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穴の中
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新たな魔石洞窟の発現ってかなりハンパないことらしくて、それを理解してないあたしは空飛ぶ絨毯で遊んでることを魔法協会の面々はドン引きな表情で見守ってくれてた。
「超~楽しい! コレ欲しいわ!」
るんるん気分で地上に戻って来ると、魔法協会の理事長が呆れてるのか大きな咳払いをした。
「あ、理事長お久しぶりでーす! 職員の皆さんもお疲れ様でーす! うちのペットたちはこの通り元気にやってまーす!」
テンはシンとハンが穴に近付かないように見張ってて、そのシンとハンは離れた場所で魔石を掘っておやつとして食べてる最中。
あたしたちにとっては見慣れた光景だけど、魔法協会のメンバーはビックリしてるっぽい。
「で? この中に入るんですよね?」
「そうです。ですが危険が伴いますし、入り口ももう少し拡げないと調査が出来ません」
あたしが聞くと理事長は真面目モードでそう言う。職員の人たちも、ハッとしたように魔法を出そうとし始めた。
「あ、大丈夫です。ちょっと入り口を開けたらいーんですよね? モンスター研究家の人をあたしの横に立たせて下さい」
そう言うと、ウッキウキ顔の研究家のおじちゃんが隣に来た。何かを感じ取ったのか、理事長も同じような顔で隣に来たけど。
「よし! テン! あれ見せてあげてよ! でもビックリするといけないから、威力は落としてね」
ずっと穴を気にしてたテンに声をかけると、振り向いて研究家のおじちゃんと理事長を見て「……フンッ」と、ため息にも聞こえるように鼻を鳴らした。
「テンのおでこに注目です!」
テンは空気が読めるのか、あたしの言葉を聞いてからおでこを光らせる。おでこっていうか、おでこの目が光るのを見ると、魔法協会メンバーは「おぉっ!!」と興奮して、牧場メンバーは前回のことがあるから、あたしたちから思いっきり離れた。
──チュン……!──
前みたいに、テンのおでこから出たレーザーは見事に地面に当たって、人が問題なく入れる穴を開けてくれた。
「や~ん! テンはすごい子~! ホントにイイコ~!」
テンをワッシャワシャに撫でるけど、そっぽ向いて「……フンッ」って鼻を鳴らすくせに、尻尾は少~しだけパタパタしてる。ツンデレすぎて可愛くて首元に抱きつくと、魔法協会の人たちが目も口もパッカーンって開いてテンを見つめてた。あ、その中にディーダもいたわ。
「ね? 超優秀なペットでしょ? んじゃ~さっそく中に入りましょう」
テンはそのまま穴に入って、呆然としてた魔法協会の人たちもその後に続いて、あたしやディーダ、マックにマーズニさんとシンとハンもその穴に入った。
下へ向かって続く洞窟だったけど、照明役の魔法使いが辺りを照らすから問題なく明るい。途中で道が狭くなってる場所は、テンが掘ったりビームを放ったりしてちゃんと通れるようにしてくれた。その度にドン引きされたけどさ。
シンとハンは先頭に向かおうとするとテンに怒られて、あたしたちの周りで魔石を掘ったりして遊んでたけど、それを見た理事長が「こうやって魔石を集めてたんですね……」と、あたしたちが最近ハンパない量の魔石を持って行く理由が分かったみたいだった。
ペット認定してもらったおかげで、あたしは楽に稼がせてもらってますよ。
あたしはもう既にピクニック気分で、マックと一緒にシンとハンを抱っこしようとしたりしてキャッキャしてた。実際にはレトリバーみたいな大きさだから、あたしに抱っこはキツイんだけどね。
そうこうしてるうちに、前の方では「モグラ型モンスターが出た!」とか騒いでたけど、光に弱いらしくてあっという間に魔法協会の職員さんたちにボコられてた。モグラ『型』なだけで、顔は可愛くなかったのをなんとなく確認した。
そのうちに洞窟内は、右と左に行く道が現れた。職員の人たちは理事長に「どうします?」なんて聞いてる。
「そういえば、テンが最初穴に向かって唸ってたんだよね」
思い出しながら言うと「そういうことは早く言ってください!」って理事長に注意されちゃった。研究家のおじちゃんは「レアモンスターがいるかもしれません!」って目を輝かせてるし。
「じゃあさ、テンに聞いたほうが早いよ。ねぇテン、モンスターの匂いとかする?」
あたしがテンに話しかけると、スンスンと空気を嗅いで何かを感じたらしいテンは、右の道へと進んで行く。あたしたちもそのままテンの後ろを追った。
そのまま少し歩くと、魔法協会のメンバーや、ディーダにマーズニさんも「おや?」とか言い出した。あたしとマックはなんだか分かってないけど、だんだんとテンも姿勢を低くして唸り始めた。
「……ガルルルルル……」
テンは唸りながら一歩一歩慎重に進む。そしてその先には、今度は三方向に分かれた道が現れた。
「……いますね」
「えぇ……」
研究家のおじちゃんが呟くと、理事長もそれに反応する。同時に職員たちが走り出し、真ん中の道へと向かって行った。
「ほぼ間違いなくモンスターがいます。どの程度のモンスターなのか、職員が確かめに行ったんですよ」
理事長はそう説明してくれたけど、理事長は行かないの? なんて聞けるわけがなくて、「へー」としか返せなかった。
──ドォーン!──
『ギイィィィィィ!!』
多分、魔法を使ったんだろうけど、派手な爆発音と何かの鳴き声が聞こえてきた。鳴き声と一緒に職員の人たちの叫び声なんかも聞こえて来る。
ここでようやく理事長が動いた。何かの魔法を発動させたと思ったら、ガラス張りの温室みたいなバリアが理事長を中心として展開されている。
