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第一章 開店
ほえほえ後つるつる
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『玉ちゃんが“ほえほえ“とだけ書いたメール送って来たんだけど?』
『それは只今の我が家的流行だから、適当にほえほえ返してあげてほえほえ。』
『菊地さんちって、今何してるのほえほえ?』
『新茶と煎餅で一服してたら、あまりの美味しさに2人して溶けてたほえほえ。』
『お昼前に何してんのよほえほえ。』
4年経った青木さんは、ノリのよろしい女性になっていたほえほえ。
さて、昨日は蕎麦を食べたので、今日はうどんか素麺か、それともラーメンか。
「玉?」
「なんですか?ほえほえ。」
まだやってたんだ。
玉のスマホを借りて、それぞれの写真を検索する。
「何が食べたい…?」
玉の目が光ったぞ。
「むむむむむ。これはほえほえどころじゃなくなりました!」
ピロロン
ん?玉、メールだよ。
当然、青木さんからのメールしかないんだけど。
『ほえほえ。』
…律儀な人だった。
『佳奈さん。今からほえほえじゃなくなり、つるつるになりました!』
「玉?そんな返事じゃ青木さんわかりませんよ?」
りん。
ほら、僕のメールが鳴った。
『つるつるって何?あと、玉ちゃんのメールが急に凄く早くなったんだけど。』
…青木さん怖がってるぞ、おい。
お昼に麺料理を作るので、うどんか素麺かラーメンかを何を作るか選ばせていると返答すると。
『私もつるつる食べたい。つるつるほえほえ。』
…彼女は、大人として大丈夫なのだろうか?
うどんと素麺は味の想像がつくので、ラーメンを!!
という玉のリクエストがあったので、ラーメンを!!
確かにうどんと素麺は小麦粉麺を麺つゆで食べるという食品なので、そりゃ大同小異だ。
同じ小麦粉麺でもラーメンはかんすいを使い、卵を練り込んだりするので、色や食感は全然違う。
で、スープだけど。
僕の故郷は細麺とんこつの博多ラーメンが主流。
ただし、僕自身は上京してからは醤油オンリーだったりする。妹はバリカタの博多ラーメン派だったな。
勿論九州にも醤油ラーメンはあったし、とんこつとのブレンドも近年どんどん増えているよ。
でも東京ラーメンが好きなんだ。
他にも、塩や味噌があるし、アジア系では辛い唐辛子がうにうに攻めて来て久しい。
でも。でもでも。
醤油の味がきちんとして、鶏ガラベースの出汁を邪魔しない、つまり魚介系が五月蝿くない野菜からの出汁を足したシンプルなスープのラーメン。
具は、叉焼・シナチク(メンマじゃなくてシナチク)・焼き海苔・ほうれん草、あとせいぜい味付け卵。このくらいが一番好き。
「殿が一番五月蝿いです。」
「ごめん。」
しかし、ラーメンねぇ。乾麺から作るか、生麺から作るか。大変なんだよなぁ。
とりあえず鍋を出そうと流しの上の天袋を開けると、開けると。実に様々な麺が頭に降って来た。
だからさぁ。ドッキリは止めようよ「浅葱の力」さんさぁ。
「わわわわわ。なんかいっぱい降ってきましたよ。」
「…器に入っているのはお湯を注ぐだけでできる
袋に入っているのは鍋で煮て付属の粉をお湯で説けば出来る、即席麺です。ラーメン・うどん・蕎麦ですね。素麺は無いか。温かい素麺は煮麺になっちゃうしなぁ。」
「つまり、お湯さえあれは、玉は今後飢える事はないんですね!」
「ビックリマーク付けてまで飢餓を強調するのはやめなさい。まるで満足にご飯を食べさせてないみたいじゃないの。」
「玉はもっと食べられますよ。」
2人分にしてはかなり多い食事を、毎食7:3で玉に食べられている我が家なんだけどなぁ。
冷蔵庫から無事に生麺を発掘したので(僕がちょっと食べ物の事を考えただけで無尽蔵に食材が蓄積されていく速度が加速している。その内我が家は食材に粉砕されるのでは無いか?)袋に書いてあるレシピに沿ってそのまま煮ていく。
というか、ラーメンなんか、スープやら麺やらを一から作るので無ければ、出来合のものを纏めた方が手っ取り早くて美味しい。
「わわっ。カレーラーメンなんかあるんだ。こっちは黒豚カレーうどん?」
玉は床下収納庫に即席麺を整理しているのだけど、何故かカレー麺に反応している。
こんな狭いダイニングキッチンに2人でウロウロしているのに、物理的に全く邪魔にならない点だけは、触れないお互いが助かる。
