貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

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作業開始

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  食事を終えるとお母様とスイレンに食事の片付けを頼み、果物の皮は寄せてもらうように伝える。私はまず先程川から持って来た樽の中身を全部地面に取り出し、ブルーノさんからいくらか貰ってきた廃材を手にし、ヒイラギに声をかける。

「ねぇヒイラギ。食べたばかりで申し訳ないのだけど、これを加工して欲しいの」

  私は樽の側面下部に穴を開け、真ん中に穴を開けた棒を差し込み、抜けない細工をして欲しいと頼む。棒には栓を付けて欲しいとも言った。

「すぐに出来ますよ」

  笑顔でそう言ったヒイラギはすぐに作業に取り掛かり、私とお父様とじいや、そしてタデが私の指示の元、砂利と小石を分ける作業をしている間にパパパっと作業を終えてくれた。
  そして二つの樽の一番下に小石を入れ、次に砂利を入れる。そう、作っているのは簡易ろ過器だ。石や砂利を入れている私をお父様は不思議そうに見ている。

「カレン。これは何をしているのだ?」

「飲み水を確保する為のものよ。前に煮沸したほうが良いと言ったけど、まだ薪は充分ではないでしょう?せめて小さなゴミだけでも取り除こうと思って。これは森の湧き水と同じ原理なのよ」

  それを言うと「湧き水と!?」とお父様たちが驚く。そうよ、と肯定し私は作業を続ける。砂利を入れ終わると、格安で買うことが出来た砕けた炭を入れていく。

「炭か?窯さえあれば私たちも作れるのだが……」

  その発言に私の手が止まる。

「ホントに!?」

「あぁ。だが窯を作るレンガという物が必要でな。シャイアーク国では普通に普及していたが、私たちは森の恵みと物々交換で手に入れていたのだ。買うにもそれなりの数が必要だし、先立つものが……」

「お金は全て使い果たしてしまったの。でも私の知識があれば簡単に稼げることを知ったわ。……じゃなくて、レンガだったら私が作れるわよ?レンガに適した土を今度探しましょう?」

  実は小学生の時の夏休みの自由研究でレンガを作ったのだ。ゲームもない我が家では図書館で本を借りて読むのが当たり前。そして童話を読んでいた私はレンガ造りの家に憧れ、自分で調べながら日干しレンガを作成した。ご近所さんに頼んで写メを撮ってもらい、プリントアウトまでしてもらった日干しレンガ作りの一覧は先生たちに受けた。意外なほど簡単に作ることが出来たレンガを使い、飼ってもいないのに犬小屋を玄関脇に作ったけど……ただでさえ湿気に弱い日干しレンガはちゃんと乾燥していなくて、雨に打たれ倒壊しただの瓦礫になったというオチまである。そして焼成レンガのことをもう少し大きくなってから知り、いつかリベンジで作りたいと思っていたから作り方は分かる。

「おぉ!!」

  私もリベンジ出来るしみんなも喜んでくれるしウィンウィンね!
  私は手を真っ黒にしながら炭を詰め込む。そして炭を入れ終わると、その上にさっき持って来た砂を入れる。その砂を均し一番上にタダで貰ってきた木綿のボロ布を敷く。

「完成よ!だけど一度効果を試してみたいから……誰か一緒に川に行きましょ……?」

  さすがにこれを持って一人で歩くことは出来ないので甘えることにした。お父様とじいやが我先にと一緒に行くと言うが、『稀代の森の民』と『類まれな森の民』というパワー系の二人にはやってもらいたいことがある。

「広さはだいたいでいいんだけど……」

  そう言いシャイアーク国で拾ってきた木の枝を広範囲に四ヶ所突き刺す。そして鍬を持ち使い方を教える。この木の枝で囲まれた中を耕すように言い「くれぐれも道具は壊さないように!」と言い聞かせ、タデとヒイラギとで出かけようとするとスイレンも着いてくると言う。

「大丈夫?スイレン疲れてない?」

「大丈夫!」

  そして荷車にろ過器を載せ四人で川へと向かう。途中一度立ち止まり、みんなに声をかけた。

「みんなに往復させてしまってごめんなさい。この距離を歩くのはやはり大変でしょう?だから川から水を引いて水路を作ろうと思うの。最終的にはあそこを立派な街にして、街まで水を引くわ。だけどいきなりやって上手くいくとは限らないから、練習も兼ねてこの辺りに作りましょう?どうかしら?」

「その為に同じ形の石細工が必要なのだな?」

「その為の測量だったんだね?」

  タデとスイレンにそうだと告げる。

「ただ作るには人手がいるから、もう少しみんなが動けるようになってから取り掛かりましょう。その前にスイレンにはいろんな設計図を書いてもらいたいの。私には細かい計算が出来ないから頼りにしてるわよ」

「分かった!」

  スイレンは目を輝かせて握りこぶしを作る。占いおババさんが言った通り、スイレンを連れて行ったことでこの国は早く発展できるに違いない。

  そして私たちはまた歩き出し、川へと到着した。タデとヒイラギは樽を降ろそうとしたけど、水が透明になるかを確認したいだけなので、樽を荷車の後方に置いて簡易蛇口を外側に向ける。
  そしてみんなで水を汲み、それぞれに水を入れても水が出て来ない。繰り返し水を入れるとようやく出て来たが、最初なだけあって濁った水だ。みんなに「最初はこうなの」としどろもどろに説明し、失敗したかな?と思い始めた頃にようやく水は透明になっていき、最終的にはとても綺麗な水が出て来た。これで全員が綺麗な飲み水を飲めるようになった。小さいけれど大きな一歩だわ!
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