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第一章 開店
玉のスマホ
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「起きろ~です~!」
「ぐえ。」
布団越しのフライングボディプレスで無理くり起こされる僕。
僕は殿らしいけど、僕を殿と呼ぶ少女が無礼にも僕の腹の上に乗っていた。
「…おはよう玉。」
「おはようございます。殿。布団越しに殿に触る事、玉にも出来ました。」
「…試すなら、きちんと予告してください。」
「あと、これが騎乗位の眺めなんですね。わぁ。」
朝から発情してる玉を布団ごとひっぺがえして起きるとは、毎朝これじゃ無いだろうな。
玉は自らコロコロ転がって、熊の大きなぬいぐるみ(いつぞやの彼女さんが置いてった熊。捨てるには勿体無いので、本人とは別れて数年経つのに、熊はまだうちにいる)を確認した上で熊に背中から突っ込んだ。
「むぎゅう。」
「朝から馬鹿やって無いで、ご飯にするよ。」
「お洗濯がもうすぐ終わるので、今日は雲一つないから天日干しにします。」
「お好きにどうぞ。」
「あと、漂白剤買って下さい。」
そういえば漂白剤なんか使った事なかったなぁ。
洗剤を適当に突っ込んで終わりだった。
そのまんま乾燥機に突っ込んでたし。
ワイシャツは別にクリーニングに出してたから、アイロンとかうちないぞ。
「ついでに柔軟剤と、洗濯のりを。」
「僕は無職だから、しばらくワイシャツにのりを効かせる必要ないんだけどなぁ。」
「私の割烹着にいるんです。」
「庭仕事に白い割烹着着て汚すからです。」
「んじゃ、庭仕事用の割烹着下さい。」
庭仕事は割烹では無いなあ。
「ジャージを着なさいジャージ。」
「はぁい。」
ー今朝の献立ー
ゆで卵とシェルパスタのベーコン炒めホワイトソース
目玉焼きとハムを食パンで挟んだホットサンド
一口サイズの点心、中身は刻み筍と刻みソーセージ
サラダはコールスローただしコーン多め
蜂蜜入り牛乳
今日は洋食で玉を攻略しますかね。
別に難しい料理は何もない。
ゆで卵とシェルパスタは同じ鍋で茹でる手抜き料理。お湯には塩を溶かしておく。茹で上がった卵は卵切りで切り揃えて、塩茹でしたシェルパスタはコマベーコンの塩っけだけでフライパンで炒めて、皿で余熱を取ったらゆで卵を加えながらホワイトソースを掛け回すだけ。
ホットサンドはあらかじめ黄身固めで作った目玉焼きをハムで挟んで、8枚切り食パンでホットサンドメーカーにお任せお任せ。あ、バターを忘れずに。
ほらほら、バターの香りが溢れて来た。
フードプロセッサーに水煮筍と、赤いウインナー(何か好きだなぁコレ)を突っ込んで微塵切りにした赤と黄色の物体を焼売皮で包んだら、びちょびちょ布巾と共にレンジへGO。自動調理ボタンを押しとけば点心の完成。星三つだよ。
コールスローサラダは、キャベツ・人参・一缶丸ごと粒コーンをマヨネーズとマスタードで和えたら出来上がり。簡単簡単。
とっくの昔に席に着いて、蜂蜜と牛乳の比率はどれか一番美味しいか。後、蜂蜜入れすぎたら太らない?
何やら蜂蜜博士になって研究成果をぶつぶつ呟いているルチャドーラ巫女に、この手抜き朝食をぶつけてみようか。どーん。どどーん!
