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買い物行脚
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そろそろ自分たちの国境に近い他の町に移動するというニコライさんを見送り、私たちはリバーシを売った大金を持ってカーラさんのお店に向かう。
「カーラさーん!今日もお買い物させてください」
「ゆっくり見ておくれ」
私がナズナさんと買い物をしている間にじいやたちは皮のなめし方について町の人に指導する。この町の人も作業は出来るとのことだけど、やっぱり森の民の技術の方が優れているらしい。
「ここで買った種たちは立派に成長しているわ。今日は前回買わなかった種を買っていくわね」
さすがにもう収穫して食べたとは言えず、『成長している』と誤魔化す。カーラさんは自分のことのように喜んでくれ、袋に新しい種を入れてくれる。
「そういえば果物の種は置いていないの?」
「うちは基本的に野菜ばかりだよ。でも隣の店は果物の種や苗木を扱っているよ。その隣の店はうちで扱ってない苗木なんかも売ってるから見ていったらどうだい?」
「うん!分かったわ!ありがとう」
カーラさんに代金を払い隣の店へと移動する。種も売ってはいるが苗木のほうが充実しているようで、店頭は緑に溢れている。
「こんにちは。少し見せてください」
「はいはい。ゆっくり見ていってねぇ……おや?森の民のお嬢ちゃんだねぇ」
ゆっくりとした話し方の店員のおばあちゃんはエルザさんというらしい。
「はい。今日はいろんな種類の果物をたくさん欲しいんですけど……」
「あらあら。それじゃあお店の物がほとんどなくなるわねぇ。種よりも苗木をおすすめするよぉ」
そんなことを言いコロコロと笑いながら麻袋に丁寧に苗木を詰めてくれる。とても可愛らしいおばあちゃんだ。その苗を見てナズナさんが口を開く。
「これはどんな果実が成るの?」
大雑把な私は、果物はほとんど育てたことがないので植えて実が成ったら判断しようくらいに思っていたけれど、ナズナさんはしっかりと説明を聞く。……大雑把すぎるのを反省しなきゃだわ。
「これとこれはベーリだねぇ」
「え?ベーリ?山にも生えてるあのベーリ?」
聞きなれない名称に私も一緒に説明を聞く。
「そうだねぇ。でも種類がたくさんあるでしょう?これは栽培用に掛け合わせたものでねぇ。甘くて美味しいよぉ。こっちはラズベーリでこっちは黒ベーリだよぉ」
あぁ!ラズベリーとブラックベリーね!育てるのが楽しみだわ!
「あとこれはオーレンジンの一種で、こっちはグレップ二品種、あとこれはチェーリだねぇ。チェーリは実も美味しいし大きな木に成長させるといい木材になるよぉ。私たちは昔、この木で染め物もしていたものだよぉ」
染め物と聞きナズナさんは目を輝かせて詳しく説明を聞いている。森の民も森の中のいろんな植物から染料を作って里にある町に売っていたようで、チェーリというのを知らなかったナズナさんはいろんな物に使えるチェーリの木に興味津々だ。そんな中私は「オーレンジンって以前購入したオレンジっぽい果物?」なんて考えていた。なので二人の会話が落ち着くのを見計らってエルザさんに問いかけた。
「エルザさん?オーレンジンって丸くて皮を剥いて食べる酸っぱいやつ?」
「そうだねぇ。でも甘みも強いよぉ?」
「じゃあさじゃあさ!それに似た物ですっごく黄色い皮で楕円型をしていて、目が覚めるくらい酸っぱいものを知らない?」
エルザさんは顎に手をあてしばし考える。
「もしかしてリーモンのことかい?とんでもなく酸っぱいよぉ?」
間違いない!オーレンジンはオレンジで、黄色い皮のはレモンだ!
「それ!そのリーモンも欲しい!」
「えぇ!?あれは実の色が綺麗だけどねぇ、酸っぱすぎて売れないから、見て楽しむ為に私の家の庭に植えているんだよねぇ。小さな木でよければ一つあげるよぉ?」
「本当に!?お金は払いますからぜひ分けてください!」
「こんなにたくさん買ってくれたんだから、リーモンはおまけするよぉ」
エルザさんは笑いながらアポーという苗木も麻袋に入れる。名前からして……リンゴかな?
