貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

文字の大きさ
151 / 370

しおりを挟む
 初めてのお父様もお母様もいない家での就寝であったが、意外にも私たち姉弟はいつも通りの夜を過ごすことが出来た。それは夫婦喧嘩について深く考えることを放棄したからでもあるだろうけれど。

 手早く朝食を済ませ私とスイレンはポニーとロバを連れてきて、ヒイラギが荷車を取り付け、じいやが丸太やロープなどを荷車に載せていく。さてここで定番となっている問題がある。オヒシバのことだ。イチビたちには声をかけたが、ポニーとロバと相性が最悪であるオヒシバを連れて行くのは余計な問題が多発するだろう。なのでここで一肌脱ぐことにする。

「オヒシバ。オヒシバにはぜひ頼みたいことがあるの。オヒシバは力も強いし仕事は丁寧だし水路の建設には欠かせない人だわ。だから今日はどんどんと蛇籠を作って欲しいの。期待しているわ」

 ポニーとロバと睨み合っていたオヒシバにそう声をかけると、途端に笑顔となりやる気に満ちた表情へと変わる。

「おまかせください! 完成は間近ですからね!」

「えぇそうね。水路が完成したら次は家の建設よ。オヒシバには期待しているの。今日は水路建設の者たちと一緒に向かってちょうだい」

 そう言うと「分かりました!」と笑顔で広場へと走り去って行った。ヒイラギやイチビたちからは「扱いが上手くなった」と苦笑いで言われ少々複雑な気持ちになったが仕方がない。
 ヒイラギは念の為にとさらに数名の人を呼び、総勢十名で川へと向かった。

 川岸へと着いた私たちだったがここで問題が浮上する。美樹が日本で遊んでいたイカダはペットボトルや廃タイヤなど浮力を上げる為のものを使っていたがここにはそれがないのだ。私がうっかりしていたのだが、それを説明すると運びやすいように軽い木材を持ってきたと説明された。確かに軽い木材であれば浮きやすいであろうが、美樹が乗っていたイカダは竹製だったのを思い出す。むしろ今から竹ことタッケを伐採に行くのだ。向こうで切ったタッケをイカダにして戻ったほうが効率が良いのではないだろうか?

「作戦変更よ! これくらいの板を作ってちょうだい。あぁ早く思い出してイチビにもこれを使わせればよかったわ……」

 私は人の胴体ほどの幅の板を作ってもらうように頼むと、急な作戦変更なのにもかかわらずその場で板に加工してくれる。新しい作戦は日本古来の波乗り遊びである『板子乗り』だ。船の船底に敷く揚げ板を『板子』と呼ぶのだが、要するにその板を使って日本でも昔からサーフィンをしていたのだ。海に入りその板を身体の下に入れ、パドルという手で水を漕ぐことをし沖に出てから波に乗って遊ぶのだ。もちろんここは川で淡水なので海水ほどは浮力もないであろうし板に乗ることもない。川の真ん中の水深が深い場所さえクリア出来れば、前回行った私たち以外も向こう側に到達することが出来るだろう。

 泳げる私には帰りのオール用に細長く板を加工してもらい、前回水泳をしてみたそうにしていたシャガとハマスゲにまずは板子を渡す。水に入る前に裸足となり、川岸に近い特に流れの緩やかな場所で板子の上に身体を乗せて見せると、同じようにシャガとハマスゲは楽しそうに流されている。前回イチビに教えたようにバタ足を教えると「早く進む!」とはしゃいでいる。板子のおかげで筋肉量の多い者でも浮きやすくなったようだ。

 ただどうしても水に入ることに抵抗がある者もいる。スイレンとヒイラギ、それとヒイラギが声をかけた者たちだ。ヒイラギは向こう岸には興味があったが、実際に泳ぐ姿を見て躊躇したようだ。無理強いなどしないし、むしろこちらの陸地側でやってほしいことがあるので助かる。