「食欲解きーん。食べまーす。太ってよし。太ってお嫁に行けなくなったら殿に責任とって貰おう。決めた!ふいいいい。このまま沢山食べて死のう。」
「勝手にそんな重要事項を次々と決められても困るなぁ。」
★ ★ ★
洗剤関係は、僕の記憶もあやふやなので、聖域の力でも取り寄せる事が出来なかった。
そこら辺は独身男の家事なのでご容赦を。
なので買いに行く。
ついでに玉用のスマホを契約することにした。
「これがこうなってあれれれれれ。」
昨夜、青木さんからのメールを僕は割と事務的に返したのち(あれから数時間で4年経って、彼女は4歳歳を取ったのだけど、さすがに僕がほいほいと気安いメールを返すには抵抗があったので。この一行がめちゃめちゃ矛盾してるけど、困った事に全部事実だ)
玉に後を任せた。
多分、春日部で今頃青木さんは苦笑いしてるだろう。
「私が話したいのに、なんで菊地さんの方が警戒してんのよ。」
とか言ってそうだ。(後に聞いたところでは、一句違わず事実だったのは、わかりやすいというか、少しは警戒しなさいと注意したいというか)
ところが玉の弱点が発覚した。
50音順という常識を玉は持っていなかったのだ。
平仮名・片仮名は平安時代に既に成立していたし、漢字を含めた読み下し能力は身につけていた玉だったけど、50音に整理された時代ではなかった。
「物語は読めるんですけどねぇ。」
物語というのは、源氏を指しているんだろうな、
という訳で、玉の口述筆記をスマホで行うというなかなかレアかつ厄介な経験をしたわけですわ。
「多分玉ちゃんがスマホの入力に戸惑って、菊地さんが溜息つきながらフリックしてたんだなぁって思ったよ。」
我が家のドタバタ騒ぎは、遠く春日部の地に全部伝わったいたみたい。
「菊地さんちって、わかりやすすぎるもん。」
「お互い様だよ。」
「ぶー。」
3人がそんな軽口を飛ばす様になるのは、まだ先の事。
今日は駅前まで歩いて行こう。
「今日は車使わないんですか?」
「駅前に行くから。別に大した距離じゃないし、駐車スペースを探すのも面倒くさい。」
「なるほど。」
「玉は車の方が良かったの?」
「ううん。殿と一緒に歩けるのも玉の幸せですから。」
この娘は時々、素直に真正面から好意をぶつけてくるので、そのたんびに恥ずかしい。
隣の市の市長だったという人名のついたドラッグストアで洗剤一式を購入。
「これと、これと。あ、綿製品の漂白にはどっちが良いですか?」
「その服だったら少し高いけど、こっちの方が良いですね。コスパ重視ならこっちかなぁ。」
玉と店員さんがダブルで上目遣い光線を送ってくるんだけど。仕方なく高い方を買わされた。
「やた!」
「でしょ!」
ハイタッチしてやんの。
…会って2分の客と店員なのに、お前ら仲良くなり過ぎ。
スマホは僕のサブ機として、ちゃんとしたキャリアで契約する。
だって玉は身分証明書って無いもん。
2台目を僕名義な家族割みたいな、なんだか良くわからないけどお得です的な契約をちゃっちゃと終わらせる。
玉は基本的に僕の側にいるから、僕のWi-Fiに相乗りさせればネット代はただだ。
電話も、本来ならかける必要もないんだけど。
だって玉は僕の声が届く所にしか居ないから。
それでも、僕の電話番号を登録してあげると、ご機嫌モードに突入した。相変わらず安い。
「安い女と思わないの!」
「だから、なんでバレてるの?」
「殿の考える事は全て玉にはお見通しです!」
「そうなの?」
「そうです。例えばその看板に書いてあるご休憩しようかなぁとか。」
こいつは絶対にご宿泊ご休憩の意味がわかってるな。
「さっき美味しそうなお煎餅屋があったから買って帰りますよ。」
「玉はご休憩で良いのに…。」
「あのねぇ。」
「佳奈ちゃんだったらご宿泊ですね。」
「ぶっ。」
「約束通り守ってくれてるかなぁ。」
「けえんぞ玉。酒買ってくか。」
「うわ、揶揄い過ぎて殿がやさぐれました。」
誰か、助けてくれ。
この娘は多分、今まで交際した女性の中で一番手強い。
という訳で。
お煎餅屋で、サラダ煎餅・胡麻煎餅・醤油煎餅・七味煎餅を買って、ついでに100円ショップで「覚えられるかな?50音表ポスター(小学1年生向け)」を購入。
「お茶屋さんがありますよ。良い匂いです。」
…新茶を500g購入。
玉の歳ならジュースでしょうに。
あと、新茶が割とお高かった。
★ ★ ★
帰宅後、早速玉は50音表を壁に貼って、自分用のスマホに入力を始めた。
玉のスマホには青木さんのアドレスが入っているだけなので、その練習も含めてなのだろう。
