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第5章の10・はい正解!…の ぷち話し
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黒点塾。三階のトレーニングルーム。
スクワットをしているブラックマスクの前方で、片膝をついて頭を垂れているのはゴンザだ。
「谷角甲の力は龍青学園内でも特上級。身体の頑丈さも侮れませぬ。北海道出身で、熊を相手に…」
ゴンザはGCSAの調査報告をしていた。
「山嵐隆正は駆け足が速く、龍青学園内最速。学業の成績はほぼ丙ですが、足の速さだけは川波鏡を上回りまする。それに…」
詳細に語るゴンザに対し、ブラックマスクはトレーニングしながら黙って聞いている。
「天野流香は頭脳明晰であり、奴らに策を与え、勝利に導く優秀なくのいち。龍青学園内では男子生徒どもの…」
長い報告の最中、スクワットから腕立て伏せにチェンジするブラックマスク。
そしてゴンザは最後の一人、竜沢の報告に入る。
「最後に竜沢神侍。この男は…………わ、分かりませぬ。」
「…何?」
今まで黙ってトレーニングしていたブラックマスクが、初めて声を出した。
「どういう意味だ。」
腕立てを止め、立ち上がるブラックマスク。
「はっ。分からないというのは、その…何故、奴が川波たちの頭なのか、という事でございまする。」
「つまり?」
「秀でた所が見当たりませぬ。」
「なるほどな。」
ブラックマスクは思考した。
〝あの竜沢という男、ただ単に仲間に恵まれただけの生ぬるい男か〟
不正解。賞金はありません。いや、生ぬるいと言う点はあながち間違ってないか。
しかし…何故ゴンザは竜沢の調査が出来なかったのか。何故竜沢の本質を見抜けなかったのか。何故竜沢の『超回復力』を知らなかったのか。
それは…
「竜沢?あー、面白い奴だよ。」
「かなーり変わり者だよな。」
「エロいよー。」
「竜沢くんが居ると楽しくなるんだよね。」
「明るいし優しい。けどエロい。」
「綺麗な子が好きだよね。」
「うーん、変な奴?」
「スケベだよー。」
とまぁ、ゴンザ達がいくら聞きこんでもそんな情報しか入って来なかったのである。
特にスケベというネタが多かった。
「纏めますと…あ奴は助兵衛で優柔不断で、何事も川波や天野に判断を任せ、戦いも谷角らが請け負い、自分では何もしないという…全く取柄の無い、只の助兵衛男となりまする。」
助兵衛二回言うた。
「…ふん。竜沢は注意するに値しない、という事か。」
「はっ、その認識で問題ありませぬ。」
「…どうでもいいが、報告の時に必ず語尾に『ぬ』や『る』を付ける癖は治らんか?」
「は、ははっ、申し訳ありませ…ぬ。」
「…もういい。」
ゴンザが立ち去った後、ブラックマスクはGCSAを迎え撃つプランを考えていた。
「谷角や山嵐は塾生どもに任せて問題ないだろう。天野、それに不破や北神は問題外。いや、真に問題外は竜沢か。やはり川波…奴だけは私しか勝てまい。そしてこの手で叩き潰す。このプランに変更は無し…だな。」
己の拳を見るブラックマスク。
「この拳を奴に叩き込む…ふっ、私と同じ苦しみを味わうがいい。」
そんな予想を裏切り、ブラックマスクの前に現れたのは竜沢だった。
「では一人で来るのは誰か?私の出した結論は…お前だ、竜沢。」
〝くっそー、間違えたー!絶対川波が来ると思ったのにー!〟
ブラックマスク、痛恨の予想違い。
「はい正解!賞金はありません!」
〝違うわ馬鹿ものぉ!不正解だったわ、くそー!〟
心の中で悔しがっているブラックマスク。
そして更に…
「タフで頑丈なのは谷角と聞いていたが…。」
〝斎藤ぉぉぉ!報告と全然違うだろぉがぁぁ!〟
ゴンザの顔を思い浮かべて怒りに震えるブラックマスク。
「私の横を抜いたスピード…あのレベルの瞬発力を出せるのは山嵐しか居ないと聞いている。」
〝斎藤ぉぉぉ!諜報任務もこなせんのか、斎藤ぉぉぉ!〟
ゴンザの顔を思い浮かべて更に怒りに震えるブラックマスク。
「はい正解!賞金はありません!」
〝ここまで来るとムカつくわ!お前にも腹立って来たぞ、竜沢ぁ!その笑顔もまたムカつくわー!〟
こうしてムカついたブラックマスクは、逆撫でした利住やブリオ達をブッ飛ばし、竜沢を殴り倒す。
これ、完全に八つ当たりじゃね?
