最後の晩餐レストラン

ビッグバン

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団体客

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はい。すいません。ただいま。満席ですので。しばらく、席に座ってお待ち下さい。はい。そちらのお客さま。空いた皿回収させて頂きます。はい。3番テーブルのお客様成仏です。また来世でのご来店お待ちしております。はい。お待ちのお客さん様3番テーブルにどうぞ。

この働きぶりにはあまりの手際の良さにめったに人を褒めない店長も厨房から顔を出して礼を言った。

すまないね。お花ちゃん。子孫の守護霊やってるのに現世からこっちに来てもらって。本当に手際が良くて助かるよ。こっちは料理作るので手一杯だから。引き続き頼むよ。

いいんですよ。店長。困った時はお互い様ですから。それに。私も久しぶりに接客ができて嬉しいです。孫達も私が見てなくても立派にやってるんで。お客さんの数が減るまではここで働かせてもらいますよ。

いつもはあまり客が入らず、閑古鳥が鳴き続けているこの店も時々、まるで店を間違えたかの様に賑わう事がある。そう。不慮の事故や災害の時である。

まあ、今回は30人まだ私1人で接客できる範囲です。店長さんは安心して厨房にこもってて下さい。ここは私1人で十分です。

すると、店の奥のテーブルから相変わらずマネキンの様な感情の一切ない顔の3本角の少女がペタペタ足音を立てながら花さんに近づきこう言った。

私もいるです。

すると、花さんは顔を輝かせこういった。
ほん。ムウチャン。まだおったんや。相変わらず。綺麗な角やわ。赤、黄、青。あかん。この配色はうちの本能を刺激する。

花さんは絵筆を取り出し真ん中のツノをギュッと掴んだ。
ちょっ。何をするです。ヒャツ。角を触るな。ちょっ。何で。真ん中のツノを白く塗りやがるです。やめろ。絵筆はやめて。ヒイ。

花さんの奇行にさすがのムノーも少し感情が出てきたのか。少し声を震わしながら助けを求めた。

おい。やめれ。ツノに団子を刺すな。どこから出しやがったですか。店長助けて。また例の発作がでやがったです。た す け て。

店長は厨房からにゅっと顔を出してこう言った。

はい。はい。花さん。その辺にしょうか。

花さんはその声で正気を取り戻しこう言った。

あらややわ。またいつものくせが。ごめんね。ムウちゃん。三色を見るとどうしても赤白緑の団子の色に統一したくなっちゃて。あと。そのツノの尖り具合が良すぎて思わず団子刺しちゃった。ごめんね。ムウチャン。

無表情な少女は心なし少し口角を一瞬上げ相変わらず無感情な声でこう言った。

全く。このやりとり何度目でやがります。あなたが馬鹿な事をやってる間にお客さん。みんな昇って行っちゃたです。あとは会計を払う物体だけでやがるです。皿は私が片付けるんで。会計頼むです。

任せて。会計は慣れてるから。

そう言うと花さんはレジの前に立ち呼び鈴を拳で殴る様に押した。

すると。ピンポンと言う音が店内に響き渡り目の前に黒のニット棒で目と口を出し手にピストルを構えたムキムキの男とバスの運転手らしき怯えたヒョロながの男が目の前に現れた。

花さんは有無を言わせぬ早口でこう言った。
ようこそ。おいで下さいました。お二方。お食事は楽しんでいただけましたか。そろそろ、本店は本日の営業を終了しますのでお会計の方をお願いします。

運転手の男はこれを夢だと思ったのか財布から金を出して普通に会計しようとした。何円になりますか。

はい。2400年になります。

運転手の男は財布から2400円を出して会計を済ませようした。

すると、花さんは金を突き返してこう言った。円ではありません。年です。

あなた方2人は罪のない人とは言いませんが少なくとも殺して良いほど罪を犯してない人間を大量に殺しました。よって少なくとも貴方2人のどちらかには彼らが生きるはずだった時間と彼らが死んだ事で他の物が悲しむ時間、彼らが残すはずだった物や言葉の価値その他もろもろ考慮して。2400年間死の苦しみと彼らが味わうはずだった苦しみを味わって頂きます。

半分ずつ払う事もできますが今回は運転手さんが全額お支払いの様ですね。では頂きますね。

花さんがレジをちんと鳴らすと運転手は一瞬にして下にできた穴に落ちた。そして、運転手が落ちると穴は一瞬で塞がった。

それでは。犯人さん。あなたも行ってらしゃい。

そう言うと犯人は銃を構えこう言った。

ふざけるな。勘定はさっきのやつが払っただろ。おれは払う必要ない。俺はどこにもいかねえ。ふざけた機械使いやがってこんなレジぶっ壊してやる犯人はレジと花さんに向かって銃を連射した。

しかし、銃の弾は花さんとレジをすり抜けて飛んでいってしまった。

花さんは笑いながらこう言った。
往生際が悪いですね。全く。ここにある物皆一部を除いて完全に死んでますから壊す事も死ぬ事も出来ません。ジタバタしても無駄ですよ。

あっ。だけど安心して下さい。さっきの方が勘定払ったので確かにあなたは2400年間の刑はないですよ。

それはよかった。俺様は無罪なんだな。

はい確かに無罪です。

そうか。俺は天国ってわけだな。それか転生か。ハハつ。全くマヌケな野郎がいて助かったぜ。

じゃあ行ってらしゃい。

チーン。

花さんはレジを鳴らした。

すると犯人を大量の黒い手が伸びて掴んで下に一瞬で引きずり込んだ。そして、穴はまた一瞬で塞がった。

花さん。下を見ながらこう言った。
無は無でも無限の無ですけどね。犯人さん。嘘は言ってないですよ。これからあなたは苦しみも光もない暗闇で永遠に過ごすんです。運転手さんは2400年払ったら成仏ですけど。

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