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カレンの持て成し料理
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うどんが茹で上がったので一度よせておき、次にスープ作りに取り掛かることにする。私が求める出汁の利いた和風の汁は素直に諦め、醤油ことセウユベースの野菜スープを作る。後からこのスープにうどんを入れるつもりだ。日本人の常識からしたら「え?」とか「邪道だよね?」と言われるものだろうけれど、料理は美味しいものと美味しいものをかけ合わせたら美味しいものが出来るのだ。……多分だけれど。作ったことがないものを作ろうとしているが、想像の上では美味しいと思う。
この料理を作るために購入してきたコッコの干しもも肉を用意する。料理を開始した時から塩抜きのために水に入れていたものだが、ほんの少し切り取り口に運ぶとまだ完全には塩が抜けておらず、そこそこの塩気を感じるが、その分調味料を減らせば良いのでこのまま使うことにする。私は大雑把なのだ。
キャベッチ、キャロッチ、セルリン、オーニーオーンのみじん切りと、コッコの干し肉を適当な大きさに切り水と一緒に鍋に入れる。いつもよりも大きな鍋をたくさん使っているので不思議がられ、皆に後で入れる『麺』について説明し、スープの水分を吸うためたくさん水分が必要だと言うと納得してくれた。
かまどに火を焚べてもらい、それぞれの鍋に目分量で砂糖とセウユを入れる。干し肉から塩が出るのでセウユは少なめにし、隠し味程度にミィソを入れて味見をすると良い塩梅だ。ここで私が手にしたものにざわめきが起きる。
「姫様、それは酒では……」
「うん、そうよ」
以前一緒にリトールの町へ行った時に飲んだのを覚えていたタラが慌てている。リーンウン国の酒は日本酒のような香りがしたので料理に使えると思い購入したのだ。皆が止めるのを振り切り指先につけて舐めてみるとやはり日本酒のような味がする。それを鍋に入れると悲鳴が上がった。
「絶対に大丈夫だから安心して!」
騒ぐ皆に落ち着くように言いながら鍋をかき混ぜる。そしてまた味見をすると、それはそれは絶妙な旨さである。目の前にいたナデシコさんとキキョウさんに味見をさせると、目を白黒させ驚いていた。
お父様たちはまだ戻って来ないので次の料理に取り掛かろうとすると子どもたちに声をかけられた。
「姫様、このポゥティトゥの汁はどうするのですか?」
「ちょうど良かったわ。重要な任務をやってもらおうかしら」
そう言うとワクワクとする者、緊張する者と分かれたが、何てことはない片栗粉の抽出だ。上澄みを捨て水を足し、底に残る沈殿物を流さないように水が綺麗になるまで繰り返してほしいと頼む。
次に作るのはかき揚げや天ぷらなどだ。ムギン粉を新しく用意し、千切りにしたキャロッチやオーニーオーン、そして私のイチオシであるキャロッチの葉を混ぜ合わせる。美樹の家では農家からタダで貰っていたが、実は葉のほうが栄養があるので重宝していたのだ。これはかき揚げにし、オックラーやパンキプン、私が名付けたピーマンやししとうは天ぷらにする。
その準備をしているうちにお父様たちが戻って来るのが見えた。急いで私のオススメである今日の目玉であるポゥティトゥ料理に取り掛かる。すりおろし水気を切ったポゥティトゥに先程作ってもらった片栗粉を混ぜ合わせ白玉くらいの大きさに丸めて少し潰し、それを鍋に入れていくと子どもたちも手伝ってくれたおかげですぐに終わる。エビネとタラにはジンガーをすりおろしてもらう。
かき揚げや天ぷらを揚げながら、水・砂糖・セウユ・酒でなんちゃって天つゆを作りジンガーを入れてもらう。
私たちの料理に興味を示したのかペーターさんたちが寄って来るが、見たことのない料理に期待半分、不安半分といった表情をしている。
「もうすぐ出来上がるから座って待っていてちょうだい」
そう言えばお父様が三人をテーブル席へと案内してくれた。揚げ物で手一杯なのでスープの火加減を強くしてもらい、中にうどんを入れてもらう。完成したものは盛り付け、どんどんとテーブルに運んでもらう。最後に自分の分を持ち、私たちも食事をするためにテーブルへと向かった。
「このスープはたくさんの具材が入っているからそれを楽しんで。この野菜の塊はかき揚げと言って、塩を少しかけて食べるか、このスープに入れても美味しいと思うわ。こっちの野菜の揚げ物はこの汁に浸けて食べてちょうだい」
三人に説明しているが、皆も食べたことがないものなので大声で全員に聞こえるように説明をする。待ちきれない様子の皆はいただきますをすると一斉に食べ始めた。
「こんなにふんだんに油を使うなんて」
ブルーノさんはかき揚げをまじまじと見ながら呟き口に運ぶが、サクッとした食感に目を丸くしている。
「これはリーンウン国の調味料ですよね?」
ジェイソンさんはあまりリーンウン国のものを食べたことがなかったようだが、ものすごい勢いでスープを飲んでいる。
「この細長いものとモチっとしたものは何だ……?」
ペーターさんはうどんと団子状のポゥティトゥを取り出しまじまじと観察をしている。
「細長いものはムギン粉から作られているわ。美味しいでしょ? そのモチモチしたものはポゥティトゥよ」
普段ホクホクとした食感のポゥティトゥがこんなにモチモチになるとは思っていなかったようで、料理に参加していなかった全員が驚いている。
