貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

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「こんにちは」

  ブルーノさんの家に着き声をかけると、ブルーノさんは玄関まで出て来た。

「カレンちゃん!ベンジャミンさん!ヒイラギ君!町が騒がしいと思ったら君たちだったんだね!立ち話もなんだ。どうぞ中へ」

  するとヒイラギが一歩前に出る。

「先日はありがとうございました。今回私たちはまた植物を集めに来ているので、私たちはこのまま採取に向かおうと思います。ですので姫様とベンジャミン様、お二人はお話を進めてください」

「そうかい?なら気を付けて行ってくるんだよ?ではカレンちゃん、ベンジャミンさん、どうぞ中へ」

  家に入る前にヒイラギたちに金貨を何枚か渡し、荷車と樽や木箱を買ってそれに土や植物を入れるように伝えた。

「おじゃまします」

  久しぶり……とは言っても数日ぶりのブルーノさんのお宅が懐かしく感じてしまう。

「先日はお世話になりました。スイレンにも技術を教えてくれてたくさんの道具までいただいて……」

「カレンちゃん、そんなにかしこまらないで。何も気にすることはないんだよ」

  ブルーノさんは優しく微笑む。

「いやはや、ブルーノさんのおかげで我が国はとても助かっております。先程耳にしたのですが、あの跳び縄がたくさん売れたとか」

  じいやも会話に入って来た。

「あぁ!真似させてもらって申し訳ない!儲けさせてもらった分から君たちにお渡ししようとお金を寄せておいたんだよ」

「いえいえいえいえ!それは受け取れませんよ!ブルーノさんが作って売った物でしょう?……今回ね、新しい娯楽の品を作って来たの」

  さすがにブルーノさんたちが自分で作って売った物からお金はいただけない。

「でも先に作ったのは君だよ?本当に良いのかい?」

  何度もブルーノさんに確認され、私とじいやはお金を貰うことを拒んだ。どうやらこの世界には特許というものは存在しないようなので、各々が売れる物を作って売ればいい。そして私たちはリバーシの説明を始めた。説明用に一つだけ売らずにおいたそれをテーブルの上に置く。

「これなんですけどね」

  何度目か分からないルールの説明をブルーノさんにすると、ブルーノさんは歓声を上げる。

「素晴らしい!なんと楽しい物だ!」

「それでなんですけど……さっき売ったらあっという間に完売してしまって。まだ欲しい人が町にたくさんいるんです。これは差し上げますから、同じような物を作ってまた売ってください」

  エヘヘと笑うと「何ということだ!」と頭を抱えてしまったブルーノさん。

「こんなに素晴らしい物をいただくことは出来ないよ!ちゃんと支払わせてもらう!大金貨何枚ほどだい?」

「いや、本当にお金はいいので……ちなみに金貨一枚で売ったんだけど私としてはそれでも高すぎると思ってるんだけど……」

  またしても「何ということだ!」と頭を抱えるブルーノさんに無理やりリバーシを手渡しブルーノさんを宥め、私とじいやは採取組に合流しようとブルーノさんのお宅からお暇することにした。
  町の入り口に向かうとペーターさんがいつものように座っているので、採取組の向かった方向を聞きその方角に歩き始めた。

「まさかたかがリバーシに本当に大金貨を払おうとするなんて……」

  辺りに人がいないことを確認してからじいやにそう言うと苦笑いされる。

「ですから言ったでありましょう?姫様のいた世界ではそんなに安い物だったのですか?」

「うん。……でも考えてみれば世界中に普及しているものだから安いのよね……。もう少し高く売っても良かったのかしら」

「ははは!ですが姫様が決めたことですからな。次に何かを売るときは少し高めでも良いと思いますぞ」

  そっか。この世界に無い物だから値段設定はある程度好きにしていいのか。私は次は何を作ろうかなと考えながらてくてくと歩いた。
  数分歩くと森の近くに荷車が置いてある。この近くでみんなは採取しているんだろう。

「じゃあじいや。私たちも働きますか!」

「ですな」

  私とじいやは森へと足を踏み入れた。前回は森でベーアに出会ったが、あんなことはそうそうない。はずだ。町の近くには出ないとみんな言っていたし。
  ドキドキしながら森へ足を踏み入れると、たくさんの木々に日光を遮断され薄暗く、足元はふかふかの土に覆われている。植物や土の匂いを吸い込むと安心感を感じるのは、人としての本能なのか森の民として産まれた名残りなのか。そんなことを思いながら奥へと進んだ。
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