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品物の確認
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ヒーズル王国に入り大体いつも夜営をする場所で一泊し、ようやくみんなのいる場所に戻って来れた。ちなみにじいやは疲れもあったのか夜営地の近くまで目を覚まさなかった。
「おーい!みんなー!」
広場の北側に広がる森に入り叫ぶと、遠くから「戻って来た!」と声が聞こえる。私たちは広場に向かって歩いているが、わざわざ出迎えようと数人がこちらに来てくれたが、意外にも一番先に来たのはヒイラギだった。
「姫!みんな!…………バ?」
そうなのだ。まさか動物を連れて帰って来るとは思っていなかったのだろう。ヒイラギはチバとニバを見て驚いている。
「ヒイラギただいま。あのね、こっちのチバがポニーでこっちのニバがロバよ。そう呼んであげて」
この世界では大体のものの名前が日本で馴染み深い名称と似ているが、馴染み深い動物の名前が違い過ぎて混乱してしまう。
「姫に名前をつけてもらったんだね。ポニーとロバか。おいで」
ポニーもロバもヒイラギを初めて見るので少し警戒していたが、数秒もするとトコトコとヒイラギの元へと行きおとなしく撫でられている。これには驚いた。リトールの町からここまで長い時間一緒にいたのに、じいやたちには慣れはしたが撫でさせはしなかったのだ。そしてオヒシバが近寄ろうものなら歯茎を剥き出しにして威嚇するのである。現に今、二頭はほんの少し振り向きオヒシバを見て鼻を鳴らした。見ようによっては鼻で笑ったかのようだ。そんなオヒシバはプルプルと震え、ハマスゲになだめられている。
「おとなしいね。君たちの家も作らないといけないね」
そうだわ。馬小屋も必要よね。やることが増えたわ、と思っているとヒイラギは子どもをあやすように「みんなに挨拶をしようね」と言っている。ヒイラギに子どもが出来たら子煩悩な父親になりそうだと思ってしまったのだ。
「おーい!姫が戻ったよー!仲間も増えたようだ!」
森を抜けるとヒイラギが叫ぶ。
「仲間?」
「あれ?おババが言っていた仲間ってこの子たちじゃないの?」
そうか。ニコライさんやクジャだけじゃなくこの子たちも仲間なんだ。そう思うとより一層可愛く見えてしまう。広場にいた民たちが一斉にこちらに向かって来たが、まるで花道のように私たちが通れるよう道を開けてくれ「おかえりなさい」と揉みくちゃにされながら広場へようやく到着した。
「おかえりなさいカレン!」
「お母様!」
花道を抜けた広場にはお母様が腕を広げて待っていてくれて、私はそのままお母様に抱き着く。ギュッと抱き締められ、ようやく帰って来たと実感が出来た。やはりここが私の故郷で、リトールの町は第二の故郷と言っても良いだろう。
「みんなもお疲れ様……あら?あなたたち髪型が……それにチバにニバ?久しぶりに見たわねぇ」
お母様がイチビたちの髪型について話すと「姫に切ってもらったんだ」とイチビたちは自慢をしている。だけどお母様はそんなイチビたちよりもポニーとロバが気になるらしくそっと近付く。そしてポニーとロバもお母様の顔をジッと見つめたあと、私にしたようにお母様のお腹に顔を埋めている。
「まぁ可愛らしい」
「ポニーとロバって名前をつけたの。みんなも仲良くしてね」
ポニーとロバはピコピコと耳を動かしまるで挨拶をしているようだった。みんなが「可愛い」「おとなしい」とポニーとロバを持て囃している中、オヒシバは「モクレン様にまで……!」とか騒いでいたが誰もそれには目もくれず、ハマスゲに引きずられて荷車から荷物を降ろす役に回されていた。
家のすぐ近くに建てられた物置小屋の柱にポニーたちを繋ぎ、リトールの町から持って来た品物の確認をすることにする。イチビたち四人が作ってくれたこの小屋は見た目以上に頑丈で、ポニーたちを繋いでいても問題はないだろう。
まず一番大きな脱穀機を降ろす。見たことのない代物に民たちは興味津々だ。簡単に説明をし、ペダルを踏んでドラムを回すとエビネやタラたち農作業組が大絶賛している。そんなエビネたちに新しいムギンの種を手渡すと「畑を離しますね」とこちらが言う前に察してくれる。そしてついでに渡してしまおうと湿地の土が入った樽を見て、たくさん採取したヤンナギを挿して来たのを思い出した。
「じいや、水路に植える前に後で川岸に植えましょう」
「かしこまりました」
民たちには水辺を好む木だとヤンナギについても話す。じいやのあの事件はじいやの名誉の為に伏せた。
「後で詳しく説明するけれど、隣国のリーンウン国の姫と友人になったの。これはそのリーンウン国の調味料よ。さらに言えば前世で住んでいた国で毎日使われていた調味料でもあるわ。……個人的には一番嬉しい品物よ」
そう言えば笑いが起きるがみんなが興味深くそれを見るので、夕飯はお母様と一緒に味噌汁を作ることにする。
