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レアモンスター出現
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この魔石洞窟は平日の日中は魔法学校が授業で使うから、そっちが優先で学生以外は入れない。だから夜間は、「少ないけど魔石採取の人が来るんだ」ってアルが説明をしてくれていると、門番たちは「今日は特に少なくて三人が中にいるよ」と教えてくれた。
最近の魔力の不安定さのせいで、洞窟内の魔石の発生率が均一じゃないらしい。知らなかったとはいえ、アルは「採れなかったらごめん」なんて謝る。
「行ってみなきゃ分かんないでしょ! 早く行こ!」
今度はあたしがアルの手を引っ張って洞窟の中へと入った。入り口近くには普通の魔石が生えていて、アルはそれを使ってツルハシとカゴを魔法で作ってくれた。簡単にやっちゃうところがスゴイよね。
「さてと」
あたしは試してみたかったことがあるんだけど、魔力を感知するのはアルのほうが絶対に優位だろう。
「ねぇアル。壁とか地面の下からレア魔石の気配ってしない?」
そう聞くとすぐに「この奥かな?」と壁に手を当ててくれた。
「分かった。ちょっと試したくてさ、離れてくれる?」
アルが手を当ててた場所に今度は自分の手を当てて、魔法を発動する。『土壁』だからね。発動するのは『土の魔法』だ。
レア魔石の場所まで崩れろって念じると、見事に土壁はその通りになってくれて、簡単にレア魔石を採取できた。
「シンディ! すごいよ! 土の魔法ってそういう使い方もあるんだ!?」
どうやら普通はこんな使い方をしないらしくて、常識はずれの魔法の使い方をしたのにアルはなぜか感動してくれている。さらに地面の下に魔石を感じるとアルが言えば、『地の魔法』で足元まで魔石を押し上げる。
せっかくアルがツルハシを作ってくれたのに、今のところツルハシ要らずで簡単にレア魔石を採取している。中には珍しい宝石まであったらしくて、アルは見たことないほどテンション爆上げしてるのを見て笑っちゃった。普段は大人びた発言ばっかりだけど、やっぱり若い子なんだなぁってさ。
そんな感じであたしたちは楽に魔石採取をしながら進んでいると、洞窟の奥から叫び声が聞こえてきた。
「え? 何?」
「モンスターかな?」
あたしたちは立ち止まって耳を澄ます。するとバタバタと人が走る音が近付いて来る。
「え!? 大丈夫ですか!?」
「レアモンスターだ! 強すぎる! アンタたちも逃げろ!」
三人の大人が血まみれでこっちに来る。みんな腕とか足とか何ヶ所からも血を流している。あたしたちに忠告をしながらその人たちは入り口を目指して走って行った。
「え? 逃げたらモンスターこっちに来るんじゃないの? 入り口からモンスターが出たらヤバくね?」
「同感。僕とシンディならやれると思う。行こう!」
あたしたちはそのまま洞窟の奥へと走った。しばらく走るとそのレアモンスターが現れたんだけど……。
「……犬……」
そこには「馬か!」ってツッコミたいくらいの、とんでもなくバカデカい犬がいて、血を流しながらあたしたちを威嚇している。その後ろには子犬と思われる、レトリバーサイズの犬も血まみれになっている。さらに普通の犬と違うのは、オデコのところに縦に目が付いている。
「クリスタルウルフ!? なんでこんな場所に!? シンディ、コイツらは強すぎる!」
アルが青ざめて叫ぶ。
「無理……コレは無理……」
「僕が全力で魔法を放つ!」
あたしの言葉に反応したアルが叫んだけど、そのアルを止める。
「そうじゃなくて……犬じゃん……怪我してるじゃん……倒すとか……マジ無理」
動物大好き人間のあたしはゴブリンはボコれても、犬に斬りかかるなんて出来ない。っていうか、手当てをしてあげたい。
「あんたお母さんなの? 子どもも大丈夫? さっきの人たちにやられたの?」
敵意なんてないですよーって感じで話しかけるけど、犬は動けないのかこっちには来ないけど威嚇をやめない。
「おやつあるよ? 食べる?」
クレアさんから貰ったクッキーを出すと一瞬クンクンとこちらの匂いを嗅いだけど、すぐにまた威嚇し始める。そうしてる間に子犬たちが怪我が痛いのか、キュンキュンと鳴き始めた。
「マジであたしがなんとかしてやるから! 落ち着いて!」
母犬に叫ぶとアルに腕を掴まれた。
「シンディ! 危ないから! かなり凶暴なレアモンスターだ!」
「無理! 倒すなんて無理! なんとかする!」
アルを振り切って近付くと、母犬は鼻に皺を寄せて牙を剥き出しにする。けどあたしはその母犬の目を見て「安心して」って何回も語りかけた。すると伝わったのか、おとなしくなって牙を剥くのをやめてくれた。
「ありがとう。おやつ食べる?」
懲りずにクッキーを差し出すと興味なさげだったけど、あたしが背負っているレア魔石が気になるのか肩の辺りに視線を感じる。
「これ?」
あたしは背負いカゴを降ろして手で持って一歩近付く。やっぱり魔石に興味があるのか匂いを嗅ぐ素振りを見せるけど、近付いたらガブッと来そうでちょっと怖い。なので母犬の近くに魔石をコロコロと転がしてみる。
何個目かの魔石の匂いを嗅ぐと、そのまま咥えて魔石を噛み砕き始めた。すると母犬の体は光り始め、全ての傷が治ったっぽい。治ったということは動けるということで……母犬は立ち上がりこちらに向かって歩いてくる。
……あれ? これ、ピンチ?
