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第二章【青春盗掘】
第二章 その③
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『…もしもし?』
スマホから聴こえたのは、鈴を鳴らすような女の子の声。
その声を聞いた瞬間、また僕の中で記憶が鮮明になっていくのがわかった。
皆月は鋭い目で僕を一瞥すると、鼻を鳴らし、スマホを耳に当てる。
「もしもし、ミナミさん?」
『え、あ、はい』
知らない女の声に、電話の向こうでミナミが困惑するのが分かった。
皆月は物怖じすることなく続けた。
「二か月前、あんたのバイト先で一緒だった男のスマホからかけてるんだけど、憶えてる?」
『え、バイト…?』
「そうそう。冴えない顔してた男、いたでしょ?」
『あ、はあ…、そうでしたっけ?』
電話越しにも、ミナミが首を傾げるのがわかった。
僕の名を告げれば一発でわかってくれるのだろうが、生憎、前の名前はもうこの世に存在しない。
皆月は、ミナミの記憶を刺激するように言った。
「皿洗いしてた男だよ。それで、あんたから話しかけて連絡先交換したの」
『う、うーん…、そんな人、いたような、いなかったような…』
だが、ミナミは完全に僕のことを忘れているようだった。
皆月は「降参だ…」と言いたげに肩を竦めると、通話中のスマホを僕に向かって放り投げた。
「あ…」
僕は慌てて、スマホを掴む。
見ると、皆月は腕を組んで、顎をしゃくっていた。
お前が出ろ…。彼女はそう言っているわけだ。
「ああ、もう…」
もうどうにでもなれ…と、崖から飛び降りるように、僕はスマホを耳に当てて、マイクに向かって話しかけた。
「も、もしもし、僕だけど…」
『あ…』
僕の声を聞いた瞬間、ミナミは何か心当たりがあるかのような声をあげた。それから、「ああ、そうか、そうか…」と続ける。
『その声…、何処かで聞いたことがありますね』
ちゃんと、僕の声が彼女の記憶を刺激してくれていることに安堵する。
「そうだよ。僕だよ。一か月前に、居酒屋でバイトしてた…。お皿洗いをしていた…。憶えているかな?」
ダメ押しと言わんばかりにそう続けた時、スマホの向こうの彼女が、「あ」と声をあげた。余韻の残さない、確信を抱くような声だった。
よかった…、思い出してくれたんだ。
そう思った僕は、安堵の息を吐き、言葉を紡ぐべく息を吸い込んだ。
それよりも先に、ミナミが言った。
『忘れましたよ。あなたのことなんて』
一オクターブ下がった声。槍のような鋭さを持って、僕の鼓膜に突き刺さる。
『今更なんなんですか? 前は、ご飯に誘っても、話しかけても、ゴミを見るみたいな目で見てきたくせに…』
「あ…いや」
思いもよらない言葉に、喉の奥で何かが詰まった。
僕が固まっている間にも、スマホの向こうでは、ミナミがぶつぶつとしゃべり続けていた。
『さっきの女性は誰ですか? 当てつけですか? 本当に、趣味の悪い人ですね。気分が悪い』
「いや、そういうわけじゃ…」
何とか絞り出した声も、蚊の鳴くようなものだった。
『せっかく今の今まで、あなたのこと忘れていたのに…。なんで電話かけてきたんでしょうか…。しかも、こんな朝早くに』
それに関しては、申し訳ないと思う。
ミナミは大げさにため息をついた。
『それで? 何の用ですか? 今更邪険に扱った女に電話を掛けてくるなんて』
「いや…、その…」
彼女の反応を見て、僕がどんな人間だったのか? 彼女とどんな関係を築いていたのか…という疑問は拭われた。
もう彼女に用はなかったから、僕は嘘をついた。