〝斎藤ぉぉぉぉぉ!〟
ゴンザ、ここに居なくて良かったな。
スクワットをしているブラックマスクの前方で、片膝をついて頭を垂れているのはゴンザだ。
「谷角甲の力は龍青学園内でも特上級。身体の頑丈さも侮れませぬ。北海道出身で、熊を相手に…」
ゴンザはGCSAの調査報告をしていた。
「山嵐隆正は駆け足が速く、龍青学園内最速。学業の成績はほぼ丙ですが、足の速さだけは川波鏡を上回りまする。それに…」
詳細に語るゴンザに対し、ブラックマスクはトレーニングしながら黙って聞いている。
「天野流香は頭脳明晰であり、奴らに策を与え、勝利に導く優秀なくのいち。龍青学園内では男子生徒どもの…」
長い報告の最中、スクワットから腕立て伏せにチェンジするブラックマスク。
そしてゴンザは最後の一人、竜沢の報告に入る。
「最後に竜沢神侍。この男は…………わ、分かりませぬ。」
「…何?」
今まで黙ってトレーニングしていたブラックマスクが、初めて声を出した。
「どういう意味だ。」
腕立てを止め、立ち上がるブラックマスク。
「はっ。分からないというのは、その…何故、奴が川波たちの頭なのか、という事でございまする。」
「つまり?」
「秀でた所が見当たりませぬ。」
「なるほどな。」
ブラックマスクは思考した。
〝あの竜沢という男、ただ単に仲間に恵まれただけの生ぬるい男か〟
不正解。賞金はありません。いや、生ぬるいと言う点はあながち間違ってないか。
しかし…何故ゴンザは竜沢の調査が出来なかったのか。何故竜沢の本質を見抜けなかったのか。何故竜沢の『超回復力』を知らなかったのか。
それは…
「竜沢?あー、面白い奴だよ。」
「かなーり変わり者だよな。」
「エロいよー。」
「竜沢くんが居ると楽しくなるんだよね。」
「明るいし優しい。けどエロい。」
「綺麗な子が好きだよね。」
「うーん、変な奴?」
「スケベだよー。」
とまぁ、ゴンザ達がいくら聞きこんでもそんな情報しか入って来なかったのである。
特にスケベというネタが多かった。
「纏めますと…あ奴は助兵衛で優柔不断で、何事も川波や天野に判断を任せ、戦いも谷角らが請け負い、自分では何もしないという…全く取柄の無い、只の助兵衛男となりまする。」
助兵衛二回言うた。
「…ふん。竜沢は注意するに値しない、という事か。」
「はっ、その認識で問題ありませぬ。」
「…どうでもいいが、報告の時に必ず語尾に『ぬ』や『る』を付ける癖は治らんか?」
「は、ははっ、申し訳ありませ…ぬ。」
「…もういい。」
ゴンザが立ち去った後、ブラックマスクはGCSAを迎え撃つプランを考えていた。
「谷角や山嵐は塾生どもに任せて問題ないだろう。天野、それに不破や北神は問題外。いや、真に問題外は竜沢か。やはり川波…奴だけは私しか勝てまい。そしてこの手で叩き潰す。このプランに変更は無し…だな。」
己の拳を見るブラックマスク。
「この拳を奴に叩き込む…ふっ、私と同じ苦しみを味わうがいい。」
そんな予想を裏切り、ブラックマスクの前に現れたのは竜沢だった。
「では一人で来るのは誰か?私の出した結論は…お前だ、竜沢。」
〝くっそー、間違えたー!絶対川波が来ると思ったのにー!〟
ブラックマスク、痛恨の予想違い。
「はい正解!賞金はありません!」
〝違うわ馬鹿ものぉ!不正解だったわ、くそー!〟
心の中で悔しがっているブラックマスク。
そして更に…
「タフで頑丈なのは谷角と聞いていたが…。」
〝斎藤ぉぉぉ!報告と全然違うだろぉがぁぁ!〟
ゴンザの顔を思い浮かべて怒りに震えるブラックマスク。
「私の横を抜いたスピード…あのレベルの瞬発力を出せるのは山嵐しか居ないと聞いている。」
〝斎藤ぉぉぉ!諜報任務もこなせんのか、斎藤ぉぉぉ!〟
ゴンザの顔を思い浮かべて更に怒りに震えるブラックマスク。
「はい正解!賞金はありません!」
〝ここまで来るとムカつくわ!お前にも腹立って来たぞ、竜沢ぁ!その笑顔もまたムカつくわー!〟
こうしてムカついたブラックマスクは、逆撫でした利住やブリオ達をブッ飛ばし、竜沢を殴り倒す。
これ、完全に八つ当たりじゃね?
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ゴンザ、ここに居なくて良かったな。
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