最近の魔力の不安定さのせいで、洞窟内の魔石の発生率が均一じゃないらしい。知らなかったとはいえ、アルは「採れなかったらごめん」なんて謝る。
「行ってみなきゃ分かんないでしょ! 早く行こ!」
今度はあたしがアルの手を引っ張って洞窟の中へと入った。入り口近くには普通の魔石が生えていて、アルはそれを使ってツルハシとカゴを魔法で作ってくれた。簡単にやっちゃうところがスゴイよね。
「さてと」
あたしは試してみたかったことがあるんだけど、魔力を感知するのはアルのほうが絶対に優位だろう。
「ねぇアル。壁とか地面の下からレア魔石の気配ってしない?」
そう聞くとすぐに「この奥かな?」と壁に手を当ててくれた。
「分かった。ちょっと試したくてさ、離れてくれる?」
アルが手を当ててた場所に今度は自分の手を当てて、魔法を発動する。『土壁』だからね。発動するのは『土の魔法』だ。
レア魔石の場所まで崩れろって念じると、見事に土壁はその通りになってくれて、簡単にレア魔石を採取できた。
「シンディ! すごいよ! 土の魔法ってそういう使い方もあるんだ!?」
どうやら普通はこんな使い方をしないらしくて、常識はずれの魔法の使い方をしたのにアルはなぜか感動してくれている。さらに地面の下に魔石を感じるとアルが言えば、『地の魔法』で足元まで魔石を押し上げる。
せっかくアルがツルハシを作ってくれたのに、今のところツルハシ要らずで簡単にレア魔石を採取している。中には珍しい宝石まであったらしくて、アルは見たことないほどテンション爆上げしてるのを見て笑っちゃった。普段は大人びた発言ばっかりだけど、やっぱり若い子なんだなぁってさ。
そんな感じであたしたちは楽に魔石採取をしながら進んでいると、洞窟の奥から叫び声が聞こえてきた。
「え? 何?」
「モンスターかな?」
あたしたちは立ち止まって耳を澄ます。するとバタバタと人が走る音が近付いて来る。
「え!? 大丈夫ですか!?」
「レアモンスターだ! 強すぎる! アンタたちも逃げろ!」
三人の大人が血まみれでこっちに来る。みんな腕とか足とか何ヶ所からも血を流している。あたしたちに忠告をしながらその人たちは入り口を目指して走って行った。
「え? 逃げたらモンスターこっちに来るんじゃないの? 入り口からモンスターが出たらヤバくね?」
「同感。僕とシンディならやれると思う。行こう!」
あたしたちはそのまま洞窟の奥へと走った。しばらく走るとそのレアモンスターが現れたんだけど……。
「……犬……」
そこには「馬か!」ってツッコミたいくらいの、とんでもなくバカデカい犬がいて、血を流しながらあたしたちを威嚇している。その後ろには子犬と思われる、レトリバーサイズの犬も血まみれになっている。さらに普通の犬と違うのは、オデコのところに縦に目が付いている。
「クリスタルウルフ!? なんでこんな場所に!? シンディ、コイツらは強すぎる!」
アルが青ざめて叫ぶ。
「無理……コレは無理……」
「僕が全力で魔法を放つ!」
あたしの言葉に反応したアルが叫んだけど、そのアルを止める。
「そうじゃなくて……犬じゃん……怪我してるじゃん……倒すとか……マジ無理」
動物大好き人間のあたしはゴブリンはボコれても、犬に斬りかかるなんて出来ない。っていうか、手当てをしてあげたい。
「あんたお母さんなの? 子どもも大丈夫? さっきの人たちにやられたの?」
敵意なんてないですよーって感じで話しかけるけど、犬は動けないのかこっちには来ないけど威嚇をやめない。
「おやつあるよ? 食べる?」
クレアさんから貰ったクッキーを出すと一瞬クンクンとこちらの匂いを嗅いだけど、すぐにまた威嚇し始める。そうしてる間に子犬たちが怪我が痛いのか、キュンキュンと鳴き始めた。
「マジであたしがなんとかしてやるから! 落ち着いて!」
母犬に叫ぶとアルに腕を掴まれた。
「シンディ! 危ないから! かなり凶暴なレアモンスターだ!」
「無理! 倒すなんて無理! なんとかする!」
アルを振り切って近付くと、母犬は鼻に皺を寄せて牙を剥き出しにする。けどあたしはその母犬の目を見て「安心して」って何回も語りかけた。すると伝わったのか、おとなしくなって牙を剥くのをやめてくれた。
「ありがとう。おやつ食べる?」
懲りずにクッキーを差し出すと興味なさげだったけど、あたしが背負っているレア魔石が気になるのか肩の辺りに視線を感じる。
「これ?」
あたしは背負いカゴを降ろして手で持って一歩近付く。やっぱり魔石に興味があるのか匂いを嗅ぐ素振りを見せるけど、近付いたらガブッと来そうでちょっと怖い。なので母犬の近くに魔石をコロコロと転がしてみる。
何個目かの魔石の匂いを嗅ぐと、そのまま咥えて魔石を噛み砕き始めた。すると母犬の体は光り始め、全ての傷が治ったっぽい。治ったということは動けるということで……母犬は立ち上がりこちらに向かって歩いてくる。
……あれ? これ、ピンチ?
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