「元気にやっているかどうか…、気になったんだ」
鼻で笑う声が聴こえた。
『ええ、元気にやっていますよ。あなたと違って』
僕は静かに頷く。
『楽しい日々です。ですが、あなたのことを思い出すと途端に気分が悪くなるので、もう二度と電話してこないでください。もちろん、メッセージも』
なんでブロックするの忘れていたんだろう…と、独り言のように言ったミナミは、次の瞬間には、通話を切っていた。
「あ…」
落ちたものを掴むように声をあげるが、通話画面はもう消えていた。
友達リストにあった「minami」という名前を見た瞬間、身体が熱くなり、震える。
その時、肩が横にいた皆月舞子に触れる。彼女は目を閉じ、耳をこちらに向けていた。
「聴いていたのか?」
「もちろん」
皆月は、おえっ…と舌を出すと、肩を竦めた。
「まあ、私の予想通りだったでしょう? 女の子を怒らせるような、クズで間抜けの根暗人間」
「ああ、そうだな」
否定しなかった僕は、スマホを布団の上に投げ、壁に背をもたれた。ため息をつき、こめかみを掻く。それを皮切りに、頭蓋骨の内側に虫が這うような痒みが走った。
「ちょっと思い出した。そう言えば僕、ミナミに、好かれてたんだ…」
「なにそれ」
皆月は顔を顰めた。
「さっきの会話で、なんでそうなるわけ? 自意識過剰なんじゃないの?」
「いや、ほんとなんだ。僕は皿洗いだったんだけど、よく話しかけてくれたし、ちょっとしたプレゼントももらったし、デートにも誘われた。僕はそんな人間じゃないのに、『素敵』だとか『かっこいい』とか、なんかいろいろ褒めてくれたし…」
まあ、その行為が、好意だったのか厚意だったのかはわからないが。
皆月舞子は首を傾げた。
「まあ、関係は良好だったわけね。でもなんで、さっきの電話みたいなことになっているわけ?」
「…それは」
一瞬の瞬き。瞼の裏に、当時の光景が過る。
「まだ、思い出せていないよ」
三秒間を置いた末の答えに、皆月は舌打ちをすると、僕の脇腹を軽く蹴った。
「嘘つかないでよ。顔に、『恥ずかしいから言いたくない』って言葉が貼りついてる」
「……馬鹿らしく思ったんだよ」
僕は痛くも痒くもない脇腹に触れ、そう絞り出した。
「ミナミに好かれているってことは、なんとなく気づいていた。だけど、なんて言えばいいんだろう…。僕は好かれるような人間じゃないし…って、思ったんだ」
「何それ」
「まだ、記憶が完全に戻っているわけじゃないから、根拠のない事なんだけど、僕はあの頃、そう思ったんだ。自分は人に好かれるような人間じゃない…って」
そう言えば彼女、いつの日か僕のことを、「寡黙でミステリアスで、素敵なお兄さん」って言ってたな…。
僕は途切れた言葉を紡いだ。
「とにかく、僕は良い奴じゃないんだよ。ミステリアス? 物は言いようだな。しゃべるようなことも無い、中身は空っぽの、しょうもない男」
肩を竦める。
「僕は自分のことをそうだと思ったんだ。それで、確か、段々とイライラしてきたんだ」
「イライラ…?」
「うん。ミナミが僕に良くしてくれるのは、つまり、そういう下心があってのことだろう? 恋愛感情って言うのは、突き詰めていけば、性欲…生殖本能によるものだ。そんな不純な気持ちで、近寄られたくなかったんだ…」
「ああ…」
僕は俯いていたから、皆月舞子がどんな顔をしていたのかはわからない。だけど、多分、ゴミムシを見るような目をしていたのだろう。その方が清々しくて心地よかった。
「彼女は、僕がとるに足らない人間だってことを見抜けなかった。人を見る目が無いってことだ。そんな奴と仲良くなんて、できるわけがなかった…」
そこまで話した僕は、唾を飲みこみ、顔を上げた。案の定、皆月はカマドウマを見るような目をしていた。
