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今日はのんびり買い物へ

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歳上で異性の弟子入り志願者志願者(警察官)には、丁重にお帰り頂きましたよ。
あぁ、びっくりした。

悪の枢軸の首領たる祖父がニヤつくと思いきや、

「少し考えてみても面白いだろう。お前が大学時代に何をして、大学卒業後どんな道を選ぶのか、これだけの事をやっておいてなんだが、俺は口出ししないよ。ただ、お前の周りにはお前を必要とする人間が集まるよ。それだけは間違いない。俺が予言しとく。」

と、真面目な顔をして言い残して言っちゃった。
厄介な弟子入り志願者2人を引っ立てて。

まったく、僕はまだ大学入学を控えた「お子様」なんだよ。
地元国大の教育学部を選んだのだって、両親が教師で公務員で、堅実な人生を歩んでいるからだよ。
堅実って言葉は、変に力が入らず背伸びせず、僕の能力に応じた努力と結果に責任が持てる、僕の大好きな言葉なんだよ。

とは言え、スペインから親族の少女を家族として預かったのは、押し付けられたにしても、僕が判断した事だから、僕が責任を負う事だ。

他所様の「奥様」を弟子に取る事と一緒にしちゃいけない。

翌朝になってもアレコレ考えていたら、お隣さんがやって来た。
…淡路島産の玉葱を一箱持って。
   
「玉葱は全ての料理の基本って、母から聞きましたから。」
「まぁ、生でも食べられるし、長期保存が可能な便利な野菜ですけど。」
「なので、玉葱料理を教えなさい。」
「命令形?」

どうも良玄寺さんは、娘の花嫁修行を大量の食材と引き換えに、僕にやらせるようだ。

「オシエナサイ」
「瑞穂くんまで。」 
「アハハハ」

僕は溜息を1つ吐いて、今日何となく予定にしていた庭を眺めた。

いつもの穴熊くんは、朝早く遊びに来ると、夕べの残りの竹輪(鶏肉とゆで卵と昆布で煮物にしました)を美味しそうに食べたあと、瑞穂くんが押入で中から引っ張り出したバランスボール(しかも新品、何故こんな物があるの?)を転がして、一緒に追いかけ回すという、もはや何が何だかわからないカオス空間を引き起こした挙句、疲れを訴えて帰って行った。

その穴熊くん対策であり、彼用の巣箱(彼と言ったけど、オスでいいのかな?後で確認しよう)にもなるケージ。
土が剥き出しの部分は、とりあえず人工芝と玉砂利を敷いておかないとね。
あと、オタマジャクシが増えて来た池も、やはりきちんと錦鯉でも飼うべきだろう。

という事で、庭の整備の為に大きめのホームセンターに行く予定なのです。

って言ったら、お隣さんが車を出してくれる事になりました。

「だってほら、私のベッドのマットレスを買わないと。」
「貴女のベッドではありません。いかがわしい事言わないで下さい。」
「ワタシノベッドハ、ヒカリノベッド。」
「瑞穂くんも、変なこと言わないの。」

しかもまぁ、車がレスサスですよ。
お坊さんって儲かるんだなぁ(罰当たり)。
周りは墓と畑しかない田舎だから、軽トラとか出て来てもおかしくないぞ。

「ウチには軽トラもあるよ。うちも畑持ってるし、檀家さんから貰うお供え物、米1俵とかあるんだよ。だからあらかじめ檀家さんから、トラックで来て下さいって言われるの。何も言われなかったらお父さんはスーパーカブで行くのよ。」
「…ここ、一応政令指定都市でしたよね。」
「仙台にも、さいたまにも、横浜にも、田舎はある!」
「そうですか。」

そんな事より、このうっかり姉さんがレクサスみたいな大きな車を、上手に丁寧に乗りこなしている事に、僕はわりかしビックリだ。
僕も早く免許を取らないとね。

★  ★  ★

本当にお金を出してマットレスを買い始めたお隣さんは、瑞穂くんにお任せして。
というか、女性には女性にしかわからない買い物が、例え男臭くてゴツいホームセンターにだって有るそうなので、僕は極力近寄らないのです。

「玉砂利を敷く前に、人工芝を敷いておくと、白い玉砂利が汚れない」
って、備え付けの小さなパンフレットに書いてあるのを見つけた。
ので、人工芝を、人工芝を、
人工芝をどれだけ買えばいいんだ?
ええと。

縁側から池まで、廊下のガラスの大きさと、自分の歩幅を思い出して。
大体60畳分くらいか。
60坪?
ええと、1間幅でメートルあたり1200円か。
大体75,000円ちょいで収まるな。

玉砂利は、…後でいいかな。
綺麗な白い玉砂利で1袋10キロ500円ってとこだけど、どれだけ必要になるのか見当もつかない。

先ずは芝を敷いて、それからレイアウトを考えよう。

組み立て式の犬小屋が20,000円。
鋳物製のガーデンベンチが10,000円。
なんだかなぁ。
穴熊くんメインの買い物だぞ。

僕の様な若造から、結構な額がポンポン出て行く事に、店員が不信そうな顔をしてるけど、配送先が僕の持ち家だと分かるとクレジットカードをお勧めするのやめなさいよ。
父親主の家族カードはあるけどさ(引っ越すにあたって持たされた)、学生カードとか、作る気ないよ。

………


ペットコーナーにやって来た。

既に、瑞穂くんとお隣さんが、ガラスの向こうの猫と犬に顔を蕩かせていた。

「可愛いなぁ。欲しいなぁ。」
「デモ、クマチャンイルシ」
「うちは寺だから、檀家さんにどんな人が居るかわからないから。アレルギー持ってるかもしれないし。」
「タイヘンデスネ」
「穴熊は法事の時は、勝手に瑞穂ちゃん家に行ってるみたいだからよろしくね。」
「ヨロシクサレマシタ」

あぁ、お勤めの時は、縁の下うるさそうだなぁ。
だから、ウチに逃げてきたのか。

 
さて、水生生物ですが。
どうするかな。 
露天の池で飼える魚か。
冬越し出来る魚で検索してみたら、メダカから、鯉に鮒、鯰やガーなんてのも出て来た。
この店に売っているのは、錦鯉の稚魚とガーの稚魚。

飼うなら、綺麗で懐きやすいのがいいよね。
魚ってあれで、結構懐いてくれるから。

という事で、錦鯉とガーの稚魚を、餌と水槽と一緒にお買い上げ。
少し水槽で慣らしてから、池に移す事にしよう。
その後で、空いた水槽でメダカでも飼おうじゃないか。

なお、女性陣の買い物も大変な事になっていたようで。
後日、我が家の玄関が埋もれました。

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