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2巻
2-2
しおりを挟む「俺は行く。まだしばらくはリョーマと一緒に行動していたいし」
「ありがとう、タオルク。ロマ達はどうする?」
「う~~~~ん……よし! 俺達もついていくぜ!! せっかくここまで一緒に過ごしてきたのに、ここでお別れってのも寂しいからな! それに、リョーマの持ってる美味いもんをもっと食いたいし!」
ニカッと笑うロマ。
「ロマがそう言うなら私もそうします。私も美味しいものを食べたいですし」
「俺もそうするッス!!」
フェルメとルインも笑顔を俺に向ける。
「ありがとう! 皆がいてくれると心強いよ」
ちょうど話がまとまったところで、エンリーがロマ達のお茶を持って戻ってきた。
いずれにしても、ベグアードが仕事を終えるまで待たないといけないので雑談していると、しばらくしてベグアードが貴賓室の扉を開いた。
「彼らがリョーマ様のお仲間ですか?」
「はい! 頼もしい仲間達です」
ロマ達は厳つい風貌のベグアードに、ガチガチに緊張しながら自己紹介をしていく。
そのあとは、馬車の手配をしてもらい、彼の屋敷に向かうことになったのだった。
ベグアードの屋敷に到着すると、ご家族の方も快く迎えてくれた。
屋敷の広さは、フォールトゥの俺の屋敷と同じくらいだろうか。ロマ達はあまりの大きさにポカーンと呆けていた。
さらに奥さんがすごく綺麗でお淑やかな人で、幼い息子さんも可愛らしくて、俺達は失礼だとわかっていても、「あんなに厳ついベグアードさんに……」と少し驚いてしまった。
夕食をご一緒させてもらうことになったので、テーブルについてから改めて自己紹介をする。
ロマから始まり、フェルメ、ルイン、タオルク、そして俺の番。
「リョウマと申します。神の使徒というちょっと特殊な立場ではありますが、できれば普通の友人のように接していただけたら嬉しいです。今回は突然のご訪問になりましたが、快く受け入れてくださりありがとうございます。夕食もご一緒できてとても嬉しいです」
「リョーマ様! ご丁寧にありがとうございます! 改めまして、私は首都サンアンガレスで冒険者ギルドのマスターを務めております、ベグアードと申します。何かご要望がありましたら何なりと、お申し付けください! 全力で対応させていただきます。こちらは私の妻のミヒエルです」
「ミヒエルと申します。リョーマ様のお噂はかねがね聞いております。こうしてお迎えできたこと、光栄にございます。どうぞ気兼ねなくご滞在くださいね」
柔らかく微笑むミヒエル。
「こっちは私の息子のグロンです。今年で七歳になります」
「グロンといいます!! よろしくおねがいします、リョーマ様!」
ニッコリと元気で可愛らしく挨拶をするグロンを微笑ましく思っていると、ベグアードがグラスを持つ。
「さあ、乾杯しましょう! この栄誉ある良き日に、皆様との出会いを祝して、乾杯!!」
「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」
グラスを掲げて祝う。
専属の料理人が作る料理は凄く美味しく、食事中も話に花が咲き、楽しく有意義な時間を過ごせた。
そんな楽しい時間はあっという間に過ぎ、食事が終わるとロマ達はそれぞれ客間に案内される。
俺も客間に案内されると思ったのだが、ベグアードが今後の予定について話がしたいということで、応接室に向かうことになった。
「リョーマ様はお酒をお飲みになられますか?」
「えっと、多少なら……」
「それでは」
ベグアードはグラスを二つ用意してブランデーを注ぎ、一つを俺の前に置く。改めて乾杯し一口飲む。
口触りはなめらかで、香り豊かで美味しい。アルコールもそこまでキツくないから飲みやすいな。
俺がブランデーを堪能していると、ベグアードが口を開いた。
「それでは今後のことですが……副ギルドマスターを通じて、王宮への報せは送っております。なので、早くて明日には王宮から使者が参られると思います」