「スイレンたちにはこちら側でヤンナギの枝をいくつか集めてほしいの。もちろん私たちの動きも見ていてね」

「あの木だね? 分かった!」

 じいやたちと共に採取し植えたヤンナギは立派な若木となり、川岸にヤンナギ並木を作りたくさんの葉を茂らせている。ここまで成長しているならばそれなりの数の枝を折ったくらいでは枯れることもないだろう。

 少々こちらが不安に思っていたじいやにも板子を使ってもらったが、さすがと言うか難なくバランスをとりバタ足もすぐに覚えてくれた。

「みんな必要な道具は持った? わらじも持った? しばらくは浅瀬が続くから歩いて行くわ。私の後を追ってね。もし流されてもこの板だけは手放さず、乗ってバタ足よ」

 私の言葉に水泳組は「はい!」と大きな返事をしてくれる。道具を分担して身体に括り付け、向こう岸で履けるように濡れても問題のないわらじも腰に括り付けた。
 前回はおっかなびっくり進んだが、注意すべきなのは川の真ん中の足がつかない場所くらいである。私よりも足腰の強いみんなであれば問題はないだろう。

「じゃあ行くわよ!」

 私たちはタッケを求めて川へと入った。
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

我が家と異世界がつながり、獣耳幼女たちのお世話をすることになった件【書籍化決定!】

木ノ花
ファンタジー
【第13回ネット小説大賞、小説部門・入賞!】 マッグガーデン様より、書籍化決定です! 異世界との貿易で資金を稼ぎつつ、孤児の獣耳幼女たちをお世話して幸せに! 非日常ほのぼのライフの開幕! パワハラに耐えかねて会社を辞め、独り身の気楽な無職生活を満喫していた伊海朔太郎。 だが、凪のような日常は驚きとともに終わりを告げた。 ある日、買い物から帰宅すると――頭に猫耳を生やした幼女が、リビングにぽつんと佇んでいた。 その後、猫耳幼女の小さな手に引かれるまま、朔太郎は自宅に現れた謎の地下通路へと足を踏み入れる。そして通路を抜けた先に待ち受けていたのは、古い時代の西洋を彷彿させる『異世界』の光景だった。 さらに、たどり着いた場所にも獣耳を生やした別の二人の幼女がいて、誰かの助けを必要としていた。朔太郎は迷わず、大人としての責任を果たすと決意する――それをキッカケに、日本と異世界を行き来する不思議な生活がスタートする。 最初に出会った三人の獣耳幼女たちとのお世話生活を中心に、異世界貿易を足掛かりに富を築く。様々な出会いと経験を重ねた朔太郎たちは、いつしか両世界で一目置かれる存在へと成り上がっていくのだった。 ※まったり進行です。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした。今さら戻れと言われても、もうスローライフ始めちゃったんで

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、 優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、 俺は必死に、置いていかれないようについていった。 自分には何もできないと思っていた。 それでも、少しでも役に立ちたくて、 誰にも迷惑をかけないようにと、 夜な夜な一人でダンジョンに潜り、力を磨いた。 仲間を護れるなら… そう思って使った支援魔法や探知魔法も、 気づかれないよう、そっと重ねていただけだった。 だけどある日、告げられた。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、優しさからの判断だった。 俺も分かっていた。だから、何も言えなかった。 こうして俺は、静かにパーティを離れた。 これからは一人で、穏やかに生きていこう。 そう思っていたし、そのはずだった。 …だけど、ダンジョンの地下で古代竜の魂と出会って、 また少し、世界が騒がしくなってきたようです。 ◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

【完結】巻き込まれたけど私が本物 ~転移したら体がモフモフ化してて、公爵家のペットになりました~

千堂みくま
ファンタジー
異世界に幼なじみと一緒に召喚された17歳の莉乃。なぜか体がペンギンの雛(?)になっており、変な鳥だと城から追い出されてしまう。しかし森の中でイケメン公爵様に拾われ、ペットとして大切に飼われる事になった。公爵家でイケメン兄弟と一緒に暮らしていたが、魔物が減ったり、瘴気が薄くなったりと不思議な事件が次々と起こる。どうやら謎のペンギンもどきには重大な秘密があるようで……? ※恋愛要素あるけど進行はゆっくり目。※ファンタジーなので冒険したりします。

処理中です...