D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第三十五章

食事で分かること

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 ターカオさんとシンディさんが起きて動き出すのはまあまあ遅かった。ギリギリ朝と呼べるくらいの時間にお詫びのメッセージが魔法で届けられたのである。それにより、決まってしまった事が三つあった。
 一つ。面談は昼食後へ変更となった。これは有利な点だ。お腹が満たされた生物は心も寛大になる。それはエルフも変わらない。
 二つ。面談はアローズのセンシャと被る事となった。実は、ニャンダフル連邦共和国のカルカン・スタジアム――サッカードウの試合を行ったニャンプ・ノウとはまた違う会場だ――で行われるそれは魔法通信により全大陸で放映され、ここエルヴィレッジでも視聴できるのだ。
 しかし面談の最中、半裸で泡だらけになって馬車を洗うエルフの姿に俺が鼻の下を伸ばす訳にはいかない。今もう断言するが、俺がその放映をしっかりと見る事は無いだろう。これを幸に変える不幸のまま受け入れるかは俺次第だ。
 三つ。寝具は洗濯ではなく新品に取り替えて貰う。これについてはあまりコメントしたくない……。

「なかなか良い喰いっぷりだったぜえ」
「細いのに意外と男じゃん! って感じ」
 時間はお昼まで飛ぶ。午前を様々な打ち合わせや準備で過ごした俺は食堂へ戻り、そっと厨房の方へ入ってブヒキュアの二人から情報を収集していた。
「そうですか! ありがとうございます。じゃあ食事には満足頂けた感じですね」
 俺はハーフオークのコック達に礼を言いつつ、自分の胸をなで下ろす。
「あーしたちの腕にかかればね! ……と言いたい所だけど、ありゃ飢えたてたからだお!」
「昨晩、そうとうお楽しみだったとみた!」
 黒ギャルのナギサさんは苦笑しながら、白ギャルのホノカさんは自信満々にそう言い放つ。両者はオークでありギャルでもあり、言うならば肉食系かける肉食系だ。そして調理師でもある。生物の三大欲求、食欲性欲勝ち点3欲しい欲のうち前の二つについて非常に詳しい。
 ん? 三大欲求ってこれで良かったっけ? まあいいや。ともかく、ターカオさんとシンディさんの状態について調べるのに、この二人ほど適任な人材はいないだろう。
「ははは。それはアリスさんも複雑な気分だろうなあ」
 俺はまもなく食堂へ来る予定のデイエルフの心境を想像して笑った。両親が昨晩どう過ごしたか察してしまうと、娘さんとしては複雑な気分だろう。幼少期に両親が死んだ俺には経験無いが、
「朝、起きたらオカンの肌がやたらツヤツヤしててオヤジといちゃいちゃしててさ……」
みたいな愚痴なら友人から聞いた事がある。
「むむ!? ヲタくんも何かイヤラシイこと考えてる?」
「草食系のエルフにアレで負けてられないぜ! って感じ?」
 そんな俺の内心を読み取ったのか、ナギサさんとホノカさんは肉感的な人間の美女の姿になって俺の前後から迫ってきた!
「考えてません! それに厨房でそんな不衛生な事は辞めて頂きたい!」 
 俺は二人の胸に挟み込まれる前にさっと身を翻し、そう戒める。食中毒を二度と出さない為に衛生観念を徹底する、とは言ったが実のところハーフオークの彼女たちに理解して貰うのはなかなか難しい。何せ彼女たち、胃から何から全て頑丈だし。
「だってヲタくん全然くれないしー」
「キッチンじゃなかったらワンチャンある感じ?」
 しかし、今や全くオークに見えない彼女たちは、そう言って残念そうに互いの身を抱き合った
「いえ全くありません! あとヲタくんじゃなくて監督です!」
 ナギサさんとホノカさんは元オーク代表チームの厨房スタッフで、試合に勝った俺が引き抜いた人材だ。と同時に彼女たちは俺からあるモノを手に入れるよう密命を受けた魔法少女でもあり、筋骨隆々なハーフオークの方こそ魔法で作った仮の姿、本来は今のようなややムチっとしているが極めて美しいギャルである。油断すると俺の方こそ抜かれかねない。
「座席の方も予定通りなんですよね?」
 俺は話の流れを変えようと、また別の質問を投げる。
「うん。そこの方も問題なーし!」
「テーブル移動させたけど重くて腕がパンパン! マッサージして~」
 ナギサさんはギャルピースでポーズを決めながら、ホノカさんは両腕を俺の方に突き出しつつ胸を寄せながら言った。これって要求されているのは本当にマッサージなんですか!?
「ありがとうございます。でもマッサージはお互いでなんとかしてください」
 俺は礼を言いつつもきっぱりと断る部分は断る。そもそもオーク姿の時は腕の太さが俺の太股くらいある二人だし、テーブルくらい楽勝だったろう。しかも彼女たちはメディカルスタッフでもある。マッサージや整体の達人だ。ブヒキュアのキュアは癒しのキュアなのだ。
「あ、アリスさんが来た! じゃあ俺もそろそろ」
 と、厨房の覗き穴から見た向こうに女教師の姿が見えた。俺は身支度をして、別の出口へ向かう。
「ぶーぶー!」
「なんか褒美よこせー」
「はいはい。じゃあ今度、食事でも奢ります。この後も頼みますよ?」
 豚の鳴き声のような不平の声を上げる二人をそう宥めて、俺はキッチンを後にした。やるべき準備はすべてやった。いよいよアリスさんのご両親と面談だ。
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