50音は発音法則に則って整理してある一覧表なので、頭の良い玉の事だから直ぐに覚えてくれるだろう。何より助かるのは、漢字変換を大した説明もなく理解してくれた事だね。
『今日、玉用にスマホを契約して来た。玉のアドレスはこれね。今、悪戦苦闘してメール打ってるから相手してやってください。』
『玉ちゃんとメール出来るのは楽しみだけど、だからといって菊地さんが疎遠になったら嫌ですよ。玉ちゃんに言いつけちゃいますから。』
『そんな恐ろしい事はやめて下さい。』
『www。』
あらかじめ青木さんに予告メールを打ったのだけど、LINE並みの速度で返信が返ってくる。
あいつ、会社員してる筈だよな。
まだ午前中なんだけど。
「出来たぁ。送信送信!」
誤字脱字が凄いんだろうなぁ。
見ない事にしよっと。
きちんとした急須を買うのは初めてだな。
たまに熱いお茶を飲みたくなる事もあったけど、大体100円ショップで適当な急須と適当な湯呑みと適当な茶葉を買って。急須を洗うのはまだしも、飲み終わった茶葉の始末になんか困ってしまい飲む回数も減り、いつの間にやら茶葉は湿気ったから捨てて、急須や湯呑みは隅っこで埃を被ったから、洗って使うのもどうせ100円だし良いやと捨てる。
そんな事を2~3度繰り返した覚えがある。
けど、100円ショップの製品より0が1つ多いお茶器セットと新茶は作法通り入れると、ペットボトルの市販品なんかそこのけそこのけ、ちょっぴりお高いお茶の甘さをご覧あれ!って感じ。
美味しいなあ。お茶ってこんなに美味しいんだ。
お煎餅も美味しいなぁ。ほえほえ。
「ちょっと目を離したら、殿がご隠居してました。」
「まぁまぁ、お玉さんや。このお茶とお煎餅をおあがり。」
「まったく。殿はお昼前に何してんでほえほえ。」
「僕にお説教するのなら、最後まで言いなさいほえほえ。」
「ほえほえ。」
「ぐえ。」
布団越しのフライングボディプレスで無理くり起こされる僕。
僕は殿らしいけど、僕を殿と呼ぶ少女が無礼にも僕の腹の上に乗っていた。
「…おはよう玉。」
「おはようございます。殿。布団越しに殿に触る事、玉にも出来ました。」
「…試すなら、きちんと予告してください。」
「あと、これが騎乗位の眺めなんですね。わぁ。」
朝から発情してる玉を布団ごとひっぺがえして起きるとは、毎朝これじゃ無いだろうな。
玉は自らコロコロ転がって、熊の大きなぬいぐるみ(いつぞやの彼女さんが置いてった熊。捨てるには勿体無いので、本人とは別れて数年経つのに、熊はまだうちにいる)を確認した上で熊に背中から突っ込んだ。
「むぎゅう。」
「朝から馬鹿やって無いで、ご飯にするよ。」
「お洗濯がもうすぐ終わるので、今日は雲一つないから天日干しにします。」
「お好きにどうぞ。」
「あと、漂白剤買って下さい。」
そういえば漂白剤なんか使った事なかったなぁ。
洗剤を適当に突っ込んで終わりだった。
そのまんま乾燥機に突っ込んでたし。
ワイシャツは別にクリーニングに出してたから、アイロンとかうちないぞ。
「ついでに柔軟剤と、洗濯のりを。」
「僕は無職だから、しばらくワイシャツにのりを効かせる必要ないんだけどなぁ。」
「私の割烹着にいるんです。」
「庭仕事に白い割烹着着て汚すからです。」
「んじゃ、庭仕事用の割烹着下さい。」
庭仕事は割烹では無いなあ。
「ジャージを着なさいジャージ。」
「はぁい。」
ー今朝の献立ー
ゆで卵とシェルパスタのベーコン炒めホワイトソース
目玉焼きとハムを食パンで挟んだホットサンド
一口サイズの点心、中身は刻み筍と刻みソーセージ
サラダはコールスローただしコーン多め
蜂蜜入り牛乳
今日は洋食で玉を攻略しますかね。
別に難しい料理は何もない。
ゆで卵とシェルパスタは同じ鍋で茹でる手抜き料理。お湯には塩を溶かしておく。茹で上がった卵は卵切りで切り揃えて、塩茹でしたシェルパスタはコマベーコンの塩っけだけでフライパンで炒めて、皿で余熱を取ったらゆで卵を加えながらホワイトソースを掛け回すだけ。
ホットサンドはあらかじめ黄身固めで作った目玉焼きをハムで挟んで、8枚切り食パンでホットサンドメーカーにお任せお任せ。あ、バターを忘れずに。
ほらほら、バターの香りが溢れて来た。
フードプロセッサーに水煮筍と、赤いウインナー(何か好きだなぁコレ)を突っ込んで微塵切りにした赤と黄色の物体を焼売皮で包んだら、びちょびちょ布巾と共にレンジへGO。自動調理ボタンを押しとけば点心の完成。星三つだよ。
コールスローサラダは、キャベツ・人参・一缶丸ごと粒コーンをマヨネーズとマスタードで和えたら出来上がり。簡単簡単。
とっくの昔に席に着いて、蜂蜜と牛乳の比率はどれか一番美味しいか。後、蜂蜜入れすぎたら太らない?