「そうなんですか!! 迅速な対応、本当にありがとうございます!!」
「いえいえ!! 我々は当然のことをしたまでです」
そのあとは、仲間贔屓になってしまうかもしれないがロマ達を気に掛けてほしい、というお願いをはじめ、いろいろと話をした。
しばらくはこの首都に滞在するから、依頼を受けたりダンジョンに行ったりしてみようかなと伝えたところ、このあたりのダンジョンについて教えてくれた。
首都周辺にはダンジョンが四つあり、危険度も様々だそうだ。この危険度というのはギルドが独自に定めた基準であり、ダンジョンのモンスターがダンジョンから出てきた場合、周囲に与える被害を想定して決められたものだ。
ダンジョンのことをはじめ、ほろ酔いになりながらもいろいろと話をし、夜も遅くなり就寝することにした。
何杯も飲み交わしたが、ベグアードは顔を真っ赤にして酔っているのに対し、俺はほんのちょっと気分がフワフワするくらいだった。
地球にいた頃はお酒弱かったはずなんだけどなぁ。
俺は酔うと凄く眠くなるから、親友の武文達とかとお酒を飲んでも、すぐに寝ちゃってつまらない、ってよく言われたっけ。
多分酔わなくなったのは、種族がデミゴッドになったお陰なのかな。美味しいお酒を飲めるようになったのは嬉しいけど……武文達のことを思い出して、ちょっとしんみりしてしまった。
翌朝、ベグアード一家と共に朝食をとった後、ロマとフェルメ、ルイン、それからタオルクは、冒険者ギルドに向かった。さっそくクエストを受けるのだという。
彼らを見送った直後、ベグアードさんの屋敷に王宮から使者が来た。
その使者というのが、以前俺がファレアスに滞在していた際にやってきた、国王の使者団の代表だったソイル侯爵家の若当主ガイフォルだった。
大物の貴族が来たと、ベグアードや奥さんのミヒエル、屋敷に勤める使用人達が大慌てになってしまい、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
そうだよな、侯爵なんてとんでもない貴族だし、王都の冒険者ギルドマスターであるベグアードさんにとっても大物だよな。
そんなことを考えつつ応接室に案内され中に入ると、ガイフォルは起立して待っていて、すぐに跪く。
「お久しぶりです、ガイフォルさん」
「はい!! こうして再び使徒様にお目通りできたこと、大変光栄で、嬉しく存じます!」
「えっと……お元気そうで何よりです。と、とりあえず座って話をしましょう」
椅子に座り、一息ついたところで、ガイフォルは身を乗り出してくる。
「ルイロ陛下は使徒リョーマ様を歓迎し、拝謁を賜りたいと望んでおります。既にお迎えする準備ができておりますので、リョーマ様のご都合が合えば、是非王宮へとご案内したいのですが、いかがいたしましょうか?」
「え? もう準備ができてるってことですか?」
「はい」
まじか!!
急なことだからそれなりに準備することがあるだろうと思っていたから、逆に驚いてしまった。俺の方がまだなんの準備もできていない。
今日は王宮から人が来ても、互いの予定の打ち合わせとかだと思ってたんだけどな。
「え、えーっと、少々お待ちください……すぐに準備してきますので」
俺がそう言うと、ガイフォルはハッとした表情になる。
「これは申し訳ありません!! リョーマ様のご都合を考慮せず急ぎすぎましたこと、深く謝罪申し上げます!! 後日再びお迎えに上がりますので、いかがでしょうか?」
「あ、いえ!! 俺の方こそ迷惑をおかけしてすみません。せっかく俺のために準備してくれたということなので、是非今日伺いたいと思います」
「承知いたしました。我々はリョーマ様を決して迷惑などとは思ってないことを心に留めていただけると幸いです。どうぞお急ぎにならず、ゆっくりご用意ください」
「ありがとうございます」
俺は一度深く頭を下げてから応接室を出る。
使わせてもらっている客間に戻り、以前ファレアスのギルドマスターのギメルが俺のために仕立ててくれた服達を出す。