「食感も面白いし美味しいのだけれど、とにかく力仕事なのよね……今日頑張ってくれたエビネとタラ、子どもたちに拍手!」
そう叫ぶと拍手喝采が起き、エビネたちは真っ赤になって照れていた。そしてシャイアーク国の三人はどの料理も美味いと語り出し、手も口も止まらなくなってしまったのだった。
この料理を作るために購入してきたコッコの干しもも肉を用意する。料理を開始した時から塩抜きのために水に入れていたものだが、ほんの少し切り取り口に運ぶとまだ完全には塩が抜けておらず、そこそこの塩気を感じるが、その分調味料を減らせば良いのでこのまま使うことにする。私は大雑把なのだ。
キャベッチ、キャロッチ、セルリン、オーニーオーンのみじん切りと、コッコの干し肉を適当な大きさに切り水と一緒に鍋に入れる。いつもよりも大きな鍋をたくさん使っているので不思議がられ、皆に後で入れる『麺』について説明し、スープの水分を吸うためたくさん水分が必要だと言うと納得してくれた。
かまどに火を焚べてもらい、それぞれの鍋に目分量で砂糖とセウユを入れる。干し肉から塩が出るのでセウユは少なめにし、隠し味程度にミィソを入れて味見をすると良い塩梅だ。ここで私が手にしたものにざわめきが起きる。
「姫様、それは酒では……」
「うん、そうよ」
以前一緒にリトールの町へ行った時に飲んだのを覚えていたタラが慌てている。リーンウン国の酒は日本酒のような香りがしたので料理に使えると思い購入したのだ。皆が止めるのを振り切り指先につけて舐めてみるとやはり日本酒のような味がする。それを鍋に入れると悲鳴が上がった。
「絶対に大丈夫だから安心して!」
騒ぐ皆に落ち着くように言いながら鍋をかき混ぜる。そしてまた味見をすると、それはそれは絶妙な旨さである。目の前にいたナデシコさんとキキョウさんに味見をさせると、目を白黒させ驚いていた。
お父様たちはまだ戻って来ないので次の料理に取り掛かろうとすると子どもたちに声をかけられた。
「姫様、このポゥティトゥの汁はどうするのですか?」
「ちょうど良かったわ。重要な任務をやってもらおうかしら」
そう言うとワクワクとする者、緊張する者と分かれたが、何てことはない片栗粉の抽出だ。上澄みを捨て水を足し、底に残る沈殿物を流さないように水が綺麗になるまで繰り返してほしいと頼む。
次に作るのはかき揚げや天ぷらなどだ。ムギン粉を新しく用意し、千切りにしたキャロッチやオーニーオーン、そして私のイチオシであるキャロッチの葉を混ぜ合わせる。美樹の家では農家からタダで貰っていたが、実は葉のほうが栄養があるので重宝していたのだ。これはかき揚げにし、オックラーやパンキプン、私が名付けたピーマンやししとうは天ぷらにする。
その準備をしているうちにお父様たちが戻って来るのが見えた。急いで私のオススメである今日の目玉であるポゥティトゥ料理に取り掛かる。すりおろし水気を切ったポゥティトゥに先程作ってもらった片栗粉を混ぜ合わせ白玉くらいの大きさに丸めて少し潰し、それを鍋に入れていくと子どもたちも手伝ってくれたおかげですぐに終わる。エビネとタラにはジンガーをすりおろしてもらう。
かき揚げや天ぷらを揚げながら、水・砂糖・セウユ・酒でなんちゃって天つゆを作りジンガーを入れてもらう。
私たちの料理に興味を示したのかペーターさんたちが寄って来るが、見たことのない料理に期待半分、不安半分といった表情をしている。
「もうすぐ出来上がるから座って待っていてちょうだい」
そう言えばお父様が三人をテーブル席へと案内してくれた。揚げ物で手一杯なのでスープの火加減を強くしてもらい、中にうどんを入れてもらう。完成したものは盛り付け、どんどんとテーブルに運んでもらう。最後に自分の分を持ち、私たちも食事をするためにテーブルへと向かった。
「このスープはたくさんの具材が入っているからそれを楽しんで。この野菜の塊はかき揚げと言って、塩を少しかけて食べるか、このスープに入れても美味しいと思うわ。こっちの野菜の揚げ物はこの汁に浸けて食べてちょうだい」
三人に説明しているが、皆も食べたことがないものなので大声で全員に聞こえるように説明をする。待ちきれない様子の皆はいただきますをすると一斉に食べ始めた。
「こんなにふんだんに油を使うなんて」
ブルーノさんはかき揚げをまじまじと見ながら呟き口に運ぶが、サクッとした食感に目を丸くしている。
「これはリーンウン国の調味料ですよね?」
ジェイソンさんはあまりリーンウン国のものを食べたことがなかったようだが、ものすごい勢いでスープを飲んでいる。
「この細長いものとモチっとしたものは何だ……?」
ペーターさんはうどんと団子状のポゥティトゥを取り出しまじまじと観察をしている。
「細長いものはムギン粉から作られているわ。美味しいでしょ? そのモチモチしたものはポゥティトゥよ」
普段ホクホクとした食感のポゥティトゥがこんなにモチモチになるとは思っていなかったようで、料理に参加していなかった全員が驚いている。
「食感も面白いし美味しいのだけれど、とにかく力仕事なのよね……今日頑張ってくれたエビネとタラ、子どもたちに拍手!」
そう叫ぶと拍手喝采が起き、エビネたちは真っ赤になって照れていた。そしてシャイアーク国の三人はどの料理も美味いと語り出し、手も口も止まらなくなってしまったのだった。
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