何やら蜂蜜博士になって研究成果をぶつぶつ呟いているルチャドーラ巫女に、この手抜き朝食をぶつけてみようか。どーん。どどーん!
「食欲解きーん。食べまーす。太ってよし。太ってお嫁に行けなくなったら殿に責任とって貰おう。決めた!ふいいいい。このまま沢山食べて死のう。」
「勝手にそんな重要事項を次々と決められても困るなぁ。」
★ ★ ★
洗剤関係は、僕の記憶もあやふやなので、聖域の力でも取り寄せる事が出来なかった。
そこら辺は独身男の家事なのでご容赦を。
なので買いに行く。
ついでに玉用のスマホを契約することにした。
「これがこうなってあれれれれれ。」
昨夜、青木さんからのメールを僕は割と事務的に返したのち(あれから数時間で4年経って、彼女は4歳歳を取ったのだけど、さすがに僕がほいほいと気安いメールを返すには抵抗があったので。この一行がめちゃめちゃ矛盾してるけど、困った事に全部事実だ)
玉に後を任せた。
多分、春日部で今頃青木さんは苦笑いしてるだろう。
「私が話したいのに、なんで菊地さんの方が警戒してんのよ。」
とか言ってそうだ。(後に聞いたところでは、一句違わず事実だったのは、わかりやすいというか、少しは警戒しなさいと注意したいというか)
ところが玉の弱点が発覚した。
50音順という常識を玉は持っていなかったのだ。
平仮名・片仮名は平安時代に既に成立していたし、漢字を含めた読み下し能力は身につけていた玉だったけど、50音に整理された時代ではなかった。
「物語は読めるんですけどねぇ。」
物語というのは、源氏を指しているんだろうな、
という訳で、玉の口述筆記をスマホで行うというなかなかレアかつ厄介な経験をしたわけですわ。
「多分玉ちゃんがスマホの入力に戸惑って、菊地さんが溜息つきながらフリックしてたんだなぁって思ったよ。」
我が家のドタバタ騒ぎは、遠く春日部の地に全部伝わったいたみたい。
「菊地さんちって、わかりやすすぎるもん。」
「お互い様だよ。」
「ぶー。」
3人がそんな軽口を飛ばす様になるのは、まだ先の事。
今日は駅前まで歩いて行こう。
「今日は車使わないんですか?」
「駅前に行くから。別に大した距離じゃないし、駐車スペースを探すのも面倒くさい。」
「なるほど。」
「玉は車の方が良かったの?」
「ううん。殿と一緒に歩けるのも玉の幸せですから。」
この娘は時々、素直に真正面から好意をぶつけてくるので、そのたんびに恥ずかしい。
隣の市の市長だったという人名のついたドラッグストアで洗剤一式を購入。
「これと、これと。あ、綿製品の漂白にはどっちが良いですか?」
「その服だったら少し高いけど、こっちの方が良いですね。コスパ重視ならこっちかなぁ。」
玉と店員さんがダブルで上目遣い光線を送ってくるんだけど。仕方なく高い方を買わされた。
「やた!」
「でしょ!」
ハイタッチしてやんの。
…会って2分の客と店員なのに、お前ら仲良くなり過ぎ。
スマホは僕のサブ機として、ちゃんとしたキャリアで契約する。
だって玉は身分証明書って無いもん。
2台目を僕名義な家族割みたいな、なんだか良くわからないけどお得です的な契約をちゃっちゃと終わらせる。
玉は基本的に僕の側にいるから、僕のWi-Fiに相乗りさせればネット代はただだ。
電話も、本来ならかける必要もないんだけど。
だって玉は僕の声が届く所にしか居ないから。