今回は色合い的にお気に入りの深紅のコートを選んだ。黒のブリーチズに黒のシャツと、濃いグレーのウエストコート。その上に深紅のコートを羽織る。
全体に金糸や銀糸等を使った細かい刺繍が施されて上品さが際立ち、かっこいいデザインだ。
それから、王様への贈り物を選んでおく。
「えーっと……王様には高級ワインでいいかな。ご家族には……高級チョコの詰め合わせでいっか。あとは……妖精達の野菜や果物を……」
いろんなものを選び、インベントリや妖精の箱庭のアイテムボックスから取り出してアイテムバッグに入れておく。
それからベグアードに、ロマ達に俺が王宮に行くことを伝えてもらうようにお願いし、王宮行きの準備を終えるのだった。
準備を終えた俺はガイフォルとともに、ベグアードの屋敷の前に停まっている一際目立つ豪華な馬車に乗る。
馬車の周りには騎士が随行し、守りは万全だ。
ただ、大通りを通る時はものすごい注目を集めてしまい、誰が乗っているのかという声が聞こえてきて、少し恥ずかしかった。
そんな馬車が走ること四十分弱、王都の中心街に入った。
屋敷などが建ち並ぶ一等地で、そのさらに中心に広大な敷地を持つのがリンサール宮殿。政の中心であり、国王及び王族が居住する王宮だ。
宮殿敷地に入る門を素通りし、広場を通って宮殿正面に停まる。
馬車から降りたところで、俺は圧倒された。
「うわぁ……凄い……」
七階建ての荘厳な宮殿を見上げ、思わず惚ける。馬車の窓からも見えてはいたが、こうして見上げるとまた格別だ。
気を取り直して宮殿の方へ歩いていくと、数人の人が立っていて出迎えてくれた。
「お初にお目にかかります。フィランデ王国王太子のロディアと申します! 本日は使徒リョーマ様にお会いでき、大変光栄に思っております!」
「フィランデ王国宰相をしておりますハマウと申します。使徒リョーマ様にお目見えが叶い、嬉しく存じます」
前の方に立っていた二人が名乗り、深く頭を下げる。そして、彼らの後ろにいた人達も一斉に頭を下げた。
俺は王太子や宰相といった国のトップに連なる人達に出迎えられたことに内心でかなり驚いた。その様子を見せないように必死に我慢し、冷静を装う。
「リョウマと申します。ご丁寧な挨拶、誠にありがとうございます。若輩の身でありながらこのように手あつくお迎えいただき、この上なく嬉しく思っております」
これでいいのだろうかとドキドキしながら精一杯の挨拶をする。
どうやら問題は無かったらしく、普通に感動されて受け入れられた。
まぁ、この世界では神の使徒というのは王族より偉いそうなので、この反応も納得ではあるのだが……それでも緊張するものは緊張する。
宮殿内に入り、あれこれと雑談をしたり、説明を受けたりしながら迎賓の間に案内される。
改めて準備を整える間、まずはここで体を休ませて寛いでほしいということらしい。
王族に仕える召使いを何人もつけてくれて、身の回りのことは全て彼らに任せてくれと言われた。
俺はお言葉に甘えて、最高級のソファーに腰掛け、最高級のお茶や茶菓子を摘んでなんとかリラックスする。
コンコンとドアがノックされたから、「どうぞ」と返事をすると、召使いがドアを開ける。
部屋に入ってきたのはガイフォルだった。
「リョーマ様、謁見の間の用意が整いましたので、ご案内いたします」
「わかりました」
彼の案内の元、宮殿内を右へ左へと進み、大きな扉の前に着く。
扉の両脇には近衛騎士がいて、ガイフォルが頷くと大扉を開けてくれた。
奥まで続く赤い絨毯の上を歩いていく。
両脇には宮殿に勤める役人や貴族が整列していた。
そんな彼等に見つめられながら静かに進むと、その先に王太子や宰相や王族、国を担う重鎮達がいる。
そして驚いたことに、一際身分の高そうな男性――おそらく国王らしき人までが、玉座である高段の上から降りて立っていた。
俺が彼らの前まで行くと、その場にいる国王以外の全員がバッと跪き、ルイロ国王は軽く腰を曲げて頭を下げる。
「ようこそお越しくださいました、使徒リョーマ様。我々一同、リョーマ様を心より歓迎申し上げます」
