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チカラの特訓

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悪いな。ニイチャン。ちょっと心読ませてもろたで。何やいろいろあったみたいやな。それに、いろいろ背負い込みすぎたみたいやな。まあ、今はもう何も言うな。言わんでもわかるで。

このひょうたんを見てみぃ。ツギハギダラケのボロボロやけどそれがまた良い味だしとるやろ。

これも穴が空いたつまりは破れたから捨ててたらこうはならんで。

つまりは一回敗れたぐらいで君の人生捨てるんはもったいないそう言うことや。

まあ、君の場合はあれやな。このひょうたんで言うところの限界以上の水、つまりは期待が掛かっていた状態で壁にぶつかったて壊れたわけやな。

そうなったらもう治せへんと思うほど粉々になった状態なわけやな。でもな。どんなにボロボロに壊れても何度でも直せるんや。気持ちさえあればな。

まあ、そこでや君さえ良ければもう一度、君を勇者として立て直しやろうと思うんやけどどうやろ。一緒に修行してあのサムライ供に一泡ふかせんか。

勇者は一言こう言った。

「お願いします。」

よしいい返事やじゃあ行くで。

なら、ますば力の特訓から始めるか。
まあ、簡単に言うと君にはだね。鬼の力、天狗の速さ、そして、狐の戦略と技を身につけて貰う。いわゆる京都三大妖怪の力を身につけてもらう。

それが出来れば向かうとこ敵なしや。その中でも、ワシら鬼はとにかく頑丈で力が強いパワー型や。この頑丈さを身につけん事には他の天狗、狐の力に身体が耐えきれんからな。その力を身につけるにはとにかく実戦が一番やけど、ワシ戦ったら死んでしまうからな。

そうや。ちょうどいいのがおったは。まずはワシの娘と特訓して貰おうか。

そう言うと。ひょうたん坊は黒いひょうたんを取り出して蓋を開けて地面に叩きつけるとこう言った。

出てこいザクロ。

その瞬間、ひょうたんから煙が飛び出して辺り一面をつつみこんだ。

そして、煙が一つのところに集まり人型になり始めた。

そして、煙は水に濡れた赤い髪をして日本のツノをはやした若い女の姿になった。

次の瞬間、勇者は意識を失った。

ギャアァ。このバカ親父。水浴びしてる時に呼び出すんじゃねえ。

お前も何見てんだ。ってか誰だ。お前。
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