★ ★ ★
『つるつるうぃぃ。』
玉のメールは擬音だけになってきた。
元々オノマトペを口にする事が好きな娘だけど、得体の知れないメールばかり送られる青木さんは迷惑だろう。後でフォローのメールを入れとこう。
「今日の午後はどうしますか?」
座椅子を極限まで倒して、髪の毛をラグに触れさせる程寝っ転がっている、自称「荼枳尼天の巫女」をどうしよう。
「うぃぃ。」
「昨日買った絨毯が2時頃来ますから、午後はダラケモードかなぁ。」
「…殿って普段、何してんですか?」
「無職。」
「働け。」
「その浅葱の力で何かしようとは思いませんか?」
「一応、考えていた事はあったよ。」
「ほうほう、お聞きしましょうか?」
「現代の料理をもって、過去の人を驚かす。」
「………。」
「………。」
「なんか聞いた覚えがありました。」
「うん、玉で間に合っちゃった。」
「うわぁ、殿を駄目な人にしてたの、私でした。」
「そういうこっちゃ。」
「これはアレです。駄目亭主を賢明なる妻が支えないとならないパターンです!」
「いや、玉は身分証明も出来ないし、銀行口座も作れないから。働きに出れないよ。」
「世知辛い世の中ですねぇ。」
そういう問題でも無いけど。
「例えばですねぇ。歴史を変えに行くって言うのはどうでしょう!」
「無理。」
「即答です。」
いや、前にも言ったけど、無理なんだよ。
時の潮流の前では、個人の力なんか無力です。
「例えばほら、将門様を助けてみるとか?そしたら玉も聖域で巫女をしなくていいかもしれません。」
「そうして、僕は玉に逢えなくなりました。何しろ1,000年の年月は大変なので
「困ります!」
食い気味だ。
「うわああどうしよう。殿と逢えない玉とか、もはや想像出来ません。
まだ僕らが出逢ってから2日しか経ってないけど。
「それと、もう一つ。よし、僕は平将門公を助けよう!決意した。さぁ行くぞ!…何か変わった?」
「殿がふざけただけです。」
「僕はね、今大真面目に決意したんだ。歴史上、将門公の選択はそうは間違ってはいない。実は同時期に藤原純友という人が西国でも反乱を起こしている。将門公は戦術的には正しい。ただ流れ矢にたまたま当たるという不運が全てだ。戦術矯正は多分、僕にもできる。風向きを変える事は人の手でも可能だからね。更に戦略的には藤原純友と連携する事が出来れば、京の朝廷を東西で挟み撃ちにも出来る。別に都に攻め込まずとも、関東では将門、瀬戸内では純友の独立は可能なんだ。…例え独立政権が誕生しても将門一代、純友一代で終わるだろうけど。」
「……。」
「もう一度言うよ。将門公本人に接触しなくても、将門公の運命を変える事は僕には可能だ。でも、今僕らの知っている歴史に“変化はない“。そういう事だ。」
「新しく変わった歴史を私達が誤認識しているという事はありませんか?」
「無いねぇ。変わったか変わって無いか、それかわかるのも、浅葱の力なんだ。それを認識する事が、歴史を旅する能力の根本だから。」
★ ★ ★
「難しい話ですねぇ。だったら殿の一族は何のために時間を旅行しているんですか?」
「個人的欲望の為に。」
「はい!?」
「僕が聞いた話だと、奥さんの病気を治す為に未来へ言ったとか、集落の飢饉を救う為に過去に行ったとか。」
「未来に行けば病気が治るんですか?」
「特効薬が手に入る。昔は死病だった病気が、現代では薬一つで治るんだ。」
天然痘とか結核とかね。
「でも、それらの薬は研究開発者が明確にわかっている。日本に昔からある何処かの薬師が作った漢方薬ではない。」
「飢饉を救ったというのは?」
「お留山って言葉があってね。」
「まぁ可愛らしい。」
「その乙女じゃありません。」
「私も乙女ですよー。男性経験ありませんから。」
今朝がた、騎乗位がどうだの、ご休憩がこうだの言ってたくせに。
「要は立ち入り禁止の山の事です。山は資源の塊だからね。無駄遣いしないようにお上が庶民の立ち入りを禁止したんだ。そんな山だから、役人も狩人も入れない。そんな中で浅葱がやった事は、栗を植えるだった。」
「桃栗三年柿八年ですよ?飢饉に今更植えても…。」
「その為に、過去に戻った。」
「あ。」
「その栗のおかげで餓死者はいなかった。そしてその栗を植えたのは、名君の誉れ高い領主の善政とされている。勿論、浅葱のあの字も出てこない。」
「………。なんかこう、スッキリしません。だったら浅葱さんってなんなんですか?」