まさかこの世界で味噌と醤油に出会えるなんて思ってなかった。実は自然の酵母で無理やり味噌と醤油を作ろうと計画していたけど、計画で済んで良かったわ。
「おーい!みんなー!」
広場の北側に広がる森に入り叫ぶと、遠くから「戻って来た!」と声が聞こえる。私たちは広場に向かって歩いているが、わざわざ出迎えようと数人がこちらに来てくれたが、意外にも一番先に来たのはヒイラギだった。
「姫!みんな!…………バ?」
そうなのだ。まさか動物を連れて帰って来るとは思っていなかったのだろう。ヒイラギはチバとニバを見て驚いている。
「ヒイラギただいま。あのね、こっちのチバがポニーでこっちのニバがロバよ。そう呼んであげて」
この世界では大体のものの名前が日本で馴染み深い名称と似ているが、馴染み深い動物の名前が違い過ぎて混乱してしまう。
「姫に名前をつけてもらったんだね。ポニーとロバか。おいで」
ポニーもロバもヒイラギを初めて見るので少し警戒していたが、数秒もするとトコトコとヒイラギの元へと行きおとなしく撫でられている。これには驚いた。リトールの町からここまで長い時間一緒にいたのに、じいやたちには慣れはしたが撫でさせはしなかったのだ。そしてオヒシバが近寄ろうものなら歯茎を剥き出しにして威嚇するのである。現に今、二頭はほんの少し振り向きオヒシバを見て鼻を鳴らした。見ようによっては鼻で笑ったかのようだ。そんなオヒシバはプルプルと震え、ハマスゲになだめられている。
「おとなしいね。君たちの家も作らないといけないね」
そうだわ。馬小屋も必要よね。やることが増えたわ、と思っているとヒイラギは子どもをあやすように「みんなに挨拶をしようね」と言っている。ヒイラギに子どもが出来たら子煩悩な父親になりそうだと思ってしまったのだ。
「おーい!姫が戻ったよー!仲間も増えたようだ!」
森を抜けるとヒイラギが叫ぶ。
「仲間?」
「あれ?おババが言っていた仲間ってこの子たちじゃないの?」
そうか。ニコライさんやクジャだけじゃなくこの子たちも仲間なんだ。そう思うとより一層可愛く見えてしまう。広場にいた民たちが一斉にこちらに向かって来たが、まるで花道のように私たちが通れるよう道を開けてくれ「おかえりなさい」と揉みくちゃにされながら広場へようやく到着した。
「おかえりなさいカレン!」
「お母様!」
花道を抜けた広場にはお母様が腕を広げて待っていてくれて、私はそのままお母様に抱き着く。ギュッと抱き締められ、ようやく帰って来たと実感が出来た。やはりここが私の故郷で、リトールの町は第二の故郷と言っても良いだろう。
「みんなもお疲れ様……あら?あなたたち髪型が……それにチバにニバ?久しぶりに見たわねぇ」
お母様がイチビたちの髪型について話すと「姫に切ってもらったんだ」とイチビたちは自慢をしている。だけどお母様はそんなイチビたちよりもポニーとロバが気になるらしくそっと近付く。そしてポニーとロバもお母様の顔をジッと見つめたあと、私にしたようにお母様のお腹に顔を埋めている。
「まぁ可愛らしい」
「ポニーとロバって名前をつけたの。みんなも仲良くしてね」
ポニーとロバはピコピコと耳を動かしまるで挨拶をしているようだった。みんなが「可愛い」「おとなしい」とポニーとロバを持て囃している中、オヒシバは「モクレン様にまで……!」とか騒いでいたが誰もそれには目もくれず、ハマスゲに引きずられて荷車から荷物を降ろす役に回されていた。
家のすぐ近くに建てられた物置小屋の柱にポニーたちを繋ぎ、リトールの町から持って来た品物の確認をすることにする。イチビたち四人が作ってくれたこの小屋は見た目以上に頑丈で、ポニーたちを繋いでいても問題はないだろう。
まず一番大きな脱穀機を降ろす。見たことのない代物に民たちは興味津々だ。簡単に説明をし、ペダルを踏んでドラムを回すとエビネやタラたち農作業組が大絶賛している。そんなエビネたちに新しいムギンの種を手渡すと「畑を離しますね」とこちらが言う前に察してくれる。そしてついでに渡してしまおうと湿地の土が入った樽を見て、たくさん採取したヤンナギを挿して来たのを思い出した。
「じいや、水路に植える前に後で川岸に植えましょう」
「かしこまりました」
民たちには水辺を好む木だとヤンナギについても話す。じいやのあの事件はじいやの名誉の為に伏せた。
「後で詳しく説明するけれど、隣国のリーンウン国の姫と友人になったの。これはそのリーンウン国の調味料よ。さらに言えば前世で住んでいた国で毎日使われていた調味料でもあるわ。……個人的には一番嬉しい品物よ」
そう言えば笑いが起きるがみんなが興味深くそれを見るので、夕飯はお母様と一緒に味噌汁を作ることにする。
まさかこの世界で味噌と醤油に出会えるなんて思ってなかった。実は自然の酵母で無理やり味噌と醤油を作ろうと計画していたけど、計画で済んで良かったわ。
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