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828 第3話
しおりを挟むあの日から紫月さんは毎日コンビニに来ている。
飲み物だったりお菓子だったり
1つレジに持ってきては帰り
なぜかまた1時間後くらいに来ては帰りを繰り返しす紫月さんと俺は凄く親密になっていった。
紫月「レンくん今日あがり何時?」
俺「え?今日は19時かな」
紫月「じゃあ終わったらご飯食べにいこうよ」
俺「いいよ」
紫月「やった!待ってるね!レンくんお仕事頑張って!」
あがりまで後30分、
紫月さんはコンビニの外にあるベンチに腰かけて体を左右に揺らしてるのがわかる。
かわいいな、紫月さん何が好きかな、夜ご飯何にしようかな、
「すみませーん」
レジカウンターに立っているのに目の前にいるお客様に気がつくことなく紫月さんの事を考えてしまって他のことが頭に入らなくなってしまっている…
こりゃ重症ですな…
俺「申し訳ございません、ただいま!」
「恋煩いだねぇーレンくん、トミ子ちゃんとこの子最近よく居るもの」
店内の椅子に座っていたおばちゃん、おじちゃんがレジに寄ってくる。みんなこういう話好きだもんな。
「レンくんべっぴんさんだもんね~」
「どうする?じゃあトミ子さんとこの子とご飯行ったあとおじさんと一緒に遊びに行くか。」
俺「もう、何言ってるですか?ハハハ」
カウンター越しに常連のおじさんに手を握られてナンパされる。
何を言ってるんだかこの人たちは…
俺「じゃあこの店にあるいちばん高いもの買ってくれたらいいですよ」
「え、いいの?!分かっちゃうよ?んとね、」
紫月「だめだよ
レンくんは俺の。おじさんは奥さんがいるでしょ」
いつの間にか現れた紫月さんは俺のおじさんに掴まれてた腕を払い強く抱きしめた。
紫月「絶対だめだかんね!」
「わかってるよ、冗談でしょ、こわいよ紫月くん」
俺「ってか帰ったんじゃなかったのかよ!」
紫月「いやいや、帰ってないよそこにずっと居たよ」
紫月さんの指をさす方向をみると
おじさんの奥さんがニコニコと笑顔で手を振っていた。
ベンチから立ってニコニコと会釈をする奥さんに
おじさんの顔がみるみる青くなっていくのがわかった。
「あなた、帰りますよ」
はい。と奥さんに腕をひかれて帰っていくおじさんを手を振ってお見送りする。
紫月「おれ、レンくんとあんな風に毎日一緒に過ごしたいな」
ポツリと呟いた紫月さんの目は本気の眼をしていて少しキュンとした。
俺「ッ?!」
自分の手にふわっと温もりを感じて驚いた声をあげると紫月さんはギュッと俺の手を強く握って続けた
紫月「好きだからさ、レンくんの事。ずっと一緒にいたいって思うんだ。いいかな?」
その言葉に俺も強く握り返して応える。
俺「俺だって同じ、紫月さんのこと、好きだよ。」
そう言うとだんだん紫月さんの顔が赤らいで俺もドキドキが収まらないでいると
知ってか知らずか周りから拍手が鳴り止まないくらいに浴びせられた。
「おめでとう、レンくん」
「初恋人でねーのか」
優しいおじいちゃんおばあちゃんから祝福の言葉を受け取り、時計をみるともうそれは19時をさしていた。
俺「あ、もうあがりの時間、お客様がた、とても嬉しかったです。ありがとうございます。はい、じゃあ紫月さん、もうちょい待ってて、今帰る用意してくるから!」
紫月「うん、待ってる!お疲れ様。」
仕事を終えた俺は、事務所裏にいる夜のバイトに引き継ぎして何事もなく店内に戻って行った。
紫月「おかえり、レンくん」
俺「ただいま、じゃあ行きましょうか。」
人生初、恋人ができた俺はウキウキで手を繋いでコンビニを出た。
世界がバラ色に輝いてみえることは今までなかった。
俺はコンビニを後にする
彼と一緒に新しい人生を歩んでいくため
これから紫月さんを幸せにしよう、そして俺も幸せになろう。
彼と一緒なら幸せでいられる気がするから、
紫月さんも同じ気持ちだといいな、
俺「紫月さん、だいすきです。」
紫月「俺もだよ、レンくんだいすき」
おわり
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