「あ、頭を上げてください!! 自分も皆さんから歓迎していただけることを大変嬉しく思います!! これから互いに良い関係を築けることを切に願っております」
「おおっ!! 願ってもない話でございます!! 今後もどうぞ気兼ねなく、王宮へいらっしゃってください。リョーマ様のお部屋をご用意させていただきます」
「ありがとうございます。是非お言葉に甘えさせていただきますね。贈り物も用意しておりますので、後ほどお渡しいたします」
そうしてなごやかな雰囲気で、初顔合わせはあっという間に終わった。
迎賓の間に戻り、緊張から解放された俺はだらしなくソファーに横になる。
「ふぅ……なんとか終わった」
普通にちょっと話しただけなのに、さすがに王族が相手だと緊張して疲れてしまった。
そう気を抜いたのもつかの間、ガイフォルが部屋にやってきた。
「リョーマ様、国王陛下とご家族の皆様が、是非お話ししたいとおっしゃっておられますが、いかがいたしましょうか? これは非公式の場ですので、気楽にお話しいただけると思います」
「わかりました」
特に拒む理由もないので、身だしなみを正して次なる場所に案内される。
そこは王族が使用するサロンの一つだそうで、その中でも最も豪華で、格式が高い部屋だと教えてもらった。
ガイフォルが扉をノックし「使徒リョーマ様をお連れしました」と告げると、扉が開く。
かなり広い部屋で、いくつもソファーやテーブル等があり、寛げる空間だ。
そこには国王であるルイロ陛下とその家族が勢揃いしていた。
「失礼します」
部屋の中に入る。
「ようこそお越しくださいました!! どうぞこちらへ!!」
大きなソファーに案内され、国王とその家族が軽く頭を下げる。
えっと……どうしたらいいんだ……?
内心で焦っていると、後ろに控えていたガイフォルが小声でフォローしてくれた。
「リョーマ様、どうぞお座りください」
言われた通りにそのソファーに座ると、国王達も一度頭を上げてから座る。
親睦を深め王族のことを知ってもらおうと、このサロンに招いたと言うルイロ国王。
自己紹介をしたいということで、最初はルイロ国王から話しはじめた。
「フィランデ王国第三十四代国王ルイロ・フィンデル・ゴルアディ・フィランデと申します」
「王妃のルメルダと申します。リョーマ様にお会いできたこと、とても幸せに思います」
ルイロ国王はまさに王としての風格があり、金髪をびしっと決めた、威厳を感じる初老の男性だ。ルメルダも厳かな佇まいに力強さを感じる。切れ長な目が印象的で気が強そうだな。
「改めまして、王太子のロディアと申します! これから末永く我が王国と友好が続くように願っております!」
「王太子妃のサリアヌです。半神であらせられますリョーマ様とお目通りが叶い、大変名誉に思います。今後ともよろしくおねがいします」
癖っ毛が愛くるしく、誰にでも愛されていそうな愛嬌のある笑顔が輝かしいロディアと、彼とはお似合いの、お淑やかで気品に溢れる美しいサリアヌ。
「だ、第二王子のフレルと言います……よ、よろしくおねがいします!」
「第一王女のリヨネットと申します!! お会いできて光栄です!」
「えっと、僕は第三王子のレオワールです!! よろしくおねがいします!!」
気が弱そうだけど、頭の回転が速そうなフレル。
お母さん譲りだと思う気の強さが窺える、元気のいい女の子のリヨネット。
まだよくわかってないけど、ちゃんと挨拶ができて可愛らしく、やんちゃそうなレオワール。
全員の自己紹介が終わった。
俺も自己紹介をし、親しみやすく接してくれたおかげで緊張は解れ、なごやかに歓談をする。
と、そこで俺は思い出した。
「あ、そうだ。もしよろしければ、今この場で皆様への贈り物をお出ししても良いでしょうか?」
「おお! 是非お願いします!! 前回のあの贈り物には大変驚きました。一等の宝として大事に保管させていただいてます」
「喜んでいただけて何よりです。今回はありふれたものではありますが、どうぞ受け取ってください」
ガイフォルに預けていたアイテムバッグを受け取り、品物の数々を取り出す。