「言ったろ。個人的欲望だって。奥さんは助かったし、村は誰も死ななかった。それが僕達なんだよ。」
『それは只今の我が家的流行だから、適当にほえほえ返してあげてほえほえ。』
『菊地さんちって、今何してるのほえほえ?』
『新茶と煎餅で一服してたら、あまりの美味しさに2人して溶けてたほえほえ。』
『お昼前に何してんのよほえほえ。』
4年経った青木さんは、ノリのよろしい女性になっていたほえほえ。
さて、昨日は蕎麦を食べたので、今日はうどんか素麺か、それともラーメンか。
「玉?」
「なんですか?ほえほえ。」
まだやってたんだ。
玉のスマホを借りて、それぞれの写真を検索する。
「何が食べたい…?」
玉の目が光ったぞ。
「むむむむむ。これはほえほえどころじゃなくなりました!」
ピロロン
ん?玉、メールだよ。
当然、青木さんからのメールしかないんだけど。
『ほえほえ。』
…律儀な人だった。
『佳奈さん。今からほえほえじゃなくなり、つるつるになりました!』
「玉?そんな返事じゃ青木さんわかりませんよ?」
りん。
ほら、僕のメールが鳴った。
『つるつるって何?あと、玉ちゃんのメールが急に凄く早くなったんだけど。』
…青木さん怖がってるぞ、おい。
お昼に麺料理を作るので、うどんか素麺かラーメンかを何を作るか選ばせていると返答すると。
『私もつるつる食べたい。つるつるほえほえ。』
…彼女は、大人として大丈夫なのだろうか?
うどんと素麺は味の想像がつくので、ラーメンを!!
という玉のリクエストがあったので、ラーメンを!!
確かにうどんと素麺は小麦粉麺を麺つゆで食べるという食品なので、そりゃ大同小異だ。
同じ小麦粉麺でもラーメンはかんすいを使い、卵を練り込んだりするので、色や食感は全然違う。
で、スープだけど。
僕の故郷は細麺とんこつの博多ラーメンが主流。
ただし、僕自身は上京してからは醤油オンリーだったりする。妹はバリカタの博多ラーメン派だったな。
勿論九州にも醤油ラーメンはあったし、とんこつとのブレンドも近年どんどん増えているよ。
でも東京ラーメンが好きなんだ。
他にも、塩や味噌があるし、アジア系では辛い唐辛子がうにうに攻めて来て久しい。
でも。でもでも。
醤油の味がきちんとして、鶏ガラベースの出汁を邪魔しない、つまり魚介系が五月蝿くない野菜からの出汁を足したシンプルなスープのラーメン。
具は、叉焼・シナチク(メンマじゃなくてシナチク)・焼き海苔・ほうれん草、あとせいぜい味付け卵。このくらいが一番好き。
「殿が一番五月蝿いです。」
「ごめん。」
しかし、ラーメンねぇ。乾麺から作るか、生麺から作るか。大変なんだよなぁ。
とりあえず鍋を出そうと流しの上の天袋を開けると、開けると。実に様々な麺が頭に降って来た。
だからさぁ。ドッキリは止めようよ「浅葱の力」さんさぁ。
「わわわわわ。なんかいっぱい降ってきましたよ。」
「…器に入っているのはお湯を注ぐだけでできる
袋に入っているのは鍋で煮て付属の粉をお湯で説けば出来る、即席麺です。ラーメン・うどん・蕎麦ですね。素麺は無いか。温かい素麺は煮麺になっちゃうしなぁ。」
「つまり、お湯さえあれは、玉は今後飢える事はないんですね!」
「ビックリマーク付けてまで飢餓を強調するのはやめなさい。まるで満足にご飯を食べさせてないみたいじゃないの。」
「玉はもっと食べられますよ。」
2人分にしてはかなり多い食事を、毎食7:3で玉に食べられている我が家なんだけどなぁ。
冷蔵庫から無事に生麺を発掘したので(僕がちょっと食べ物の事を考えただけで無尽蔵に食材が蓄積されていく速度が加速している。その内我が家は食材に粉砕されるのでは無いか?)袋に書いてあるレシピに沿ってそのまま煮ていく。
というか、ラーメンなんか、スープやら麺やらを一から作るので無ければ、出来合のものを纏めた方が手っ取り早くて美味しい。
「わわっ。カレーラーメンなんかあるんだ。こっちは黒豚カレーうどん?」
玉は床下収納庫に即席麺を整理しているのだけど、何故かカレー麺に反応している。
こんな狭いダイニングキッチンに2人でウロウロしているのに、物理的に全く邪魔にならない点だけは、触れないお互いが助かる。
★ ★ ★
『つるつるうぃぃ。』
玉のメールは擬音だけになってきた。
元々オノマトペを口にする事が好きな娘だけど、得体の知れないメールばかり送られる青木さんは迷惑だろう。後でフォローのメールを入れとこう。
