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衝撃の事実
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私が質問したことによって大人たちは動揺している。スイレンも私と同じく何も分からないようで大人たちを不思議そうに見つめている。
「あぁ~……うん……二人には言っていないことがあってだな……」
さっきまでの鬼気迫るお父様とは打って変わってしどろもどろになっている。
「すみませんモクレン様……」
モクレンとはお父様のことだ。じいやはシューンと項垂れていたけど「私が話します」と顔を上げた。
「全て話して良いですな?」
お父様とお母様に確認をとると、スイレンを私の隣に座らせ語り始めた。
「まず何から話しましょうか……私たち森の民は豊かで広大な森に住んでおりました。私やモクレン様がおりました動物を狩る身体能力が優れた村、その村のために武器を作ったり生活雑貨を作る手先の器用な者がいる村、そして動物以外の食糧、主に木の実や山菜、そして薬草などを採取する者たちの村と三つの村が仲良く暮らしていたのでございます。そこはシャイアーク国の北西部にございました。
シャイアーク国は昔から北にあるコウセーン国と小競り合いをしておりました。コウセーン国は血の気の多い気質の者が多く、何かにつけてシャイアーク国と小競り合いをしていたのでございます。ある時、いつもの小競り合いだと思い少数の隊で国境へと行ったシャイアーク国軍は様子が違うことに気付きました。コウセーン国はシャイアーク国の領土を狙っており、激しい戦となったのでございます。小競り合いだと思っていたシャイアーク国軍は軍隊も武器や防具も足りず劣勢となりました。そしてその昔、私めが城で国軍に弓や槍の指導をしていたのを思い出したのか、それとも城に戻るよりも近いと思ったのか兵士が森へ助けを請いに参ったのでございます」
何だか話が壮大になってきたような……。でも続きを聞きましょう……。
「兵士が私たちの村に着いた頃、私たち身体能力の高い者は獲物を狩りに森の奥へと行っておりました。そして私たちがいないことを知ると兵士は戦場へと戻りましたが慣れない森で迷い、同時に野営をしようと勝手に木々を倒すコウセーン国軍、そして獲物を追う私たちが出くわしてしまったのでございます。そこから簡単に言いますとあまりに不躾なその敵国を討ったのでございますが、何とそれが敵国将軍の隊だったのでございます。そしてその将軍を討ち取ったのがモクレン様でございました」
そんな偶然ってあるんだ……。
「将軍を失った敵国は混乱に陥りシャイアーク国の援軍によって制圧され、そこからはあれよあれよといううちにシャイアーク国はコウセーン国を手中に収めたのでございます。そこまでは良かったのですが、ある日領土拡大を祝う宴に村人全員が呼ばれたのでございます。病人も身重の者もです。国王の言うことに逆らう訳にもいかず大変な思いをしながら私たちは城へと行きました。そこで言われたのが敵国将軍を討ったモクレン様を称え、新たな広い土地をやるので森を貰うと一方的に言われたのでございます。兵が敵将を討ち取ったのではなく、王からすればただの村人が敵将を討ち取ったのが面白くなかったのでしょう。森は元コウセーン国に近いので利便性もあったのでしょうし。形だけ称えたわけですな。
私たちは宴にて食べ物も貰えないまま南へ下れと命令され、街道をひたすら南下したのでございます。何も持たずに私たちは集められたので、道中必要な物を手に入れながら疑うことを知らない私たちは言われるがまま南下し、ついに国境へと到着すると門番から『この先を好きにして良い』との王からの伝言を受け足を踏み入れたのがこの……呪われた土地でした」
ふと横を見るとスイレンは口を開けたまま固まり、お父様とお母様は涙ぐんでいるし……。私は壮大すぎる話に頭が追い付かないし……。でも話はまだ終わりそうにない。
「あぁ~……うん……二人には言っていないことがあってだな……」
さっきまでの鬼気迫るお父様とは打って変わってしどろもどろになっている。
「すみませんモクレン様……」
モクレンとはお父様のことだ。じいやはシューンと項垂れていたけど「私が話します」と顔を上げた。
「全て話して良いですな?」
お父様とお母様に確認をとると、スイレンを私の隣に座らせ語り始めた。
「まず何から話しましょうか……私たち森の民は豊かで広大な森に住んでおりました。私やモクレン様がおりました動物を狩る身体能力が優れた村、その村のために武器を作ったり生活雑貨を作る手先の器用な者がいる村、そして動物以外の食糧、主に木の実や山菜、そして薬草などを採取する者たちの村と三つの村が仲良く暮らしていたのでございます。そこはシャイアーク国の北西部にございました。
シャイアーク国は昔から北にあるコウセーン国と小競り合いをしておりました。コウセーン国は血の気の多い気質の者が多く、何かにつけてシャイアーク国と小競り合いをしていたのでございます。ある時、いつもの小競り合いだと思い少数の隊で国境へと行ったシャイアーク国軍は様子が違うことに気付きました。コウセーン国はシャイアーク国の領土を狙っており、激しい戦となったのでございます。小競り合いだと思っていたシャイアーク国軍は軍隊も武器や防具も足りず劣勢となりました。そしてその昔、私めが城で国軍に弓や槍の指導をしていたのを思い出したのか、それとも城に戻るよりも近いと思ったのか兵士が森へ助けを請いに参ったのでございます」
何だか話が壮大になってきたような……。でも続きを聞きましょう……。
「兵士が私たちの村に着いた頃、私たち身体能力の高い者は獲物を狩りに森の奥へと行っておりました。そして私たちがいないことを知ると兵士は戦場へと戻りましたが慣れない森で迷い、同時に野営をしようと勝手に木々を倒すコウセーン国軍、そして獲物を追う私たちが出くわしてしまったのでございます。そこから簡単に言いますとあまりに不躾なその敵国を討ったのでございますが、何とそれが敵国将軍の隊だったのでございます。そしてその将軍を討ち取ったのがモクレン様でございました」
そんな偶然ってあるんだ……。
「将軍を失った敵国は混乱に陥りシャイアーク国の援軍によって制圧され、そこからはあれよあれよといううちにシャイアーク国はコウセーン国を手中に収めたのでございます。そこまでは良かったのですが、ある日領土拡大を祝う宴に村人全員が呼ばれたのでございます。病人も身重の者もです。国王の言うことに逆らう訳にもいかず大変な思いをしながら私たちは城へと行きました。そこで言われたのが敵国将軍を討ったモクレン様を称え、新たな広い土地をやるので森を貰うと一方的に言われたのでございます。兵が敵将を討ち取ったのではなく、王からすればただの村人が敵将を討ち取ったのが面白くなかったのでしょう。森は元コウセーン国に近いので利便性もあったのでしょうし。形だけ称えたわけですな。
私たちは宴にて食べ物も貰えないまま南へ下れと命令され、街道をひたすら南下したのでございます。何も持たずに私たちは集められたので、道中必要な物を手に入れながら疑うことを知らない私たちは言われるがまま南下し、ついに国境へと到着すると門番から『この先を好きにして良い』との王からの伝言を受け足を踏み入れたのがこの……呪われた土地でした」
ふと横を見るとスイレンは口を開けたまま固まり、お父様とお母様は涙ぐんでいるし……。私は壮大すぎる話に頭が追い付かないし……。でも話はまだ終わりそうにない。
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