「だから、あの子に近寄られても、その好意に、応えることが出来なかったんだよ」
「それで、ああいうことになったわけか」
皆月は思い出したように頷くと、パソコンにさっき聞いたことをメモする。一通り書き終わり、勢いよくエンターキーを押すと、倒れていた椅子を戻して腰を掛けた。
それから「ふーん」と、言いながら回転し、背もたれに体重を掛ける。
のけ反った状態で、僕を見た。
「良かったね。なかなかいい情報だったよ。これで、過去の復元が一歩進行した。千里の道の一歩だね」
「良かないさ。僕がしょうもない人間だったってことが露呈した」
「何を今更。そんなこと、わかり切っていたでしょう」
皆月舞子は鼻で笑う。そして、交渉に入った。
「それで、どうする? 今なら引き返してやってもいいよ。人に何の利益も与えられず、ただただ二酸化炭素ばかりを吐き散らかしてきた過去を思い出す前に、栄ある過去を書いてあげる」
「それは結構だ」
ここぞとばかりに楽をしようとしてくる皆月の思惑を、僕は即答で叩き落とした。
顎に手をやり、息を吐きながら頷く。
「過去の復元のやり方…なんとなくわかってきた。このまま続けよう。今のはチュートリアルってわけだ」
「惨めな過去を思い出したいだなんて、ほんと変わってるのね」
その時、僕は言葉を間違えた。
「もしかしたら、いい過去だってあるかもしれないだろう? まだほんの少ししか思い出せていないんだから…」
そう言ってしまった。
やけくそだよ。君に嫌がらせをしたいんだ…。そのくらいのことを言っておけばよかったのに、まるで、僕の過去に望みがあるかのようなことを言ってしまった。
ぼんやりとした顔でそう呟く僕は、まさに、身の程知らずだったことだろう。
「はっ」
当然、皆月は大げさに笑った。
「何それ、惨めなのね」
「…そうだな」
恥ずかしさで、頬が熱くなった。
「本当に、惨めだよ」
本当、惨めだ。
スマホから聴こえたのは、鈴を鳴らすような女の子の声。
その声を聞いた瞬間、また僕の中で記憶が鮮明になっていくのがわかった。
皆月は鋭い目で僕を一瞥すると、鼻を鳴らし、スマホを耳に当てる。
「もしもし、ミナミさん?」
『え、あ、はい』
知らない女の声に、電話の向こうでミナミが困惑するのが分かった。
皆月は物怖じすることなく続けた。
「二か月前、あんたのバイト先で一緒だった男のスマホからかけてるんだけど、憶えてる?」
『え、バイト…?』
「そうそう。冴えない顔してた男、いたでしょ?」
『あ、はあ…、そうでしたっけ?』
電話越しにも、ミナミが首を傾げるのがわかった。
僕の名を告げれば一発でわかってくれるのだろうが、生憎、前の名前はもうこの世に存在しない。
皆月は、ミナミの記憶を刺激するように言った。
「皿洗いしてた男だよ。それで、あんたから話しかけて連絡先交換したの」
『う、うーん…、そんな人、いたような、いなかったような…』
だが、ミナミは完全に僕のことを忘れているようだった。
皆月は「降参だ…」と言いたげに肩を竦めると、通話中のスマホを僕に向かって放り投げた。
「あ…」
僕は慌てて、スマホを掴む。
見ると、皆月は腕を組んで、顎をしゃくっていた。
お前が出ろ…。彼女はそう言っているわけだ。
「ああ、もう…」
もうどうにでもなれ…と、崖から飛び降りるように、僕はスマホを耳に当てて、マイクに向かって話しかけた。
「も、もしもし、僕だけど…」
『あ…』
僕の声を聞いた瞬間、ミナミは何か心当たりがあるかのような声をあげた。それから、「ああ、そうか、そうか…」と続ける。
『その声…、何処かで聞いたことがありますね』
ちゃんと、僕の声が彼女の記憶を刺激してくれていることに安堵する。
