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じいやの話はまだ続く
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「私たちが城に招かれる少し前に産まれたのがカレン様、スイレン様でございます。先程も申しましたが、お二人が産まれた時に占いババが『私たちの救世主となる』とお二人を見て言いました。
この呪われた土地に足を踏み入れ私たちは絶望致しました。森から出たことのない者は特に……。ですが占いババの言葉を信じ、まずは落ち着ける場所を探そうと数日かけて歩き続け先程姫様が口にした果実の大木が二本だけ生えているのを見つけそこを住処としたのです。そしてお二人のご両親であるモクレン様とレンゲ様をそれぞれ王、王妃としてこの『ヒーズル国』を建ち上げました。
そして私たちはお二人を病気や怪我から守るため、今まで一歩たりとも外へと出さないようにしていたことを深くお詫び申し上げます」
じいやはそう言って深く頭を下げた。っていうか待って。
「え!?一歩たりとも!?そんな生活だったっけ!?」
まだ働かない頭を動かして朧気なカレンの記憶を辿ると、確かに窓のない建物内で自分たちの部屋と両親の部屋、そして居間のような部屋にしか行ったことのないことに気付く。窓はないけど十センチ四方の空気穴的な物は天井付近にあって、じいやが毎日開け閉めしてたっけ。だから光は入ってくるから昼夜は分かった。私たちは確か十二歳……そんな長い間何の疑問も抱かずに過ごしていた私たち姉弟って、アホの子?っていうか洗脳って怖い。
「申し訳ございません……。まだ幼子であるお二人には『外』という概念を与えないようこちらも必死でしたもので……」
驚きを通り越して唖然としていると、『外』を知らないスイレンは「外ってなに?」と小首を傾げている。私は小声で「この壁の向こうはどこまでも広いんだよ」とスイレンに言うと、スイレンは興味を持ったようだった。
「さっき呪われた土地って言っていたけど、病気が蔓延してるってこと?」
私が疑問を口にすると今度はお父様が口を開いた。
「そうではない。そうではないが……森、というのは分かるのだな?」
私がうん、と肯定すると話が続く。
「森を知っているなら、この外の景色を見ると絶望するだろう……。だからこそ呪われた土地なのだ」
「……細かいことや知りたいことは都度聞くわ。まずは見ないことには何とも言えないもの。私たちを外に出して」
そう言うとスイレンは怖がってはいるものの、その知らない世界を見たいと興味が沸いたようで「見てみたい」と言い始めた。私もスイレンも現状を知ることが大事だよね。
「……そうは言っても姫様は先程目覚められたばかりですし……一晩お休みになられたほうが良いのでは……」
じいやたちが心配してくれるのはありがたいけど、私もこの別世界のことを知りたい。ベッドから降りてみるとフラフラとはするけど、なんとか立って歩ける。
「支えがあれば大丈夫。スイレン、行こう。外の世界へ」
私が手を差し出すと、スイレンはその手を取り私の身体を支えてくれた。
「……しばしお待ちください。村の……いえ、国民を集めますゆえ」
じいやはパタパタと外へと走って行くと、ほんの少しの時間を置いて戻って来た。国民を集めるにしては短時間ではあったけど、あえてそこには触れず私たち家族は揃って建物から出ることにした。不安と期待が入り交じる。外は、この世界はどういう世界なんだろう。
この呪われた土地に足を踏み入れ私たちは絶望致しました。森から出たことのない者は特に……。ですが占いババの言葉を信じ、まずは落ち着ける場所を探そうと数日かけて歩き続け先程姫様が口にした果実の大木が二本だけ生えているのを見つけそこを住処としたのです。そしてお二人のご両親であるモクレン様とレンゲ様をそれぞれ王、王妃としてこの『ヒーズル国』を建ち上げました。
そして私たちはお二人を病気や怪我から守るため、今まで一歩たりとも外へと出さないようにしていたことを深くお詫び申し上げます」
じいやはそう言って深く頭を下げた。っていうか待って。
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まだ働かない頭を動かして朧気なカレンの記憶を辿ると、確かに窓のない建物内で自分たちの部屋と両親の部屋、そして居間のような部屋にしか行ったことのないことに気付く。窓はないけど十センチ四方の空気穴的な物は天井付近にあって、じいやが毎日開け閉めしてたっけ。だから光は入ってくるから昼夜は分かった。私たちは確か十二歳……そんな長い間何の疑問も抱かずに過ごしていた私たち姉弟って、アホの子?っていうか洗脳って怖い。
「申し訳ございません……。まだ幼子であるお二人には『外』という概念を与えないようこちらも必死でしたもので……」
驚きを通り越して唖然としていると、『外』を知らないスイレンは「外ってなに?」と小首を傾げている。私は小声で「この壁の向こうはどこまでも広いんだよ」とスイレンに言うと、スイレンは興味を持ったようだった。
「さっき呪われた土地って言っていたけど、病気が蔓延してるってこと?」
私が疑問を口にすると今度はお父様が口を開いた。
「そうではない。そうではないが……森、というのは分かるのだな?」
私がうん、と肯定すると話が続く。
「森を知っているなら、この外の景色を見ると絶望するだろう……。だからこそ呪われた土地なのだ」
「……細かいことや知りたいことは都度聞くわ。まずは見ないことには何とも言えないもの。私たちを外に出して」
そう言うとスイレンは怖がってはいるものの、その知らない世界を見たいと興味が沸いたようで「見てみたい」と言い始めた。私もスイレンも現状を知ることが大事だよね。
「……そうは言っても姫様は先程目覚められたばかりですし……一晩お休みになられたほうが良いのでは……」
じいやたちが心配してくれるのはありがたいけど、私もこの別世界のことを知りたい。ベッドから降りてみるとフラフラとはするけど、なんとか立って歩ける。
「支えがあれば大丈夫。スイレン、行こう。外の世界へ」
私が手を差し出すと、スイレンはその手を取り私の身体を支えてくれた。
「……しばしお待ちください。村の……いえ、国民を集めますゆえ」
じいやはパタパタと外へと走って行くと、ほんの少しの時間を置いて戻って来た。国民を集めるにしては短時間ではあったけど、あえてそこには触れず私たち家族は揃って建物から出ることにした。不安と期待が入り交じる。外は、この世界はどういう世界なんだろう。
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