それでも、僕の電話番号を登録してあげると、ご機嫌モードに突入した。相変わらず安い。
「安い女と思わないの!」
「だから、なんでバレてるの?」
「殿の考える事は全て玉にはお見通しです!」
「そうなの?」
「そうです。例えばその看板に書いてあるご休憩しようかなぁとか。」
こいつは絶対にご宿泊ご休憩の意味がわかってるな。
「さっき美味しそうなお煎餅屋があったから買って帰りますよ。」
「玉はご休憩で良いのに…。」
「あのねぇ。」
「佳奈ちゃんだったらご宿泊ですね。」
「ぶっ。」
「約束通り守ってくれてるかなぁ。」
「けえんぞ玉。酒買ってくか。」
「うわ、揶揄い過ぎて殿がやさぐれました。」
誰か、助けてくれ。
この娘は多分、今まで交際した女性の中で一番手強い。
という訳で。
お煎餅屋で、サラダ煎餅・胡麻煎餅・醤油煎餅・七味煎餅を買って、ついでに100円ショップで「覚えられるかな?50音表ポスター(小学1年生向け)」を購入。
「お茶屋さんがありますよ。良い匂いです。」
…新茶を500g購入。
玉の歳ならジュースでしょうに。
あと、新茶が割とお高かった。
★ ★ ★
帰宅後、早速玉は50音表を壁に貼って、自分用のスマホに入力を始めた。
玉のスマホには青木さんのアドレスが入っているだけなので、その練習も含めてなのだろう。
50音は発音法則に則って整理してある一覧表なので、頭の良い玉の事だから直ぐに覚えてくれるだろう。何より助かるのは、漢字変換を大した説明もなく理解してくれた事だね。
『今日、玉用にスマホを契約して来た。玉のアドレスはこれね。今、悪戦苦闘してメール打ってるから相手してやってください。』
『玉ちゃんとメール出来るのは楽しみだけど、だからといって菊地さんが疎遠になったら嫌ですよ。玉ちゃんに言いつけちゃいますから。』
『そんな恐ろしい事はやめて下さい。』
『www。』
あらかじめ青木さんに予告メールを打ったのだけど、LINE並みの速度で返信が返ってくる。
あいつ、会社員してる筈だよな。
まだ午前中なんだけど。
「出来たぁ。送信送信!」
誤字脱字が凄いんだろうなぁ。
見ない事にしよっと。
きちんとした急須を買うのは初めてだな。
たまに熱いお茶を飲みたくなる事もあったけど、大体100円ショップで適当な急須と適当な湯呑みと適当な茶葉を買って。急須を洗うのはまだしも、飲み終わった茶葉の始末になんか困ってしまい飲む回数も減り、いつの間にやら茶葉は湿気ったから捨てて、急須や湯呑みは隅っこで埃を被ったから、洗って使うのもどうせ100円だし良いやと捨てる。
そんな事を2~3度繰り返した覚えがある。
けど、100円ショップの製品より0が1つ多いお茶器セットと新茶は作法通り入れると、ペットボトルの市販品なんかそこのけそこのけ、ちょっぴりお高いお茶の甘さをご覧あれ!って感じ。
美味しいなあ。お茶ってこんなに美味しいんだ。
お煎餅も美味しいなぁ。ほえほえ。
「ちょっと目を離したら、殿がご隠居してました。」
「まぁまぁ、お玉さんや。このお茶とお煎餅をおあがり。」
「まったく。殿はお昼前に何してんでほえほえ。」
「僕にお説教するのなら、最後まで言いなさいほえほえ。」
「ほえほえ。」
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