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〇月×日『誰が好き』
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初めて来た時とは違った。
生活感のあるワンルーム。
部屋の所々に、山梨先輩には似つかわしくない物が置かれている。
きっと矢野くんの私物だろう。
「……良くないね、」
先輩はマグカップを机の上に置くと、僕の正面に腰掛けた。
先輩は普段の先輩からは想像もできないくらい怖い表情をしていた。
「……土岐、歩、だっけ。その子も何考えてるんだか」
「……、」
「柚野ちゃんもどうかと思うよ。花村のこともあるのに」
「……僕、……、歩くんが目の前にいると、頭真っ白になるんです……」
「…………本当に好きなの?」
「……好きです」
「……昂平のことは?」
「え?」
なんでここで矢野くん?
矢野くんのことは好きだった。
今だって、好きか嫌いかといったら好きだ。
でもそれは幼馴染みとしてという意味に変わってきてる。
その変化は、先輩の存在があるからだ。
矢野くんは先輩が好きで、先輩は矢野くんに応えて恋人になった。
だから僕は矢野くんの幼馴染みになる努力をした。
辛い思いをしてきた先輩に幸せになって欲しい気持ちは嘘じゃないから。
「……僕、矢野くんとは、ただの幼馴染みで…」
「昂平にも聞いた。けど、柚野ちゃんはまだ好きでしょ?」
「ぇ……、なんでそんな事言うんですか?……僕は、…僕が矢野くんを好きだと先輩は困るでしょう?」
「………………その、歩くんて子を好きでいるよりは、昂平を好きな方がいいと思う」
呆然としてしまった。
先輩が、何を言ったか、理解が追いつかない。
僕が、矢野くんを好きなほうがいい?
……そんなこと、あっていいわけない。
自分の恋人を好きでいた方がいいなんて、普通は思わないし言わない。
「……先輩、なんでそんな事言うんですか?変ですよ。……もし矢野くんが聞いたら怒る…」
「…………そうだよね、ごめん。……柚野ちゃんに好きな人ができたの、驚いて…」
先輩が僕から目をそらす。
「……でも、花村に気をつけて」
「はい……」
先輩が何を考えてるかわからなかった。
どこか遠くを見ているような、先輩の横顔は悲しげに見えた。
生活感のあるワンルーム。
部屋の所々に、山梨先輩には似つかわしくない物が置かれている。
きっと矢野くんの私物だろう。
「……良くないね、」
先輩はマグカップを机の上に置くと、僕の正面に腰掛けた。
先輩は普段の先輩からは想像もできないくらい怖い表情をしていた。
「……土岐、歩、だっけ。その子も何考えてるんだか」
「……、」
「柚野ちゃんもどうかと思うよ。花村のこともあるのに」
「……僕、……、歩くんが目の前にいると、頭真っ白になるんです……」
「…………本当に好きなの?」
「……好きです」
「……昂平のことは?」
「え?」
なんでここで矢野くん?
矢野くんのことは好きだった。
今だって、好きか嫌いかといったら好きだ。
でもそれは幼馴染みとしてという意味に変わってきてる。
その変化は、先輩の存在があるからだ。
矢野くんは先輩が好きで、先輩は矢野くんに応えて恋人になった。
だから僕は矢野くんの幼馴染みになる努力をした。
辛い思いをしてきた先輩に幸せになって欲しい気持ちは嘘じゃないから。
「……僕、矢野くんとは、ただの幼馴染みで…」
「昂平にも聞いた。けど、柚野ちゃんはまだ好きでしょ?」
「ぇ……、なんでそんな事言うんですか?……僕は、…僕が矢野くんを好きだと先輩は困るでしょう?」
「………………その、歩くんて子を好きでいるよりは、昂平を好きな方がいいと思う」
呆然としてしまった。
先輩が、何を言ったか、理解が追いつかない。
僕が、矢野くんを好きなほうがいい?
……そんなこと、あっていいわけない。
自分の恋人を好きでいた方がいいなんて、普通は思わないし言わない。
「……先輩、なんでそんな事言うんですか?変ですよ。……もし矢野くんが聞いたら怒る…」
「…………そうだよね、ごめん。……柚野ちゃんに好きな人ができたの、驚いて…」
先輩が僕から目をそらす。
「……でも、花村に気をつけて」
「はい……」
先輩が何を考えてるかわからなかった。
どこか遠くを見ているような、先輩の横顔は悲しげに見えた。
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