宝かごみかは、君しだい

探しつづけるもの

　口をついてでるような、愛らしい名前がほしかった。

　そして毎日ていねいに生きるの、卵焼きも焦がさないし十時に寝るって約束する。

　あなたはなにもしなくていいから、あたしの名前を毎日呼んで、

　飴玉をなめるみたいにそっと。

　うたうようにこぼれ落ちる、花びらみたいな名前を、探してるの。


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　すみれちゃん、あやのちゃん、あいちゃん。これ全部わたしの名前。小さい頃、ごっこ遊びをするときには、みんな好きな名前を自分で決めていた。
　わたしの本名は抜けるような響きなので、淡いというか、染みこむような響きの名前に憧れた。自分でつけた名前で呼ばれるのは、うれしくてくすぐったい。
　中学生のときにはインターネットを使うようになり、ハンドルネームというものを知る。人の名前っぽくするのが恥ずかしくて、食べものの名前をつけていた気がする。チーズケーキとか。それはそれで恥ずかしいな。
　高校生になったら、好きな曲のタイトルから名前をつけるなんてこともした。スピッツが好きで「ホタル」という曲から名前をちょうだいしたけれど、スピッツファンの中でホタルちゃんはかなりありがちな名前で、結果だれがだれだかわからなくなっていた。
　その後は愛ポケモンにつけていた名前をもらってポケモンの方に改名していただいたり（ひどい）、好きな仏単語を使い自分でも発音できず困ったりして、今の筆名に至る。
　筆名を決めるとき、一度名乗ったらもう変えられないぞと思い、毎晩本気で悩んだ。響きと姓名判断の結果のはざまで袋小路に迷い込みながらも、結果うまれた「七草すずめ」には自分の「すき」をめいっぱいつめこむことができたのでよしとしたい。人格と地格と外格と家庭運は大凶だけど。