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第二十一章
救出チーム登場
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「お、お前達は!?」
驚くデニス老公会の面々――バートさんは除く――の前に現れたのは魔法の透明化マントで身を隠し潜んでいた、リストさんクエンさんレイさんのナイトエルフ勢とシャマーさん、そして選手ではないがステフとスワッグ、6エルフと1グリフォン総勢7名の姿だった。
「老公会のみなさん、お久しぶりー」
「お久しぶりぴい!」
シャマーさんとスワッグが気の抜けた声で挨拶をする。声も姿勢もリラックスしているが天才魔術師はスワッグに背後を見張らせつつ最後尾に位置し、両手は空にしていつでも魔法を撃てる構えだ。
「い、いつの間に!?」
「お前達とショーキチがセンシャに夢中になっている間にな」
今度はステフがニヤニヤと笑いながら応え、俺はウンウンと頷いた。いや待て!
「おいステフ! 俺は夢中になってなかったぞ!」
「武器を手に聖林に入るとは……無礼であろう!」
俺の抗議をかき消すようにデニス老公会の一名が指を突きつける。相手はリストさんだ。
「ぐふふ。イケオジがいっぱい……捗るでござる」
「リストパイセン! 言われてますよ!」
「え? 拙者が!? これは失敬!」
老公会を見渡し何かを妄想していたリストさんはクエンさんのアシストを受けて慌てて現実へ戻り腰の双剣――フレイムたんとアイスたんという名の曲剣だ。それぞれ刀身から炎と冷気を吹き出す――を外した。
「え?」
あっさりと武装解除したナイトエルフの剣士を前に、発言者のエルフの方が驚き固まる。
「で、サインやけど……」
そう言ったのは俺の椅子の肘掛けに座っているレイさんだ。と言うことはさっき俺の足を踏んだのは彼女か?
「誰のどこにしたらええん?」
レイさんはそう言いながら足を組み替え老公会の顔を見渡す。これで全員が口を開いた事になる。ナリンさんの代わりにシャマーさんが入っているが、これはほぼ視察旅行の旅をした仲間だ。
因みに服装もジャージやユニフォームではなく、身軽かつ軽い戦闘には耐えられそうな旅装である。レイさんと俺以外は実際に切ったはったの修羅場を越えた経験も多く、旅の間に阿吽の呼吸も産まれている。ナリンさんがいないのは残念だが、代わりにいるシャマーさんはご存じ大魔術師でスワッグステップとは旧知の仲。はっきりいって戦闘力は凄く高い。人質救出作戦があれば間違いなく選ばれるメンバーだ。
人質救出作戦。そう、彼女らは俺の助けに来たのだ。
「何を馬鹿な! ナイトエルフのサインなど!」
俺がちょっとヒロイックな事を考えている間にウォジーがショックから立ち直り、怒りの声を上げた。
「俺はお前……」
「……の事が好きなんやなあ! そうやろ?」
「なっ!」
レイさんの反撃に彼女に詰め寄ろうとしていたウォジーの顔が真っ赤になる。ナイトエルフの少女は肘掛けの上で再度、器用に足を組み替えながら――因みに旅装とは言ったがレイさんは素足に短いスカートだ。足を動かす度に健康そうな太股がむき出しになる――嫣然と笑いかけ、続けた。
「ショーキチ兄さんに学校に入れて貰ってぎょーさんの男の子に告白されてな。流石に分かってきたわ。ウチに気があるデイエルフの男の子が、どんな感じの態度になるか、な」
「俺は、その、きっ、気があるとか……」
男の子という年齢でもあるまいに、ウォジーは更に狼狽し出した。と言うかですね!
「(あのさ、ステフ?)」
「(どうしたショーキチ?)」
「(レイさん、何というかある方向に……)」
「(ちょっとビッチ方面に成長したよな!)」
小声で懸念を伝える俺にステフは親指を立てて微笑んだ。
「(直接的! お前、ちゃんと学校で護衛してくれてるんだよな?)」
「(もちろんだぞ! レイちゃんに気がある男子の事は全部、彼女に教えている)」
「(それは護衛と言わないんだよ!)」
「(あんだよ、そんなに心配ならさっさと自分のモノにしろよ)」
「(しません!)」
俺とステフが密かにそんな言い争いをしている間に、ジャバさんがすっと立ち上がり全員の注目を集めた。
「静まれ皆の衆! どうやら決着はついたようだ」
「ジャバ……!」
「交渉がどうなろうとショーキチ殿は自由の身になりチームの元へ戻っていたのであろう。見事な手腕だ。最初から、我々が手出しして良い相手ではなかった」
ジャバさんは悔しそうな、しかし自身の頭と同じくらいサッパリしたような顔で言った。
「バートに異論が無ければ、いや無いだろうが先ほどの条件、呑ませて貰おう」
老エルフの英雄がそう言うと、かつての名選手は無言で頷いた。
「ただ教えて欲しい。何故こんなに早く駆けつけ、救出に至った?」
「ああ、それですか」
レイさんの今後についての答えは簡単に出ないが、こちらの疑問に答えるのは簡単だ。
「手紙ですよ」
「手紙?」
「俺を騙って指示を書き、パリスさんに託した手紙です。あんなモノを送った段階で、こういう結果になるのは見えてました」
驚くデニス老公会の面々――バートさんは除く――の前に現れたのは魔法の透明化マントで身を隠し潜んでいた、リストさんクエンさんレイさんのナイトエルフ勢とシャマーさん、そして選手ではないがステフとスワッグ、6エルフと1グリフォン総勢7名の姿だった。
「老公会のみなさん、お久しぶりー」
「お久しぶりぴい!」
シャマーさんとスワッグが気の抜けた声で挨拶をする。声も姿勢もリラックスしているが天才魔術師はスワッグに背後を見張らせつつ最後尾に位置し、両手は空にしていつでも魔法を撃てる構えだ。
「い、いつの間に!?」
「お前達とショーキチがセンシャに夢中になっている間にな」
今度はステフがニヤニヤと笑いながら応え、俺はウンウンと頷いた。いや待て!