全ての代金を支払ってもまだ金貨がたくさん残っている。けっこうな量のお買い物をしたので私たちは一旦荷車に苗木を置きに行くことにし、その間にエルザさんは自宅にリーモンを取りに行ってくれるそうだ。エルザさんのお宅はお店の斜め向かいだったので「すぐに戻って来るよぉ」とゆったりとした歩調で歩いて行った。盗みを働く人はいないことを知っているので、お店に人が不在になるけれど私たちは私たちで荷車を置いてある場所に向かう。
荷車に苗木を積み込み、そしてまたエルザさんのお店に戻るとちょうど自宅から出てくるエルザさんがいた。
「これなんだけどねぇ、一番小さな木でごめんねぇ」
根の部分を麻袋に入れられ口は縛られているけれど……大人の腰ほどの高さの木は思ったよりも大きくて立派で驚いてしまう。
「こんなに立派な木を良いんですか?」
「いやいや、むしろ欲しがっているのに一本だけでごめんよぉ」
「ううん、ありがとうございます!」
そしてリーモンをゲットした私たちはその足でさらに隣の店へと向かった。
「カーラさーん!今日もお買い物させてください」
「ゆっくり見ておくれ」
私がナズナさんと買い物をしている間にじいやたちは皮のなめし方について町の人に指導する。この町の人も作業は出来るとのことだけど、やっぱり森の民の技術の方が優れているらしい。
「ここで買った種たちは立派に成長しているわ。今日は前回買わなかった種を買っていくわね」
さすがにもう収穫して食べたとは言えず、『成長している』と誤魔化す。カーラさんは自分のことのように喜んでくれ、袋に新しい種を入れてくれる。
「そういえば果物の種は置いていないの?」
「うちは基本的に野菜ばかりだよ。でも隣の店は果物の種や苗木を扱っているよ。その隣の店はうちで扱ってない苗木なんかも売ってるから見ていったらどうだい?」
「うん!分かったわ!ありがとう」
カーラさんに代金を払い隣の店へと移動する。種も売ってはいるが苗木のほうが充実しているようで、店頭は緑に溢れている。
「こんにちは。少し見せてください」
「はいはい。ゆっくり見ていってねぇ……おや?森の民のお嬢ちゃんだねぇ」
ゆっくりとした話し方の店員のおばあちゃんはエルザさんというらしい。
「はい。今日はいろんな種類の果物をたくさん欲しいんですけど……」
「あらあら。それじゃあお店の物がほとんどなくなるわねぇ。種よりも苗木をおすすめするよぉ」
そんなことを言いコロコロと笑いながら麻袋に丁寧に苗木を詰めてくれる。とても可愛らしいおばあちゃんだ。その苗を見てナズナさんが口を開く。
「これはどんな果実が成るの?」
大雑把な私は、果物はほとんど育てたことがないので植えて実が成ったら判断しようくらいに思っていたけれど、ナズナさんはしっかりと説明を聞く。……大雑把すぎるのを反省しなきゃだわ。
「これとこれはベーリだねぇ」
「え?ベーリ?山にも生えてるあのベーリ?」
聞きなれない名称に私も一緒に説明を聞く。
「そうだねぇ。でも種類がたくさんあるでしょう?これは栽培用に掛け合わせたものでねぇ。甘くて美味しいよぉ。こっちはラズベーリでこっちは黒ベーリだよぉ」
あぁ!ラズベリーとブラックベリーね!育てるのが楽しみだわ!
「あとこれはオーレンジンの一種で、こっちはグレップ二品種、あとこれはチェーリだねぇ。チェーリは実も美味しいし大きな木に成長させるといい木材になるよぉ。私たちは昔、この木で染め物もしていたものだよぉ」
染め物と聞きナズナさんは目を輝かせて詳しく説明を聞いている。森の民も森の中のいろんな植物から染料を作って里にある町に売っていたようで、チェーリというのを知らなかったナズナさんはいろんな物に使えるチェーリの木に興味津々だ。そんな中私は「オーレンジンって以前購入したオレンジっぽい果物?」なんて考えていた。なので二人の会話が落ち着くのを見計らってエルザさんに問いかけた。
「エルザさん?オーレンジンって丸くて皮を剥いて食べる酸っぱいやつ?」
「そうだねぇ。でも甘みも強いよぉ?」
「じゃあさじゃあさ!それに似た物ですっごく黄色い皮で楕円型をしていて、目が覚めるくらい酸っぱいものを知らない?」
エルザさんは顎に手をあてしばし考える。
「もしかしてリーモンのことかい?とんでもなく酸っぱいよぉ?」
間違いない!オーレンジンはオレンジで、黄色い皮のはレモンだ!
「それ!そのリーモンも欲しい!」
「えぇ!?あれは実の色が綺麗だけどねぇ、酸っぱすぎて売れないから、見て楽しむ為に私の家の庭に植えているんだよねぇ。小さな木でよければ一つあげるよぉ?」
「本当に!?お金は払いますからぜひ分けてください!」
「こんなにたくさん買ってくれたんだから、リーモンはおまけするよぉ」
エルザさんは笑いながらアポーという苗木も麻袋に入れる。名前からして……リンゴかな?
全ての代金を支払ってもまだ金貨がたくさん残っている。けっこうな量のお買い物をしたので私たちは一旦荷車に苗木を置きに行くことにし、その間にエルザさんは自宅にリーモンを取りに行ってくれるそうだ。エルザさんのお宅はお店の斜め向かいだったので「すぐに戻って来るよぉ」とゆったりとした歩調で歩いて行った。盗みを働く人はいないことを知っているので、お店に人が不在になるけれど私たちは私たちで荷車を置いてある場所に向かう。
荷車に苗木を積み込み、そしてまたエルザさんのお店に戻るとちょうど自宅から出てくるエルザさんがいた。
「これなんだけどねぇ、一番小さな木でごめんねぇ」
根の部分を麻袋に入れられ口は縛られているけれど……大人の腰ほどの高さの木は思ったよりも大きくて立派で驚いてしまう。
「こんなに立派な木を良いんですか?」
「いやいや、むしろ欲しがっているのに一本だけでごめんよぉ」
「ううん、ありがとうございます!」
そしてリーモンをゲットした私たちはその足でさらに隣の店へと向かった。
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