「今日の午後はどうしますか?」
座椅子を極限まで倒して、髪の毛をラグに触れさせる程寝っ転がっている、自称「荼枳尼天の巫女」をどうしよう。
「うぃぃ。」
「昨日買った絨毯が2時頃来ますから、午後はダラケモードかなぁ。」
「…殿って普段、何してんですか?」
「無職。」
「働け。」
「その浅葱の力で何かしようとは思いませんか?」
「一応、考えていた事はあったよ。」
「ほうほう、お聞きしましょうか?」
「現代の料理をもって、過去の人を驚かす。」
「………。」
「………。」
「なんか聞いた覚えがありました。」
「うん、玉で間に合っちゃった。」
「うわぁ、殿を駄目な人にしてたの、私でした。」
「そういうこっちゃ。」
「これはアレです。駄目亭主を賢明なる妻が支えないとならないパターンです!」
「いや、玉は身分証明も出来ないし、銀行口座も作れないから。働きに出れないよ。」
「世知辛い世の中ですねぇ。」
そういう問題でも無いけど。
「例えばですねぇ。歴史を変えに行くって言うのはどうでしょう!」
「無理。」
「即答です。」
いや、前にも言ったけど、無理なんだよ。
時の潮流の前では、個人の力なんか無力です。
「例えばほら、将門様を助けてみるとか?そしたら玉も聖域で巫女をしなくていいかもしれません。」
「そうして、僕は玉に逢えなくなりました。何しろ1,000年の年月は大変なので
「困ります!」
食い気味だ。
「うわああどうしよう。殿と逢えない玉とか、もはや想像出来ません。
まだ僕らが出逢ってから2日しか経ってないけど。
「それと、もう一つ。よし、僕は平将門公を助けよう!決意した。さぁ行くぞ!…何か変わった?」
「殿がふざけただけです。」
「僕はね、今大真面目に決意したんだ。歴史上、将門公の選択はそうは間違ってはいない。実は同時期に藤原純友という人が西国でも反乱を起こしている。将門公は戦術的には正しい。ただ流れ矢にたまたま当たるという不運が全てだ。戦術矯正は多分、僕にもできる。風向きを変える事は人の手でも可能だからね。更に戦略的には藤原純友と連携する事が出来れば、京の朝廷を東西で挟み撃ちにも出来る。別に都に攻め込まずとも、関東では将門、瀬戸内では純友の独立は可能なんだ。…例え独立政権が誕生しても将門一代、純友一代で終わるだろうけど。」
「……。」
「もう一度言うよ。将門公本人に接触しなくても、将門公の運命を変える事は僕には可能だ。でも、今僕らの知っている歴史に“変化はない“。そういう事だ。」
「新しく変わった歴史を私達が誤認識しているという事はありませんか?」
「無いねぇ。変わったか変わって無いか、それかわかるのも、浅葱の力なんだ。それを認識する事が、歴史を旅する能力の根本だから。」
★ ★ ★
「難しい話ですねぇ。だったら殿の一族は何のために時間を旅行しているんですか?」
「個人的欲望の為に。」
「はい!?」
「僕が聞いた話だと、奥さんの病気を治す為に未来へ言ったとか、集落の飢饉を救う為に過去に行ったとか。」
「未来に行けば病気が治るんですか?」
「特効薬が手に入る。昔は死病だった病気が、現代では薬一つで治るんだ。」
天然痘とか結核とかね。
「でも、それらの薬は研究開発者が明確にわかっている。日本に昔からある何処かの薬師が作った漢方薬ではない。」
「飢饉を救ったというのは?」
「お留山って言葉があってね。」
「まぁ可愛らしい。」
「その乙女じゃありません。」
「私も乙女ですよー。男性経験ありませんから。」
今朝がた、騎乗位がどうだの、ご休憩がこうだの言ってたくせに。
「要は立ち入り禁止の山の事です。山は資源の塊だからね。無駄遣いしないようにお上が庶民の立ち入りを禁止したんだ。そんな山だから、役人も狩人も入れない。そんな中で浅葱がやった事は、栗を植えるだった。」
「桃栗三年柿八年ですよ?飢饉に今更植えても…。」
「その為に、過去に戻った。」
「あ。」
「その栗のおかげで餓死者はいなかった。そしてその栗を植えたのは、名君の誉れ高い領主の善政とされている。勿論、浅葱のあの字も出てこない。」
「………。なんかこう、スッキリしません。だったら浅葱さんってなんなんですか?」
「言ったろ。個人的欲望だって。奥さんは助かったし、村は誰も死ななかった。それが僕達なんだよ。」
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