「おいステフ! 俺は夢中になってなかったぞ!」
「武器を手に聖林に入るとは……無礼であろう!」
俺の抗議をかき消すようにデニス老公会の一名が指を突きつける。相手はリストさんだ。
「ぐふふ。イケオジがいっぱい……捗るでござる」
「リストパイセン! 言われてますよ!」
「え? 拙者が!? これは失敬!」
老公会を見渡し何かを妄想していたリストさんはクエンさんのアシストを受けて慌てて現実へ戻り腰の双剣――フレイムたんとアイスたんという名の曲剣だ。それぞれ刀身から炎と冷気を吹き出す――を外した。
「え?」
あっさりと武装解除したナイトエルフの剣士を前に、発言者のエルフの方が驚き固まる。
「で、サインやけど……」
そう言ったのは俺の椅子の肘掛けに座っているレイさんだ。と言うことはさっき俺の足を踏んだのは彼女か?
「誰のどこにしたらええん?」
レイさんはそう言いながら足を組み替え老公会の顔を見渡す。これで全員が口を開いた事になる。ナリンさんの代わりにシャマーさんが入っているが、これはほぼ視察旅行の旅をした仲間だ。
因みに服装もジャージやユニフォームではなく、身軽かつ軽い戦闘には耐えられそうな旅装である。レイさんと俺以外は実際に切ったはったの修羅場を越えた経験も多く、旅の間に阿吽の呼吸も産まれている。ナリンさんがいないのは残念だが、代わりにいるシャマーさんはご存じ大魔術師でスワッグステップとは旧知の仲。はっきりいって戦闘力は凄く高い。人質救出作戦があれば間違いなく選ばれるメンバーだ。
人質救出作戦。そう、彼女らは俺の助けに来たのだ。
「何を馬鹿な! ナイトエルフのサインなど!」
俺がちょっとヒロイックな事を考えている間にウォジーがショックから立ち直り、怒りの声を上げた。
「俺はお前……」
「……の事が好きなんやなあ! そうやろ?」
「なっ!」
レイさんの反撃に彼女に詰め寄ろうとしていたウォジーの顔が真っ赤になる。ナイトエルフの少女は肘掛けの上で再度、器用に足を組み替えながら――因みに旅装とは言ったがレイさんは素足に短いスカートだ。足を動かす度に健康そうな太股がむき出しになる――嫣然と笑いかけ、続けた。
「ショーキチ兄さんに学校に入れて貰ってぎょーさんの男の子に告白されてな。流石に分かってきたわ。ウチに気があるデイエルフの男の子が、どんな感じの態度になるか、な」
「俺は、その、きっ、気があるとか……」
男の子という年齢でもあるまいに、ウォジーは更に狼狽し出した。と言うかですね!
「(あのさ、ステフ?)」
「(どうしたショーキチ?)」
「(レイさん、何というかある方向に……)」
「(ちょっとビッチ方面に成長したよな!)」
小声で懸念を伝える俺にステフは親指を立てて微笑んだ。
「(直接的! お前、ちゃんと学校で護衛してくれてるんだよな?)」
「(もちろんだぞ! レイちゃんに気がある男子の事は全部、彼女に教えている)」
「(それは護衛と言わないんだよ!)」
「(あんだよ、そんなに心配ならさっさと自分のモノにしろよ)」
「(しません!)」
俺とステフが密かにそんな言い争いをしている間に、ジャバさんがすっと立ち上がり全員の注目を集めた。
「静まれ皆の衆! どうやら決着はついたようだ」
「ジャバ……!」
「交渉がどうなろうとショーキチ殿は自由の身になりチームの元へ戻っていたのであろう。見事な手腕だ。最初から、我々が手出しして良い相手ではなかった」
ジャバさんは悔しそうな、しかし自身の頭と同じくらいサッパリしたような顔で言った。
「バートに異論が無ければ、いや無いだろうが先ほどの条件、呑ませて貰おう」
老エルフの英雄がそう言うと、かつての名選手は無言で頷いた。
「ただ教えて欲しい。何故こんなに早く駆けつけ、救出に至った?」
「ああ、それですか」
レイさんの今後についての答えは簡単に出ないが、こちらの疑問に答えるのは簡単だ。
「手紙ですよ」
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