まずは国王には、固有空間から持ち出したワインを。赤白スパークリングと最高級のものを見繕っておいた。異世界である地球の洗練された最高級のワインだが、そんなことは知るはずもなく、国王ルイロは嬉しそうに受け取った。
次は高級チョコの詰め合わせをいくつも出す。
この世界にもチョコレートに似たお菓子があり、超高級品として貴族や王族が好んでいるらしいのだが、その歴史は浅く、本物のチョコレートには遠く及ばない。唯一本物に近いチョコレートを作れるのは使徒ハナ・ヒグチのみで、彼女の元でしか食べられないのが現状である……というか、たぶんヒグチさんがこっちの世界にあるもので作り出したんだろうな。
ともかく、地球でショコラティエの努力によって昇華し続ける、本物のチョコレートが今まさに目の前にあるのだ。
お酒は今度皆で楽しむということで、この場でチョコレートを開けることにした。
初めて食べる洗練されたチョコレートの味に、一同が驚愕し言葉を無くしたあと、大騒ぎしはじめた。
「な、なんだこれは!? 美味すぎる!!」
「これはお酒のような味がします!! それにしては余りにも上品で口当たりも良く甘くて美味しい……正に極上の逸品!!」
「似たような菓子はいくつも食べてきましたが、それは足元にも及びません!! これは神の菓子です!!」
「リョーマ様がくださった贈り物なのですよ!? 神が口にするものなのでしょう!!」
興奮冷めやらぬ中、俺は呆然と見ていることしかなかった。
まだ贈り物はあるんだけど……。
そんなことを言い出せる雰囲気ではなく、チョコレートが完食されるまでソファーでポツンと座っていた。
あっという間にチョコが無くなると、国王はコホンと咳払いをする。
「リョーマ様の前でみっともない姿をお見せしました。申し訳ありません」
恥ずかしそうに頭を下げる。皆も顔を赤らめて頭を下げた。
「いえ、皆さんに喜んでいただけて何よりです。チョコは同じものが沢山あるので、また後でお出ししますね」
俺としては喜んでくれて嬉しかったし、美味しいものを口にして思わず我を忘れるなんてことは、俺も小さい頃はしょっちゅうだった。
武文達をご馳走に連れていくといつも大はしゃぎしてて、俺はそんな様子に幸せを感じていたっけ。
「かたじけない。このお礼は必ずしますので」
「いえいえ!! もう沢山のものをいただいているので、お気遣いなさらないでください!! それと、また食べ物で申し訳ありませんが、こちらもどうぞ」
次に取り出したのは、妖精達が丹精込めて作り、世界樹の恩恵を受けてスクスクと育った野菜達だ。
「これは自分の能力で作った野菜です。妖精の助けと世界樹の恩恵により大変美味しくできてます。あとこれを」
俺の説明に皆が目を丸くしている中、果物も出す。
「ヤルダという果物です。凄く甘くて瑞々しく美味しいですよ」
「ちょ、ちょっと待ってください!! リョーマ様は……妖精を使役しているのですか……!? それにエルフ達が命懸けで守っている世界樹を……!?」
「え? エルフ達が命懸けで守ってる世界樹、ですか? それとは別のものだと思いますけど……この世界の世界樹はまだ見たことないので……」
俺の答えに顔が強張る国王と王太子と両妃。
「と、ということは……リョーマ様は別の世界樹をお持ちということですか……?」
「特殊な方法ですが、そうなります」
「ハ、ハハ……さすがは使徒様です……」
国王は頬を引きつらせて、懸命に笑顔を作る。
なんとか動揺から立ち直った国王に、以前いただくことになった屋敷に住み始めたいことを伝えた。
すると、国王が任命した信頼できる執事や使用人などで屋敷は管理されており、いつでも住める状態だと教えてくれた。
その執事や使用人はそのまま俺の専属として使っていいということで、その人達に屋敷の管理を任せることにする。彼らの給金は王宮から支給するということで、本当に何もかもタダだ。
それから晩餐にも招かれることになったので、一晩迎賓の間で過ごすのだった。
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