人だけの朝食でした。
オノマトペは玉のが憑ったのかな?
「殿、出来ればその憑るは使わないで下さい。」
「玉は、人の考えだけでなく、漢字変換にまで苦情を申しますか。」
「殿の顔に憑るって書いてあります。」
…最近、本当にいい顔に書いてある気がして来た。
「こんな感じでどうでしょう。」
少し太めの黒いスラックスに、何やらよくわからないけど、青木さん曰く「それなりのブランド」のマークがデザインされたカットソーに、ジージャン。
頭はポニーテールに結いて、年相応のファッションでまとめた玉が、寝室から恥ずかしそうに出てきた。
さっきは室内着のスエットで、祝詞を上げる時は巫女装束。色々着替えて大変だけど、最近では玉も色々着替える事に喜びを見出し始めたので。
年頃の女の子として、それは素晴らしい事なので、素直に可愛いと褒めたらカバンで顔を隠しちゃった。
耳が真っ赤になってる。
うん。可愛い。
ナビに行き先をセット。
あと、玉にはもう一冊、地図帖をプレゼントした。何故なら、僕も土地勘がないので、その日走った道を玉と共に蛍光ペンでマーキングすることにしたので。
「うふふ。殿と1日が振り返れる時間が出来るんですね。それは楽しみなのです。うふふ。」
玉のうふふは、最近別の意味がありそうで少し怖い。
別にナビに頼らずとも、この間行ったところなので順調に到着。
花火をした神社とは、梨園を挟んで直ぐ隣でした。
駐車場もさして混んでいない。
平日だしね。
「殿?ここどこですか?」
昨日、青木さんが買った物だというポーチをバックから取り出して肩に掛ける玉に聞かれる。
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