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五章
42話「妹か弟か」
しおりを挟む「いや私の弟は顔が綺麗な上に優しい完璧な子だ。」
「俺の華菜は口が悪いけど実は優しい一面があって何よりも可愛すぎる、天使だ。」
「同じ学年だっけ?どっちがモテるか見物だな。」
「俺の華菜の圧勝に決まってんだろ。」
「妹の名前を言ってる時点で貴様の負けは確定してるんだよ、まぁうちの忍は世界一可愛いけど。」
……仲良くなってんな、智明とシジャクさん……いや、し…詩寂さん?
それも自分の弟とか妹の話でめっちゃ盛り上がってる。
テスト勉強の休憩中に意味分からないくらい話が盛り上がって収集つかなくなってるし…。
確かに華菜ちゃんは可愛いし…この高校に入るならそれなりに人気になりそうだなーとは思うけど…そういうのはお兄ちゃんが言っちゃいけないんじゃないの…?
言いふらしてるって知られて華菜ちゃんに鳩尾殴られたらどうするのさ智明…。
…ダメだ、想像したら怖くなってきた。
華菜ちゃんに何か言われたら「何も知らない」で貫き通そ。
なんて考えていると、明人君が晶さんに持っていた携帯を見せこう尋ねた。
「…なあ、パラ最近何してんの?メッセージ送ったのに返信来ないし既読も付かないんだけど。」
パラ?あの子か…そういえばしばらく休んでるって聞いたけど…体調悪いのかな。
「いや、ちょっと気分的に休みたいらしくてさ…そういう時あるやろ。」
と、不思議そうな顔をしている明人君に答える晶さん。
「病気?」
「んなわけないやろ。」
…?
あれ、なんか…言い方に毒があるな…。
「……断言できんの?」
「…うん、出来る、うちからパラに言っとくからあんたはいつも通り「道端にコンドーム落ちてた」とか言うとき。」
「なんで会話内容知ってんの怖。」
「パラが「友達とのお話楽しい」言うてトーク内容見せてきたんや!」
わー…パラさん可愛いな…。
でも心配かも…今年から日本に来たって言ってたから…もしかして気候が合わなかったりして…辛い思いしてるのかな…。
だとしたら心配だな…ゆっくり休んで欲しい…。
「あ、そうだ…明人君が昨日裏垢で言ってたあれって何?」
さっきまで携帯を触りながら相槌をうっていた朱里さんが、携帯を見ていて思い出したのか、突然こう質問した。
「あー、あれ?あれはもう普通に思った事言っただけ。」
「え、明人裏垢あんの?うちにも教えて?」
「ある、自撮りとか愚痴とか絵とか投稿してる。」
「え、俺知らない、全部見たい。」
「朱里に頼んで。」
「ねえ明人、明人の裏垢の事私以外に誰が知ってるっけ?」
「パラとシジャクと雅と…龍馬さん?あとレンと…姉さんと父さん。」
「父さん!?明人君のお父さんも見てるの!?」
「直樹おじさんも!?あの直樹おじさんも!?」
「うん、通知オンにしてるらしい。」
「マジで!?あの直樹おじさんが!?」
「たまに「それは腹立つな💢」って送ってくる。」
「お前のお父さんいい人だな…。」
へー…明人君のお父さんのお名前直樹さんなんだ…どんな人なんだろう…。
……ん?直樹?直樹って事は…池崎、直樹?
「…ねえ、僕も今裏垢見てみたんだけどさ…朱里さんが言ってるのってこの投稿の事?この長い文章のやつ?」
「どれ?声に出して読んでみて?」
「やめろ馬鹿雅。」
「クソみたいなせか「やめてください!!」
_____
ひたすら明人君の裏垢について話し(晶さんと智明もアカウントを教えて貰えた)、笑い疲れた朱里さんが携帯画面を指差しながら
「で?明人君の言った「普通に外でも会話出来る」ってのは…どういう意味だっけ?」
と訪ねた。
すると明人君が、詩寂さんを指差しながらこう答えた。
「いや、シジャクの厨二病を利用すれば外で能力の話をしても大丈夫だろ。」
「厨二病じゃない。」
「あぁ、それを分かってるのは僕達だけで良い。」
「……。」
眉間に皺寄せてる…不服そうなシジャクさん可愛い…。
でも…それだとちょっと問題があるんじゃないかな…?
「でもそれだと私の株が下がってお前らの株が上がるな?お前ら6人が馬鹿に付き合ってあげるいい人になる。」
「うんそうだよ、それが問題なんだ…お前の株は下げたくない。」
「……。」
…うん…確かにそうだよね。
何も知らない人達から見たら詩寂さんの株が下がっちゃうもん…。
んー…どうしようか…。
「じゃあ場所を決めるのはどう?図書室でも良いけどさ…ここ以外で、この場所だったら力の話しても大丈夫、みたいな場所。」
するとその時、どうしようかと6人が唸って悩んでいた時、彩さんがこう言った。
あー、確かにそれだと誰も嫌な思いしないよね…。
「うちの家は?お父さん大泣きするしケトルもレンジも冷蔵庫も無いからおやつは各々で持ってきてもらうことになるけど。」
「晶ちゃんいつも何食べて生きてるの…?まあ一応遠慮しとくね?」
晶さんのおうちもダメか……そうだ!
「僕の家の駐輪場の奥のところは?あそこ実はちょっと広めのスペースがあるんだ。」
「人通りは?」
「少ないよ、野良猫くらいしか来ないし…叫ばない限り誰にも聞こえないと思う。」
「そうなんだ!じゃあ一回下見してからまた考えよう!」
「そうだね…じゃあ今度8人で行ってみよっか?」
みんな僕のアイデアに乗っかってくれた…嬉しいな。
一人でみんなの顔を見ながらニヤニヤしていると、詩寂さんが小さい声でお礼を言ってくれた。
「……私なんかのために色々考えてくれてありがとう。」
「気にしないで!いやー秘密基地探した時思い出すな…智明、校舎裏でダンゴムシ探しまくったとき覚えてる?」
「覚えてる覚えてる!あのー、隣のクラスのやつが掌に10匹くらい乗せてんの見て龍吐いてたよな。」
「吐いてた吐いてた!懐かしい!」
「……幼馴染良いな…。」
「腐の目で見るな、龍は俺の良い友達だ。」
「求婚してきたくせに。」
「詳しく教えて。」
「味噌汁毎日作るって言ってた。」
「もっと詳しく教えろ。」
「松田智明になるって言ってた。」
「もう一声。」
「やめろ勘違いされるだろ。」
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