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しずか
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金の亡者。
そう本人を目の前に言ったとしても否定しない。
初めてしずかにLINEしてから、僕は山之内としずかの間に入り込んでいった。
この事は山之内に知れていった。何故ならママレードで酔っ払った時に便乗して、山之内がいる前で、しずかに電話をかけたからだった。
電話をかけてしまったのは、しずかの要望もまた、エスカレートしてきていると感じていたからだった。山之内から、今度はしずかにこれをねだられていると聞いたところだった。
俺はお前の事は手に取るように分かっている。そう言わんばかりに喫煙所で
「電話したっちゃろ?」
と言われた際にはひどく狼狽したが、適当にやり過ごした。
ただ、彼にとって僕としずかが連絡を取り合っている事は、彼の脳の中をミキサーで引っ搔き回すような、そんな効果を得られていたように思う。
これは僕にとって、彼が真理恵に対してもエスカレートしていって嫌な思いをする、そのけん制の意味であった。
しずかの彼に対するものを知っている上でのやり取りは僕にとっては、とても楽しかった。
しずかをご飯に誘ったのだった。しずかも抵抗なく受け入れた。
それは同伴ではなかった。その日は山之内が店に来るので、その入店前の時間でご飯を食べる事にしたのだった。
僕は、日頃の山之内のしずかに対する態度を聞きたかった。そして弱みを握りたかった。聖地と謳われる綱吉に行きたいとしずかが言っていきたので、僕は賛同した。
ご飯の約束した後に、しずかからLINEがきていた。それは山之内としずかのトークをスクショしたものだった。
〔ここ、同伴の聖地らしい。今度いくべ。〕
の文言と一緒に綱吉のグーグルマップのURLが貼り付けられていた。
それを見た僕も、しずかもニヤニヤしながらLINEを続けたのだった。
最終的に、山之内がしずかと綱吉で同伴する事は叶う事がなかった。
彼はよく嘆いていた。同伴以外では会ってくれないんだと。
綱吉の個室に入ってきたしずかは
「おっつー。」
と軽く言ってスタスタと歩き、僕の目の前に座った。白っぽい柄の入ったワンピースだった。
当時22歳、僕の目にはやはりどうこうするような対象には感じられず、ただ22歳にしては比較的落ち着いていて、肝が座ったようなところがあった。山之内との会話で聞いていた事、例えば
「多分あの子、潔癖っぽいんだよね。こないだ焼き肉屋に行ったんだけど、その時トングを別々に貰ったんだよね。」
明らかにそれは、潔癖ではなく、単に山之内と同じトングを使いたくないだけだというのは、言わずもがなであった。
僕は虎視眈々とその事をいじってやろうと思い、その話題を振ったのだが、しずかはサラダを目の前にして、
「取り箸もう一本ください。」
と店員に言ってのけたのだった。
しずかもまた、僕が山之内に対して、何かをチクったりだとか、そういった不安もあったのかもしれない。僕に対する警戒心もまた、喋りながら往々にして見て取れた。
そう本人を目の前に言ったとしても否定しない。
初めてしずかにLINEしてから、僕は山之内としずかの間に入り込んでいった。
この事は山之内に知れていった。何故ならママレードで酔っ払った時に便乗して、山之内がいる前で、しずかに電話をかけたからだった。
電話をかけてしまったのは、しずかの要望もまた、エスカレートしてきていると感じていたからだった。山之内から、今度はしずかにこれをねだられていると聞いたところだった。
俺はお前の事は手に取るように分かっている。そう言わんばかりに喫煙所で
「電話したっちゃろ?」
と言われた際にはひどく狼狽したが、適当にやり過ごした。
ただ、彼にとって僕としずかが連絡を取り合っている事は、彼の脳の中をミキサーで引っ搔き回すような、そんな効果を得られていたように思う。
これは僕にとって、彼が真理恵に対してもエスカレートしていって嫌な思いをする、そのけん制の意味であった。
しずかの彼に対するものを知っている上でのやり取りは僕にとっては、とても楽しかった。
しずかをご飯に誘ったのだった。しずかも抵抗なく受け入れた。
それは同伴ではなかった。その日は山之内が店に来るので、その入店前の時間でご飯を食べる事にしたのだった。
僕は、日頃の山之内のしずかに対する態度を聞きたかった。そして弱みを握りたかった。聖地と謳われる綱吉に行きたいとしずかが言っていきたので、僕は賛同した。
ご飯の約束した後に、しずかからLINEがきていた。それは山之内としずかのトークをスクショしたものだった。
〔ここ、同伴の聖地らしい。今度いくべ。〕
の文言と一緒に綱吉のグーグルマップのURLが貼り付けられていた。
それを見た僕も、しずかもニヤニヤしながらLINEを続けたのだった。
最終的に、山之内がしずかと綱吉で同伴する事は叶う事がなかった。
彼はよく嘆いていた。同伴以外では会ってくれないんだと。
綱吉の個室に入ってきたしずかは
「おっつー。」
と軽く言ってスタスタと歩き、僕の目の前に座った。白っぽい柄の入ったワンピースだった。
当時22歳、僕の目にはやはりどうこうするような対象には感じられず、ただ22歳にしては比較的落ち着いていて、肝が座ったようなところがあった。山之内との会話で聞いていた事、例えば
「多分あの子、潔癖っぽいんだよね。こないだ焼き肉屋に行ったんだけど、その時トングを別々に貰ったんだよね。」
明らかにそれは、潔癖ではなく、単に山之内と同じトングを使いたくないだけだというのは、言わずもがなであった。
僕は虎視眈々とその事をいじってやろうと思い、その話題を振ったのだが、しずかはサラダを目の前にして、
「取り箸もう一本ください。」
と店員に言ってのけたのだった。
しずかもまた、僕が山之内に対して、何かをチクったりだとか、そういった不安もあったのかもしれない。僕に対する警戒心もまた、喋りながら往々にして見て取れた。
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