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3章
夢子の少女
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しばらく屋敷中を見て回ったがやがて一つの絵にたどり着いた。
「あれ、」
「どうしたんだ、ジェラール?」
「この絵…ズレてる…」
そう言ってジェラールが絵を戻そうとすると、横にスライドした。
「え?」
そこにはくぼみがあり、本が1冊おいてあった。
その時さっき女の子が言っていたことを思い出した。
“絵、秘密の扉…手記。ロッタに気を付けて”
この時、僕は何か分からないがロッタさんにこの本の事を言ってはいけないと思った。
「…ん、それは?」
「絵本みたいです」
とっさに嘘をついた。心なしか、ジェラールの顔が陰る。
「もうそろそろ日が沈む。診療所に帰ろう」
「…はい」
診療所に帰るころには、だいぶ日が落ち辺りは星が灯り始めた。晩ご飯を食べ終え自室に戻ると、エルンストの屋敷から取ってきた本を開く。
「え?」
その日、夢を見た。あの女の子と対話をしている。“やっとわかった?”
…君は、いや。君の名前は?
“夢子のソーンだよ”
ソーンさん…なんで貴女はロッタさんに気をつけろなんて言ったの?
“あれ、もしかしてまだ戻ってない?いいよ、今開けてあげる”
そこまで言うと、少女は僕に手を伸ばす。伸ばされた手を僕は拒んで走り出した瞬間、意識は途切れるのだが、振り返って初めて見た少女の瞳は、僕と補色の夕焼け空と金色に輝いていた。
「あれ、」
「どうしたんだ、ジェラール?」
「この絵…ズレてる…」
そう言ってジェラールが絵を戻そうとすると、横にスライドした。
「え?」
そこにはくぼみがあり、本が1冊おいてあった。
その時さっき女の子が言っていたことを思い出した。
“絵、秘密の扉…手記。ロッタに気を付けて”
この時、僕は何か分からないがロッタさんにこの本の事を言ってはいけないと思った。
「…ん、それは?」
「絵本みたいです」
とっさに嘘をついた。心なしか、ジェラールの顔が陰る。
「もうそろそろ日が沈む。診療所に帰ろう」
「…はい」
診療所に帰るころには、だいぶ日が落ち辺りは星が灯り始めた。晩ご飯を食べ終え自室に戻ると、エルンストの屋敷から取ってきた本を開く。
「え?」
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…君は、いや。君の名前は?
“夢子のソーンだよ”
ソーンさん…なんで貴女はロッタさんに気をつけろなんて言ったの?
“あれ、もしかしてまだ戻ってない?いいよ、今開けてあげる”
そこまで言うと、少女は僕に手を伸ばす。伸ばされた手を僕は拒んで走り出した瞬間、意識は途切れるのだが、振り返って初めて見た少女の瞳は、僕と補色の夕焼け空と金色に輝いていた。
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