「そうだよ。僕だよ。一か月前に、居酒屋でバイトしてた…。お皿洗いをしていた…。憶えているかな?」
ダメ押しと言わんばかりにそう続けた時、スマホの向こうの彼女が、「あ」と声をあげた。余韻の残さない、確信を抱くような声だった。
よかった…、思い出してくれたんだ。
そう思った僕は、安堵の息を吐き、言葉を紡ぐべく息を吸い込んだ。
それよりも先に、ミナミが言った。
『忘れましたよ。あなたのことなんて』
一オクターブ下がった声。槍のような鋭さを持って、僕の鼓膜に突き刺さる。
『今更なんなんですか? 前は、ご飯に誘っても、話しかけても、ゴミを見るみたいな目で見てきたくせに…』
「あ…いや」
思いもよらない言葉に、喉の奥で何かが詰まった。
僕が固まっている間にも、スマホの向こうでは、ミナミがぶつぶつとしゃべり続けていた。
『さっきの女性は誰ですか? 当てつけですか? 本当に、趣味の悪い人ですね。気分が悪い』
「いや、そういうわけじゃ…」
何とか絞り出した声も、蚊の鳴くようなものだった。
『せっかく今の今まで、あなたのこと忘れていたのに…。なんで電話かけてきたんでしょうか…。しかも、こんな朝早くに』
それに関しては、申し訳ないと思う。
ミナミは大げさにため息をついた。
『それで? 何の用ですか? 今更邪険に扱った女に電話を掛けてくるなんて』
「いや…、その…」
彼女の反応を見て、僕がどんな人間だったのか? 彼女とどんな関係を築いていたのか…という疑問は拭われた。
もう彼女に用はなかったから、僕は嘘をついた。
「元気にやっているかどうか…、気になったんだ」
鼻で笑う声が聴こえた。
『ええ、元気にやっていますよ。あなたと違って』
僕は静かに頷く。
『楽しい日々です。ですが、あなたのことを思い出すと途端に気分が悪くなるので、もう二度と電話してこないでください。もちろん、メッセージも』
なんでブロックするの忘れていたんだろう…と、独り言のように言ったミナミは、次の瞬間には、通話を切っていた。
「あ…」
落ちたものを掴むように声をあげるが、通話画面はもう消えていた。
友達リストにあった「minami」という名前を見た瞬間、身体が熱くなり、震える。
その時、肩が横にいた皆月舞子に触れる。彼女は目を閉じ、耳をこちらに向けていた。
「聴いていたのか?」
「もちろん」
皆月は、おえっ…と舌を出すと、肩を竦めた。
「まあ、私の予想通りだったでしょう? 女の子を怒らせるような、クズで間抜けの根暗人間」
「ああ、そうだな」
否定しなかった僕は、スマホを布団の上に投げ、壁に背をもたれた。ため息をつき、こめかみを掻く。それを皮切りに、頭蓋骨の内側に虫が這うような痒みが走った。
「ちょっと思い出した。そう言えば僕、ミナミに、好かれてたんだ…」
「なにそれ」
皆月は顔を顰めた。
「さっきの会話で、なんでそうなるわけ? 自意識過剰なんじゃないの?」
「いや、ほんとなんだ。僕は皿洗いだったんだけど、よく話しかけてくれたし、ちょっとしたプレゼントももらったし、デートにも誘われた。僕はそんな人間じゃないのに、『素敵』だとか『かっこいい』とか、なんかいろいろ褒めてくれたし…」
まあ、その行為が、好意だったのか厚意だったのかはわからないが。
皆月舞子は首を傾げた。
「まあ、関係は良好だったわけね。でもなんで、さっきの電話みたいなことになっているわけ?」
「…それは」
一瞬の瞬き。瞼の裏に、当時の光景が過る。
「まだ、思い出せていないよ」
三秒間を置いた末の答えに、皆月は舌打ちをすると、僕の脇腹を軽く蹴った。
「嘘つかないでよ。顔に、『恥ずかしいから言いたくない』って言葉が貼りついてる」