「行きましょう!」
理事長の言葉に従って、あたしたちは職員の人たちの後を追った。
「超~楽しい! コレ欲しいわ!」
るんるん気分で地上に戻って来ると、魔法協会の理事長が呆れてるのか大きな咳払いをした。
「あ、理事長お久しぶりでーす! 職員の皆さんもお疲れ様でーす! うちのペットたちはこの通り元気にやってまーす!」
テンはシンとハンが穴に近付かないように見張ってて、そのシンとハンは離れた場所で魔石を掘っておやつとして食べてる最中。
あたしたちにとっては見慣れた光景だけど、魔法協会のメンバーはビックリしてるっぽい。
「で? この中に入るんですよね?」
「そうです。ですが危険が伴いますし、入り口ももう少し拡げないと調査が出来ません」
あたしが聞くと理事長は真面目モードでそう言う。職員の人たちも、ハッとしたように魔法を出そうとし始めた。
「あ、大丈夫です。ちょっと入り口を開けたらいーんですよね? モンスター研究家の人をあたしの横に立たせて下さい」
そう言うと、ウッキウキ顔の研究家のおじちゃんが隣に来た。何かを感じ取ったのか、理事長も同じような顔で隣に来たけど。
「よし! テン! あれ見せてあげてよ! でもビックリするといけないから、威力は落としてね」
ずっと穴を気にしてたテンに声をかけると、振り向いて研究家のおじちゃんと理事長を見て「……フンッ」と、ため息にも聞こえるように鼻を鳴らした。
「テンのおでこに注目です!」
テンは空気が読めるのか、あたしの言葉を聞いてからおでこを光らせる。おでこっていうか、おでこの目が光るのを見ると、魔法協会メンバーは「おぉっ!!」と興奮して、牧場メンバーは前回のことがあるから、あたしたちから思いっきり離れた。
──チュン……!──
前みたいに、テンのおでこから出たレーザーは見事に地面に当たって、人が問題なく入れる穴を開けてくれた。
「や~ん! テンはすごい子~! ホントにイイコ~!」
テンをワッシャワシャに撫でるけど、そっぽ向いて「……フンッ」って鼻を鳴らすくせに、尻尾は少~しだけパタパタしてる。ツンデレすぎて可愛くて首元に抱きつくと、魔法協会の人たちが目も口もパッカーンって開いてテンを見つめてた。あ、その中にディーダもいたわ。
「ね? 超優秀なペットでしょ? んじゃ~さっそく中に入りましょう」
テンはそのまま穴に入って、呆然としてた魔法協会の人たちもその後に続いて、あたしやディーダ、マックにマーズニさんとシンとハンもその穴に入った。
下へ向かって続く洞窟だったけど、照明役の魔法使いが辺りを照らすから問題なく明るい。途中で道が狭くなってる場所は、テンが掘ったりビームを放ったりしてちゃんと通れるようにしてくれた。その度にドン引きされたけどさ。
シンとハンは先頭に向かおうとするとテンに怒られて、あたしたちの周りで魔石を掘ったりして遊んでたけど、それを見た理事長が「こうやって魔石を集めてたんですね……」と、あたしたちが最近ハンパない量の魔石を持って行く理由が分かったみたいだった。
ペット認定してもらったおかげで、あたしは楽に稼がせてもらってますよ。
あたしはもう既にピクニック気分で、マックと一緒にシンとハンを抱っこしようとしたりしてキャッキャしてた。実際にはレトリバーみたいな大きさだから、あたしに抱っこはキツイんだけどね。
そうこうしてるうちに、前の方では「モグラ型モンスターが出た!」とか騒いでたけど、光に弱いらしくてあっという間に魔法協会の職員さんたちにボコられてた。モグラ『型』なだけで、顔は可愛くなかったのをなんとなく確認した。
そのうちに洞窟内は、右と左に行く道が現れた。職員の人たちは理事長に「どうします?」なんて聞いてる。
「そういえば、テンが最初穴に向かって唸ってたんだよね」
思い出しながら言うと「そういうことは早く言ってください!」って理事長に注意されちゃった。研究家のおじちゃんは「レアモンスターがいるかもしれません!」って目を輝かせてるし。
「じゃあさ、テンに聞いたほうが早いよ。ねぇテン、モンスターの匂いとかする?」
あたしがテンに話しかけると、スンスンと空気を嗅いで何かを感じたらしいテンは、右の道へと進んで行く。あたしたちもそのままテンの後ろを追った。
そのまま少し歩くと、魔法協会のメンバーや、ディーダにマーズニさんも「おや?」とか言い出した。あたしとマックはなんだか分かってないけど、だんだんとテンも姿勢を低くして唸り始めた。
「……ガルルルルル……」
テンは唸りながら一歩一歩慎重に進む。そしてその先には、今度は三方向に分かれた道が現れた。
「……いますね」
「えぇ……」
研究家のおじちゃんが呟くと、理事長もそれに反応する。同時に職員たちが走り出し、真ん中の道へと向かって行った。
「ほぼ間違いなくモンスターがいます。どの程度のモンスターなのか、職員が確かめに行ったんですよ」
理事長はそう説明してくれたけど、理事長は行かないの? なんて聞けるわけがなくて、「へー」としか返せなかった。
──ドォーン!──
『ギイィィィィィ!!』
多分、魔法を使ったんだろうけど、派手な爆発音と何かの鳴き声が聞こえてきた。鳴き声と一緒に職員の人たちの叫び声なんかも聞こえて来る。
ここでようやく理事長が動いた。何かの魔法を発動させたと思ったら、ガラス張りの温室みたいなバリアが理事長を中心として展開されている。
「行きましょう!」
理事長の言葉に従って、あたしたちは職員の人たちの後を追った。
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