貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

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野菜の様子

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 デーツの種を植え終えた私たちは野菜畑へと向かった。先程挿し木の枝を植えた時に気になったものを見かけたからだ。

「あったあった!」

 さっきは果樹だけではなくペパーの挿し木も植えたのだけど、その時に目ざとく見つけてしまったのだ。
 ペパーは購入した時点でそれなりに育っていたのですぐに収穫できることになったのだと思う。生い茂る葉を少しよせると、ツルには海ぶどうのような粒状の実がぶどうの房のような穂にびっしりと実っている。その海ぶどうのようなペパーの実がいくつか実っていた。黄緑がかった緑の実は小さくとも生命力を感じさせ、太陽光を反射してツヤツヤと輝いている。気の早い実は熟して赤くなっているものもあった。

「少しだけ収穫するわね」

 誰に言う訳でもなくそう呟いていくつかの実を収穫する。実よりも花のほうが多いので本格的な収穫はこれからだろう。片手に収穫した実を握っていると、シャガにそっとカゴを差し出される。この四人は無口だけれど、人の動きをよく見ていて先回りして行動しようとしてくれるところが素晴らしい。

 ちょうど畑作業が一段落し、手の空いたタラが「収穫ですか?」と声をかけてくれた。

「今日は少しだけね。ねぇタラ、このペパーは増やしたいから、隙を見て挿し木をお願いしたいの」

「かしこまりました。コートンはどうしますか?」

 そう聞かれたのでコートンの木も様子を見てみた。いくつかの蕾を見つけたので、この土地ならばきっと明日には花を咲かせることだろう。日本では寒さの関係で一年草と言われているが、実は多年草である。しばし畑を見てもの思いにふけたあとに口を開いた。

「これは多年草と言われているけれど、種を取ったら抜いてしまいましょう。畑の栄養をすごく吸い取ってしまうのよ。抜いた後にはムギンなどを植えると良いと思うわ。あと、オックラーに似た花を咲かせるからオックラーと間違えないでね」

 冗談半分で言うとタラは笑う。

「今はムギン畑とディーズ畑を収穫の度に交互に入れ替えて使っていますが、その周期にコートンも入れるようにします。オックラーと間違えないようにしなければですね」

 爽やかにそう言って立ち去るタラの背中を見守っていると背後から視線を感じる。振り返るとイチビたち四人が無言で私を見ているが、やはり思考が読めない。そんなことを思っていると「……頑張ります」とハマスゲが呟いた。

「みんなもいつもありがとう」

 そう声をかけると四人は揃ってモジモジとするのであった。

「この畑の様子はどう?」

 パンキプン畑に来た私は作業をしていた民に声をかける。

「はい、順調に育っております」

 そうか、と安心したのと同時にかぼちゃを植えた時の美樹の記憶がよみがえった。家庭菜園に植えたかぼちゃは庭にまで侵食し、園芸用の花を守るために苦労したのだった。

「忘れてたわ!これは横に伸びるのだけれど、かなり広い範囲までツルも葉も広がるの。可能ならまだ小さいうちに間をもっと空けたほうがいいわね」

 私の言葉を聞いた民は応援を呼び手入れを始めた。手伝おうとすると他の畑も見てほしいと言われ、仕方なくキャベッチ畑へと向かった。
 キャベッチも葉を大きく広げる野菜で、上手く光合成ができないと立派なキャベッチが実らない。この畑は充分にスペースを確保していたので日の光をさんさんと浴び、葉の真ん中は葉が巻き始めキャベッチができ始めていた。

「姫様、これはどうしたら良いのですか?」

 ちょうどキャベッチ畑にいたエビネに声をかけられる。

「もっと葉が巻いて玉になったら一度上から押してみるの。詰まっている感じがしたら大丈夫よ。刃物を貸して」

 借りた刃物でまだ小さなキャベッチを収穫してみせる。

「こんな風に芯を切るの。収穫した後はこのままにしておくと花芽が出てくるから、花を咲かせて種を取りましょう。収穫するのが遅くなってしまうとこの玉状の部分を突き破って花芽が出るわ。毎日確認するのが良いわね。ちなみに花はナーの花とそっくりよ」

 そう言うと全員が「えー……」という表情に変わってしまう。私としてはそろそろナーにも慣れてほしいのだけれど。

「世の中にはナーなんて比べ物にならないくらい臭い花もあるのよ?……そうだわ、このキャベッチは小さいからここのみんなで食べちゃいましょう。これは生でも火を通しても美味しいのよ」

 まだソフトボールの球くらいの大きさのキャベッチは、中身も詰まっていなかったので手で簡単に割ることが出来た。一口食べてみると独特のパリパリとした食感に甘さも感じる。これはかなり美味しいものになりそうだ。
 そう思いながらエビネ、イチビ、シャガ、ハマスゲ、オヒシバの口に無理やりキャベッチを詰め込む。食べたことのないものに抵抗はあるはずなのに、みんなはモグモグと口を動かすと目を見開いた。

「ね?美味しいでしょう?本当にどんな調理法でも食べれるからおすすめよ」

 みんながうんうんと頷く中、エビネは特に気に入ったようで「キャベッチ畑の拡大の為に畑を耕して来ます!」と鍬を持って走って行ってしまった。早くみんなにもキャベッチを振る舞いたいわ!
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