「……馬鹿らしく思ったんだよ」
僕は痛くも痒くもない脇腹に触れ、そう絞り出した。
「ミナミに好かれているってことは、なんとなく気づいていた。だけど、なんて言えばいいんだろう…。僕は好かれるような人間じゃないし…って、思ったんだ」
「何それ」
「まだ、記憶が完全に戻っているわけじゃないから、根拠のない事なんだけど、僕はあの頃、そう思ったんだ。自分は人に好かれるような人間じゃない…って」
そう言えば彼女、いつの日か僕のことを、「寡黙でミステリアスで、素敵なお兄さん」って言ってたな…。
僕は途切れた言葉を紡いだ。
「とにかく、僕は良い奴じゃないんだよ。ミステリアス? 物は言いようだな。しゃべるようなことも無い、中身は空っぽの、しょうもない男」
肩を竦める。
「僕は自分のことをそうだと思ったんだ。それで、確か、段々とイライラしてきたんだ」
「イライラ…?」
「うん。ミナミが僕に良くしてくれるのは、つまり、そういう下心があってのことだろう? 恋愛感情って言うのは、突き詰めていけば、性欲…生殖本能によるものだ。そんな不純な気持ちで、近寄られたくなかったんだ…」
「ああ…」
僕は俯いていたから、皆月舞子がどんな顔をしていたのかはわからない。だけど、多分、ゴミムシを見るような目をしていたのだろう。その方が清々しくて心地よかった。
「彼女は、僕がとるに足らない人間だってことを見抜けなかった。人を見る目が無いってことだ。そんな奴と仲良くなんて、できるわけがなかった…」
そこまで話した僕は、唾を飲みこみ、顔を上げた。案の定、皆月はカマドウマを見るような目をしていた。
「だから、あの子に近寄られても、その好意に、応えることが出来なかったんだよ」
「それで、ああいうことになったわけか」
皆月は思い出したように頷くと、パソコンにさっき聞いたことをメモする。一通り書き終わり、勢いよくエンターキーを押すと、倒れていた椅子を戻して腰を掛けた。
それから「ふーん」と、言いながら回転し、背もたれに体重を掛ける。
のけ反った状態で、僕を見た。
「良かったね。なかなかいい情報だったよ。これで、過去の復元が一歩進行した。千里の道の一歩だね」
「良かないさ。僕がしょうもない人間だったってことが露呈した」
「何を今更。そんなこと、わかり切っていたでしょう」
皆月舞子は鼻で笑う。そして、交渉に入った。
「それで、どうする? 今なら引き返してやってもいいよ。人に何の利益も与えられず、ただただ二酸化炭素ばかりを吐き散らかしてきた過去を思い出す前に、栄ある過去を書いてあげる」
「それは結構だ」
ここぞとばかりに楽をしようとしてくる皆月の思惑を、僕は即答で叩き落とした。
顎に手をやり、息を吐きながら頷く。
「過去の復元のやり方…なんとなくわかってきた。このまま続けよう。今のはチュートリアルってわけだ」
「惨めな過去を思い出したいだなんて、ほんと変わってるのね」
その時、僕は言葉を間違えた。
「もしかしたら、いい過去だってあるかもしれないだろう? まだほんの少ししか思い出せていないんだから…」
そう言ってしまった。
やけくそだよ。君に嫌がらせをしたいんだ…。そのくらいのことを言っておけばよかったのに、まるで、僕の過去に望みがあるかのようなことを言ってしまった。
ぼんやりとした顔でそう呟く僕は、まさに、身の程知らずだったことだろう。
「はっ」
当然、皆月は大げさに笑った。
「何それ、惨めなのね」
「…そうだな」
恥ずかしさで、頬が熱くなった。
「本当に、惨めだよ」
本当、惨めだ。
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